564 / 908
魔法 ぎっくり腰にはなりません
しおりを挟む
「お疲れ様でした」
「お疲れ、ミツ、明日は休みだからって、間違って事務所に来ちゃダメだからな」
「明日はゆっくり寝てから、お掃除したり、買い物にいったりしますよ」
「うん、それでいい、おやすみ」
「はい、おやすみなさい、水芭(みずば)さんもおやすみなさい」
とミツは事務所を後にする。
「さてと、これから男どもで難しい話をしましょうかね」
いわゆる螺殻(らがら)ミツには聞かせたくない話をするらしい。
「正直、今、何が起きようとしているかっていう話だ」
覆木(おおうき)が議題を提出する。
「明日彼女が来ますが、他に何を聞きますか?」
明日は情報提供者がこっそり訪ねてくるようだ。
「これから起きるのはたぶんろくなことじゃない、それだけはわかっちゃうから、はぁ~ため息が出ちゃうよ」
瀬旭(せきょく)は茶化す。
「まだ茶化せるならば余裕がありますね」
「こちらの方針は変わらない」
「うちは、いつでもうちらしく」
「そっ、色々変わることはあるだろうけども、今までの維持が一番優先順位に来る」
「おっさんになると生き方を変えるの難しいの、ごめんね!」
「そこまで波乱はあると思いますか」
「あるんじゃない?起こしたい人間が権力握ろうとしているんだから、でも上手くはいかないかもしれない、今のところそんな見方だね」
「近いうちに泉呼(いずこ)と会う必要があるか、しかし、話としては信じられないけども」
「昔、死んだと思っていたやつが生きていた、いや、もはや人間じゃないだろうね、年を取るのを忘れているから」
「泉呼(いずこ)さんってそういうタイプではないと思いますが…」
「それはそう思うよ、恨みかかえて絶対許せねえ、だから甦ってきたぜ!ってタイプじゃないよ、あいつはさ、だから何かに縛られているのか、気にかけたものがあるんだろうさ」
「ゾンビでもないなら、もうお手上げだよ」
「クローンとか?」
「そんなに技術進んでた?」
「この辺はさ、実際に会わないと、でもどうしよう、話を聞いてもらえなかったら」
「それこそ、明日やって来る彼女に中に入ってもらいましょうよ」
「あっ、そうか、面識あるものな」
「ナイスアイディア」
「ちょうどその分の報酬もあるしね」
深夜のコンビニで見かけたのが最初だったと思う。
だから顔は早いうちに知っていた。
どちらも魔法使いで、課せられた義務の帰りか、それともこれから向かうのか。
「あの時はまた会えたらいいなって思って通ってましたから」
男はそんなことをいうので、女が手を伸ばしてくると、照れ臭そうに指先から触れた。
それは幸せな日々だった。
こんなスケジュールでデートを入れてどうするんだろうぐらい、よく会った。
あるデートの翌日、男の母親に彼女のことがバレる。
男の立場はこの地の名門魔法使いであり、母親にしては自慢の息子だ、それをどこぞの女が狙っているということは面白い話ではない。
「彼女は素晴らしい人なんだ」
魔法の設計について話し合ったときなんか、彼女はこれから魔法の形を変えれるかもしれないとワクワクした。
「それのどこが役に立つんですか?」
母にはそれがわからなかった、いや、母は魔法というものを権力としか見なかったのがここでよくわかった、とても悲しかった。
「火急の用件があります、どうかお取り次ぎを!」
彼は戦力として期待されていたこともあり、このようなことはたくさんあった、だから…
「行ってまいります」
挨拶をしたが、母は応えない、そのまま彼は召集に応じた。
そしてこれが…
母親との最後のやり取りである。
仕事を終えて戻ってくると、屋敷から黒煙が上がっていた。
どういうことになってるのかと思い、急いで駆け出すと、自分の家を燃やしているのは今まで自分を守らねばと思っている人々だった。
母は自分の知らない間に、屋敷で働いてくれる人たちにも暴力を振るっていた、自分が召集に応じている間も、それはひどい暴力があったらしいが、メイドが母を刺した、他のものも止めない、話が伝わり、鬱憤晴らしに家に火をつけられた。
