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よっ!上位存在
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注ホラーです。
薄暗い中、帰宅する。
それはいいのだが、最近困ったことがある。
「向こうからすれ違う人がみな顔がないという話でした」
そう、顔がないのだ。
中年男性が歩いてくる、歩いてくるのはいいのだが。
(あれ、今の人)
顔がなかったか?
すると向こうからまた人がやって来たなと思ったら、その人も顔がない。
「そして我々はその顔がない人が歩いてくるという歩道、その端に来ております」
地域の怪奇現象のお仕事を引き受けたりするのもKCJの大事な任務です。
「ゲストはこちら」
「サッ」
「人霊愛好家でおなじみの、河川ザメのマッチャーさんです」
「サッ」
本日はお呼びくださいましてありがとうございます、いや~楽しみですね。
「楽しみなんですか?」
「サッ」
害をなすことわけでもなく、ただ歩いてくるというのにロマンを感じます。
「ロマンですか」
「サッ」
そうなんですよ、形がくっきりしている人霊って感情が乗っていることが多くて、それこそ怒りや恨み、そのような感情が乗っている人霊というのは、暴力的だったりしますから、身の安全のために絞め技を使ったりします。
「河川ザメは人間と違って、人霊に触れますからね、よっ!上位存在」
「サッ」
そういう呼ばれ方は少し照れるというか、河川ザメは人類の身近な存在なので、サメちゃんとか呼ばれた方がうれしいです。
「なるほどそれでは私はマッチャーさんとお呼びします、それでよろしいですか?」
「サッ」
それでよろしくお願いします、本日はどうかよろしくお願いします。
あいさつも終わったところで調査に入る。
向こうから顔がない人が歩いてくるのを確認し、そのままマッチャーさんがそれに飛び付いた。
ガシッ
顔を見るためである。
人であるなら驚きもあるだろうが、向こうは人ではなく、河川ザメに飛び付かれても変わることなく歩き出して、小判鮫のようなマッチャーさんの観察、何かわかっただろうか。
「サッ」
これ近くに会社とかない?
「ありますよ、一件だけ、おそらくそこからじゃないかと、ありがちですが、ブラック企業で、移転したあとは使われていない建物で」
そこでその建物に我々は向かった。
「サッ」
これは大分お金に苦労させたね。
「わかりますか?」
「サッ」
焚きあげようの銀行券持ってくれば良かったな。
いわゆる現金本物ではないのだが、向こうで使うためという商品で、実際に銀行で売っている、お葬式やお盆のときになるとよく売れる、きちんとお札デザインだったりするので、現金よりはいくらか落ちるが、供養に使うと何故か効く。
「サッ」
自分が大事にされていることがわかるからじゃないかな、ロマンチストな考え方だけどもね。
「マッチャーさんぐらいですからね、暴力的ではない人霊に対しても協力的なのは」
「サッ?」
そう?だって可哀想じゃないか、なんでさ迷っているか自分でもわからなくなっているんだから、それならば助けてあげなくちゃ。
「サッ」
見つけた。
「何をです?」
「サッ」
歩いてくる原因、これだな、毎日たくさんの人がしかられたんだね、とぼとぼとあんな風に帰ることになった、もうそんなことはおきないのにね。叱られてまた帰るんだろうなというそれから顔がない人たちは生まれている。
マッチャーさんは手を、いや、ヒレを合わせた。
そして…
ボフ!
いきなり中空にドロップ尾ビレ。
「ええ!」
この展開に職員も困る。
「サッ」
いたよ、こいつだよ、原因。
「すいません、私には見えません、見えませんが、マッチャーさんが戦っている動きで、相手がいるのが見えます」
ヒレチョップが振り抜けないで、途中で止まる。
「サッ」
さんざんいい思いをしたから、執着が離せないんだ。
「サッ」
任せろ、離した方が幸せだって教えてやるぜ。
同行している職員も、戦闘許可証持ちである。
(やっぱり自分だと集中して、やっと微かにとらえられるぐらいだな)
小さな泡が沸き上がっているのが見える。
(あそこだろうな)
自分より持ち歩いている得物の方が特別製なのである、だから。
「そこ!」
刃を当てればそれだけで落とせる。
「サッ」
やるじゃないか。
一撃で元凶、その急所を切りつけた。
するとだ。
「空気変わりましたね」
「サッ」
おお、もったいない、もっと淀んだ暗いものを味わいたかった、深呼吸、深呼吸。
「そんなのマッチャーさんだけですよ、窓開けますからね」
そうして窓をあけると、気持ちのいい風が吹き込んできた。
(あっ、歩いている人もういない)
どうやら彼らは解放されたようである。
「なるほどご苦労だった」
「はい、それでは失礼します」
「いや、待ってくれ、しばらくKCJはこの問題については、マッチャーさんと協力を仰ぐことになった、それでだお前さんにはマッチャーさんと組んでもらいたくて、マッチャーさんもお前さんに関しては気に入っているようでな」
「わかりました、承ります」
人霊問題でお困りの場合、KCJから解決のために派遣される場合、マッチャーさんとこの職員のコンビがやってくることもあるでしょう。
「サッ」
「すいません、KCJから来ました、こちらは人霊愛好家のマッチャーさんです、本日はよろしくお願いします」
その場合は是非ともご協力を、KCJからなお知らせでした。
薄暗い中、帰宅する。
それはいいのだが、最近困ったことがある。
「向こうからすれ違う人がみな顔がないという話でした」
そう、顔がないのだ。
中年男性が歩いてくる、歩いてくるのはいいのだが。
(あれ、今の人)
顔がなかったか?
