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あいつらだけには嫌われたくないんだよな
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「今の世の中っていうのは乾いているわけ、カッサカサなの、だから俺と言う人間がね、必要なのよ」
「瀬旭(せきょく)さん、今日は誰と喧嘩したの?」
「喧嘩ってほどのことじゃない、なんていうの、理解するには時間が必要って言うやつよ」
(なるほど怒らせた相手は、水芭【みずば】さんか)
話相手であるご近所さんは察した。
「そういえばここにお店を出したのってなんで?なんかきっかけってあったの?」
ここは腕のいい疲労回復マッサージのお店である。
「マッサージの世界ってね、結構アナログというか、占いでお店を出す場所を決めたりするのよ」
「それがここ?」
「そうなんだけども、私は他の人と理由が違ってて」
ここは店としてはあまり薦めない立地なんだけども、君はいた方がいいところなんだよな。
「意味深だったわ」
「それは運命だね」
「だといいわね」
「マッサージを始めた理由って?」
「あんまりおもしろい話ではないわよ、私の家では小さい頃から私の仕事は家族の肩を揉む、いや揉まされていたのね、それが嫌でね」
「そんな嫌なのにどうしてこの道に?」
「嫌なんだけども、マッサージの腕があったので生きてこれたというか、今考えてもすごいひねくれた理由でマッサージの勉強を始めたの」
「えっ?何々、なんかおもしろそう」
「もう家族のマッサージをするのが嫌だから、勉強して、腕をあげたら、家族を数分で寝落ちさせるまでになっちゃって」
「そりゃあすごい」
「だからこっそりマッサージのバイトして、さらに腕をあげたら、今度ビジネス街に新しくお店を作るからって、そこで家族とは縁が切れたし、今の師匠と言える人たちとあったわね、まっ、聞いててあんまりおもしろい話ではないわ」
「この街には色んなやつが来るんで、そこが楽しいから俺も毎日飽きずにいられるし、そんなエピソードなんてありふれているさ」
「そういってくれた方が私は楽よ、好奇な目で見られるのは苦手ね」
「でもファンは多いでしょ?」
「私はアイドルじゃないのよ」
この辺があるからこそ、瀬旭も安心して話せる相手の一人であった。
それに話し相手の方も。
「覆木(おおうき)さんのように聞き上手というわけでもないんだけども、瀬旭さんと話したがる人は多いとは思うわよ」
「それはどんな理由で?」
「思わぬ答えが返ってくるから」
「俺は普通にしているだけ、でもみんな何故かキョトンとする」
「そりゃあ、するわ、何いっているのかしらこの人はってところがあるもの」
「楽しい会話をさらに楽しくするべく、スパイスをふりかけているの」
「でもそのスパイスで会話が台無しになるのよ、ちょっとでいいのよ、スパイスは、あなたの場合は、スイカに塩感覚で比率を例えると、たまに一対一の時があるわね」
「それはスイカの味がはるか遠くに感じるな、新しい!」
「ほぼ塩よ、どっちも持ち味が沈んでるし、ダメね、食べたことがないから具体的に思い付かない」
「ダメだよ、想像して、新しい扉を開かなくちゃ」
そこに瀬旭に連絡。
「今どこか?って、それは言いにくいな」
「覆木さん?うちにいるわよ。もう直接お電話が来るってことはお仕事よ」
「仕事は嫌じゃないけどもさ」
「素直になりなさいよ、そんな気はなかったのはもう知っているわけだし、なんかはしゃいだ理由はあったの?」
「特にはないよ、俺としては、たださ…」
「なに?」
「なんか始まるかもしれないとか思ってるとさ、落ち着かないのよね」
地震前に動物がソワソワするのと同じ?
