浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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ハチミツのように美味しい仕事

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「一年は素振りだ」
監督は声でサメたちはネギを振り続ける。
練習は厳しい、しかしその先にはあるのは…

夢の大舞台
「四番、オオサメくん」
バッターボックスに入ると、ネギをスタンドに向ける、ホームランを狙うつもりらしい。

そして…

カーン

同時に画面は暗くなり、その後スタンドが盛り上がる声援が聞こえる。

『映画サメサメベースボール、関西大会』


「見回りをお願いしたいんだ」
そういう話になったので、まずは四人が集まる。
そんな所に…
「どけ急いでる」
態度の悪い、この辺りでは見かけないそこそこ身分のいい者と、難癖つけられた町のもの。身分のいいものに注意ができる上役がやって来て終わったことは終わったが。
「あれでは…」
そういって魔法を鮮やかに使う彼女は…
「ごめんなさい、預けている鹿肉を取りに行ってくる」
難癖をつけられた町のものにお詫びとして渡すらしい。
「どういうこと?」
「あの身分のいい者は父方、この町は母方の出身になるんでな」
「中に入るのも大変だな」
ごめんなさい、不快な思いをさせたわ、これはみんなで食べてちょうだいね。
そういって鹿肉を渡すと、渡された方は顔がわかりやすく明るくなったのを見て、ほっとして戻ってきた。
「とりあえずこの場はなんとかはしたが、あれはまた揉めるぞ」
「でもさ、あのお肉かなり美味しいから、それはちょっと先になったかな」
リーダーがやって来たので、説明をすると。
「なるほど、じゃあ、またなんか揃えておくよ」
「よっ!大将待ってました」
「まだね、そういうものは足りてないんじゃないかと思っていたから、お金は結構残しておいてるんだ」
「あれで?」
「リーダーすごい」
「ただまあ、お買い得なものが出たら追加するって感じだね、とりあえず今渡せるのは、これ」
そういって虫除けと手帳を出した。
「虫除けは室内で使えるやつ、目とかは痛くならないよ」
「すげぇなそれ」
「だいたいツンとするんだよ」
「また手帳もいいものを」
「前のとは違うけども、これもいいと思うよ」
「ありがとう」
そういってそれぞれが受けとる。
「リーダー知ってるか、この間の手帳な、受け取ったらすぐうきうきして書き付けていたのに、だんだんさ、こう元気がなくなってきたんだ、手帳が半分書き終えると、もう数えるだけかって感じで、明らかに筆が止まってるんだぜ」
手帳好きのそんな絶望感は知っていたので早めに用意したが、少し遅かったようだ。
「魔法を使う人間は夢中になりやすいから」
「あっ、リーダー、見回り先の話なんだけどもね」
街道から少し離れた辺りを見回ることになるのだが。
「もしかしたら営巣しているかもしれない」
「こんなに暑くてか」
30度はいってません。
「巣を作っているとしらグリーンアイズという、猫ぐらいの大きさの蜂だろうな」
「あいつらか、巣を壊したことあるが、ハンマーで叩くが、塀を壊しているような固さだったし、ハチミツにつられて、他の獣とか呼ぶんだよな」
「そこら辺は対処は考えてある」
魔法に詳しい男は不敵に笑った。
「はぐれているのと、営巣している個体の違いはね、営巣している個体はお尻にシマシマがあるんだよ」
「シマシマがないのが一番いいかな」
ここから街道を離れて巡回コースになる。
「それでもし見かけた場合だが、その時のために薬を用意した」
薬という名の毒である。
「撒いたら、そこから街道まで走ることになるがそのつもりで」
「切り札か何か?」
「1人で動くときの護身さ、何かがあって倒れたときの道連れの毒、このパーティーを組んでいるなら不要だからな」
真っ先に倒れた場合、味方にまで効果が及ぶので持ち歩かないことにしたらしい。
