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けふこえて
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「位置について」
100メートル競技椅子は…
パン!
スタートが切られましたが、今回の競争の目玉というのはなんでしょうか?解説の桂木さん!
はい、桂木です。やはりマッチャーさんではないですかね、現レッドノーズでもあるマッチャーさん、今の相棒も勤めます。明神くんからの応援メッセージも届いてます、頑張ってください、マッチャーさん、壁は高いが挑む甲斐がある、頑張ってください!だそうです。
おおっと、何か進展があったみたいですね。マッチャーさんがトップ集団と接戦してますよ。この競争椅子という勝負は、体重が軽い方が有利とされているので、人間よりも軽い河川ザメはそれだけで有利とはされてますが。
そう簡単には勝たせてくれない、おおっと、なかなか前に出れないぞ。
あれはテクニックですね、これは真っ向から受けてたつという、絵面は地味かもしれませんが、勝負しているもの同士では認めてますよ、これ。
「なんか盛り上がってない?」
「そりゃあ、盛り上がってますよ、今までほら、この支部の競技椅子って、勝つ人はいつも決まっていたから」
「あのサメちゃんが来たからか」
「マッチャーさんですね、聞きました?花押のこと」
「一匹だけ何も起きなかったんでしょ?」
「はい、今も悪夢にうなされて通院する人がいる中で、何も起きなかったのがマッチャーさんだけですからね」
「職人さんにあの後、御朱印帳ではないけども、装丁したててもらった話までは知ってる、そのせいで心霊から害をなされることがないとか」
「花押を持ってる時だけですね、普段は持ち歩くなんて滅相もない、落としたら困ると自宅に置いてるそうです」
「それは意味がないんじゃ」
全く困ったサメだ。
「今、何か言った?」
「いえ何も?」
その間に競技椅子の決着がついたようだ。
ゴールテープは自分ではなく、目の前を走る者が切る。
この沸き上がる感情はなんなのだろう。
河川ザメにとって勝負の決着は生きるであり、死なので、敗北という感情を経験できるものは少ない。
「サッ」
また挑みに来る。
「ああ、待ってる」
サメに土をつける、それは友情の始まり。
「戦闘許可証持ちは連続して出場できないし、その間も激しい運動ができないから、手話や競技椅子に走りがちなんだもんな」
「もっと他にも出来ることで、楽しんでくれるものがあればいいんですが」
「それは未来に期待しようよ、とりあえずこれでやっていけるうちに、新しい手を考えていくべきだし、河川ザメがいると本気で挑んでくるから、この支部の競技椅子人口が増える可能性もあるし、明神のやつも…メッセージ送るなら、自分で見に来ればいいのに」
「ああ、明神さんも前はやってましたからね」
「あいつは競技椅子歴だけ見たら、あの中にいるやつらよりも長いし、KCJに来たのも最初それ目的だと思ったんだけども、別に競技椅子やるわけじゃないんだよな」
明神は戦闘訓練は受けているが、一般職。
新規プロジェクト、空き家問題人霊対策班所属である。
「あっ、マッチャーさんお帰りなさい」
空き家問題人霊対策班はまだ発足したばかりで、それこそ必要最低限のものしか室内にはない。
「サッ」
(サメって本当にわかりやすいな)
表情にも出るし、尾ビレがいつもより下がってる。
「マッチャーさんと勝負した人たちは喜んでましたよ」
「サッ」
「これからも挑んであげてください」
「サッ」
「ああ、そうそう、情報局からです、殺人事件があったそうなんですよ、まだ犯人は捕まっておらず、現場にも人霊の痕跡がないことから、犯人の元にいる可能性があると」
「サッ」
この場合犯人を恨み続けてそばにいる場合と、割合としては少ないが死後も犯人にとらわれている場合がある。
お茶でも飲むかと、マッチャーさんが準備するため後ろを向くと。
スッ
(うわ、現れたよ)
