浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

文字の大きさ
上 下
476 / 934

照明をつけますか?

しおりを挟む
ホラー展開です、ご注意を。

「またこれはとんでもない」
「ナリタツさんから見てもそうですか」
「ここだけ時間が流れてない、大分執着があるというか、良いところとしては自分から手離したくないというより、誰かが解放してやらなければならないという点だろうな」
入学式で忙しい職員に代わって、ナリタツが出向いた先は、日中なのに人通りが全くない道路に面した家屋である。
「作りとしては現代なのですが、場所が場所だけに中は迷わせる作りになってますね」
「大道もここから近いから、小競り合いしていた時代の工夫だろうな」
最初から片手で使える剣を抜いていく。
「山と同じだよ、邪魔なものはこれで払う、ついてくるか?」
「すいません、私は戦力にはならないもので」
「それなら定期連絡が切れたらすぐに本部に救援頼むわ」
「わかりました」
建物に入るとまず線香臭い。
(仏壇を探すか?)
申し訳ないが土足だ。
扉を一つ開ける、仏壇ではなく、布団があり、安置されているものがある。
(さすがにこれは確認出来んな)
罠である可能性がでかい。
ピチャン
滴り落ちる音。
(雨漏りか、そういえば長年修繕もされてないといってたから)
気になる点をつけていくが。
引き戸がある。
ずいぶんと古いが、開けると、薄暗くて先がどこまでか見えない廊下が続いていた。
(こりゃまたとんでもない、こっちは建物の作りが違うぞ)
奥の建物はそれこそ古い。
遠足で回るような歴史のある建物のようなら古さだ。
「聞こえますか?」
「ああ、大丈夫、聞こえてる」
定期連絡の時間である。
「奥に資料にはなかった建物があるんだが」
「えっ?それはすぐに引き返してください」
「いや、これは大丈夫」
髑髏の鍵を出しても死者の声は拾えない。
「もう、じゃあわかりました、勝手にするなら、私も勝手に至急応援呼びますからね」
いいやつだなと思った。
だからKCJの仕事は受けていて楽しい。
お金もいいし、最高である。
(おっ)
ザザザザ
鍵が死者の声を拾った。
中から鍵がついた部屋から聞こえるらしいが、テレビを見ているらしい。砂嵐の画面をバラエティー番組を見てるかのように、時折笑っている。
これはさすがに関係ないだろうなと思ったところ、中から封筒がこちらに差し出された。
カンリニンサンヘコンゲツノヤチンデス
「管理人に会ったらきちんと渡しておく、いなかったら、管理人さん宛にポストに投函しておくから」
そういうとまたテレビの砂嵐音が聞こえてきた。
古い照明がある。

照明をつけますか?

照明をつけませんか?

(悩ましい問題だな)
つけることで見えるだろう、ただ見えてはいけないものも見えるだろう。
ナリタツはどっちも経験したことがある。
照明をつけるとそこには食卓があり、家族の会話が和やかに始まっているのを見たし。
この場合はこれがヒントになって、再度調べることによって、殺人事件の犯人がわかった。
逆に照明をつけたことによって、背後をとられて、そのまま脱出するまで追いかけられたこともある。
(今日は危険なことはしないでいいか)
その管理人さんへの封筒、それを持ったまま玄関まで戻ってきた。
「ナリタツさん、無事でしたか!これから空家対策の人たちが来るんですが」
「ああ、悪いな、解決出来なくて応援呼ばせて」
「安全が第一ですから、…ナリタツさん、何を持ってるんです?」
「封筒」
明らかに訳ありのアイテム。
「何か書くもの、紙とかある?」
「はい!」
紙に管理人さんへ代わりに受けとりましたので、こちらに投函します。家のポストに投函したら。
落ちる音がしなかった。
「それでナリタツさん、今回の」
「しっ、静かに」
特に気にしてない職員が仕事の話を続けようとしたところ、ナリタツにとめられた。
スッ~
扉の下から「お礼」と書かれた封筒が差し出された。
「それ受けとるんですか?」
「えっ?受け取らないのか?」
ナリタツは封筒を受けとる。
「だって何が入っているのかわからないじゃないですか?」
「きちんと話がわかるのならば逆に受け取った方がいいんだがな」
「そういうものなんですか?」
「自分のお礼を断られると癇癪起こす場合がある」
「それは…関わりたくない」
「こういうのは必要最低限でいいんじゃないかな」
ズブズブのナリタツさんから言われました。
「俺の場合は、生活出来なくて、こういう仕事をし始めたからな」
前の人がやめることになったんで、新しい人を探してたんだよ。
「そうじゃないなら、平和が一番じゃないかって」
KCJの社用車が見えた、反対車線のためぐるりと回ってきてから、問題の家の前に止まった。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

兄になった姉

廣瀬純一
大衆娯楽
催眠術で自分の事を男だと思っている姉の話

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

私の部屋で兄と不倫相手の女が寝ていた。

ほったげな
恋愛
私が家に帰ってきたら、私の部屋のベッドで兄と不倫相手の女が寝ていた。私は不倫の証拠を見つけ、両親と兄嫁に話すと…?!

処理中です...