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15分くれってこと?
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ヒレは器用に耳かきを掴み、お客さんの耳を掃除する。
このお客さんは、耳の中がわりと複雑な方で。
「自分で掃除したいんだけどもね」
片手で耳を抑えながら、掃除をしなければできない耳ならば、誰かにやってもらうしかない。そしてその誰かは人でなくても、腕通いなら鮫でもいいやって思ってくれているお客さんである。
正直店主である春隣(河川ザメ)からすると、このぐらいの反応の方がちょうどいいと思われる。
「えっ?サメなの?それじゃあちょっと…」
って言われると、傷つく。
「サッ」
「また機会がありましたら、是非お越しください」
そうKCJの職員がフォローを入れるが、帰られてしまった。
「春ちゃん」
「サッ?」
「大丈夫、大丈夫だからね!」
グッと拳に力を入れてそういってくれた。
この職員さんは熱血だな。
春隣の顔は明るくなった。
「ごめんよ、春ちゃん、嫌な思いさせちゃったね」
「サッ」
でもサメだしね、しょうがないよ。
「しょうがないに慣れないで」
その言葉にドキッとしてしまう。
「しょうがないって、便利だよ、しょうがない○○だものって言えばそこで話は終わらせることはできるけどもさ、それでもそこで諦めたりしないでほしい、言葉だけならば誰でもとはいわないけども、口にできるけどもさ」
職員もショックを受けているようだ。
「サッ」
「大丈夫だって、大丈夫だって、僕は大丈夫だから、変だね
春ちゃんを守るつもりが、僕は弱いね、ごめんね、ごめんね、守らなきゃならないのにね、ごめんね、ごめん、僕は…」
「サッ」
大丈夫さ、サメはそんなに弱くないよ、そういうこともたまには多い、たまじゃないか、やっぱり普通より多いかもしれない、でもそれでもお店やるって決めたから、ほら、プロだから、プロはいつもニコニコして、お客さんに元気を与えなくちゃいけないって、父さんはいってたんだ。
「お父さん、すごい人だね」
「サッ」
でしょ?寒い日に震えてたら、毛布を持ってきて被せてくれてね、そこから息子になったんだよ、あぁ、懐かしいな、昨日のことみたいだよ。
「春ちゃんのさ、大事なものがあるからの強さはとってもいいと思うよ」
「サッ」
守れたのはKCJのおかげだよ、そうじゃなかったら、お店のものは写真ぐらいしか持ってこれなかったと思うよ。
理容ルームの調度品は元のお店のものを使っています。
「それは新しいお店もいいだろうけども、せっかくあれはいいものだと、その時の支部長が決めたからな」
これはとてもいいものですね、えっ?これ本当に取り壊すの、それならちょっとこれほしいかもしれないな。
骨董好きが目を光らせましたが。
「確かにお金はかかります、が、これはそういうもんじゃないでしょ、一度手離したらもう二度と手に入らないかもしれない、そういうものはね、手を離してはいけません」
「サッ」
「自分は手ではありませんヒレです、こういうのは人の世界の言葉で」
「サッ」
わかってます。
「ただその分お金はかかるでしょうがね、これに合わせたリフォームするようなものですから、けれども計算すると、現在の、現行品と比べてもこれは長持ちするでしょうから、そこを計算すると確かにお金はかかるけども」
「サッ」
それは背負えるならば背負います。
「もう全くこのプリティサメ店主は話を遮らないの」
管理の何人かに、このためにどのぐらい現金用意できるかと質問したところ。
「予算がまさか多すぎるとは思いもしなかった」
いわゆるお金を扱う名伏せの職員からは、春隣が今のような調子できっちり働くのであれば、一括でもいけるとも言われた。
「サッ」
なんでそんなに評価が高いの?
