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この映画館は聖地である
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「そりゃあ大好きだからね」
「大好きだからっていってもさ、普通そこまでするの?」
「するよ、ただな今回は俺の愛が試されると思ってる」
彼はレジライというファッションブランドが好きであった、春夏なカタログを見ると、限定品のページにサメが二匹いたのだ。
レジライというのは、一条とKariの二人のデザイナーのブランドで、熱心なファンが多かったが、少しお高い、しかし、そんな中、サメが二匹のページのTシャツはお手頃価格で登場していた。
「一条さんの地元で、このサメ二匹、兄弟かな、映画館の限定グッズとして出すから、ここまで買いやすい価格になってはいるんだけどもさ」
ただし購入条件があって、それはサメ映画を2時間37分見てからじゃないと買えないということである。
「どう見てもつまらない映画は確定だから、たぶんね、見ている間、オレはレジライへの愛を試されると思うんだよね…でもさ、映画館の方でレジライTシャツへの話が紹介されていたんだけども、その時の逸話もすごく好きで」
サメ兄弟には長男がいるが、その長男の友達の兄が、現在レジライのデザイナーをしている。
「Tシャツを作るきっかけというのも、一条さんが通っていた学校に、私も進学を希望していて、学園祭を見に行くことになったんですよ」
結構自由な校風で、一条さんはバザーの店番をしているから挨拶をしに行ったら、ご飯を食べに行ってるという話であった。
その時にバザーで売ってるものを見て、長兄であるリュウは当時はそうは呼ばれてはいないがサコッシュと布の小銭入れを買ったのである。
それで戻ってきた一条と一緒に学内を少しばかり回って、時間が来てから別れたあとに、店番に戻ってみると。
「あれ?オレが作ったもの売れたの?」
「さっき来てた弟さんの友達が買ってたよ」
「あ~そうなのか」
他の人間もエコバックやら売りに出していたが、リュウは何も知らずにその二つを買っていたし、それを愛用していたのだが、今年の正月の帰省時に、一条兄弟が映画館に遊びに来て、子供の頃はここでヒーローものや怪獣映画なんて見たなと話をして、真夏にバトミントンをしたことがあるサメ兄弟トラジとタカミとも挨拶をした。
その時に、長兄はまだ一条兄が作ったものを使っていることを知った。
「えっ?あれ?どのぐらい前だよ」
「学生時代のでしょ?」
「そうそう、ミシン欲しかったけども、すぐには買ってもらえないから、学校で使わせてもらったんだよな」
それで長男に連絡して、サコッシュと小銭入れを見せてもらうことになる。
「大分色褪せてますよ」
「でもこれは味が出ているって」
発色のいいものが薄れているので、リュウが大人になっても、無難に使える。
「懐かしい、これな、作って売れたら大金持ちだなんてな、結局これしか売れなくて、あれ?」
ここで気づく。
「たぶんオレが作ったもので、一番古い現物ってこれじゃないかな」
そこでインスピレーションがピン!
