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その一言で話が済むから
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お前は何なんだ?
ヒラヒラがついたストラップです。
お前はなんなんだ?
おやつの干し柿持ちがかりです。
それでお前は?
朝起きたら、もうこんな時間、慌てて着替えて、その時に取り忘れた洗濯ばさみです。
こうして三匹のサメは、招来の術をごまかした。
「誤魔化せることに驚きなんだけども」
「サッ」
元々招来を拒否すると、強引につれていくような抵抗を見せる術なんで、これで上手く行くならばそれでいいんじゃないかな。
「サッ」
そうそう、それに今回は事前の準備もできたわけだしね。
「サッ」
しかし、これが死者の都か、廃墟って感じ。
「私は二回目か、三回目かな、夢かと思ったけども、そうじゃなかったわけだし」
彼女は呪われている。
「サッ」
風が吹けば死者達は目を覚ますし、準備は?
「サッ」
ばっちし。
ヒラヒラのストラップです、そう答えたサメは五色の吹き流しを組み立てた。
「サッ」
じゃ、背負うよ。
人間である彼女は背負われた、だいたいここから一駅ぐらいサメ達と彼女は走ることになる。
風は吹いた。
「サッ」
行くぞ!
吹き流しを持ったサメ、彼女を背負ったサメ、後ろを気にするサメの順で走る。何もなさそうに走るが、吹き流しがなければ、都を管理する龍の客人と証明されず、地面は泥の沼とかし、引きずりこまれる危険もある。
その客人であっても、生きているものは死者の嫉妬をかうもの、それが暴力となり、追いかけてくるものも一人、二人、いや、これはどんどん増えるなという辺りに。
後ろのサメが、柿を投げると、これは自分のものだと嫉妬になる。
「これって神話で見たやつだ」
「サッ」
神話と違って後ろ振り向けますがね。
これは彼女を守るためともう一つは死者の罪も軽くするためであった。
生者に死者は触れてはいけない、触れたものは都にはいられず、さらに地の底にいくことになる。柿も確かに罰を与えられるが触れる罪よりはずっと軽いのである。
遠くに街が見える、あそこまでは足を、いやヒレを止めることは出来ない、サメたちの体力からすると余裕なのだが、乗せられている人間はというと。
「酔うね」
「サッ」
今日は我慢して。
たぶんここまでくれば大丈夫だろう辺りで減速し、スマホを確認、よし、通信状態良好とKCJにお電話する。
「サッ」
その一言で話が済むからサメの言葉は便利だ。
「今回はありがとうね」
「サッ」
呪いによる招来、強制転移による命の危険性というのを常に抱えている彼女、本人からするともう慣れたものだが、当たり前のように穏やかな生活など遅れるはずもなく、七歳ぐらいの頃に逃げていた時に、サンタに出会い、サンタ経由でこちら側の世界を知ることになる。
こんな呪いを抱えていたら、ろくな人間関係はできるはずがないと思っていたが、そこそこの人間関係と、このサメたちのような、なんかよくわからない強い力を感じますとワクワクしちゃっている奴らと関係を築いてしまった。
なお、彼女の呪いは何故そうなったのかは現在もわかってないことが多すぎた。
「調べようとすると、解こうとしてもだけども、強制転移させられるんだよね」
一度転移させると、次の転移までのエネルギーのチャージが終わるまではどうも起きないようなので。
「さくっと転移して、生き延びて、その間に訓練受けたりはした」
転移にいやがると、さらに抵抗が起こり、人や物も傷つくことがあったりもするが、何故か訓練とかだとそれがおきない。
「それこそキツイとあなたが感じることで、呪いがおとなしくなるんですよね」