「やっぱり1日のお客さんの人数見込みですかね」
この時まだ理容ルームがなかったので、KCJ内に出張して、お仕事をしてました。
「働きぶりが認めらたんですよ」
名伏せ職員たちからも、好評というか、好感触であったのが大きい。
「髪を適当に切ってくれる?いつもは自分でハサミで切ってるんだけどもさ」
「サッ」
「あっ、ごめん、私はサメの言葉わからないんだ、でもこっちの言葉はわかるでしょ?」
少し悩んだあと春隣は、時計を見せ、その時計は現在の時間ともう1つ止まっている時計がついていたが。
「15分くれってこと?」
いわゆる何分かかりますのを伝えるためのものである。
「いいよ、いいよ、それぐらい気分転換にもなるしさ、バッサリやってよ、怒らないから」
そういう相手に、春隣はこの名伏せ職員の髪のポテンシャルを出した上で、ヘアースタイルを決めた。
「あれ?終わった?」
全くこの職員はこういったものに興味なかったが。
「あっ、髪を切るの上手いね」
と職員は鏡を見ながらいった。
今のヘアースタイルはこういいますと、サンプルの写真をヘア雑誌から見せてくれた。
「こういうの初めてだ、悪くないもんだね」
こういう無頓着なところがある名伏せの職員に、春隣は己の腕で納得させたので、そこが高評価に繋がった。
「でもちょっとこれは、甘くないですかね」
「その甘さに甘える店主ではないでしょうに」
「確かに、ローンがないから、戦闘許可証の試験や、受験生も面倒見てますしね」
戦闘許可証は顔写真付きの写真が取られるので、お金持っている人間はそのためにわざわざ別撮りしてくるが、そうではない人も一定数はいる。
「すいません、写真撮影する前にここで髪を切ってこいって師匠からも言われたんですが」
「サッ」
任せておけ!こんな感じでKCJから委託されていることもあり、懐に余裕がない受験生などに理容サービスを行っていた。
「これは本当にありがたかった、ここで証明書取ると、それをもってあちこちの手続き回るから、写真が変だと辛いんだよな」
ピシッと決まるように、首のマッサージで血行をよくしてくれる。
「えっ?あれは店主の独断と偏見なんですか?大丈夫なんですか?あの店、まあ、KCJついているから潰れはしないとは思いますけども」
「春ちゃん働きすぎるぐらい働いてくれるんだよな、サメだから体力はもちろんあるし、けどもさ、それが逆に働いて、人間の技術習得、いわゆる練習が何倍もかかったりはするんだよ」
「それは大丈夫なんですか?」
「本来はそれを覚える前にやめちゃうんだけどもね、春ちゃん、体力がうまい具合に何回でも練習するに使われているんだよね、だから練習時間としては人間の何倍もしているんだけども、それをサメの体力で乗りきっているんだよ、好奇心が強い河川ザメにしては珍しいんだよね」
だいたいサメは反射的に好奇心であっちこっち反応して、そこで物事が途中になっても気にしないところがあるが。
「KCJにいるサメはみんなそんなサメが多いのかな、人間に近いところで育ってるサメは、人間の文化に理解はあるんだけども、習得できるかはサメによるってことだよ」
忘れられない人間とのエピソードがあるサメは、思い出を思い出すために繰り返してしまう習性はあるそうです。
その繰り返しているときに、まるでマッチ売りのマッチのように、思い出が蘇ってくるんだよ。
それがサメが普通に生きていると感じることがないもので、だからはまってしまうらしい。
「人間と違って、擦りきれるはないにしろ、それでも心配はしている」
新しい思い出、その行為をしているサメにはそういったものが必要なのかもしれない。
このお客さんは、耳の中がわりと複雑な方で。
「自分で掃除したいんだけどもね」
片手で耳を抑えながら、掃除をしなければできない耳ならば、誰かにやってもらうしかない。そしてその誰かは人でなくても、腕通いなら鮫でもいいやって思ってくれているお客さんである。
正直店主である春隣(河川ザメ)からすると、このぐらいの反応の方がちょうどいいと思われる。
「えっ?サメなの?それじゃあちょっと…」
って言われると、傷つく。
「サッ」
「また機会がありましたら、是非お越しください」
そうKCJの職員がフォローを入れるが、帰られてしまった。
「春ちゃん」
「サッ?」
「大丈夫、大丈夫だからね!」
グッと拳に力を入れてそういってくれた。
この職員さんは熱血だな。
春隣の顔は明るくなった。
「ごめんよ、春ちゃん、嫌な思いさせちゃったね」
「サッ」
でもサメだしね、しょうがないよ。
「しょうがないに慣れないで」
その言葉にドキッとしてしまう。
「しょうがないって、便利だよ、しょうがない○○だものって言えばそこで話は終わらせることはできるけどもさ、それでもそこで諦めたりしないでほしい、言葉だけならば誰でもとはいわないけども、口にできるけどもさ」
職員もショックを受けているようだ。
「サッ」
「大丈夫だって、大丈夫だって、僕は大丈夫だから、変だね
春ちゃんを守るつもりが、僕は弱いね、ごめんね、ごめんね、守らなきゃならないのにね、ごめんね、ごめん、僕は…」
「サッ」
大丈夫さ、サメはそんなに弱くないよ、そういうこともたまには多い、たまじゃないか、やっぱり普通より多いかもしれない、でもそれでもお店やるって決めたから、ほら、プロだから、プロはいつもニコニコして、お客さんに元気を与えなくちゃいけないって、父さんはいってたんだ。
「お父さん、すごい人だね」
「サッ」
でしょ?寒い日に震えてたら、毛布を持ってきて被せてくれてね、そこから息子になったんだよ、あぁ、懐かしいな、昨日のことみたいだよ。
「春ちゃんのさ、大事なものがあるからの強さはとってもいいと思うよ」
「サッ」
守れたのはKCJのおかげだよ、そうじゃなかったら、お店のものは写真ぐらいしか持ってこれなかったと思うよ。
理容ルームの調度品は元のお店のものを使っています。
「それは新しいお店もいいだろうけども、せっかくあれはいいものだと、その時の支部長が決めたからな」
これはとてもいいものですね、えっ?これ本当に取り壊すの、それならちょっとこれほしいかもしれないな。
骨董好きが目を光らせましたが。
「確かにお金はかかります、が、これはそういうもんじゃないでしょ、一度手離したらもう二度と手に入らないかもしれない、そういうものはね、手を離してはいけません」
「サッ」
「自分は手ではありませんヒレです、こういうのは人の世界の言葉で」
「サッ」
わかってます。
「ただその分お金はかかるでしょうがね、これに合わせたリフォームするようなものですから、けれども計算すると、現在の、現行品と比べてもこれは長持ちするでしょうから、そこを計算すると確かにお金はかかるけども」
「サッ」
それは背負えるならば背負います。
「もう全くこのプリティサメ店主は話を遮らないの」
管理の何人かに、このためにどのぐらい現金用意できるかと質問したところ。
「予算がまさか多すぎるとは思いもしなかった」
いわゆるお金を扱う名伏せの職員からは、春隣が今のような調子できっちり働くのであれば、一括でもいけるとも言われた。
「サッ」
なんでそんなに評価が高いの?
