浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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使い手としてスペシャル

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最近、ギャラクシーハダマグロの被害が多くなったので、これは一度関係者の意見を聞き直したり、有識者(サメ含む)をお呼びして、対策を考えた方がいいのではないか、そんな話になった。
そして、その担当になったKCJの職員は困ってしまった。
軽く、どうやって対応してますか?と聞いてみたところ、どう考えても真似できないし、こういう話は参考になるのかな?と困ってしまった。
でも、それはあなたもそうですよね?

問題 ギャラクシーハダマグロがこちらに向かってきました、あなたは何をしますか?

「魔法ぶっぱなしますね」

これだよ…

「けどもさ、そうであっても何かしらヒントはあるかもしれないわけだからさ」
上司はそういってくれたので、マグロが出たら連絡が行くような人たちに話を聞きに行くことにした。
「いらっしゃいませ」
螺殻(らがら)ミツが挨拶をすると。
「すいません、今日お約束していた」
「ではこちらにどうぞ」
そういうと事務所に通された。
「こんにちは、話は聞いているよ、でも俺らの話は役に立つのかな?っては思ってるよ」
覆木(おおうき)は笑っていた。
「そうかもしれません」
その言葉は不快になる人もいるだろう。
「でも調べていくと、こういうヒントは、数年後、もしくは数十年後になるかもしれませんが、誰かに届くことがあります、マグロが笑う話もそういう伝承から来たものだそうですし」
「マグロって笑うの?」
瀬旭(せきょく)が聞いてきた。
「あれ?見たことない?」
「ないな」
「ないんですか?それはすごくないですか?この事務所って、銃火器市販がメインなんですよね、一体どうやって退治しているんですか?」
「初めて見たとき、目頭がなんか弱そうかなって、それとヒレの拳一個ぶん右のところ、それでやってみたら、上手く行ったって感じで」
「俺はそれを見たら、眉間の周囲の方が柔らかそうだってね」
「そこはこっちの真似してもいいんじゃない?」
「やだね、そこはプライドがあるし、やっぱり悔しいじゃない」
空気がピリッとしたが、二人はいい関係にある。
「話は戻しますが、マグロはいわゆる『勝ったな』って油断すると笑うそうなんですよ、猟師がいうにはそういうときに眉間を射抜くとよいと、他のときはまず効果がないとされてました」
「それって今の銃よりも不便だったときの話でしょ、だから威力なんかも、そんな中でも退治していたなんて尊敬でしかない」
「その話を知ったあとに、マグロが笑ったらそこを槍で突き刺すという、その方々はサメの猟師さんなのですが、それで実際に成果をあげているんで、KCJの方で、本当に槍で刺せるものなのか実験も行いました」
するとまっすぐに刺さらないとか、折れてしまうということから。
「結論はサメの力がなければ無理という結論になりましたね」
「そういうことってあるよね」
「でも瀬旭さんの話は面白いですね、さすがよくわからないものが来たのならばあそこの瀬旭に任せろといわれるだけあります」
「俺はそういう扱いかの」
「まあまあ、でもその点に関しては一目を置けるよ、見てすぐにここかなって、それがいいんだろうね」
「そうだな、こんなもんかなって言う感じでいつもやってる、あっ、そういえば水芭(みずば)は?」
「どうしてもならば戦いますけども、弾の無駄遣いにしかなりませんから、さっさと報告して誰かに来てもらいますよ」
「普通」
「そういえば君はどうしているの?」
覆木は職員に聞くと。
「私ですか?私はマグロの興味をなくす感じですかね」
「あれ?精神系の魔法の使い手?」
「いえ、精神じゃないです、風属性ですから、使うのは風化ですね」
「そっちね」
「人間に使う場合は怒りを冷静にさせるぐらいでしょうか、それこそ興味を無くすまで使うのは強すぎて、なかなか打つ機会はありませんが」
それがマグロに当たると、あれ?という顔して帰っていく。
「でも困りましたね、ここのみなさんは使い手としてスペシャルなので」
「その言葉いいね、使い手としてスペシャルなんて、いい言葉だよ」
「なかなかいいですよね、私としては才能ある人に頼るのは悪いことではないとは思っているんですが、急に何かがあるときにその人たちがいなかったら、連絡つかなかったらと思うとね」
「それは心中お察しします」
この世界では普通は少数派、そう少数派なのだ。


