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だから君は何かの犠牲になってもらう場合じゃない
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パリっ
始まりはそんな音だったと思う。
「久しぶりに話をしたいんだけども…大丈夫それ?」
仕事の話をするために呼ばれたところ、私の後ろに何かあると言われた。
「何か?」
「そう、何か?」
「音はしましたね、あそこから音なんてするはずはないのに」
「気になるね、調べてもいい?」
「構いませんが」
「そういうのもね、実は先日ね、他の人のものなんだけどもね、これとか知ってる?」
ここから三重(みえ)の方までいきなり風が吹いたと言うやつだ。
「何故ですか?」
「これは強引なんだけれどもね、うっすらと一枚かかっているものが剥がれた、その下の首に巻かれているものが見えたので叩き割った、これで二重なので、三重(さんじゅう)目にかかったのものは、その言葉から向こうに持っていったというわけさ」
「ダジャレですね」
「そうなんだけどもね、これが意外とバカにできなくてね、君にかかっているのは…ああ、うん、ちょっとやっかい」
「あなたが厄介というぐらいなら、相当ですよね」
「うん、そうだね」
「踊り手が来ない!」
「来ると約束したではないか」
「ええい、これだから人間は!」
「お待ちください」
「サッ!」
「おっ、サメもいるではないか、こっちに来い美味しいものもあるぞ」
「サッ」
「やはりサメは可愛い」
「それでは皆様お待たせいたしました、付き添いの私が、剣舞の口上を述べさせてもらいます」
「おお、舞の者は今年は上手いな、都から呼んだのか?いつもの踊りとは段違いだ」
「これが良い、実にいいな」
宴は笑いが生まれながら盛り上がっていった。
「という夢をみたのですが?」
「夢じゃないね」
「やっぱり…」
「君ではない身内が、勝手に約束したし、先払いでもらっちゃったままだし、どうも君が行くと答えたみたいなんで、君のところにお呼びだしではないかま、来ちゃったってやつだね」
「うわ…」
「大丈夫、君のところにはそれは来ないよ、やはり私が見込んだ通り、元レッドノーズのサメもつけたからには完璧、あっ、知ってる?レッドノーズって?」
「あのトナカイの代わりにサメをつれたサンタの」
「そう、そのサメたち、川を越えて、選ばれしサメたちなんだよね」
「それでですね、その、代わりに剣舞を披露してくれた人たちは、戻ってこれたのですか?」
「もちろん、彼らはプロだよ、剣舞した方が勾飛(まがとび)くん、口上をのべた方が松灰(まつばい)くんっていうんだ、それでこれが今回の請求書」
「これって、危険手当てとか入ってます?安くないですか?私の命かかってましたよね」
「かかってたよ、君には昔から迷惑かけたから、それとこれからかけるぶんを引いたらそんな額」
「これから、かける分?」
「そっ、これからかける分、だから君は何かの犠牲になってもらう場合じゃないんだよね」
「相変わらずな人ですね」
「よく言われるけども、君にまでそんな顔されるとちょっと凹むね、なんでだろう、やっぱり問題児とされていた人間を上手いことやって、感謝されるような人だからかな、そんな人間に呆れられちゃうと、やっぱりくるんだね」
「倒れられてから、強引になりましたね」
「それはね、時間のなさは感じるよ」
「まぁでも、医学はすごいと思いますよ、先日もAIと話したのですが、私の一日で、彼らは一分で処理をしてしまうって感じで」
「それは頼もしいね、そういうのはどんどん進んでほしい」
「でもなかなか論理的な面で難しいとされているのが現実ですが」
「病や怪我で苦しんでいる人間ならば、その新しさでなんとかなる、そう思っているのならば、手に取るもんじゃない?」
「でしょうね」
「それとも君は?諦めてほしいの?」