「お母様はまことに残念ですが、我々はお坊っちゃまのことは認めておりますので、ご安心ください」
長年仕えた執事にそう手を伸ばされたが、俺はその手を掴むことはできなかった。
コンコン
扉がノックされるがおかしい、何しろ事務所の倉庫の内側からのノックなのである。
「どーぞ」
瀬旭が返事をすると、扉をあけて女が入ってきた。
「お久しぶりです、みなさま」
「なんかお久しぶりって感じはしないけどもね、なんていうの、時が流れるのは早いって感じで」
「でもみなさまはお若いと思いますよ、同年代と比べるとずっと、こうなんといいますが、格好良さをキープしているといいますか」
「昔から格好つけなのよ、俺は」
「こいつは本当にそうよ、オレは自然体だけどもね!」
「どちらも素敵ですよ、もちろん水芭さんもね、さすが今も新しいファンの子が出来るだけありますよ」
「えっ?そうなの?」
「若い娘さんが、えっ?今のさっきの人誰って、その行動力はすごいもので、もう従来のファンの方と楽しそうに話してましたから」
「そこまで行動力があるとちょっと怖いところはあるな」
「そうですね、そこは気を付けた方がよろしいかと、でもまあ、ファンの一人としてはいつまでも魅力的であってほしいですね」
「…」
「あれ、私何か変なことを言いましたか?」
「いや、仕事の話をそれじゃあしようか」
「昨日、別口で話が出てきたんだけどもさ、泉呼とは近いうちに会おうと思ってる」
「まさかこちらからその名前が出るとは思いませんでした」
「やっぱりその話をしてくれるつもりだったの」
「ええ、みなさまにかかわり合いがありますし、何故かコバンザメさんたちのように、事務所に遊び半分でけしかけてくる手合いにはキツく締め上げているみたいなんですよ、何かしました?」
「俺らはしてない、そこまでの借りもなかったはずだ」
「では新しく借りを作った何かがあったんでしょうね」
「敵対しないのならばこちらから仕掛ける気もないですし、死なない相手をどう殺せと」
「ふむ、あ…なるほど、そちらはそちらで大分掴んでいるんですね、同じような話をして報酬を得るのは私のやり方には会いませんから、泉呼さんとの橋渡しはこちらでやっておきますね」
「ありがとう、恩にきる、それで報酬の件なのだが」
「いつもより今回はもらいすぎでしょうかね」
「いや、もう1つこちらからあるんだ」
リングケースを覆木は差し出す。
「なんの冗談です?あなたのファンではありますが…」
「これは俺からじゃない、中を見ればわかる」
最初、女は誰からのものかわからなかった。
「それはね、俺らの協力者が持ってたものなの、なんでも昔、火事にあった魔法使いの屋敷から持ち出されたものでね」
そこまで言えば誰かわかってくるが。
「後は何も聞かずにまずは開けてください」
中には写真と指輪、写真は彼女の若い頃のものが飾られ、収められている指輪の内側へは誰からかなのか、そして愛を伝える言葉が残されていた。
「ありがとうございます、まさかここであの人のことを思いだせるだなんて」
「でも存命でしょ、会いに行かないの」
「きっと新しい恋人か、奥様がいると思いますよ」
「男はそんなに目移りするものではないと思いたい」
「すいません、お会いする勇気は未だにありません、支えれるかと言われたら、あの人の悲しみはとても大きすぎると思うのです」
リングケースにかかっていた魔法が彼女に降り注ぐ。
「ああ、これは…」
「どうかしたの?」
「少しばかり物事の先が読めましたね、泉呼さんにはここにいるお3人で最初はお会いしてください」
「3人?」
「それこそ聞かせたくない話になるようです、このリングケースと同じ泉呼さんに鍵がかかってます、その鍵はあなたたち3人のようです、そしてそれは今後の話に繋がります間ではわかりましたが、どうします?信じてくださいます?」
「君はその指輪を前にして偽りの誓いなんて出来る?」
「出来ませんよ、何をいってるんですか」
「それなら俺らは信じる必要がある」
「本当にいちいち台詞が、だからこそ人生に迷う娘さんたちが出るんですよ」
