浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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死ぬのは僕からだろ?

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「全く嫌になるね」
「そうは言っても、お仕事、お仕事」
「相変わらず勤勉だね」
「そこで人は判断されるものですよ」
「そうだな、僕もそこは見る」
「君の目から見て俺はどう?」
「どうね…何?評価ほしいの?」
「欲しいね、君の褒め方は上手いから」
「そういえば他の奴誉めると、ちょっと機嫌悪くなるよね」
「そうですか?そんなことありませんよ?」
「いや、絶対そうだって、なんかこう…
明らかにっていうかさ、そんなに他の人を誉めるのがダメなの?」
「そんなことはないよ、ただまあ、その人にもそういうことを言っちゃうんだにはなる」
「そこだよ、そこ、そこが顔に出てるっていうか、ピリピリするの」
「え~だって、君がさ、誰かを誉めるのはしょうがないとしてもさ、それって勘違いしちゃうんじゃないの?って思っちゃうっていうか」
「何に勘違いするのさ」
「何にって、そんなの言わせないでくれよ」
「子供かよ」
「でもさ、自分の良いところを見つけてくれる、気づかないところを誉めてくれるというのは、本当に気持ちがいいものでして、ただまあ、俺だけが特別じゃないのが悔しいですね」
「仕事にならねえんだけど」
「それはそうなんだけどもさ」
「どうしてそうなのさ」
「どうしてって」
あ~ちょっと距離近いなって感じでそんなことを言われると困ってしまうんだ。
「大人になるとあんまり誉められないから」
「それはわかる」
「わかるでしょ、誉められるの、良いところはここでしたって言われるの、好きなの」
「そうか…でもそんなに仕事にならないならもう言えないね」
「それはないでしょうよ」
「いや、だって仕事が止まっちゃうと困りますし」
「困らない、困らない、俺は困らない」
「なんで、お前はたまにこう…聞き分けが無くなっちゃうのかな、精神統一は必須だっただろうに」
「それはそれ、それはそれなんですよ」
「でも一回でも仕事に影響したらもうやんねえからな」
「もちろんですとも」
「上手くやれよ、お前の器用さはわかってるつもりだから」
目を見て言ってくる。
(この信頼を裏切りたくないし、なんだろうね、一身にそれを浴びたくなる)
「頼むぜ、こっちも命がかかってんだ」
「それはね、うん、わかるよ」
「なんだ?びびったか?」
「いや、死ぬのは怖くないのかな?って」
「僕が?おかしなことを聞く奴だな、死ぬのは僕からだろ?」
「それは了承したつもりはないよ」
「反対に僕が生き残って帰ってみろよ、何を言われるかわかったもんじゃないし、お前の家族になんていうんだよ、うちの家族と違っていい人たちなんだ、あんな人たちを悲しませちゃいけないよ」
「死んだら泣くぞ」
「そうか、嬉しいね」
「ずっと覚えててやる、死んだ後、天国でも地獄でも探すからな」
「うわ、面倒くさい奴、死んだら、静かに休ませろよ、生きているうちはどれだけ忙しくても構わないからさ」
「ちゃんと定期診断受けている?」
「昨日行った、数値もいいよ」
「それならもうちょっと食事一つも楽しんだら?」
「それは考えたんだけどもね、体力的に月に決まった体重しか落とせないから、太れないし、でもラーメンは食べたくなるんだよ、玉ねぎザクザク大盛りで」
「あのラーメン好きだもんな」
「好きだね、お前が教えてくれたのもあるかもしれないが、ここはネギの代わりに玉ねぎなんだぜって、今じゃ玉ねぎで食べたくなる、あの脂に玉ねぎがいいんだよ」
「もっと旨いもの食べなよ、人生の楽しみの一つだ」
「いや、やめておく、慣れると、食べれなくなったときキツいし」
「そこまでストイックじゃなくてもいいんじゃないの?」
「そこまで捧げないと生きている価値がないのさ」
「考えすぎじゃない?」
「考えすぎだったら良かったんだけどもね」
他の奴にはこいつはこういう顔をしない。
ただそうなるまでには少し、紆余曲折があった。