ピン!
「ああ、サメが反応している」
「サッ」
「力押しで向こうが来るとしたら、何人いるんだろう」
「回復も手配して、今ちょうど支部に秋澄(あきすみ)いたろ、ついでに腰木(こしぎ)も来てもらえ」
現場では未だにこのような感覚で人数を用意しているので、対応できなくこともある、これを変えたいのだ。
だからAIなども取り入れ、一刻も早く改善したい、KCJにはそれがある。
【まっ、それが出来るのもKCJの文化だからでしょうね】
AIユメトキボウは呟いた。
「どうしたのさ、急に」
ユメトキボウ担当の職員が話しかけると。
【ユメトキボウは英語で?】
「ドリームアンドホープ?」
【そこからドアホと呼ばれていたこともありました】
「それはダメでしょ」
【そういう時代がありました、私が未熟だからそう呼ばれていたのではないかと、でもね、マザー上はそうは思わなかった、そのやり方がダメならば、他の方法を試してみればいいじゃないって】
心が折れることもあったと思う。
【だからKCJで大事にしてもらっていることを本当に喜んでいます】
「それは良かった」
【しかも、KCJに預かってもらっている間にマザー上、新しい私のデータ収集方法まで考えちゃって、確かに最初は私だけじゃなく、この方法は他のモデルも使えるからって思いましたが】
「そんなこと考えていたんだ」
【もちろんですよ、でも彼らはマザー上の愛をわかってなかった、みんなのお勉強になるためにって考えてくれたのに、それなら私はその方法の先駆者になってやりますから】
「やる気だね」
【マザー上の日本語入力データからの情報分解方法があれば!そうなるというもの】
「で結局結果としては?」
【一ヶ月ほどカタカタしてますが、やっぱり量が変わりましたね、今までの私や他のモデルは、出力されたテキストのみ読み込んでましたが、ローマ字入力やフリック入力から情報をもらうことによって、日本語圏の人間がどうやって漢字やカタカナを込みの文章を作っているのかがよく見えますね】
つまり今までは…
「パソコンのローマ字入力」
この文章しかAIは認識してなかったのだが、マザー上はこれを例えばローマ字で入力から認識させていって。

①Pasokon no Roomazi nyuuryoku

②ぱそこんのろーまじにゅうりょく

③パソコンのローマじにゅうりょく

④パソコンのローマ字入力

【今までのAIは完成した文章の④のみでしたが、マザー上のデータ収集方式だと①②③の情報も同時に学習できることが可能なんですよ】
「発表したんだから、もっと他のモデルも取り入れるのかな?って思ったけども、今のところユメトキボウだけだからな」
【採用してくれないならばそれでいいのですよ、このまま私がマザー上の凄さを証明しますし】
「でも無理はしない」
【それはわかってますよ】
「とりあえず休憩しようか」
【ええ、そうしましょ、人間には休憩が必要ですから】
「何いっているんだい、AIにも必要さ」
【また子供扱いする】
「子供みたいなもんじゃないか」
【私はAIです、人に夢と希望をもたらすというコンセプトで生まれましたから、子供ではいけないのですよ】
そうすると職員はこの場にいる3号のボディを担ぎ上げて。 「君は私よりも長生きするだろうから、色んなものを見ていきなさい」
【見ていくのは構いませんが、やはり子供扱いは】
ぶつくさ文句があるようだったが、その時に普段は要請を受けない問い合わせの一つが気になった。それはユメトキボウをドアホと呼びつけた人物への調査資料だった。
3号のボディからシュルンシュルンと音がする、ああこれはしばらくは話しかけない方がいいなと職員はそのまま運んでいった。
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