トラジとタカミをモデルにする代わりに、映画館Tシャツをレジライで作ることにした。
「交換条件って形じゃ悪いんで」
長男そこから急いでお金を用意することになったのだが。
「おそらくレジライのファンが映画館まで買いに来るってことは、地域経済も潤うので」
というこもで映画館以外からもお金が寄せられた。
「これは映画館が単独で出すと好き勝手しちゃうってわけではないけどもさ、ある程度は関わりたい、一枚噛ませてほしいって感じかな」
「サメが一枚噛んだら怪我しちゃうけどもね」
バキッメキメキと音を立ててその場合は終わるだろう。
「弟たちが着てるのはそれなそサメ用サイズなんだけどもね、サコッシュと小銭入れを持ってるのは、一条先輩に見せたら、それを見た一条先輩が、いきなり近所の手芸店に走り出したからな」
そこでミシンを貸してくれとかいって、アイディアを形にしはじめた、ただし他の人たちはみんな困惑である。
「なので人間サイズの限定シャツ以外は非売品なんだが、こういう話っていいよな、っていうか、俺もさ、レジライ一条がバザーで作ったものを売ってたら、全部買うと思う」
長兄が当時買った額はもちろん何百円の世界である。
発表されてからの連休、映画館は行列ができていた。
近所の人は話題の映画でも来ているのか?いや、あの映画館だからそれはたぶんないだろうな、こんなに待っている人がいるのならば屋台の許可とか取りたかったなども商魂たくましいものもいたという。
これ全部レジライのTシャツ狙いの、サメ映画視聴予定者、たぶんこういうお客さんがくるんだろうなってことで、サメ兄弟も上映予定のサメ映画が初心者向けではないものを用意した。
愛を試されるとレジライファンは言っていたが、試すにはぴったりというか、過酷というか、人と一緒に育てられているがやはり感性はサメらしく、見に来た人の心を折りにいくようなものを用意していた。
あいつらは…やる気だ。
どうすれば人の心は退屈と怒り、くだらなさに負けるのかわかってるものを持ってきやがったのだ。
レジライのファンでも現在物議がかもしだされている、代行や他の人に頼み、中級者向け心を折るサメ映画を見ないでTシャツを買っているような奴は、レジライのファンとは言えないという派閥が生まれる。
そのレジライの熱く語るレジライのファンは、自主的にサメ映画を見るようになり、自分達はレジライに身を捧げている証拠として謎の風習も生まれた。
そしてこの映画館は聖地であると…
「さすがにそこまでは考えてないんだけどもさ」
一条としてはそんな感じだったが。
「そんなことをおっしゃらないでください、我々にはあなたのインスピレーションがとても大事なのです、くすんだような生活を色鮮やかに取り戻させてくれるのが、少なくともオレにとってのレジライなんです、というか、連動してレジライ展やってくれてありがとうございまた」
映画館から近い地元の博物館でレジライ一条の趣味全開の展示を連動して行った。
「あれ、150円でみれていいんですか?」
「地元の博物館だからな、そのぐらいじゃないとこっちの人は来ないしさ、俺、地元ではろくでなしで通っているから」
「なんということでしょうか!」
その話を聞いたファンが開催中の週末は必ずきてくれたり、知らない人へガイドまでしてくれたので、レジライ側がその人たちの知的好奇心を刺激するべく、どんどんと詳しいしりょうというやつを送ってきてくれた。
「なんだかんだでレジライも長いから、今はいないスタッフとかに話を聞き直したりすると、読みごたえのあるものが出来たりするんだよ」
その辺をみると、リュウは一条さんは全然変わってないなって思うのだ。
「でもここで取材しておけば、映像にもなりそうですよ、ドキュメンタリーとして」
「それも面白そうだな…俺がさ、目指した理由になった職人さんは、病気で、あれは二年ぐらいか、やっと話を聞けると思ったら、そのぐらいで現役を引退してしまったんだよな、それがすごく悲しいし、今はその人を知っている人が少なくなってしまったから」