逆に二度寝とか、そういうのになると呪いの感覚は短くなる。
「呪いのあるあるですよ、かけられた人間が幸せだとその呪いは強くでてくるし、不幸せだと何も起きない、因子を保有したままの状態になるし」
「でも今回は運がいいと思うというか、なんというか」
都を管理する龍の、その使いが、あなたが招かれ、都を騒がすと予知したらしく、それで客人用の吹き流しを持ってきてくれた。
「さすがに管理する側が中に入って、あなたを助けるとですね、それを見た死者はそれができるのならばと、暴れますからね」
後は自力でなんとかしてくれというわけで、知り合いのサメたちがやってきたのだ。
「でもこの呪いがもう少しで終わるかもしれないっていうのも信じられない話よね、けども」
彼女の体、首もとから胸の手前までには魔法で描かれた印、法印があった。
「これを見ると、信じるしかないけどもさ」
どうもどこかの魔法使いが覚醒してしまったらしい、その魔法というのが敵か味方か分けるもので、彼女についているのは味方にあたる意味の法印らしく。
そこでサメたちが、なんか痒そうにしていると。
「えっ?あなたたちにも法印がでてるんだけども」
同じく味方をあらわすもの。
「本当にこの魔法の主は誰なんだろう、私は助かるけどもさ」
心当たりはない。
この敵にあたる法印が彼女の呪いをたどっている状態でもあるらしいので、法印が届けば彼女にかかっている呪いは理論的には消えるとされてはいるが。
「とりあえず、そうなったら、しばらく堕落した生活おくりたいわね」
二度寝、いいっすよ、最高っすよ。
「すいません、お待たせしました、KCJです」
いつものように転移が終わった後は健康診断など検査が始まる。
血圧を測ったら腕が痛いななんて思っていると。
「おや、お久しぶりですね」
「ああ、こんにちは」
「私も検査なのですが」
「私もそうですね、さっき転移から戻ってきたばかりなので」
「それは相変わらずというか、なんというか」
「もう慣れですよ、慣れ」
「そうかもしれませんが、心配しますよ」
「そうですね、戻ってこれない…は、いつもやっぱりどっかにはありますから」
「24番の方」
「あっ、すいません、呼ばれましたから」
彼女がそのまま入室した後に、彼は呟く。
「どうせ、俺の命も儚く消えてしまうというのならば、彼女のような人を助けて、それでお仕舞いにしてしまいたいな」
「あっ、法印の文字が増えてますね」
「増える要素あったんでしょうかね?」
「心当たりは?」
「ないですね」
そういって彼女は鏡で自分の法印を確認した、照り返しがあって見辛いが、確かに二文字ほど増えているようだった。
ヒラヒラがついたストラップです。
お前はなんなんだ?
おやつの干し柿持ちがかりです。
それでお前は?
朝起きたら、もうこんな時間、慌てて着替えて、その時に取り忘れた洗濯ばさみです。
こうして三匹のサメは、招来の術をごまかした。
「誤魔化せることに驚きなんだけども」
「サッ」
元々招来を拒否すると、強引につれていくような抵抗を見せる術なんで、これで上手く行くならばそれでいいんじゃないかな。
「サッ」
そうそう、それに今回は事前の準備もできたわけだしね。
「サッ」
しかし、これが死者の都か、廃墟って感じ。
「私は二回目か、三回目かな、夢かと思ったけども、そうじゃなかったわけだし」
彼女は呪われている。
「サッ」
風が吹けば死者達は目を覚ますし、準備は?
「サッ」
ばっちし。
ヒラヒラのストラップです、そう答えたサメは五色の吹き流しを組み立てた。
「サッ」
じゃ、背負うよ。
人間である彼女は背負われた、だいたいここから一駅ぐらいサメ達と彼女は走ることになる。
風は吹いた。
「サッ」
行くぞ!