明神にだけ平安時代の装束を身に纏った、厳密にはその流れを組むそうだが、女官が現れた。
彼女は顔を隠しており、何かを指す。
それは机に並んだ資料の一部分である。
彼女はある高貴な存在に仕えており、その高貴な存在は最近サメを気に入ってるようで。
「サメの悩んだ顔など見たくはない」
だが、答えをそのまま教えると、それはちょっとという顔もするので、こうして女官が明神の前に姿を現したり、関係があることに対して指さしをする。
そういうことをしているのもマッチャーさんにバレると、文句が来そうなので、明神に見えるこの形でヒントをくれる。
(これでも早期決着にならないから、もしもヒントくれなかったらって思うとゾッとするよ)
「サッ」
明神の分もお茶を淹れてくれた。
「ありがとうございます、あっ、お菓子もあるんですよ、さっき情報局の人が持ってきてくれたんですが、「けふこえて」とかいうその人の地元の老舗和菓子で…」
この「けふこえて」が今回の事件以降この班に常備されることになる。
「けふこえてを常備したい?どうしてだね」
「はい、あれは「いろは歌」から「けふこえて」という名前をとったもので、47個入りを買うとそれこそ、いろは歌が全文お菓子のパッケージに揃うんですが、旧かな文字で揃えられているので、その…ですね、マッチャーさんにヒントをくれる女官、女官によっては、現在使われているかな文字、漢字やカナや数字、英語が苦手な人がおりまして」
マッチャーさんに気づかれる前に消えるので、ヒントを送っている最中に時間切れになる場合があり。
「このけふこえてだと、あっ、読めない、どうしようの戸惑いがなく、とりあえず最後までヒントを送ってくれるんですよ」
指でひたすら指してくれます。
「あとマッチャーさん、『けふこえて』が好きです」
ただたまに箱を開けたら、マッチャーさんか誰かがつまみぐいして、47文字揃っていないときがあるが。
(位置さえずれてなければ、その部分指してもらえば、意味はわかるし)
でもさすがに10個は食い過ぎだなと思いながら、指差しで作られる文章を覚えていった。
100メートル競技椅子は…
パン!
スタートが切られましたが、今回の競争の目玉というのはなんでしょうか?解説の桂木さん!
はい、桂木です。やはりマッチャーさんではないですかね、現レッドノーズでもあるマッチャーさん、今の相棒も勤めます。明神くんからの応援メッセージも届いてます、頑張ってください、マッチャーさん、壁は高いが挑む甲斐がある、頑張ってください!だそうです。
おおっと、何か進展があったみたいですね。マッチャーさんがトップ集団と接戦してますよ。この競争椅子という勝負は、体重が軽い方が有利とされているので、人間よりも軽い河川ザメはそれだけで有利とはされてますが。
そう簡単には勝たせてくれない、おおっと、なかなか前に出れないぞ。
あれはテクニックですね、これは真っ向から受けてたつという、絵面は地味かもしれませんが、勝負しているもの同士では認めてますよ、これ。
「なんか盛り上がってない?」
「そりゃあ、盛り上がってますよ、今までほら、この支部の競技椅子って、勝つ人はいつも決まっていたから」
「あのサメちゃんが来たからか」
「マッチャーさんですね、聞きました?花押のこと」
「一匹だけ何も起きなかったんでしょ?」
「はい、今も悪夢にうなされて通院する人がいる中で、何も起きなかったのがマッチャーさんだけですからね」
「職人さんにあの後、御朱印帳ではないけども、装丁したててもらった話までは知ってる、そのせいで心霊から害をなされることがないとか」
「花押を持ってる時だけですね、普段は持ち歩くなんて滅相もない、落としたら困ると自宅に置いてるそうです」
「それは意味がないんじゃ」
全く困ったサメだ。
「今、何か言った?」
「いえ何も?」
その間に競技椅子の決着がついたようだ。
ゴールテープは自分ではなく、目の前を走る者が切る。
この沸き上がる感情はなんなのだろう。
河川ザメにとって勝負の決着は生きるであり、死なので、敗北という感情を経験できるものは少ない。
