浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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目に光

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『土曜日にサメ映画を見ようなんて奇特なあなた、我々だ!』
映画館ロビーにて、チケットの手続きをしようかと思ったのだが、ジャックされてしまったようだ。
『ふむふむ、あなたはI Love Japaneseを見に来たというわけだね』

I Love Japanese

キャッチコピーがサメ映画なのにおもしろい、日本人ばかりを襲うという恐怖のサメ映画である。

『君にはこちらから選択肢を差し上げたい』
カッ
そうすると、ロビーの照明が切り替わり、2つのシアターへの入り口が照らされた。
『Aコースは君が当館にやってきた理由、I Love Japaneseを見るという道だ』
『そしてBコースは本日この回のみの上映、
ノーフィッシュ映画祭において、クソ映画をさんざん見せられたニンゲン、観客たちのドキュメント』
『目に光!』
『どちらを選んでもいいが、くっくっ賢明な選択を楽しみにしてるよ』
『またね!』
上映まで後30分、この選択は重くのし掛かる。
この映画館は劇場型シネマ、観客もその出演者の一人になることもある。
(まさか自分の番が来るとは思わなかった)
何を見ようか、決めてきたのだから、迷うこともない…と言い聞かせながらも。
(気になる)
まだ何かある、あるような気がする。
そこにエレベーターから降りたお客さんがチケットを買おうとしたとき、そのお客さんもI Love Japaneseだったらしいだが、そのままチケットを買って、シアタールームに向かっていった。
(誰もが選択肢を突きつけられているわけじゃないのか?)
これなら一人で見に来ないで、誰か誘えば良かった。そう思うが、サメ映画を一緒に見ようという友人は彼にはいなかった。
(どうしようか)
それからも何人かいたが、みなI Love Japaneseのチケットの手続きをしては、そのままシアタールームに向かった。
(よし)
目に光を見てから、I Love Japaneseを見ることにしよう。
彼はそう決めた。
それが一番いいのだろう、そういって彼は目に光のチケットを購入して、シアタールームに向かうのであった。

『ここは浜薔薇の耳掃除です』

KCJには心肺蘇生法のグッズとして、こういうものがある。
『マッサージシート』
「はい、こちら、みなさんは心肺蘇生法の研修などは受けたことありますでしょうか?人工呼吸や心臓マッサージのあれでございます」
いきなり人を助ければならないとなったとき、あなたはできますか?というやつだ。
「これは現在よりも大分昔のことから始まるんですが、その時代心臓蘇生法で怪我をさせた場合は蘇生させようとした、助けようとした側が責任を背負わなければなりませんでした」
そのために助けることに躊躇うために法律が変わったらしい。
「このマッサージシートは、心臓マッサージする際に、力加減ってわからなくなるじゃないですか、これはシートに目印があって、押すと色が変わります、色が変わったら手を離す、そしてそれでも余計な力は分散することができるんですね」
KCJの職員は車内にこのマッサージシートを収納している。
「これで心臓マッサージにおいて、力入れすぎて胸骨を折るということを防ぐことができました」
そしてそのシートが今、浜薔薇にある。
「このシートを使って、タ…アンセルモさんがイホ デ ニコラスにマッサージを教えているようなんだ」
(そこは設定守らなくても、まあ、誰のことをいっているのかわかりますけども)
「でだ、傑、これをちょっと使って、イツモをマッサージ、あっ、ちょうど来たな」
そういってイツモを蘆根は抱き上げた。
「お兄ちゃんのマッサージの練習に付き合ってくれるかな?」
するとイツモは傑を見た。
「ok出ました」
マッサージシートはケットシーの場合だとそのままですが、お年寄りや子供の場合は、もう一回折って、さらに分散させて使うといいでしょう。
「じゃあ、やってみようか」
「わかりました」
ギュギュと手のひらで押していく。
ニャ~
「なるほど」
「通訳お願いします」
「これは気持ちがいい、マッサージとして効果が出る力加減というのはあると思うが、その中でもスッキリさせたい強め、うとうとしたい弱めがたると思う、そのどちらかは気分で決めたいのだが」
本当にそういっているのか謎だが、的は得ている。
「あにに(傑)は強弱が行ったり来たりするので、気持ちよすぎると起きちゃう、いきなり物足りなくなることがあるけども、このマッサージシートがあれば一定の心地よさがキープできる、じゃあ、眠い、寝る」
蘆根が通訳し終えると、イツモは瞼を閉じて眠り始めた。
「だそうだ」
「だそうだって言われても困りますがね」
そのまま15分ほどイツモへマッサージをしたが、マッサージが終わってもそのままぐっすりと眠っていて、起きる気配はなかった。
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