浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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なんだこの綿棒は

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コンテストは71位という結果でした。
投票してくださった方、ありがとうございます。


「どうぞ、こちらにお掛けください」
そう促され、鏡の前の椅子に座る。
背もたれは倒され、蒸しタオルがやってきた。
「失礼いたします」
蒸しタオルが触れた瞬間、目は驚きを隠せずにいるのだが、タオルが巻かれると安心したのか表情が和らぐ。
「しばらくこのままでお待ちください」

今日は忙しかった、右へ左へ、ただ凌がなければならない、それだけの時間を過ごした。
ああ疲れた、疲れたと思ったら、浜薔薇が急に恋しくなったのだ。
混んでいるのかと調べてみると、そうでもなく、また本日からシャンプーをご注文のお客様には、綿棒での耳掃除をサービスいたしますとあった。
綿棒の新ブランド「なんだこの綿棒は!」とのコラボらしい。
なので、シェービングとシャンプーを頼んだ。
本当はフルコースと行きたいが、財布の事情もある。
敏感肌も安心なシェービングバブルが顔に均等に伸ばされた、指の腹が額に触れると、シャリ。
間を置いてから、シャリシャリと刃を滑らせていく。
「眉は後で整えさせていただきます」
そこまで言われると、数時間前まであんなに忙しかったのに、幸せを感じてしまうではないか。
厚みのある刃先がまぶたの上をなぞってくるとゾクゾクしながら、そんなことを考えていた。
(思いきって浜薔薇に来て良かった)
そう、浜薔薇は正義である。
それを強く信じれる、これが正義か!
シェービングの後は、肌をモチスベにされた、ついモチモチを触って楽しんでいたら。
「お客様、申し訳ありませんが、シャンプーを致しますので」
「すいません」
髪質に合わせたシャンプーメニューが広げられた。
定番も季節のものもいいが、ここは数量限定で攻めたい。
「いいか、浜薔薇のシャンプーは数量限定が狙い目だぞ」
ファンクラブの一人は熱く語った。
「いいもの使いすぎて、数量限定にしなければならないものが出てくるからな!」
そう勧めた会員の髪は艶めいている。
「明日、シャンプーラッシュ行くけど、その後誰か遊ばん?」
「俺もシャンプーラッシュなんで、どっか行くべ」
浜薔薇のファンクラブは新規会員を常時募集しております、耳掃除、シャンプー、シェービング、パックを愛する者たちが今日も愛を叫んでおります。
ザ~
整髪料や皮脂の洗浄が行われ、地肌ケアまでは共通である。
数量限定は数量限定がつくほど、トリートメント効果が大変に強いもので、浜薔薇から帰った後触りたくなること間違いなし!
「それでは綿棒失礼します」
「これはどこが違うの?」
「そうですね、おそらく見れば一回でわかると思うので、お耳を失礼します」

 あっ…


「はい、こちらになります」
「あぁ」
いかん、これで意識飛ぶところだった。
そんな私の目の前に先程まで耳の中をくすぐってくれた綿棒はというと。
「モッサモサ」
「そうなんですよ、この綿棒、耳の毛を取り除く力がすごくて」
綿棒に毛が突き刺さってとれるために、綿棒に毛が生えているように見える。
このサービスは本日からということで、もう体験した組が、現在ファンクラブのコメントで荒ぶっている。
「落ち着け」
その言葉で止まれない体験組は今日も力つきるまで綴ることになる。
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