浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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声が聞きたいときってあるじゃない

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「あっ、もしもし覆木(おおうき)さん」
「メッセージ見てくれた?」
「連絡が遅れてごめんなさい」
「前回、君が俺に個人的に依頼料として渡してくれた有価証券のことなんだけども」
「あれなら、渡した時の相場、0.5%下がったら売ってねっていう話はしたけども」
「今、値上がりしているんだけどもさ」
「ちょっと待って確認、あっ、そうね、良かったじゃない」
「それで相談なんだよ、君はこれからも俺に、うちの事務所をご贔屓にしてくれるかってこと」
「どういう意味がそこにはあるの?」
「贔屓にしてくれるならば、この有価証券は売却してうちの事務所や関連しているやつらにボーナスとして出す」
「そうじゃないなら?」
「君には俺は不必要なのかと悲しいんで保有する」
「その言い方、わかったわ、何か入り用なのね、ただまあ、そこまで私はできる人間じゃないから期待しないで」
「いや期待するさ、その実力は俺が一番知っているからね」

「後は頼みます」

「?えっ?今はどこで連絡受けているの?」
「捕り物中かな」
「そんなときに電話とらないでよ」
「声が聞きたい時ってあるじゃない」
そうはいってもどう考えても後ろから聞こえてくる声から、そういう時じゃない。
切られた後に。
「美人さんだからここまで殺気を当てられなかったら、本気なんて出せないぜ」
瀬旭(せきょく)は泉呼(せんこ)が体を張って作った隙をついて、狙い打ちするが、隠された急所に上手いこと当たるのである。
「さすがは銀の弾丸と言われるだけある」
対処方法がわかってないものに対して瀬旭はよくマッチを組まれる、その理由は勘でこのように弱点を見つける確率がとても高いからだ。
「やっぱりこういうのやらせるとお前の右にでるものはいないね」
「もっと誉めてくれてもいいのよ、でお前はなんで電話してたのよ」
「みんなにボーナス出すために頑張ってた」
「まあ、それなら…」
水芭(みずば)はすんなり飲もうとしたが。
「えっ?」
「いつもよりみんな頑張ってるから、今回は多いよ、泉呼にもちゃんと出るからね」
「ありがとうございます」
「大丈夫なんですか?」
「先方とは話ついているし、明日にでも振り込まれているよ」
そういって次の日が来たのだが。
「覆木さんいます?いきなりですね、振り込まれても、事前に連絡くださいよ」
何人かが銀行からこれはどういうお金ですかの確認がきて、振り込まれたのがわかったのだという。
「多い方がいいかなと」
「それはそうですがね、大金がいきなり振り込まれますとね…」
「こいつはこういうところがあるから」
「お前には言われたくはない」
「いいですか、こういうときはですね」
水芭はため息をついたあとに説明し始めた。

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