すると向こうからまた人がやって来たなと思ったら、その人も顔がない。
「そして我々はその顔がない人が歩いてくるという歩道、その端に来ております」
地域の怪奇現象のお仕事を引き受けたりするのもKCJの大事な任務です。
「ゲストはこちら」
「サッ」
「人霊愛好家でおなじみの、河川ザメのマッチャーさんです」
「サッ」
本日はお呼びくださいましてありがとうございます、いや~楽しみですね。
「楽しみなんですか?」
「サッ」
害をなすことわけでもなく、ただ歩いてくるというのにロマンを感じます。
「ロマンですか」
「サッ」
そうなんですよ、形がくっきりしている人霊って感情が乗っていることが多くて、それこそ怒りや恨み、そのような感情が乗っている人霊というのは、暴力的だったりしますから、身の安全のために絞め技を使ったりします。
「河川ザメは人間と違って、人霊に触れますからね、よっ!上位存在」
「サッ」
そういう呼ばれ方は少し照れるというか、河川ザメは人類の身近な存在なので、サメちゃんとか呼ばれた方がうれしいです。
「なるほどそれでは私はマッチャーさんとお呼びします、それでよろしいですか?」
「サッ」
それでよろしくお願いします、本日はどうかよろしくお願いします。
あいさつも終わったところで調査に入る。
向こうから顔がない人が歩いてくるのを確認し、そのままマッチャーさんがそれに飛び付いた。
ガシッ
顔を見るためである。
人であるなら驚きもあるだろうが、向こうは人ではなく、河川ザメに飛び付かれても変わることなく歩き出して、小判鮫のようなマッチャーさんの観察、何かわかっただろうか。
「サッ」
これ近くに会社とかない?
「ありますよ、一件だけ、おそらくそこからじゃないかと、ありがちですが、ブラック企業で、移転したあとは使われていない建物で」
そこでその建物に我々は向かった。
「サッ」
これは大分お金に苦労させたね。
「わかりますか?」
「サッ」
焚きあげようの銀行券持ってくれば良かったな。
いわゆる現金本物ではないのだが、向こうで使うためという商品で、実際に銀行で売っている、お葬式やお盆のときになるとよく売れる、きちんとお札デザインだったりするので、現金よりはいくらか落ちるが、供養に使うと何故か効く。
「サッ」
自分が大事にされていることがわかるからじゃないかな、ロマンチストな考え方だけどもね。
「マッチャーさんぐらいですからね、暴力的ではない人霊に対しても協力的なのは」
「サッ?」
そう?だって可哀想じゃないか、なんでさ迷っているか自分でもわからなくなっているんだから、それならば助けてあげなくちゃ。
「サッ」
見つけた。
「何をです?」
「サッ」
歩いてくる原因、これだな、毎日たくさんの人がしかられたんだね、とぼとぼとあんな風に帰ることになった、もうそんなことはおきないのにね。叱られてまた帰るんだろうなというそれから顔がない人たちは生まれている。
マッチャーさんは手を、いや、ヒレを合わせた。
そして…
ボフ!
いきなり中空にドロップ尾ビレ。
「ええ!」
この展開に職員も困る。
「サッ」
いたよ、こいつだよ、原因。
「すいません、私には見えません、見えませんが、マッチャーさんが戦っている動きで、相手がいるのが見えます」
ヒレチョップが振り抜けないで、途中で止まる。
「サッ」
さんざんいい思いをしたから、執着が離せないんだ。
「サッ」
任せろ、離した方が幸せだって教えてやるぜ。
同行している職員も、戦闘許可証持ちである。
(やっぱり自分だと集中して、やっと微かにとらえられるぐらいだな)
小さな泡が沸き上がっているのが見える。
(あそこだろうな)
自分より持ち歩いている得物の方が特別製なのである、だから。
「そこ!」
刃を当てればそれだけで落とせる。
「サッ」
やるじゃないか。
一撃で元凶、その急所を切りつけた。
するとだ。
「空気変わりましたね」
「サッ」
おお、もったいない、もっと淀んだ暗いものを味わいたかった、深呼吸、深呼吸。
「そんなのマッチャーさんだけですよ、窓開けますからね」
そうして窓をあけると、気持ちのいい風が吹き込んできた。
(あっ、歩いている人もういない)
どうやら彼らは解放されたようである。
「なるほどご苦労だった」
「はい、それでは失礼します」
「いや、待ってくれ、しばらくKCJはこの問題については、マッチャーさんと協力を仰ぐことになった、それでだお前さんにはマッチャーさんと組んでもらいたくて、マッチャーさんもお前さんに関しては気に入っているようでな」
「わかりました、承ります」
人霊問題でお困りの場合、KCJから解決のために派遣される場合、マッチャーさんとこの職員のコンビがやってくることもあるでしょう。
「サッ」
「すいません、KCJから来ました、こちらは人霊愛好家のマッチャーさんです、本日はよろしくお願いします」
その場合は是非ともご協力を、KCJからなお知らせでした。
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