あんなに素晴らしいのに、残さないとか残らないものなんだなって話をしていた。ただこちらのプロジェクトについては、レジライ側でそこにお金を使うにはちょっとみたいな話が出てて一回ストップししてしまった。
しかしそれでも時は過ぎ行くので、リュウは定期的に一条と連絡を取り合い、彼から当時の話を聞いていった。一条の方も、長兄には業界用語を使ってもわかりにくいからと、誰もがわかりやすい言葉で説明をしていった。
その量は紙にすると一冊の本になるぐらいのもので、リュウはそれをレジライ側に許可をとろうと思っていた。お金のためではなく、後世に保存するための資料としてである。
一条以外にも関係者から話を聞き、お金は持ち出して、遠方まで行く、このような事を行い、資料は積み重なっていった。
「たぶんこれは必要になるからね」
この時はそうなればいいねなんていう人たちがほとんどだが、彼の弟たちだけは、それは必ず来るんだろうと、ピンと来た。
背ビレがその時一瞬だけ逆立ってから、ゆっくりとリラックスして見せたそうだ。
「大好きだからっていってもさ、普通そこまでするの?」
「するよ、ただな今回は俺の愛が試されると思ってる」
彼はレジライというファッションブランドが好きであった、春夏なカタログを見ると、限定品のページにサメが二匹いたのだ。
レジライというのは、一条とKariの二人のデザイナーのブランドで、熱心なファンが多かったが、少しお高い、しかし、そんな中、サメが二匹のページのTシャツはお手頃価格で登場していた。
「一条さんの地元で、このサメ二匹、兄弟かな、映画館の限定グッズとして出すから、ここまで買いやすい価格になってはいるんだけどもさ」
ただし購入条件があって、それはサメ映画を2時間37分見てからじゃないと買えないということである。
「どう見てもつまらない映画は確定だから、たぶんね、見ている間、オレはレジライへの愛を試されると思うんだよね…でもさ、映画館の方でレジライTシャツへの話が紹介されていたんだけども、その時の逸話もすごく好きで」
サメ兄弟には長男がいるが、その長男の友達の兄が、現在レジライのデザイナーをしている。
「Tシャツを作るきっかけというのも、一条さんが通っていた学校に、私も進学を希望していて、学園祭を見に行くことになったんですよ」
結構自由な校風で、一条さんはバザーの店番をしているから挨拶をしに行ったら、ご飯を食べに行ってるという話であった。
その時にバザーで売ってるものを見て、長兄であるリュウは当時はそうは呼ばれてはいないがサコッシュと布の小銭入れを買ったのである。
それで戻ってきた一条と一緒に学内を少しばかり回って、時間が来てから別れたあとに、店番に戻ってみると。
「あれ?オレが作ったもの売れたの?」
「さっき来てた弟さんの友達が買ってたよ」
「あ~そうなのか」
他の人間もエコバックやら売りに出していたが、リュウは何も知らずにその二つを買っていたし、それを愛用していたのだが、今年の正月の帰省時に、一条兄弟が映画館に遊びに来て、子供の頃はここでヒーローものや怪獣映画なんて見たなと話をして、真夏にバトミントンをしたことがあるサメ兄弟トラジとタカミとも挨拶をした。
その時に、長兄はまだ一条兄が作ったものを使っていることを知った。
「えっ?あれ?どのぐらい前だよ」
「学生時代のでしょ?」
「そうそう、ミシン欲しかったけども、すぐには買ってもらえないから、学校で使わせてもらったんだよな」
それで長男に連絡して、サコッシュと小銭入れを見せてもらうことになる。
「大分色褪せてますよ」
「でもこれは味が出ているって」
発色のいいものが薄れているので、リュウが大人になっても、無難に使える。
「懐かしい、これな、作って売れたら大金持ちだなんてな、結局これしか売れなくて、あれ?」
ここで気づく。
「たぶんオレが作ったもので、一番古い現物ってこれじゃないかな」
そこでインスピレーションがピン!