「俺は嫉妬深いのよ」
「知ってる」
「知ってて、組んでくれているわけ?」
「う~ん、それはどうだろうね、組んでいるうちにそういう奴だってことに気づいたみたいなもんだから、逆鱗触れなきゃ大丈夫でしょ」
「俺の逆鱗って?」
「言わない」
「教えてよ」
「そういうの下手に自分で気づくと大変だよ、止めれなくなるんじゃないか?」
「それは…」
「頑張って止めるよ、でもたぶんお前のことだから、関係ない状態でただ止めるだけなら、止まらないかも」
「そんなことないさ、君が止めようとしたのならば止まるよ」
「後が怖い奴だ、代わりに何させんのさ」
「何も、ただ、まあ、本気でそうなったとき、君は俺を止めないだろうな」
「場合による」
「そうか、場合って」
「お前のプライドが著しく傷つけられた場合は止めない」
「ありがと」
「それ以外はね、まずお前が怒るのが見えないな」
「そう?意外とイラッと来るタイプよ」
「そうか?僕にはそう見えないが、気が長いなとか思うんだが、気のせいか?」
「君は特別だからな、君がいなくなったら、誰が俺を誉めてくれるの?」
「えっ?誰かいるだろう?そいつに誉めてもらえよ」
「その人、誉めるの上手い?」
「知らねえよ、なんかこう、僕がいうのもなんだが、お前も相当歪んでないか」
「そうかな」
「歪ませたのは誰だ?」
「誰だと思う?」
ジッ~と見てくる。
「誰かはわからん、でもそいつを僕が嫌いになるのは間違いないと思うが」
「俺のこと信じてるんだね」
「そりゃあね、任せれるというのは信じれないと始まらないだろ?」
「何でもするよ」
「何でもはさせねえよ」
「えっ?何でよ」
「そういうこというと、とんでもねえのに捕まるよ」
「とんでもねえのに捕まりたくないから、離さないでくれよ」
「え~」
「嫌なの?」
「そういうと無茶するからさ」
「だってサポートも上手いじゃん、俺が出来ないこと、いつの間にか準備しているから、仕事が早い早い」
「それは当たり前だろ、仕事なんてさっさと終わらせるに限るし、苦労するものではない」
「そういうスタンスの奴はいても、実力が見合う人間って何人いるんですかね」
「知らないね、数える時間があるのならば、その分人に財産残してやった方がいいならな」
「そっちこそ変なのに騙されないでね」
「そういうの来たら、お前が何とかするじゃん」
「そりゃあするよ、ああいう人たちってさ、お金にしか見てないからさ、君を人間として扱ってないのが凄く嫌」
「ああいうのは良くいるんだよ」
「そういうのとは仕事したくはない」
「だから結果を出すのさ、僕もあんなのとは仕事したくはないんでね」
「一応は考えているのね」
「そりゃあね、それとも同じことして、評価もされない、顎で使われたいのかな?」
「美人だったら一回ぐらいは」
「おいおい、それなら一人で行ってこいよ」
「冗談だよ、君より魅力的なオファーなんてそうそうあるわけがない」
「何気なく僕の評価高いよな?出世欲はないはずだろ?」
「逆にさ、可能性の、限界がどこだか試したくはなったんだよね」
「限界?」
「そう限界、俺は君がすごい奴だと知っている、だからどこまで行けるのか見たいんだよ、んで自慢したいの、うちの子はすごいんですよって」
「相変わらず変わってるね、しかもそれで本気に努力するから、性質が悪いね」
「そこは諦めてよ、それに最強を目指すのは嫌いじゃないでしょ?」
「焚き付けたら、責任はとれよ」
「取りますよ、じゃなきゃ言わないし、こんなことは君にしか言わない」
「本当にひどい奴だね、何人泣かせたんだ?」
地獄に一緒に行ってもいいと思ったのは君が最初で最後だろうさ。
「さて何人だろ?」
「せめて数は覚えておけよ」
「そっちは?」
「誰かを泣かすぐらい、人と一緒にはいる気はないよ」
「俺はどうなの?」
「そういえばそうだな」
考えた後に。
「例外って奴だな」
笑いながらそういった。
「例外ならば許しちゃう」
「そうしてくれ」
これで誰かと一緒扱いされたら、やっぱりダメなんだと思う。
ああ、これが俺の逆鱗かもな。
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