「サッ」
また挑みに来る。
「ああ、待ってる」
サメに土をつける、それは友情の始まり。
「戦闘許可証持ちは連続して出場できないし、その間も激しい運動ができないから、手話や競技椅子に走りがちなんだもんな」
「もっと他にも出来ることで、楽しんでくれるものがあればいいんですが」
「それは未来に期待しようよ、とりあえずこれでやっていけるうちに、新しい手を考えていくべきだし、河川ザメがいると本気で挑んでくるから、この支部の競技椅子人口が増える可能性もあるし、明神のやつも…メッセージ送るなら、自分で見に来ればいいのに」
「ああ、明神さんも前はやってましたからね」
「あいつは競技椅子歴だけ見たら、あの中にいるやつらよりも長いし、KCJに来たのも最初それ目的だと思ったんだけども、別に競技椅子やるわけじゃないんだよな」
明神は戦闘訓練は受けているが、一般職。
新規プロジェクト、空き家問題人霊対策班所属である。
「あっ、マッチャーさんお帰りなさい」
空き家問題人霊対策班はまだ発足したばかりで、それこそ必要最低限のものしか室内にはない。
「サッ」
(サメって本当にわかりやすいな)
表情にも出るし、尾ビレがいつもより下がってる。
「マッチャーさんと勝負した人たちは喜んでましたよ」
「サッ」
「これからも挑んであげてください」
「サッ」
「ああ、そうそう、情報局からです、殺人事件があったそうなんですよ、まだ犯人は捕まっておらず、現場にも人霊の痕跡がないことから、犯人の元にいる可能性があると」
「サッ」
この場合犯人を恨み続けてそばにいる場合と、割合としては少ないが死後も犯人にとらわれている場合がある。
お茶でも飲むかと、マッチャーさんが準備するため後ろを向くと。
スッ
(うわ、現れたよ)
明神にだけ平安時代の装束を身に纏った、厳密にはその流れを組むそうだが、女官が現れた。
彼女は顔を隠しており、何かを指す。
それは机に並んだ資料の一部分である。
彼女はある高貴な存在に仕えており、その高貴な存在は最近サメを気に入ってるようで。
「サメの悩んだ顔など見たくはない」
だが、答えをそのまま教えると、それはちょっとという顔もするので、こうして女官が明神の前に姿を現したり、関係があることに対して指さしをする。
そういうことをしているのもマッチャーさんにバレると、文句が来そうなので、明神に見えるこの形でヒントをくれる。
(これでも早期決着にならないから、もしもヒントくれなかったらって思うとゾッとするよ)
「サッ」
明神の分もお茶を淹れてくれた。
「ありがとうございます、あっ、お菓子もあるんですよ、さっき情報局の人が持ってきてくれたんですが、「けふこえて」とかいうその人の地元の老舗和菓子で…」
この「けふこえて」が今回の事件以降この班に常備されることになる。
「けふこえてを常備したい?どうしてだね」
「はい、あれは「いろは歌」から「けふこえて」という名前をとったもので、47個入りを買うとそれこそ、いろは歌が全文お菓子のパッケージに揃うんですが、旧かな文字で揃えられているので、その…ですね、マッチャーさんにヒントをくれる女官、女官によっては、現在使われているかな文字、漢字やカナや数字、英語が苦手な人がおりまして」
マッチャーさんに気づかれる前に消えるので、ヒントを送っている最中に時間切れになる場合があり。
「このけふこえてだと、あっ、読めない、どうしようの戸惑いがなく、とりあえず最後までヒントを送ってくれるんですよ」
指でひたすら指してくれます。
「あとマッチャーさん、『けふこえて』が好きです」
ただたまに箱を開けたら、マッチャーさんか誰かがつまみぐいして、47文字揃っていないときがあるが。
(位置さえずれてなければ、その部分指してもらえば、意味はわかるし)
でもさすがに10個は食い過ぎだなと思いながら、指差しで作られる文章を覚えていった。
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