「迷わせているつもりはないんだけどもね」
「ああ、もう!これだから、後やはり報酬はもらいすぎですから、こちらでお返しさせていただきます」
三人に魔法をかけた。
「これは、椎間板への圧力を減らし、磨耗を防ぐ魔法です」
魔法 ぎっくり腰にはなりません。
「あれ、これ、あなたの所の秘術じゃありません?」
「大金積んでもかけてほしい人いるやつだよな」
「私が勝手にかけるべき相手と判断させていただきました、お姫様たちの前で格好悪いところ見せたくはないでしょ?」
「俺は別にそうでもないよ」
「それは螺殻嬢の前でも言えまして?」
「うっ、それは」
「でもミツなら看病してくれるよ」
「そういうのもアリだと思う」
「あなたたちが螺殻嬢に甘いのはよくわかりました、もう本当にびっくりですね」
「そりゃあやっぱりファンの子と違うから」
「素で話していても疲れないのは大事でしょ」
「あの子はいい子です」
「それならそれで腰を大事にしてください、barでお酒の運び方間違えたら、腰痛なんてすぐに友達になりますからね、では私はこれで失礼します」
そういって彼女はリングケースを大事そうに抱え、来たときと同じように倉庫のドアから出ていった。
「なんで指輪つけないんだろ」
「バカだな、ああいうのは自分でつけるもんじゃない、相手につけてもらうものなんだ」
「ああそういうことか」
「瀬旭さんって女心いまいちわかってないですね」
「俺は難しいと眠くなる方なんで」
「だからこいつは会合には出せないんだよな」
「寝てないだけいいですよ」
一度寝ちゃった参加者が出てしまい、要職の人から呼び出され、本気で叱られたそうだ。
「俺が寝ないようにするなら、ごろ寝ソファーとビールとおつまみ用意してほしいな」
「そんなのできるわけないでしょう」
「でも試してみたい気持ちはある」
それは会合ではなく、高確率で、そのまま宴会に突入すると思われます。
「○○ちゃんの良いところ、見てみたい!」
うわ、瀬旭さんの合いの手が目に浮かぶようだよ…
「お疲れ、ミツ、明日は休みだからって、間違って事務所に来ちゃダメだからな」
「明日はゆっくり寝てから、お掃除したり、買い物にいったりしますよ」
「うん、それでいい、おやすみ」
「はい、おやすみなさい、水芭(みずば)さんもおやすみなさい」
とミツは事務所を後にする。
「さてと、これから男どもで難しい話をしましょうかね」
いわゆる螺殻(らがら)ミツには聞かせたくない話をするらしい。
「正直、今、何が起きようとしているかっていう話だ」
覆木(おおうき)が議題を提出する。
「明日彼女が来ますが、他に何を聞きますか?」
明日は情報提供者がこっそり訪ねてくるようだ。
「これから起きるのはたぶんろくなことじゃない、それだけはわかっちゃうから、はぁ~ため息が出ちゃうよ」
瀬旭(せきょく)は茶化す。
「まだ茶化せるならば余裕がありますね」
「こちらの方針は変わらない」
「うちは、いつでもうちらしく」
「そっ、色々変わることはあるだろうけども、今までの維持が一番優先順位に来る」
「おっさんになると生き方を変えるの難しいの、ごめんね!」
「そこまで波乱はあると思いますか」
「あるんじゃない?起こしたい人間が権力握ろうとしているんだから、でも上手くはいかないかもしれない、今のところそんな見方だね」
「近いうちに泉呼(いずこ)と会う必要があるか、しかし、話としては信じられないけども」
「昔、死んだと思っていたやつが生きていた、いや、もはや人間じゃないだろうね、年を取るのを忘れているから」
「泉呼(いずこ)さんってそういうタイプではないと思いますが…」
「それはそう思うよ、恨みかかえて絶対許せねえ、だから甦ってきたぜ!ってタイプじゃないよ、あいつはさ、だから何かに縛られているのか、気にかけたものがあるんだろうさ」
「ゾンビでもないなら、もうお手上げだよ」
「クローンとか?」
「そんなに技術進んでた?」
「この辺はさ、実際に会わないと、でもどうしよう、話を聞いてもらえなかったら」
「それこそ、明日やって来る彼女に中に入ってもらいましょうよ」