「はいはーい、私もあるよ、今は持ってないけども獣誘いの花粉持ち歩いてた」
獣誘いの花粉、つくと百合の花粉のようにとれないし、獣がそれを嗅ぐと興奮する。シーニャン達には効果はないが、それ以外は理性を忘れる。
「リーダー悪いな、嫌な気分になったか?」
「いや、大丈夫だよ」
「リーダーも何か持ってるの?」
「何も、ただ何かあったら魔法が相手の体内時計と五感を惑わせることになるだろうって話だった」
暑いというのに暑いと感じず。
喉の渇きがあってもわからない。
「リーダーの性格からは考えられないぐらいえげつない」
「そんなことにならないのが一番いいんだけどもね」
「今年は雨はどうなんだ?」
「多いのも少ないのも困るのよ」
「ほどほどがいいよね」
「土の具合から見て、そこまで大変にはならないとは思うんだがな」
そこにグリーンアイズが、ぷうん~。
「しましまだ」
「巣がわかるか、ちょっとつけてくるね」
そういって出かけて。
「ただいま」
と帰ってきた。
「巣はこんな感じ」
石をおいて説明、それを書き写した後に。
「どのぐらいの、大きさの巣だった?」
「小さかったよ」
「ならば…」
そういって小石をその図に足して。
「ここに揮発性の薬を置く」
巣を中心に『コ』の字である。
「これなら、少ない薬剤で、風の流れがどうあっても、定期的に吸わせるだろう」
「手分けして置くの?」
「置いて、そのまま街道まで走るって感じだな、グリーンアイズを相手にできる人間たちを集める間に、巣が大きくなったら困るから」
グリーンアイズが死ななくてもその妨害行為になればいい。
「成体がいなくなれば、弱ってもだけども、他の獣がハチミツ狙ってくるし、いいんじゃないか」
「じゃあ、先に食事とってから、散布しようか」
街道までは少しあるので、体力勝負というやつだ。
食事をし、荷物を整理する。
「じゃあ、行くよ」
五人はそれぞれ位置についた。
もしかしたらそこでも襲われるかもしれないが、幸い蜂はこちらを気にしてないようである。
手早く薬を置いた。
自分の分を置いたら、仲間を確認せずにそのまま走れということになってるので。
リーダーの前に四人いるのが見えてはじめて、後ろを空気の抵抗を、あれ?なんだかおかしいなと感じれるぐらいにあげた。
かけ終わると、蜂が見えた、こっちを確認しているが追いかけては来ない。
全力で走って、街道が見えた時ほっとはしたが、街道に出るまで足は怖くて止められなかった。
「あ~もう疲れた」
「どっちにしろ私たちの仕事は終わりよ」
街道に座り込む五人を見て。
「みなさん何かあったんですか?」
大荷物の商人は聞いてきた。
「グリーンアイズが巣を作ってまして」
「ええ?それは困りました、えっとみなさん水はお飲みになりますか?冷たいものはありますが?お話を聞かせてくだされば、お代はいりません」
(この人は大丈夫)
(水も問題ないな)
人と扱っているものを見て仲間が判断したため。
「大きさはこのぐらいの巣でして」
「この辺りで巣を作っているなら、他にも巣があるかもしれませんね、ありがとうございます、みなさんはここから帰るのですか?」
「報告のために戻ります」
「ではご一緒させてください」
隣町や村に商いをするつもりだったのだが、グリーンアイズがいるのならば、一旦取り止めて安全をとるつもりらしい。
「稼ぎ時は今回ばかりではありませんから」
(リーダー的にはこの人はどうなの?)
(商売人としては正しいと思うよ)
そういって今回持っていくはずの品物で、消費期限が早いものをリーダーはいくらか買ったので、大変感謝された。
グリーンアイズが巣を作ったと報告すると、その場に居合わせた男たちが。
「ハンマー借りてこなきゃ」
「質屋覗いてくる」
やっかいなグリーンアイズも、毒を使って弱らせたとなれば、ハチミツのように美味しい仕事に見えるらしい。
「まっ、それでもタイミング悪けりゃ上手くいかねえのがこういう仕事だからな」
そのリスクも多少見えていたので、五人は巣の破壊には参加しないことにした。






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