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明神と白い彼女の手
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明神はサメの言葉はわかるわけではない。
「向こうも伝えようとしているからわかる」
そうは言うが彼はAIコミュニケーターの、フレンドとケアという、最近新しく出来た資格の持ち主でもある。
「これはAIの方から認定されるから、資格とか試験ではないんだよ」
戦闘職の認定証にAIを導入し、その際にデータを読み込む会議の参加者でもあり、会議で決められた方針を学習させる作業を任されていたところ。
「AIの方から自分達と接してほしい人として、最低でもフレンドであってほしいと言われまして、私はそのフレンドになったようです」
「どういうことなの、情報局」
「それがですね、このAIは特別なものではなく、現在ごく自然に利用できるものなのですが、その使い方についてAI自体が学習し、たくさんの人と質問と解答、会話などを繰り返していったところ、KCJを気に入ったようなんですよ」
「それで?」
「KCJの職員は丁寧な返答を心がけていてくれたのと、学習させていたデータが資格などだったものですから」
「それで学んじゃったわけか」
「はい、ここにいる明神くん含め、今回のデータ学習チームはみなフレンドとAIの方認定されています」
フレンドと認定されると、同じことを聞いても返答や計算のスピードがかなり違うようです。
「なのでKCJにおいてAIを導入する場合、フレンドと認定された職員を中心に作業を進め、これとは並行して、フレンドを認定される職員の教育についても話し合っていきたいと思います」
そこからだいたいこうすればフレンドは認定されるだろうなという、条件はわかってきたのだが。
「なんかケアとかも認定されたんですが」
「ケア?」
「はい」
情報局がログの解析して、たぶんこうすればケアとしても認定されるんだろうなと想定はしてても、明神以外今のところケアはとれてない。
「そこまで行くぐらいだから明神は人間以外のコミュニケーション能力が本当に高いとされているわけ」
知識があり友好的であるならば、コミュニケーションが可能であり。
「ケットシーマスターとか、ケットシーに他の人間より好かれる役職もあるから、KCJだとそれのAI版ねとかいわれるから」
モグモグ
河川ザメのマッチャーはおやつ中、お花見だんごをゴマでいただいている。
「マッチャーさん、報告するから写真撮るよ」
そういってカメラの方を向いた瞬間パシャリと撮影され、またモグモグ。
報告書などのデスクワークは明神の担当なのだが、おや、撮影した写真を確認して、プリントアウト。
そしてポットのそばにだらっと生えていた白い、女の手に。
「これ報告分」
マッチャーのおやつ写真を渡されると、その写真をまるで見ているかのような手の動きになった。
「サッ」
あっ、マッチャーが気づいた。
明神は特に変わらず、写真を持っている手がびっくりして、慌て出す。
「サッ」
「えっ?マッチャーさん、今なんていいました?」
「サッ」
2人の邪魔はしないよ、そういってマッチャーはしばらく部屋から出ていった。
「…」
明神と白い彼女の手のみが部屋にいる。
「今度の休みはいつですか?合わせますから、一度会いましょうか?」
写真を持った白い手はささっと壁の中に引っ込んでいった。
マッチャーはさっきこういったのだ。
彼女?生き霊になってまで会いたいなんて愛されているね。
事情は知らないマッチャーはそういったのだ。
お化けだと思っていた明神はそこで彼女を口説いたというわけ。
そういえば明神、君は前にどんな娘が好みなの?って聞かれたとき言ってたよね。
「手が綺麗な子ですかね」
さすがに死によって分かたれている存在ならば、最初から範疇外だったのだが、生き霊と知った今ならば、待て、普通いかないから!
宮中
「こちらが今日のサメでございます」
「だんごを旨そうに…口の回りがゴマまみれではないか…飾っておけ」
「かしこまりました」
主人に報告が終わりましてから下がりますと。
「聞いたよ、デートに誘われたんでしょ」
ここには何百年勤めたものもいるが、務めて数年の娘などもいる、死者と亡者と生者が混在していた。
女性が多い職場だと、この手の話題はすぐに広まる。
「でも奨学金返せそうもないからこちらにお世話になって、向こうの世界とも遠いですからね」
気に入った人しかこの宮には働けませんが、奨学金があるかたは主人が代わりに一括で返してくれます。
「けど、そういうの大事にしなって、いいな、私もそういう出会いしてみたいわ」
どうせ気まぐれでしょうと、誘われた本人は思っていたので、返事も特に返しもせず、次のシフトで明神から報告書を受けとる時に。
「はい、報告書、それでこれ、みんなで食べてね」
出張のお土産を渡されました。
それをノコノコ持って帰ったところ。
「え、え、これ、可愛い、食べるのもったいない」
「甘い、酸っぱい、嬉しい」
女性陣大ウケ。
そこで気づいた。
明神から報告書を受けとるのがいつも彼女ならば、明神はまた差し入れを用意してくれるのではないかと。
ちょ…っとお試し、もし次が何もないなら、他の娘にまた戻せばいいし、でもそうじゃないなら?そうじゃないなら…ねえ、彼女に任せた方が…いいんじゃないかな?