トラジとタカミをモデルにする代わりに、映画館Tシャツをレジライで作ることにした。
「交換条件って形じゃ悪いんで」
長男そこから急いでお金を用意することになったのだが。
「おそらくレジライのファンが映画館まで買いに来るってことは、地域経済も潤うので」
というこもで映画館以外からもお金が寄せられた。
「これは映画館が単独で出すと好き勝手しちゃうってわけではないけどもさ、ある程度は関わりたい、一枚噛ませてほしいって感じかな」
「サメが一枚噛んだら怪我しちゃうけどもね」
バキッメキメキと音を立ててその場合は終わるだろう。
「弟たちが着てるのはそれなそサメ用サイズなんだけどもね、サコッシュと小銭入れを持ってるのは、一条先輩に見せたら、それを見た一条先輩が、いきなり近所の手芸店に走り出したからな」
そこでミシンを貸してくれとかいって、アイディアを形にしはじめた、ただし他の人たちはみんな困惑である。
「なので人間サイズの限定シャツ以外は非売品なんだが、こういう話っていいよな、っていうか、俺もさ、レジライ一条がバザーで作ったものを売ってたら、全部買うと思う」
長兄が当時買った額はもちろん何百円の世界である。
発表されてからの連休、映画館は行列ができていた。
近所の人は話題の映画でも来ているのか?いや、あの映画館だからそれはたぶんないだろうな、こんなに待っている人がいるのならば屋台の許可とか取りたかったなども商魂たくましいものもいたという。
これ全部レジライのTシャツ狙いの、サメ映画視聴予定者、たぶんこういうお客さんがくるんだろうなってことで、サメ兄弟も上映予定のサメ映画が初心者向けではないものを用意した。
愛を試されるとレジライファンは言っていたが、試すにはぴったりというか、過酷というか、人と一緒に育てられているがやはり感性はサメらしく、見に来た人の心を折りにいくようなものを用意していた。
あいつらは…やる気だ。
どうすれば人の心は退屈と怒り、くだらなさに負けるのかわかってるものを持ってきやがったのだ。
レジライのファンでも現在物議がかもしだされている、代行や他の人に頼み、中級者向け心を折るサメ映画を見ないでTシャツを買っているような奴は、レジライのファンとは言えないという派閥が生まれる。
そのレジライの熱く語るレジライのファンは、自主的にサメ映画を見るようになり、自分達はレジライに身を捧げている証拠として謎の風習も生まれた。
そしてこの映画館は聖地であると…
「さすがにそこまでは考えてないんだけどもさ」
一条としてはそんな感じだったが。
「そんなことをおっしゃらないでください、我々にはあなたのインスピレーションがとても大事なのです、くすんだような生活を色鮮やかに取り戻させてくれるのが、少なくともオレにとってのレジライなんです、というか、連動してレジライ展やってくれてありがとうございまた」
映画館から近い地元の博物館でレジライ一条の趣味全開の展示を連動して行った。
「あれ、150円でみれていいんですか?」
「地元の博物館だからな、そのぐらいじゃないとこっちの人は来ないしさ、俺、地元ではろくでなしで通っているから」
「なんということでしょうか!」
その話を聞いたファンが開催中の週末は必ずきてくれたり、知らない人へガイドまでしてくれたので、レジライ側がその人たちの知的好奇心を刺激するべく、どんどんと詳しいしりょうというやつを送ってきてくれた。
「なんだかんだでレジライも長いから、今はいないスタッフとかに話を聞き直したりすると、読みごたえのあるものが出来たりするんだよ」
その辺をみると、リュウは一条さんは全然変わってないなって思うのだ。
「でもここで取材しておけば、映像にもなりそうですよ、ドキュメンタリーとして」
「それも面白そうだな…俺がさ、目指した理由になった職人さんは、病気で、あれは二年ぐらいか、やっと話を聞けると思ったら、そのぐらいで現役を引退してしまったんだよな、それがすごく悲しいし、今はその人を知っている人が少なくなってしまったから」
あんなに素晴らしいのに、残さないとか残らないものなんだなって話をしていた。ただこちらのプロジェクトについては、レジライ側でそこにお金を使うにはちょっとみたいな話が出てて一回ストップししてしまった。
しかしそれでも時は過ぎ行くので、リュウは定期的に一条と連絡を取り合い、彼から当時の話を聞いていった。一条の方も、長兄には業界用語を使ってもわかりにくいからと、誰もがわかりやすい言葉で説明をしていった。
その量は紙にすると一冊の本になるぐらいのもので、リュウはそれをレジライ側に許可をとろうと思っていた。お金のためではなく、後世に保存するための資料としてである。
一条以外にも関係者から話を聞き、お金は持ち出して、遠方まで行く、このような事を行い、資料は積み重なっていった。
「たぶんこれは必要になるからね」
この時はそうなればいいねなんていう人たちがほとんどだが、彼の弟たちだけは、それは必ず来るんだろうと、ピンと来た。
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