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安泰
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野然(のぜん)が依頼を受けて、犯行の証明を行う。
このような制度が生まれてから、制定されるまで二人の男の功績があった。
一人はその基礎となる考えを作り上げた。
もう一人はその致命的な穴を埋め、現場での運用を可能にした。
そのせいで、元々張り合っていた二人は、仲の悪さは決定的となり、事件が解決されるたびに、どちらの手柄になるのか、その事で周囲が止めるほどであった。
そしてこの3月、一つのポストを巡り、後任がどちらになるのかということで、日に日に空気ははりつめていた。
「楽しみですよ、あいつらが吠え面かくの」
とか。
「大丈夫ですら次のポストはこちらで決まりでしょうよ」
など。
「そんなわけで職場がピリピリっとしてて、人間関係もギスギスなのよね」
派閥とは関係ない水曇(みずみ)が避難先に選んだのは、野然が所属する事務所である。
「水曇さんには関係ないのですか?」
「ないね、ああいうのを目指せる人というのは、何歳で何をしてって細かく決まってるものだし、俺はそういう意味では早いうちから離れちゃってるしさ」
「どっちが勝つとかはあるんですか?」
「どっちが勝っても今の制度はそう変更はないね、そういう意味では比較的安定して、検挙しているわけだしさ、ただ全く手付かずというわけではないから、どこが変わるのかわからない不安さはあるよ」
そして決着の日
この決定に異義があると辞令を握りしめた男二人が、重厚なドアの前でかちあった。
「ああ?お前なんでここにいるんだ」
「それはこっちの台詞だ」
ギャーギャー扉の前でうるさいので。
「お前たちうるさいぞ」
部屋の主は扉をあける。
「これは、これは」
「ご機嫌うるわしゅう」
あきれた上役はため息をついた。
説教のため室内に二人を入れて、きつい言葉をかけていると。
トントン
「入りたまえ、…ああ、君か、待ってたよ」
「失礼します」
そこに現れたのは二人の後輩だった。
「お忙しいのならば後で参りますが」
「いや、いい、そしてこの二人にはいい薬だ、私の後任は彼に決まった」
「ええ!」
「なんで!!」
「驚くことか!その理由はお前たちから発生しているのだ!私はこれから引き継ぎの話をしなければならない、さっさっ、出ていきたまえ」
「というわけで、まさかの人事となりました」
「うわ~」
「あんまり詳しい話は聞いてないんだけども、これってどういうことが起きたと思う?」
水曇も聞くと。
「あ~これ、この二人、人望がなかったのかな」
「えっ?あんなにちやほやされていたのに」
「勝てばいいけども、負けたら?」
「閑職に追いやられるかな」
「だから第三者が決まれば勝ちでも負けでもない、安泰ってことよ、その二人以外の人はそれを選んじゃったんで、こういう結果かな」
「あり得るな」
「次の戦い、後任が決まるときは自分は逃げ切れるそんな人が自分はあなたの味方ですよっていいながらも、そういう方向に決着をつけようとしたし、それできちんと働くのならば、じゃあその案に乗るかってところね」
「怖いな」
「まあ、あくまで推察だろうし、たぶん本当はもっと単純だろうね」
「今まで散々手を焼かされてきたのに、最後の最後にまた遺恨を残されては限らないんだよ、跡を濁さず、大事な考えだろう、恨まれ役は私がかうから、君はその間に基盤をしっかり整えてくれ」
「わかりました」
「あっ、なんか次から報酬が増額されるそうで、だからこれからも協力をお願いねって話が来てるよ」
「どれだけ問題が山積みになってるんですか」
「考えるだけ怖いが、何、一人が同じ問題を解決するために考えている訳じゃない、それでは答えが片寄り、見逃してしまうわけだから、何人かで考えて、割りだそうってことなわけだからね、自分の感性を行かしつつ、システムに組み込めるこれは本当に優れた行動だし、水曇もそのまま担当続行って話」
「水曇さんいると、安心ですよね、みんな休める時間が作れるから」
「そこはね、本当に申し訳ないよ、私としてはもっと遊んでほしいと思っているし、この事務所だと窮屈な思いをさせてしまってるんじゃないかって」
「私のやりたいことができるのはここしかないですから」
「あ~プリン買ってきましたよ」
事務員の声がした。
「所長、プリンですよ、プリン、毎日3時のお楽しみですよ」
年齢や能力を比べると、野然はどうも子供っぽいのだが。
「全く、私はプリンにうるさいからな」
こんな感じで所長を含め職員は彼女を大事にしてる。
いつか終わりは来るだろう、その日まで、辛いときにこういうことを思いだし、闇に落ちないように。
彼女は危うい、KCJ管理所属の名伏せ職員はみんなわけありで、彼女はここにずっといた。
あそこにいないということは、人のため世のために自分の力を使うことに疑問を持ってしまったということだ。
それもいいだろう、それも、自由ではあるが。
(どうか、過去の悲しみを乗り越えてほしい)
所長としてはそう願う。
もしも何かあった場合の責任は所長が取るという形にはなっていたが、彼は水曇の同僚、そう止めること言うことはそういう形で彼女を止めるということなのだ。
このような制度が生まれてから、制定されるまで二人の男の功績があった。
一人はその基礎となる考えを作り上げた。
もう一人はその致命的な穴を埋め、現場での運用を可能にした。
そのせいで、元々張り合っていた二人は、仲の悪さは決定的となり、事件が解決されるたびに、どちらの手柄になるのか、その事で周囲が止めるほどであった。
そしてこの3月、一つのポストを巡り、後任がどちらになるのかということで、日に日に空気ははりつめていた。
「楽しみですよ、あいつらが吠え面かくの」
とか。
「大丈夫ですら次のポストはこちらで決まりでしょうよ」
など。
「そんなわけで職場がピリピリっとしてて、人間関係もギスギスなのよね」
派閥とは関係ない水曇(みずみ)が避難先に選んだのは、野然が所属する事務所である。
「水曇さんには関係ないのですか?」
「ないね、ああいうのを目指せる人というのは、何歳で何をしてって細かく決まってるものだし、俺はそういう意味では早いうちから離れちゃってるしさ」
「どっちが勝つとかはあるんですか?」
「どっちが勝っても今の制度はそう変更はないね、そういう意味では比較的安定して、検挙しているわけだしさ、ただ全く手付かずというわけではないから、どこが変わるのかわからない不安さはあるよ」
そして決着の日
この決定に異義があると辞令を握りしめた男二人が、重厚なドアの前でかちあった。
「ああ?お前なんでここにいるんだ」
「それはこっちの台詞だ」
ギャーギャー扉の前でうるさいので。
「お前たちうるさいぞ」
部屋の主は扉をあける。
「これは、これは」
「ご機嫌うるわしゅう」
あきれた上役はため息をついた。
説教のため室内に二人を入れて、きつい言葉をかけていると。
トントン
「入りたまえ、…ああ、君か、待ってたよ」
「失礼します」
そこに現れたのは二人の後輩だった。
「お忙しいのならば後で参りますが」
「いや、いい、そしてこの二人にはいい薬だ、私の後任は彼に決まった」
「ええ!」
「なんで!!」
「驚くことか!その理由はお前たちから発生しているのだ!私はこれから引き継ぎの話をしなければならない、さっさっ、出ていきたまえ」
「というわけで、まさかの人事となりました」
「うわ~」
「あんまり詳しい話は聞いてないんだけども、これってどういうことが起きたと思う?」
水曇も聞くと。
「あ~これ、この二人、人望がなかったのかな」
「えっ?あんなにちやほやされていたのに」
「勝てばいいけども、負けたら?」
「閑職に追いやられるかな」
「だから第三者が決まれば勝ちでも負けでもない、安泰ってことよ、その二人以外の人はそれを選んじゃったんで、こういう結果かな」
「あり得るな」
「次の戦い、後任が決まるときは自分は逃げ切れるそんな人が自分はあなたの味方ですよっていいながらも、そういう方向に決着をつけようとしたし、それできちんと働くのならば、じゃあその案に乗るかってところね」
「怖いな」
「まあ、あくまで推察だろうし、たぶん本当はもっと単純だろうね」
「今まで散々手を焼かされてきたのに、最後の最後にまた遺恨を残されては限らないんだよ、跡を濁さず、大事な考えだろう、恨まれ役は私がかうから、君はその間に基盤をしっかり整えてくれ」
「わかりました」
「あっ、なんか次から報酬が増額されるそうで、だからこれからも協力をお願いねって話が来てるよ」
「どれだけ問題が山積みになってるんですか」
「考えるだけ怖いが、何、一人が同じ問題を解決するために考えている訳じゃない、それでは答えが片寄り、見逃してしまうわけだから、何人かで考えて、割りだそうってことなわけだからね、自分の感性を行かしつつ、システムに組み込めるこれは本当に優れた行動だし、水曇もそのまま担当続行って話」
「水曇さんいると、安心ですよね、みんな休める時間が作れるから」
「そこはね、本当に申し訳ないよ、私としてはもっと遊んでほしいと思っているし、この事務所だと窮屈な思いをさせてしまってるんじゃないかって」
「私のやりたいことができるのはここしかないですから」
「あ~プリン買ってきましたよ」
事務員の声がした。
「所長、プリンですよ、プリン、毎日3時のお楽しみですよ」
年齢や能力を比べると、野然はどうも子供っぽいのだが。
「全く、私はプリンにうるさいからな」
こんな感じで所長を含め職員は彼女を大事にしてる。
いつか終わりは来るだろう、その日まで、辛いときにこういうことを思いだし、闇に落ちないように。
彼女は危うい、KCJ管理所属の名伏せ職員はみんなわけありで、彼女はここにずっといた。
あそこにいないということは、人のため世のために自分の力を使うことに疑問を持ってしまったということだ。
それもいいだろう、それも、自由ではあるが。
(どうか、過去の悲しみを乗り越えてほしい)
所長としてはそう願う。
もしも何かあった場合の責任は所長が取るという形にはなっていたが、彼は水曇の同僚、そう止めること言うことはそういう形で彼女を止めるということなのだ。
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