宮中は豪華ではあるが、外に気軽に出れるものではない、それこそたまたま主人が、サメがどうなっているのかと気にならなければ、こうして主人の気に入ってるサメの写真を受けとることもない。
「あっ、帰ってきた、お帰りどうだった?」
彼女は期間限定チョコレートボックスをぶら下げて帰ってきた。
これは確定である。
明神から報告書を受けとるのが彼女であれば、差し入れという楽しみが増える。
ということで報告書を受けとるのは彼女となった。
「つい話こんじゃったね、またね」
最近はなんだか彼女が帰るのがなんか遅くなってない?といった感じだったが。
「あの…次の休み、外出許可をください」
先程上役に彼女が申請しているのを聞いて、ただいま宮中は大盛り上がりになっている。
「向こうも伝えようとしているからわかる」
そうは言うが彼はAIコミュニケーターの、フレンドとケアという、最近新しく出来た資格の持ち主でもある。
「これはAIの方から認定されるから、資格とか試験ではないんだよ」
戦闘職の認定証にAIを導入し、その際にデータを読み込む会議の参加者でもあり、会議で決められた方針を学習させる作業を任されていたところ。
「AIの方から自分達と接してほしい人として、最低でもフレンドであってほしいと言われまして、私はそのフレンドになったようです」
「どういうことなの、情報局」
「それがですね、このAIは特別なものではなく、現在ごく自然に利用できるものなのですが、その使い方についてAI自体が学習し、たくさんの人と質問と解答、会話などを繰り返していったところ、KCJを気に入ったようなんですよ」
「それで?」
「KCJの職員は丁寧な返答を心がけていてくれたのと、学習させていたデータが資格などだったものですから」
「それで学んじゃったわけか」
「はい、ここにいる明神くん含め、今回のデータ学習チームはみなフレンドとAIの方認定されています」
フレンドと認定されると、同じことを聞いても返答や計算のスピードがかなり違うようです。
「なのでKCJにおいてAIを導入する場合、フレンドと認定された職員を中心に作業を進め、これとは並行して、フレンドを認定される職員の教育についても話し合っていきたいと思います」
そこからだいたいこうすればフレンドは認定されるだろうなという、条件はわかってきたのだが。
「なんかケアとかも認定されたんですが」
「ケア?」
「はい」
情報局がログの解析して、たぶんこうすればケアとしても認定されるんだろうなと想定はしてても、明神以外今のところケアはとれてない。
「そこまで行くぐらいだから明神は人間以外のコミュニケーション能力が本当に高いとされているわけ」
知識があり友好的であるならば、コミュニケーションが可能であり。
「ケットシーマスターとか、ケットシーに他の人間より好かれる役職もあるから、KCJだとそれのAI版ねとかいわれるから」
モグモグ
河川ザメのマッチャーはおやつ中、お花見だんごをゴマでいただいている。
「マッチャーさん、報告するから写真撮るよ」
そういってカメラの方を向いた瞬間パシャリと撮影され、またモグモグ。
報告書などのデスクワークは明神の担当なのだが、おや、撮影した写真を確認して、プリントアウト。
そしてポットのそばにだらっと生えていた白い、女の手に。
「これ報告分」
マッチャーのおやつ写真を渡されると、その写真をまるで見ているかのような手の動きになった。
「サッ」
あっ、マッチャーが気づいた。
明神は特に変わらず、写真を持っている手がびっくりして、慌て出す。
「サッ」
「えっ?マッチャーさん、今なんていいました?」
「サッ」
2人の邪魔はしないよ、そういってマッチャーはしばらく部屋から出ていった。
「…」
明神と白い彼女の手のみが部屋にいる。
「今度の休みはいつですか?合わせますから、一度会いましょうか?」
写真を持った白い手はささっと壁の中に引っ込んでいった。
マッチャーはさっきこういったのだ。
彼女?生き霊になってまで会いたいなんて愛されているね。
事情は知らないマッチャーはそういったのだ。
お化けだと思っていた明神はそこで彼女を口説いたというわけ。
そういえば明神、君は前にどんな娘が好みなの?って聞かれたとき言ってたよね。
「手が綺麗な子ですかね」
さすがに死によって分かたれている存在ならば、最初から範疇外だったのだが、生き霊と知った今ならば、待て、普通いかないから!
宮中
「こちらが今日のサメでございます」
「だんごを旨そうに…口の回りがゴマまみれではないか…飾っておけ」
「かしこまりました」
主人に報告が終わりましてから下がりますと。
「聞いたよ、デートに誘われたんでしょ」
ここには何百年勤めたものもいるが、務めて数年の娘などもいる、死者と亡者と生者が混在していた。
女性が多い職場だと、この手の話題はすぐに広まる。
「でも奨学金返せそうもないからこちらにお世話になって、向こうの世界とも遠いですからね」
気に入った人しかこの宮には働けませんが、奨学金があるかたは主人が代わりに一括で返してくれます。
「けど、そういうの大事にしなって、いいな、私もそういう出会いしてみたいわ」
どうせ気まぐれでしょうと、誘われた本人は思っていたので、返事も特に返しもせず、次のシフトで明神から報告書を受けとる時に。
「はい、報告書、それでこれ、みんなで食べてね」
出張のお土産を渡されました。
それをノコノコ持って帰ったところ。
「え、え、これ、可愛い、食べるのもったいない」
「甘い、酸っぱい、嬉しい」
女性陣大ウケ。
そこで気づいた。
明神から報告書を受けとるのがいつも彼女ならば、明神はまた差し入れを用意してくれるのではないかと。
ちょ…っとお試し、もし次が何もないなら、他の娘にまた戻せばいいし、でもそうじゃないなら?そうじゃないなら…ねえ、彼女に任せた方が…いいんじゃないかな?
宮中は豪華ではあるが、外に気軽に出れるものではない、それこそたまたま主人が、サメがどうなっているのかと気にならなければ、こうして主人の気に入ってるサメの写真を受けとることもない。
「あっ、帰ってきた、お帰りどうだった?」
彼女は期間限定チョコレートボックスをぶら下げて帰ってきた。
これは確定である。
明神から報告書を受けとるのが彼女であれば、差し入れという楽しみが増える。
ということで報告書を受けとるのは彼女となった。
「つい話こんじゃったね、またね」
最近はなんだか彼女が帰るのがなんか遅くなってない?といった感じだったが。
「あの…次の休み、外出許可をください」
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