「いや、それはないわよ」
「なんで?」
「もっとソワソワするのがソワソワしてない」
この地域には防犯のためサメくんがいます。
「サメくんにはまだ負けてやる気はない」
「なんで対抗意識持ってるのよ」
「まあ、俺の方がお兄さんだから、そこは大人の対応するけどもさ」
「はいはい、お兄さん、わかりました、とりあえず一回事務所に行きましょうね」
「あっ、忘れてた、お土産」
「そういうのも、先にって、ああこれはお菓子?」
「水芭のお手製、クッキーなんだけども、こういうのってホワイトデーでも食べれないさ」
「でも水芭さんがクッキー作った理由が材料から推測できるものね」
「やっぱりわかる人はわかるもんなの?」
「だってメレンゲだもん、卵黄たくさん使ったか、卵が安かったのねって」
「その両方だよ」
「生活感に溢れた理由を理解できない人には渡せないでしょうし」
「美形は得だね」
「あなたはそう拗ねるけども、愛嬌があってよろしくてよ」
「もっと言ってほしいね」
「今回本当に落ち込んでいたのね、うちが休みだったら他のところにいってた思うけども」
「あいつらには嫌われたくないんだよな」
「その弱音、聞けただけでもヨシとしましょうか、じゃあ行ってらっしゃい」
「行ってきます、またね!」
手を降り瀬旭は去っていった。
「瀬旭(せきょく)さん、今日は誰と喧嘩したの?」
「喧嘩ってほどのことじゃない、なんていうの、理解するには時間が必要って言うやつよ」
(なるほど怒らせた相手は、水芭【みずば】さんか)
話相手であるご近所さんは察した。
「そういえばここにお店を出したのってなんで?なんかきっかけってあったの?」
ここは腕のいい疲労回復マッサージのお店である。
「マッサージの世界ってね、結構アナログというか、占いでお店を出す場所を決めたりするのよ」
「それがここ?」
「そうなんだけども、私は他の人と理由が違ってて」
ここは店としてはあまり薦めない立地なんだけども、君はいた方がいいところなんだよな。
「意味深だったわ」
「それは運命だね」
「だといいわね」
「マッサージを始めた理由って?」
「あんまりおもしろい話ではないわよ、私の家では小さい頃から私の仕事は家族の肩を揉む、いや揉まされていたのね、それが嫌でね」
「そんな嫌なのにどうしてこの道に?」
「嫌なんだけども、マッサージの腕があったので生きてこれたというか、今考えてもすごいひねくれた理由でマッサージの勉強を始めたの」
「えっ?何々、なんかおもしろそう」
「もう家族のマッサージをするのが嫌だから、勉強して、腕をあげたら、家族を数分で寝落ちさせるまでになっちゃって」
「そりゃあすごい」
「だからこっそりマッサージのバイトして、さらに腕をあげたら、今度ビジネス街に新しくお店を作るからって、そこで家族とは縁が切れたし、今の師匠と言える人たちとあったわね、まっ、聞いててあんまりおもしろい話ではないわ」
「この街には色んなやつが来るんで、そこが楽しいから俺も毎日飽きずにいられるし、そんなエピソードなんてありふれているさ」
「そういってくれた方が私は楽よ、好奇な目で見られるのは苦手ね」
「でもファンは多いでしょ?」
「私はアイドルじゃないのよ」
この辺があるからこそ、瀬旭も安心して話せる相手の一人であった。
それに話し相手の方も。
「覆木(おおうき)さんのように聞き上手というわけでもないんだけども、瀬旭さんと話したがる人は多いとは思うわよ」
「それはどんな理由で?」
「思わぬ答えが返ってくるから」
「俺は普通にしているだけ、でもみんな何故かキョトンとする」
「そりゃあ、するわ、何いっているのかしらこの人はってところがあるもの」
「楽しい会話をさらに楽しくするべく、スパイスをふりかけているの」
「でもそのスパイスで会話が台無しになるのよ、ちょっとでいいのよ、スパイスは、あなたの場合は、スイカに塩感覚で比率を例えると、たまに一対一の時があるわね」
「それはスイカの味がはるか遠くに感じるな、新しい!」
「ほぼ塩よ、どっちも持ち味が沈んでるし、ダメね、食べたことがないから具体的に思い付かない」
「ダメだよ、想像して、新しい扉を開かなくちゃ」
そこに瀬旭に連絡。
「今どこか?って、それは言いにくいな」
「覆木さん?うちにいるわよ。もう直接お電話が来るってことはお仕事よ」
「仕事は嫌じゃないけどもさ」
「素直になりなさいよ、そんな気はなかったのはもう知っているわけだし、なんかはしゃいだ理由はあったの?」
「特にはないよ、俺としては、たださ…」
「なに?」
「なんか始まるかもしれないとか思ってるとさ、落ち着かないのよね」
地震前に動物がソワソワするのと同じ?
「いや、それはないわよ」
「なんで?」
「もっとソワソワするのがソワソワしてない」
この地域には防犯のためサメくんがいます。
「サメくんにはまだ負けてやる気はない」
「なんで対抗意識持ってるのよ」
「まあ、俺の方がお兄さんだから、そこは大人の対応するけどもさ」
「はいはい、お兄さん、わかりました、とりあえず一回事務所に行きましょうね」
「あっ、忘れてた、お土産」
「そういうのも、先にって、ああこれはお菓子?」
「水芭のお手製、クッキーなんだけども、こういうのってホワイトデーでも食べれないさ」
「でも水芭さんがクッキー作った理由が材料から推測できるものね」
「やっぱりわかる人はわかるもんなの?」
「だってメレンゲだもん、卵黄たくさん使ったか、卵が安かったのねって」
「その両方だよ」
「生活感に溢れた理由を理解できない人には渡せないでしょうし」
「美形は得だね」
「あなたはそう拗ねるけども、愛嬌があってよろしくてよ」
「もっと言ってほしいね」
「今回本当に落ち込んでいたのね、うちが休みだったら他のところにいってた思うけども」
「あいつらには嫌われたくないんだよな」
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手を降り瀬旭は去っていった。
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