「あっ、そうか、面識あるものな」
「ナイスアイディア」
「ちょうどその分の報酬もあるしね」
深夜のコンビニで見かけたのが最初だったと思う。
だから顔は早いうちに知っていた。
どちらも魔法使いで、課せられた義務の帰りか、それともこれから向かうのか。
「あの時はまた会えたらいいなって思って通ってましたから」
男はそんなことをいうので、女が手を伸ばしてくると、照れ臭そうに指先から触れた。
それは幸せな日々だった。
こんなスケジュールでデートを入れてどうするんだろうぐらい、よく会った。
あるデートの翌日、男の母親に彼女のことがバレる。
男の立場はこの地の名門魔法使いであり、母親にしては自慢の息子だ、それをどこぞの女が狙っているということは面白い話ではない。
「彼女は素晴らしい人なんだ」
魔法の設計について話し合ったときなんか、彼女はこれから魔法の形を変えれるかもしれないとワクワクした。
「それのどこが役に立つんですか?」
母にはそれがわからなかった、いや、母は魔法というものを権力としか見なかったのがここでよくわかった、とても悲しかった。
「火急の用件があります、どうかお取り次ぎを!」
彼は戦力として期待されていたこともあり、このようなことはたくさんあった、だから…
「行ってまいります」
挨拶をしたが、母は応えない、そのまま彼は召集に応じた。
そしてこれが…
母親との最後のやり取りである。
仕事を終えて戻ってくると、屋敷から黒煙が上がっていた。
どういうことになってるのかと思い、急いで駆け出すと、自分の家を燃やしているのは今まで自分を守らねばと思っている人々だった。
母は自分の知らない間に、屋敷で働いてくれる人たちにも暴力を振るっていた、自分が召集に応じている間も、それはひどい暴力があったらしいが、メイドが母を刺した、他のものも止めない、話が伝わり、鬱憤晴らしに家に火をつけられた。
「お母様はまことに残念ですが、我々はお坊っちゃまのことは認めておりますので、ご安心ください」
長年仕えた執事にそう手を伸ばされたが、俺はその手を掴むことはできなかった。
コンコン
扉がノックされるがおかしい、何しろ事務所の倉庫の内側からのノックなのである。
「どーぞ」
瀬旭が返事をすると、扉をあけて女が入ってきた。
「お久しぶりです、みなさま」
「なんかお久しぶりって感じはしないけどもね、なんていうの、時が流れるのは早いって感じで」
「でもみなさまはお若いと思いますよ、同年代と比べるとずっと、こうなんといいますが、格好良さをキープしているといいますか」
「昔から格好つけなのよ、俺は」
「こいつは本当にそうよ、オレは自然体だけどもね!」
「どちらも素敵ですよ、もちろん水芭さんもね、さすが今も新しいファンの子が出来るだけありますよ」
「えっ?そうなの?」
「若い娘さんが、えっ?今のさっきの人誰って、その行動力はすごいもので、もう従来のファンの方と楽しそうに話してましたから」
「そこまで行動力があるとちょっと怖いところはあるな」
「そうですね、そこは気を付けた方がよろしいかと、でもまあ、ファンの一人としてはいつまでも魅力的であってほしいですね」
「…」
「あれ、私何か変なことを言いましたか?」
「いや、仕事の話をそれじゃあしようか」
「昨日、別口で話が出てきたんだけどもさ、泉呼とは近いうちに会おうと思ってる」
「まさかこちらからその名前が出るとは思いませんでした」
「やっぱりその話をしてくれるつもりだったの」
「ええ、みなさまにかかわり合いがありますし、何故かコバンザメさんたちのように、事務所に遊び半分でけしかけてくる手合いにはキツく締め上げているみたいなんですよ、何かしました?」
「俺らはしてない、そこまでの借りもなかったはずだ」
「では新しく借りを作った何かがあったんでしょうね」
「敵対しないのならばこちらから仕掛ける気もないですし、死なない相手をどう殺せと」
「ふむ、あ…なるほど、そちらはそちらで大分掴んでいるんですね、同じような話をして報酬を得るのは私のやり方には会いませんから、泉呼さんとの橋渡しはこちらでやっておきますね」
