浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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酔いも覚めるネーミングセンス

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「では、タ…アンセルモさん、よろしいでしょうか?」
「こっちは準備万端だ」
今日はアンセルモの写真撮影の日である。
少し前のことだ、KCJ戦闘許可証の試験に一組のタッグがデビューすることとなった。
「ヘッドスパに耐えて眠らなかったら、この試練を突破できるって」
笑っていた受験生。
「じゃあ、さっさとクリアしますか」
と自信満々で受けにいったが、そいつは帰ってこなかった。
現在戦闘許可証の参考書には。
天道のヘッドスパが試練として出された場合は、一度理容ルームでヘッドスパを受けること、対策としてはそこで終わっていた。
「アンセルモさんはもし自分が受験生でヘッドスパが試練として出された場合は、どうやってクリアしますか?」
「そうだな、身も心も疲れていない状態で受けるだろうか」
「えっ?」
「このヘッドスパは緊張や疲労を抱えていた場合、そこから解放してしまうものだからね、みんな受験のために一生懸命トレーニングや練習してるし、合格したいと固くなっているところはあるんじゃないか?試験というのはそういうものだから、ヘッドスパはそんな状態こそ良く効くよ、何しろそこで辛くなっている人を救う技だから」
これはなるほど、天道のヘッドスパとは良く言ったものだ。
「元々これはストレスで体に不具合が出るようになった人が、どうしてもそのストレスから逃れたい、古今東西に伝わる様々な技法からマッサージにたどり着いた」
(そこはヘッドスパじゃないのか)
「たどり着いた技そのものは、正確には残ってはいない、私の技は模倣、こうだったのではないだろうか?と欠けた部分を探しているような技だ、年齢のことはあまりいいたくはないが、おそらく私の代では完成しないだろう」
「そんなことはないのではないですか?」
KCJの職員なので、技が失われ、また復活するというのはない話ではないというのは知っている。
「ふっふっ、未完成だからこそたどり着けた極致もまた存在するということなのだよ」
アンセルモは、本来は失われた技術の復活を目指していたのだが、やっていくうちにこうした方が良いのではないか?と自分の道を見つけた。
「鳳凰は別のところで巣を作ったが、小さな春は訪れたのだよ」
「?」
「アンセルモさん、今日はよろしくお願いします」
写真の演出はこうだ、この志願者がアンセルモにヘッドロックならぬシャンプーロックをかけられる。
志願者は戦闘許可証持ちなのだが、アンセルモさんは素人だしと気軽に応じてくれたのだ。
「それじゃあ、本番入ります」
シャンプーロックは、ヘッドロックをまずかけるのだが、その後シャンプーに手を伸ばすために、片手で相手を抑えなければならない。
(あれ?)
ちょっと動きたいなと思ったところ、動きが、あれ?おかしいとれないぞ。
焦るなか、シャンプーはされていく、泡が立ち、シャボン玉なように泡が飛ぶのをその一瞬を逃さずに構図にする。
「協力ありがとう」
終わった後、アンセルモは握手を求めるが、本能に訴えられたのか、志願者はすっかりびびってしまった。
さて…
(アンセルモさんがいってた、春は春ちゃんのことだろうけども、鳳凰って…)
と思った職員が色々と調べていくと。
(鳳凰、蘆根さんのことか)
蘆根は葦、葦は雅楽で笙になる。笙は鳳凰の羽ばたきという姿をしているので、アンセルモがいう鳳凰は蘆根のことなのだろう。
自分の技を継いでくれる人間というのは、嬉しいものである。
ずっと打ち込んでいたのならば打ち込んでいたからこそ、その孤独を分かち合える存在が登場するということは、幸福なことなのだ。
この事から、蘆根がタモツの跡継ぎになるということを決めたことはどれだけ、ショックなことだったのかわかる。
そうはいっても蘆根だぞ、あいつ色んな先生から、あああああ、跡継ぎになっちゃったか…って言われるようなやつである。
「お前はたらしだな」
「なんだよ、いきなり」
優と飲んでいたときにそういわれた。
「何人から後を頼んだぞって言われたんだ」
「何人…何人…」
「覚えてないのか」
「いや、色んな人から教わっているから、改めると、お世話になったなって」
「お前な」
はぁ~とため息をつかれた。
「後継者問題、甘く見すぎたぞ」
「なんだよ、そういう仕事で疲れたのか?」
「そうだよ」
そこにイツモがにゃ~んとやってきた。
後ろにはビタンとニヤリがいる。
「白いな」
「白いよ」
「また白いもので可愛いとか言ったんだろう」
「その話な、他でもしたが、アザラシの赤ちゃん動画見たら、三匹とも次の日毛が生えかわっていたんだ」
「もしも今、名前をつけるのならば?」
「えっ?」
「まずはイツモ」
「ええ…そうだな、プロホワイト・ススリなんてどうだ?」
プロホワイト(名字)
ススリ(名前)
「それどっから来たんだ」
酔いも覚めるネーミングセンス。
「白さがプロって感じだしな、見てるとさ、ススリ、盛岡冷麺を食べたくなるじゃん」
「じゃあ次は、あの二匹で」
ふとさっきまでいた物陰を見ると、名前をつけられたくないのか、姿形も見えません。






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