「やっぱり1日のお客さんの人数見込みですかね」
この時まだ理容ルームがなかったので、KCJ内に出張して、お仕事をしてました。
「働きぶりが認めらたんですよ」
名伏せ職員たちからも、好評というか、好感触であったのが大きい。
「髪を適当に切ってくれる?いつもは自分でハサミで切ってるんだけどもさ」
「サッ」
「あっ、ごめん、私はサメの言葉わからないんだ、でもこっちの言葉はわかるでしょ?」
少し悩んだあと春隣は、時計を見せ、その時計は現在の時間ともう1つ止まっている時計がついていたが。
「15分くれってこと?」
いわゆる何分かかりますのを伝えるためのものである。
「いいよ、いいよ、それぐらい気分転換にもなるしさ、バッサリやってよ、怒らないから」
そういう相手に、春隣はこの名伏せ職員の髪のポテンシャルを出した上で、ヘアースタイルを決めた。
「あれ?終わった?」
全くこの職員はこういったものに興味なかったが。
「あっ、髪を切るの上手いね」
と職員は鏡を見ながらいった。
今のヘアースタイルはこういいますと、サンプルの写真をヘア雑誌から見せてくれた。
「こういうの初めてだ、悪くないもんだね」
こういう無頓着なところがある名伏せの職員に、春隣は己の腕で納得させたので、そこが高評価に繋がった。
「でもちょっとこれは、甘くないですかね」
「その甘さに甘える店主ではないでしょうに」
「確かに、ローンがないから、戦闘許可証の試験や、受験生も面倒見てますしね」
戦闘許可証は顔写真付きの写真が取られるので、お金持っている人間はそのためにわざわざ別撮りしてくるが、そうではない人も一定数はいる。
「すいません、写真撮影する前にここで髪を切ってこいって師匠からも言われたんですが」
「サッ」
任せておけ!こんな感じでKCJから委託されていることもあり、懐に余裕がない受験生などに理容サービスを行っていた。
「これは本当にありがたかった、ここで証明書取ると、それをもってあちこちの手続き回るから、写真が変だと辛いんだよな」
ピシッと決まるように、首のマッサージで血行をよくしてくれる。
「えっ?あれは店主の独断と偏見なんですか?大丈夫なんですか?あの店、まあ、KCJついているから潰れはしないとは思いますけども」
「春ちゃん働きすぎるぐらい働いてくれるんだよな、サメだから体力はもちろんあるし、けどもさ、それが逆に働いて、人間の技術習得、いわゆる練習が何倍もかかったりはするんだよ」
「それは大丈夫なんですか?」
「本来はそれを覚える前にやめちゃうんだけどもね、春ちゃん、体力がうまい具合に何回でも練習するに使われているんだよね、だから練習時間としては人間の何倍もしているんだけども、それをサメの体力で乗りきっているんだよ、好奇心が強い河川ザメにしては珍しいんだよね」
だいたいサメは反射的に好奇心であっちこっち反応して、そこで物事が途中になっても気にしないところがあるが。
「KCJにいるサメはみんなそんなサメが多いのかな、人間に近いところで育ってるサメは、人間の文化に理解はあるんだけども、習得できるかはサメによるってことだよ」
忘れられない人間とのエピソードがあるサメは、思い出を思い出すために繰り返してしまう習性はあるそうです。
その繰り返しているときに、まるでマッチ売りのマッチのように、思い出が蘇ってくるんだよ。
それがサメが普通に生きていると感じることがないもので、だからはまってしまうらしい。
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