「まさか、ただこのままだとどこかで衝突しますよっていう話しです、考えてみてくださいよ、私を犠牲にしようとしたのは古い考えに囚われた人間で、私を助けようとしたのはあなたのような新しいというか、従来よりも違うものの見方をする人間だ」
「そこは変わったといっても怒らないよ」
「嫌ですよ、揚げ足とるじゃありませんか」
「そうだね、ずっというかもね」
バサッ
帰ってきた二人にお茶をと、羊の着ぐるみを身に纏うサメが、豪快に茶葉を入れたところで。
松灰は俺がやるからといってサメを座らせた。
「勾飛さん、サメくんっていつもこうなんですか?」
「やりたがるから任せてる」
これは任せると全部ダイナミックなものが出てくると松灰察したので、所内でのお茶や食事などは松灰が担うことになった。
「もう少しで出来るから」
本来は二人に何かするつもりで、自分は食べるつもりもなかったサメも一緒にそこから待つようになった。
「まあ、これはうちの味ですがね」
松灰家のカレー。
「辛さの調節はこっちでお願いします」
そういってスパイスを別にだしたが、人間二人はそのまま、サメ一匹はまたもや豪快にスパイスをかけて食べている。
「そういえばこのサメちゃん、普通のサメより筋肉ありますよね」
「元レッドノーズなんだ」
「レッドノーズですか、それは強いはずだ、そういえば先日の『宴』はまだ続いていて、サメも七匹目らしいですが」
「サッ」
「ただ飯が食える簡単なお仕事ですって募集をかけたら、とんでもない募集が来て、20匹待ちぐらい」
松灰はサメの言葉はわからないので、勾飛に通訳してもらう。
「異界の食事を食べてもなんともないのがすごいな」
食べるとそちらの住人になるとされています。
「強制だとその限りではないんだけどもね、食べるものがなかったりするとか、サメはそういうのがないから上位存在とされている理由だし、今回ケースは、もう一ヶ所上位存在からも何とかしなさいってきたから」
もう一ヶ所とはケットシーである。
ケットシーはテリトリーに住む人間に何かあるのをひどく嫌う。
「そっちは今、死神と揉めているとかはよく聞きますね」
死神の使いが、ケットシーの縄張りに行くとお前まず何をしに来たとフーフー敵意を丸出しにされます。
「ええっとですね、もうすぐ寿命の関係で」
といっても、引っかかれて話にならない。
「ですから、人間には限られた…」
バリ!
引っ掛かれて喧嘩にならないが、死神の使いならば、職務の全うのために足を運ばなければならないが、そのうち姿を見ただけで引っ掻いてくる。
「今回の依頼人はケットシーからすると、ああいう形でつれていくと確実に揉めるっていうことで、そこでも割引が適応になるんだ」
「本人が納得してそっちに行くならばまだしも、やっぱりなんでも突然は嫌ですもんね」
「人ならね、そう考えるもんだよ」
「カレーはどうですか?」
「あっ、美味しいよ、これなら毎日でも」
「いや、それはダメですよ」
どうと勾飛は食事にあまりこだわらないタイプの人間である。
「飽きないようにメニューを考えるのって大変だね」
「それはそうだけども、あなたのために考えるのは私は好きよ」
スーパーで松灰とその妻は買い物中であるが。
「えっ、俺はそんなこと考えられていたの、うれしいな」
「だって美味しい時、子供みたいな顔するのよ」
「子供みたいな?やだな、俺は旦那さんなんだからさ、子供扱いは嫌だな」
こんなやり取りをしたあとに。
「じゃあ、俺が職場で作るぶんは、カロリーとか、野菜とか考えた方がいいね」
「そうね、あんまりこだわらない人なら特にね」
そういうと店頭に置いてあるおすすめメニューの紙を一枚取って、それを松灰に見せる。
「例えばね…」
そのまま旬の野菜とか、時間がないときに簡単に作るならというならの話をしてくれた。
「病気の時なら、これより塩を減らして、もうちょっと煮るとか、お鍋がないなら、電子レンジかな」
(いかん、病気ではないが看病されたくなってしまう)
はい、あ~んをされたくなってしまう前にここで終わらせないといけない!
