浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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お時間があればですが

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時間内にピタッとおさまるのも大事だとは思うのだが。
蘆根さんが気になるのならば、任せてみたいという気持ちはどこかにある。
そんな心が…
(ここは○だろうな)
とつけた。
「まずは拝見させていただきます」
この言い方は、もしかして、もしかしてあれ?なんじゃないかと、とうとう自分もそうなっちゃうのか、ワクワクしたら。
「お時間があればですが…」
「そりゃあもう是非に」
「わかりました、それでは精一杯務めさせていただきます」
するとだ。
「じゃあ、俺が髭を剃ったら、上がるからよ」
そしてまさかのタモツ先生である。
「!わかりました、お願いします」
「じゃあ、お客さん失礼します」
蒸しタオルにくるまれて、その間に準備をしているであろう物音があちこちから聞こえる。
シャカシャカ
泡立ててる音を聞いたときに、蒸しタオルがそろそろ終わることを予感した。
たっぷりとした泡が、ブラシによって塗られていく、毛先は少しくすぐったくもある。
そしてカミソリが、髪の生え際、額、鼻筋を通り抜けた時、興奮は最高潮を迎えてしまった。
毎朝髭剃りというのが必要になるのは、非常に面倒なもので、休みの日ともなれば、身なりを気にせずにゴロゴロとしたい方である。
しかし、浜薔薇を知ってしまった今は、申し訳ないが髭は多少伸びたり、耳もそろそろ耳掃除をした方がいいんじゃないか、その辺りでいたすというのが一番気持ち良かった。
(人間変われば変わるものだな)
それこそ最初は遠慮である。
汚いままで来てしまってすいません、そんな気分であるが。
俺よりも未来に生きているであろう人たちを見てしまった。
そう、ファンクラブの人たちである。
あの人たちは己の快楽に正直であり。
むしろ…
「すいません、予約はしてないんですけども…」
久しぶりに耳掃除、シェービングするようなお客さんにも、おお!と期待しているところがある。
理容サービスを受けるまでおとなしく並んで待っている、あの後ろにあるソファーは、S席と呼ばれ、そこに座って、タモツ先生や蘆根さん、傑さんの技や仕事を見学して楽むというのが、彼らの人生にとっては大事な娯楽、そしてもう切り離せないものといったところであろう。
首筋に刃物が当てられて、す~と走る。
ツルツルとなった肌は暑くなるとありがたい、あまり言いたくはないが、臭うのである。
マメに洗ってはいるが、やはり柿渋のお力を借りればいいのだろうか。
とりあえず毛があると臭う、それは確実で、寝る前に、その臭いがすると、結構へこむ。
洗剤も変えるべきなのかな…
蘆根さんが耳を掃除し始める。
カリカリ
そんなに中は入ってないだろうなと思っていたが。
カリカリ…
まさか、蘆根さんでも苦戦するような物体がいるんですか!
バカな、そこまで…
ヌルン!
その時抜けた音がした。
いました、すいません、でも抜けたときすごい気持ち良かったです。
汗をかいた分耳垢の成長が早く、乾燥した耳なのにヌルッとした脂の影響を受けたものが詰りかけていたようだ。
大きめのものを片付けて、耳毛を剃った後に、耳の外側と後ろを洗ってもらった。
浜薔薇で洗ってもらうと、やっぱり違うんだよな。
本当にどうにかしたい。
マッサージに移るので、足湯タイム。
お茶もいただく。
やっぱり暖かいものいただくと、汗かいてくるな。
着替え持ってくれば良かった。
まずは背中から、したしだ、背筋を伸ばしてもらったときに、お腹が鳴った。
ここに来る前に、食事は軽くとったのだが、もしかして動いたというやつか。
仰向けにもやってお腹を軽く押してもらい、全身に活力が吹き込まれていくような感覚があった。
「お疲れ様でした」
「ありがとうございました」
今すぐお風呂に、そうだ、ベストフレンドの湯、まだやってるよな。
そのまま浜薔薇から出ると急いでベストフレンドの湯まで向かった。

「ただいまイツモ」
そういって家に戻ると、イツモはささっと顔を見せてくれる。
「お前、今日たくさん頂いたんだって?」
イツモを抱き上げるとそのままお腹のマッサージをし始めた。
みゃ~
「でもあんまり無理するなよ」
浜薔薇の王子として振る舞っている時があるので、家族としては心配なのだ。
みゃ~
ファンクラブ内外から実家猫扱いを受けているのがイツモであり、そんなイツモに会いたい人がキャットフードを大量に携えてやってきた。
「王子、お久しぶりでございます」
疲れも見えたので、波里が衛生班のお風呂貸しきりを勧めた後、お風呂上がりの休憩室に、イツモとちょうど居合わせたニヤリの二匹に挟まれ。
「あああああ、にゃんこ、にゃんこ!」
仕事のストレスが限界を迎えていたようで、そこで欲望を解放させた。
「蘆根さん、足つぼをお願いできますか?」
「わかりました」
解放させたところに蘆根の足つぼ、これで抱えていたストレスが滝のような勢いで体から流れていった。
次の日、昨日はあれからどうしたんだよ!と心配されたが。
「えっ?なんの話だっけ?」
と逆に聞き返したら。
「大丈夫?今日休む?」
今まで見たこともないぐらい優しくされた。
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