「ありがとう、恩にきる、それで報酬の件なのだが」
「いつもより今回はもらいすぎでしょうかね」
「いや、もう1つこちらからあるんだ」
リングケースを覆木は差し出す。
「なんの冗談です?あなたのファンではありますが…」
「これは俺からじゃない、中を見ればわかる」
最初、女は誰からのものかわからなかった。
「それはね、俺らの協力者が持ってたものなの、なんでも昔、火事にあった魔法使いの屋敷から持ち出されたものでね」
そこまで言えば誰かわかってくるが。
「後は何も聞かずにまずは開けてください」
中には写真と指輪、写真は彼女の若い頃のものが飾られ、収められている指輪の内側へは誰からかなのか、そして愛を伝える言葉が残されていた。
「ありがとうございます、まさかここであの人のことを思いだせるだなんて」
「でも存命でしょ、会いに行かないの」
「きっと新しい恋人か、奥様がいると思いますよ」
「男はそんなに目移りするものではないと思いたい」
「すいません、お会いする勇気は未だにありません、支えれるかと言われたら、あの人の悲しみはとても大きすぎると思うのです」
リングケースにかかっていた魔法が彼女に降り注ぐ。
「ああ、これは…」
「どうかしたの?」
「少しばかり物事の先が読めましたね、泉呼さんにはここにいるお3人で最初はお会いしてください」
「3人?」
「それこそ聞かせたくない話になるようです、このリングケースと同じ泉呼さんに鍵がかかってます、その鍵はあなたたち3人のようです、そしてそれは今後の話に繋がります間ではわかりましたが、どうします?信じてくださいます?」
「君はその指輪を前にして偽りの誓いなんて出来る?」
「出来ませんよ、何をいってるんですか」
「それなら俺らは信じる必要がある」
「本当にいちいち台詞が、だからこそ人生に迷う娘さんたちが出るんですよ」
「迷わせているつもりはないんだけどもね」
「ああ、もう!これだから、後やはり報酬はもらいすぎですから、こちらでお返しさせていただきます」
三人に魔法をかけた。
「これは、椎間板への圧力を減らし、磨耗を防ぐ魔法です」
魔法 ぎっくり腰にはなりません。
「あれ、これ、あなたの所の秘術じゃありません?」
「大金積んでもかけてほしい人いるやつだよな」
「私が勝手にかけるべき相手と判断させていただきました、お姫様たちの前で格好悪いところ見せたくはないでしょ?」
「俺は別にそうでもないよ」
「それは螺殻嬢の前でも言えまして?」
「うっ、それは」
「でもミツなら看病してくれるよ」
「そういうのもアリだと思う」
「あなたたちが螺殻嬢に甘いのはよくわかりました、もう本当にびっくりですね」
「そりゃあやっぱりファンの子と違うから」
「素で話していても疲れないのは大事でしょ」
「あの子はいい子です」
「それならそれで腰を大事にしてください、barでお酒の運び方間違えたら、腰痛なんてすぐに友達になりますからね、では私はこれで失礼します」
そういって彼女はリングケースを大事そうに抱え、来たときと同じように倉庫のドアから出ていった。
「なんで指輪つけないんだろ」
「バカだな、ああいうのは自分でつけるもんじゃない、相手につけてもらうものなんだ」
「ああそういうことか」
「瀬旭さんって女心いまいちわかってないですね」
「俺は難しいと眠くなる方なんで」
「だからこいつは会合には出せないんだよな」
「寝てないだけいいですよ」
一度寝ちゃった参加者が出てしまい、要職の人から呼び出され、本気で叱られたそうだ。
「俺が寝ないようにするなら、ごろ寝ソファーとビールとおつまみ用意してほしいな」
「そんなのできるわけないでしょう」
「でも試してみたい気持ちはある」
それは会合ではなく、高確率で、そのまま宴会に突入すると思われます。
「○○ちゃんの良いところ、見てみたい!」
うわ、瀬旭さんの合いの手が目に浮かぶようだよ…
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる