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よくあることよ
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「迎えに来たよ」
少し寒い夜、私にとうとうお迎えが…
「わざわざ来なくても良かったのに」
「死神が先に来たら連れていかれるじゃないか」
「それが人の終わりというものよ」
「それは困るんだよ」
彼は困ったように笑った。
この人は、いや、この人という表現はおかしいか、彼は吸血鬼である。
「久しぶりに会ったのに冷たくない?」
「病気の生活が長いとね、そうなっちゃうのよ」
そういうと彼は膝をついて。
「どうか、お嬢さん、私と結婚してください」
「あなたも変わってるわね」
「というか、死んじゃったら俺にはどうすることもできないし、死ぬのは吸血鬼になってからでも出来るからさ」
「何それ」
「いや、その真剣に考えた結果なんで」
「バカね~」
「俺はそのぐらい真面目に」
「私のこと忘れて、他の子を選べば良かったのよ」
「やっぱり言われると思った」
仕方がないと。
「君が吸血鬼になったら、今、君がかかっている病気の研究をしてほしい」
「あなた…それはズルいわ」
この病気は、全世界で一万人ほど苦しむ。
「そうだね、俺のことは嫌いでも」
「嫌いじゃないわよ」
「じゃあ、なんで一回目に求婚したときは受けてくれなかったの?」
彼はベットに腰かける。
「なんでだろうね、たぶん病気で絶望してたからだと思うよ」
「それは俺が支えるからさ」
「あのね…そこを受け入れる人はいるかもしれないが、そうではない人もいるわけよ」
「吸血鬼になるのは嫌?」
「逆にあなたは人間になれる?」
「ああ、なるほどこういうことか」
吸血鬼によって噛まれてなるタイプもいるが、両親共に吸血鬼もいる、彼は吸血鬼一族の生まれである。
「それもさ、最初にいってくれたら…」
「全部わかっているって顔しているから、指摘したら怒るかなって」
「君は昔と変わらない」
「まさか、色々と変わっているわ」
「もしも俺が来なかったらどうしてた?」
「だんだんと、出来ないことが増えているから、しょうがないわねって毎日思って生きてる」
「何それ、意味わからないね」
「そうね」
「吸血鬼になったら、病気と無縁になるよ」
「病気と無縁になるためになってもね、それはあなたに悪いわよ、あなたの気持ちを傷つけるのもね」
「俺はそんなところが好きだよ」
「病気になったらね、それまでいた家族がいなくなってしまった、しょうがないけども」
「それはしょうがなくなんてないよ」
「そう?」
「そうだよ」
「私にはとても辛くて、悲しくて、嫌だったわ、うん、倒れたとき、病院に一度行けば治るんだろう?と言い放たれたとき」
「それはその、君のご家族には悪いんだけども」
「ちょっとどうかと思うわね」
「ちょっと?それがちょっとなの?君は聖母だったのか」
「まさか、許してない、許せるはずなないし、その…」
「何さ」
「吸血鬼になったら、この心にある闇はどうなるのかな?吹き出そうで怖いよ」
「復讐するとか?」
「それならやっぱり吸血鬼にはならない方がいいよ、大問題になる」
「俺は君を失うのが怖い」
「何百年か、定期的に思い出して泣いてくれそう」
「なりそう」
「それか、誰か相手を見つければ、見つけなかったの?」
「そこまで浮気者に見える?」
「見えはしないけども、忘れるということはとても大事だよ」
ガリッ
「何の音?」
「ケットシーの家族を連れていく担当の死神が引っ掛かれたんだろう」
「死神も大変ね」
この話は何度もしたとは思いますが、もう大往生といってもいい年齢なので、このまま…と説明したところをガリッとされたらしい。
上位存在という名前は度々でるが、わかりやすくいうと、こういう死神とか、人間が変えれない、または変えるのが難しいというものに対して、物申せる存在が上位存在。
「死に対する考え方はそれぞれだよ、ケットシーは最後の最後まで抵抗するがね」
日に日にケットシーによる傷が増えていくのが、ケットシー家族の担当死神。
「吸血鬼はどうなの?」
「我々は長く生きるから、何て言うのかな、死は、死を受け入れるためにはそのぐらい長くかかるから、我々は長生きって感じかな」
「私はそう思えなくてね、眠っているうちに、目覚めなかったらいいなとか、そう考えたことはあったよ」
「それはいけない考えだよ」
手を握るが。
「ああ、ごめん」
「いいのよ」
「手、お化粧しているの?」
「わかった?」
「うん」
「最近の化粧品ってすごいのよ、塗るだけで、手だけでも健康に見えるでしょ」
どう?と見せるのだ。
そしたら彼は泣いた。
ごめん、ごめんと謝っていた。
「なんで謝るのは」
「守れなくてごめんね」
「気にすることはないわ、よくあることよ」
「そんな人生嫌だよ」
「でも私にはよくあることなの」
「ああ、もうダメだ、恨まれてもいい、君を…」
「って感じで吸血鬼になったのよ」
「えっ?それは揉めたんじゃ」
「たまに今でも喧嘩になるわよ、なんで無理やり吸血鬼にしたんだって」
彼女は笑う。
「申し訳ない、レディ二人で、楽しい話をしている最中ではあるけども」
そういって男性が近づいてかる。
「ああ、あなた!じゃあ、話はこれでね」
そういって吸血鬼の夫婦は仲良く夜の街に出掛けていった。
少し寒い夜、私にとうとうお迎えが…
「わざわざ来なくても良かったのに」
「死神が先に来たら連れていかれるじゃないか」
「それが人の終わりというものよ」
「それは困るんだよ」
彼は困ったように笑った。
この人は、いや、この人という表現はおかしいか、彼は吸血鬼である。
「久しぶりに会ったのに冷たくない?」
「病気の生活が長いとね、そうなっちゃうのよ」
そういうと彼は膝をついて。
「どうか、お嬢さん、私と結婚してください」
「あなたも変わってるわね」
「というか、死んじゃったら俺にはどうすることもできないし、死ぬのは吸血鬼になってからでも出来るからさ」
「何それ」
「いや、その真剣に考えた結果なんで」
「バカね~」
「俺はそのぐらい真面目に」
「私のこと忘れて、他の子を選べば良かったのよ」
「やっぱり言われると思った」
仕方がないと。
「君が吸血鬼になったら、今、君がかかっている病気の研究をしてほしい」
「あなた…それはズルいわ」
この病気は、全世界で一万人ほど苦しむ。
「そうだね、俺のことは嫌いでも」
「嫌いじゃないわよ」
「じゃあ、なんで一回目に求婚したときは受けてくれなかったの?」
彼はベットに腰かける。
「なんでだろうね、たぶん病気で絶望してたからだと思うよ」
「それは俺が支えるからさ」
「あのね…そこを受け入れる人はいるかもしれないが、そうではない人もいるわけよ」
「吸血鬼になるのは嫌?」
「逆にあなたは人間になれる?」
「ああ、なるほどこういうことか」
吸血鬼によって噛まれてなるタイプもいるが、両親共に吸血鬼もいる、彼は吸血鬼一族の生まれである。
「それもさ、最初にいってくれたら…」
「全部わかっているって顔しているから、指摘したら怒るかなって」
「君は昔と変わらない」
「まさか、色々と変わっているわ」
「もしも俺が来なかったらどうしてた?」
「だんだんと、出来ないことが増えているから、しょうがないわねって毎日思って生きてる」
「何それ、意味わからないね」
「そうね」
「吸血鬼になったら、病気と無縁になるよ」
「病気と無縁になるためになってもね、それはあなたに悪いわよ、あなたの気持ちを傷つけるのもね」
「俺はそんなところが好きだよ」
「病気になったらね、それまでいた家族がいなくなってしまった、しょうがないけども」
「それはしょうがなくなんてないよ」
「そう?」
「そうだよ」
「私にはとても辛くて、悲しくて、嫌だったわ、うん、倒れたとき、病院に一度行けば治るんだろう?と言い放たれたとき」
「それはその、君のご家族には悪いんだけども」
「ちょっとどうかと思うわね」
「ちょっと?それがちょっとなの?君は聖母だったのか」
「まさか、許してない、許せるはずなないし、その…」
「何さ」
「吸血鬼になったら、この心にある闇はどうなるのかな?吹き出そうで怖いよ」
「復讐するとか?」
「それならやっぱり吸血鬼にはならない方がいいよ、大問題になる」
「俺は君を失うのが怖い」
「何百年か、定期的に思い出して泣いてくれそう」
「なりそう」
「それか、誰か相手を見つければ、見つけなかったの?」
「そこまで浮気者に見える?」
「見えはしないけども、忘れるということはとても大事だよ」
ガリッ
「何の音?」
「ケットシーの家族を連れていく担当の死神が引っ掛かれたんだろう」
「死神も大変ね」
この話は何度もしたとは思いますが、もう大往生といってもいい年齢なので、このまま…と説明したところをガリッとされたらしい。
上位存在という名前は度々でるが、わかりやすくいうと、こういう死神とか、人間が変えれない、または変えるのが難しいというものに対して、物申せる存在が上位存在。
「死に対する考え方はそれぞれだよ、ケットシーは最後の最後まで抵抗するがね」
日に日にケットシーによる傷が増えていくのが、ケットシー家族の担当死神。
「吸血鬼はどうなの?」
「我々は長く生きるから、何て言うのかな、死は、死を受け入れるためにはそのぐらい長くかかるから、我々は長生きって感じかな」
「私はそう思えなくてね、眠っているうちに、目覚めなかったらいいなとか、そう考えたことはあったよ」
「それはいけない考えだよ」
手を握るが。
「ああ、ごめん」
「いいのよ」
「手、お化粧しているの?」
「わかった?」
「うん」
「最近の化粧品ってすごいのよ、塗るだけで、手だけでも健康に見えるでしょ」
どう?と見せるのだ。
そしたら彼は泣いた。
ごめん、ごめんと謝っていた。
「なんで謝るのは」
「守れなくてごめんね」
「気にすることはないわ、よくあることよ」
「そんな人生嫌だよ」
「でも私にはよくあることなの」
「ああ、もうダメだ、恨まれてもいい、君を…」
「って感じで吸血鬼になったのよ」
「えっ?それは揉めたんじゃ」
「たまに今でも喧嘩になるわよ、なんで無理やり吸血鬼にしたんだって」
彼女は笑う。
「申し訳ない、レディ二人で、楽しい話をしている最中ではあるけども」
そういって男性が近づいてかる。
「ああ、あなた!じゃあ、話はこれでね」
そういって吸血鬼の夫婦は仲良く夜の街に出掛けていった。
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