始まりはそんな音だったと思う。
「久しぶりに話をしたいんだけども…大丈夫それ?」
仕事の話をするために呼ばれたところ、私の後ろに何かあると言われた。
「何か?」
「そう、何か?」
「音はしましたね、あそこから音なんてするはずはないのに」
「気になるね、調べてもいい?」
「構いませんが」
「そういうのもね、実は先日ね、他の人のものなんだけどもね、これとか知ってる?」
ここから三重(みえ)の方までいきなり風が吹いたと言うやつだ。
「何故ですか?」
「これは強引なんだけれどもね、うっすらと一枚かかっているものが剥がれた、その下の首に巻かれているものが見えたので叩き割った、これで二重なので、三重(さんじゅう)目にかかったのものは、その言葉から向こうに持っていったというわけさ」
「ダジャレですね」
「そうなんだけどもね、これが意外とバカにできなくてね、君にかかっているのは…ああ、うん、ちょっとやっかい」
「あなたが厄介というぐらいなら、相当ですよね」
「うん、そうだね」
「踊り手が来ない!」
「来ると約束したではないか」
「ええい、これだから人間は!」
「お待ちください」
「サッ!」
「おっ、サメもいるではないか、こっちに来い美味しいものもあるぞ」
「サッ」
「やはりサメは可愛い」
「それでは皆様お待たせいたしました、付き添いの私が、剣舞の口上を述べさせてもらいます」
「おお、舞の者は今年は上手いな、都から呼んだのか?いつもの踊りとは段違いだ」
「これが良い、実にいいな」
宴は笑いが生まれながら盛り上がっていった。
「という夢をみたのですが?」
「夢じゃないね」
「やっぱり…」
「君ではない身内が、勝手に約束したし、先払いでもらっちゃったままだし、どうも君が行くと答えたみたいなんで、君のところにお呼びだしではないかま、来ちゃったってやつだね」
「うわ…」
「大丈夫、君のところにはそれは来ないよ、やはり私が見込んだ通り、元レッドノーズのサメもつけたからには完璧、あっ、知ってる?レッドノーズって?」
「あのトナカイの代わりにサメをつれたサンタの」
「そう、そのサメたち、川を越えて、選ばれしサメたちなんだよね」
「それでですね、その、代わりに剣舞を披露してくれた人たちは、戻ってこれたのですか?」
「もちろん、彼らはプロだよ、剣舞した方が勾飛(まがとび)くん、口上をのべた方が松灰(まつばい)くんっていうんだ、それでこれが今回の請求書」
「これって、危険手当てとか入ってます?安くないですか?私の命かかってましたよね」
「かかってたよ、君には昔から迷惑かけたから、それとこれからかけるぶんを引いたらそんな額」
「これから、かける分?」
「そっ、これからかける分、だから君は何かの犠牲になってもらう場合じゃないんだよね」
「相変わらずな人ですね」
「よく言われるけども、君にまでそんな顔されるとちょっと凹むね、なんでだろう、やっぱり問題児とされていた人間を上手いことやって、感謝されるような人だからかな、そんな人間に呆れられちゃうと、やっぱりくるんだね」
「倒れられてから、強引になりましたね」
「それはね、時間のなさは感じるよ」
「まぁでも、医学はすごいと思いますよ、先日もAIと話したのですが、私の一日で、彼らは一分で処理をしてしまうって感じで」
「それは頼もしいね、そういうのはどんどん進んでほしい」
「でもなかなか論理的な面で難しいとされているのが現実ですが」
「病や怪我で苦しんでいる人間ならば、その新しさでなんとかなる、そう思っているのならば、手に取るもんじゃない?」
「でしょうね」
「それとも君は?諦めてほしいの?」
「まさか、ただこのままだとどこかで衝突しますよっていう話しです、考えてみてくださいよ、私を犠牲にしようとしたのは古い考えに囚われた人間で、私を助けようとしたのはあなたのような新しいというか、従来よりも違うものの見方をする人間だ」