吹き流しを持ったサメ、彼女を背負ったサメ、後ろを気にするサメの順で走る。何もなさそうに走るが、吹き流しがなければ、都を管理する龍の客人と証明されず、地面は泥の沼とかし、引きずりこまれる危険もある。
その客人であっても、生きているものは死者の嫉妬をかうもの、それが暴力となり、追いかけてくるものも一人、二人、いや、これはどんどん増えるなという辺りに。
後ろのサメが、柿を投げると、これは自分のものだと嫉妬になる。
「これって神話で見たやつだ」
「サッ」
神話と違って後ろ振り向けますがね。
これは彼女を守るためともう一つは死者の罪も軽くするためであった。
生者に死者は触れてはいけない、触れたものは都にはいられず、さらに地の底にいくことになる。柿も確かに罰を与えられるが触れる罪よりはずっと軽いのである。
遠くに街が見える、あそこまでは足を、いやヒレを止めることは出来ない、サメたちの体力からすると余裕なのだが、乗せられている人間はというと。
「酔うね」
「サッ」
今日は我慢して。
たぶんここまでくれば大丈夫だろう辺りで減速し、スマホを確認、よし、通信状態良好とKCJにお電話する。
「サッ」
その一言で話が済むからサメの言葉は便利だ。
「今回はありがとうね」
「サッ」
呪いによる招来、強制転移による命の危険性というのを常に抱えている彼女、本人からするともう慣れたものだが、当たり前のように穏やかな生活など遅れるはずもなく、七歳ぐらいの頃に逃げていた時に、サンタに出会い、サンタ経由でこちら側の世界を知ることになる。
こんな呪いを抱えていたら、ろくな人間関係はできるはずがないと思っていたが、そこそこの人間関係と、このサメたちのような、なんかよくわからない強い力を感じますとワクワクしちゃっている奴らと関係を築いてしまった。
なお、彼女の呪いは何故そうなったのかは現在もわかってないことが多すぎた。
「調べようとすると、解こうとしてもだけども、強制転移させられるんだよね」
一度転移させると、次の転移までのエネルギーのチャージが終わるまではどうも起きないようなので。
「さくっと転移して、生き延びて、その間に訓練受けたりはした」
転移にいやがると、さらに抵抗が起こり、人や物も傷つくことがあったりもするが、何故か訓練とかだとそれがおきない。
「それこそキツイとあなたが感じることで、呪いがおとなしくなるんですよね」
逆に二度寝とか、そういうのになると呪いの感覚は短くなる。
「呪いのあるあるですよ、かけられた人間が幸せだとその呪いは強くでてくるし、不幸せだと何も起きない、因子を保有したままの状態になるし」
「でも今回は運がいいと思うというか、なんというか」
都を管理する龍の、その使いが、あなたが招かれ、都を騒がすと予知したらしく、それで客人用の吹き流しを持ってきてくれた。
「さすがに管理する側が中に入って、あなたを助けるとですね、それを見た死者はそれができるのならばと、暴れますからね」
後は自力でなんとかしてくれというわけで、知り合いのサメたちがやってきたのだ。
「でもこの呪いがもう少しで終わるかもしれないっていうのも信じられない話よね、けども」
彼女の体、首もとから胸の手前までには魔法で描かれた印、法印があった。
「これを見ると、信じるしかないけどもさ」
どうもどこかの魔法使いが覚醒してしまったらしい、その魔法というのが敵か味方か分けるもので、彼女についているのは味方にあたる意味の法印らしく。
そこでサメたちが、なんか痒そうにしていると。
「えっ?あなたたちにも法印がでてるんだけども」
同じく味方をあらわすもの。
「本当にこの魔法の主は誰なんだろう、私は助かるけどもさ」
心当たりはない。
この敵にあたる法印が彼女の呪いをたどっている状態でもあるらしいので、法印が届けば彼女にかかっている呪いは理論的には消えるとされてはいるが。
「とりあえず、そうなったら、しばらく堕落した生活おくりたいわね」
二度寝、いいっすよ、最高っすよ。
「すいません、お待たせしました、KCJです」
いつものように転移が終わった後は健康診断など検査が始まる。
血圧を測ったら腕が痛いななんて思っていると。
「おや、お久しぶりですね」
「ああ、こんにちは」
「私も検査なのですが」
「私もそうですね、さっき転移から戻ってきたばかりなので」
「それは相変わらずというか、なんというか」
「もう慣れですよ、慣れ」
「そうかもしれませんが、心配しますよ」
「そうですね、戻ってこれない…は、いつもやっぱりどっかにはありますから」
「24番の方」
「あっ、すいません、呼ばれましたから」
彼女がそのまま入室した後に、彼は呟く。
「どうせ、俺の命も儚く消えてしまうというのならば、彼女のような人を助けて、それでお仕舞いにしてしまいたいな」
「あっ、法印の文字が増えてますね」
「増える要素あったんでしょうかね?」
「心当たりは?」
「ないですね」
そういって彼女は鏡で自分の法印を確認した、照り返しがあって見辛いが、確かに二文字ほど増えているようだった。
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