「そこは変わったといっても怒らないよ」
「嫌ですよ、揚げ足とるじゃありませんか」
「そうだね、ずっというかもね」
バサッ
帰ってきた二人にお茶をと、羊の着ぐるみを身に纏うサメが、豪快に茶葉を入れたところで。
松灰は俺がやるからといってサメを座らせた。
「勾飛さん、サメくんっていつもこうなんですか?」
「やりたがるから任せてる」
これは任せると全部ダイナミックなものが出てくると松灰察したので、所内でのお茶や食事などは松灰が担うことになった。
「もう少しで出来るから」
本来は二人に何かするつもりで、自分は食べるつもりもなかったサメも一緒にそこから待つようになった。
「まあ、これはうちの味ですがね」
松灰家のカレー。
「辛さの調節はこっちでお願いします」
そういってスパイスを別にだしたが、人間二人はそのまま、サメ一匹はまたもや豪快にスパイスをかけて食べている。
「そういえばこのサメちゃん、普通のサメより筋肉ありますよね」
「元レッドノーズなんだ」
「レッドノーズですか、それは強いはずだ、そういえば先日の『宴』はまだ続いていて、サメも七匹目らしいですが」
「サッ」
「ただ飯が食える簡単なお仕事ですって募集をかけたら、とんでもない募集が来て、20匹待ちぐらい」
松灰はサメの言葉はわからないので、勾飛に通訳してもらう。
「異界の食事を食べてもなんともないのがすごいな」
食べるとそちらの住人になるとされています。
「強制だとその限りではないんだけどもね、食べるものがなかったりするとか、サメはそういうのがないから上位存在とされている理由だし、今回ケースは、もう一ヶ所上位存在からも何とかしなさいってきたから」
もう一ヶ所とはケットシーである。
ケットシーはテリトリーに住む人間に何かあるのをひどく嫌う。
「そっちは今、死神と揉めているとかはよく聞きますね」
死神の使いが、ケットシーの縄張りに行くとお前まず何をしに来たとフーフー敵意を丸出しにされます。
「ええっとですね、もうすぐ寿命の関係で」
といっても、引っかかれて話にならない。
「ですから、人間には限られた…」
バリ!
引っ掛かれて喧嘩にならないが、死神の使いならば、職務の全うのために足を運ばなければならないが、そのうち姿を見ただけで引っ掻いてくる。
「今回の依頼人はケットシーからすると、ああいう形でつれていくと確実に揉めるっていうことで、そこでも割引が適応になるんだ」
「本人が納得してそっちに行くならばまだしも、やっぱりなんでも突然は嫌ですもんね」
「人ならね、そう考えるもんだよ」
「カレーはどうですか?」
「あっ、美味しいよ、これなら毎日でも」
「いや、それはダメですよ」
どうと勾飛は食事にあまりこだわらないタイプの人間である。
「飽きないようにメニューを考えるのって大変だね」
「それはそうだけども、あなたのために考えるのは私は好きよ」
スーパーで松灰とその妻は買い物中であるが。
「えっ、俺はそんなこと考えられていたの、うれしいな」
「だって美味しい時、子供みたいな顔するのよ」
「子供みたいな?やだな、俺は旦那さんなんだからさ、子供扱いは嫌だな」
こんなやり取りをしたあとに。
「じゃあ、俺が職場で作るぶんは、カロリーとか、野菜とか考えた方がいいね」
「そうね、あんまりこだわらない人なら特にね」
そういうと店頭に置いてあるおすすめメニューの紙を一枚取って、それを松灰に見せる。
「例えばね…」
そのまま旬の野菜とか、時間がないときに簡単に作るならというならの話をしてくれた。
「病気の時なら、これより塩を減らして、もうちょっと煮るとか、お鍋がないなら、電子レンジかな」
(いかん、病気ではないが看病されたくなってしまう)
はい、あ~んをされたくなってしまう前にここで終わらせないといけない!
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