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立派な角のポーズ
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えっほえっほ…
そんな掛声が似合いそうなことが起きている。
手足を拘束された人間たちが、河川ザメにかつがれていた。
その中には見知った顔もある、東司だ。
『確保した者はこちらへ』
日本語とヒエロサメグリフで書かれた看板が立っている。
中には他のサメよりも屈強な体つきのサメがいて。
「サッ」
何かをいうと、確保した人間をおろして、人間の持ち物を漁りだす。
がさっ
目当てのものが見つかったようだ。
『第4半期第10週目更新試験参加者』
という文字と顔写真と名前がついている、いわむるIDカード。
それを屈強なサメに渡すと、ピッと読み取られた。
するとそれを見た捕まっている参加者の一人が。
「この更新試験落ちるわけにはいかんのだ!!!」
暴れ始めた。
しかし、武装などは取り外され、先に一ヶ所に集められているし、拘束用のテープで手足が縛られているので。
ペタ
拘束用お口テープを貼られる。
これで静かになったのだが。
『ドーン』
その数分後、捕まえた人間を確保している部屋が爆発した。
「何があった」
「今、調べます」
「わかりました、取り上げた武器を遠隔破裂させられました」
「そこまでする?」
「破裂させたのはうちの東司です」
「えっ?東司?」
意外に思う者もいれば。
「これだから異世界転移経験者は」
どんなにおとなしくても、冷静でも、異世界転移経験、帰還者は、生き残るために過激な方法をとる場合があるとされている。
「爆発に巻き込まれた人間もいますが、サメがあちこちに吹っ飛びました」
「河川ザメ、体軽いからな」
そして頑丈なために無傷なのだが、爆発よりもサメが叩きつけられたことで、建物に損害を出した模様。
「何人かが爆発に乗じて退避したようです」
「今回の更新試験、サメの選抜も兼ねているが荒れすぎだろう」
KC認定の戦闘許可証というのは、民間の資格ではあるが、職員だけではなく、一般の人たちも受けることができる。
さすがに未経験者は書類ではじかれるが、どこそこで修行しましたや異世界に転移しましたなどの経歴があると、すんなりと試験のお知らせはやってくるのであった。
そして一度取得しても期限内に試験を受け直し、延長しなければ失効となる。
失効のペナルティもなかなか重く、半年の試験の再受験の禁止と、ハンデマッチ研修などがあり、あまり失効するものがいないほど。
そして試験は一月ごとに変更になり、情報の収集は認められているので、その月の一週目を受験したものたちが一斉に、公開、ざっとは無料で、より細かくは有料でといった形になるから、これを小遣い稼ぎにしているものもいれば。
「知らないから楽しいんじゃないか」
というタイプもいる(結構多い)
東司燭は今回無事に更新はできはしたが。
「大分暴れたようで」
同僚が笑っている。
なぜならKCJの支部内で報告書を書く羽目になったからだ。
「コートとスーツがダメになりました」
「えっ?」
そう言われる原因は。
「東司くんのスーツさ、確かドワーフの」
「そうです」
このダメにしたっていう東司のスーツとコートはですね、ドワーフ達が羊の世話から初めて、織ったもので、『ヴェーガ』って名前がついているオーダーでなければ、気に入った客にしか出さない生地のシリーズなんですよ。意味はドイツ語で織姫、星の方の名前がつけられたもので、いきなりアクションしなきゃならない時でも、動けるし、丈夫なものなんですよ…
「あれ?どうしました?波里さん」
「いえ、ちょっとね」
ただいま10週目の引き継ぎ中であった。
「それでは11週目の変更点は以上でよろしいですね」
「はい、お願いします」
毎月変わる試験というのは、情報収集されることを前提にしているので、毎週難易度が上がるのである。
「あ~あ~受験者のみなさまこんにちは、今回試験の進行を勤めさせていただきます、本日は1日よろしくお願いいたします」
そして発表されるスケジュール。
「まずみなさんには鬼ごっこをしてもらいます」
もちろん11週目、この月の三週目なので、鬼ごっこをするは受験者には伝わっているはずだ。
「誰が鬼を勤めるかおわかりかと思いますので、それでは鬼のみなさんに登場していただきましょう」
そこでゾロゾロと現れる河川ザメたち。
「うわ…」
受験者の誰かが声を出してしまった。
「えっ?」
でも半分はその意味がわかっていように思われる。
「あれだよ、あれ、トナカイと言えば?」
「立派な角?」
顔見知りがヒントをくれるが、立派な角のポーズで返すと。
「赤い鼻だよ、あの見た目から違う屈強なサメ、レッドノーズっていう選ばれしサメだ」
「はい、そちらの方、その通りです、今回の試験は河川ザメのみなさんの協力を得ておりますが、今週はレッドノーズを含む、各河川で選抜試験を、先週の試験で兼ねさせていただきました」
そのためにサメたちの顔ぶれも似かよったものではなく、本当にあちらこちらの川出身のサメらしいのが見てとれるではないか、
「それではサメのみなさんには配置についていただきます、配置についてから準備が出来しだいスタートとなりますので、みなさんご準備願います」
受験者達は緊張しているが、一方鬼を勤めるサメたちはというと。
「なんかわからないんですが、パートナーを見つける場になっているようです」
「はっ?」
KCJの職員は理解に苦しんだ。
「クラックさんいますよね」
クラックさん、レッドノーズでも有名なサメ、病院を狙ったバカ野郎達から医療従事者かばったことで、サメ肌がひび割れて、そこからクラックという呼び名がついたサメ。
「彼女が出来まして、話聞かせてもらったら」
あなたの狩る姿、隙がなくて素敵。
君は獲物の仕留め方がとってもキュートだ。
「なんて感じで、強さを見せることによって恋が生まれていると」
「そうだもんな、河川ザメ強いとモテるとかいうものな」
そして個性が顔形や性格にも現れると、狙われやすくなるからモテないとされる。
…ということは、おっちゃんは?
フッエックション!
「何?おっちゃん風邪?それとも」
「まさか!」
不思議なことにちょうど同時刻に西にお住まいの笑いを愛するサメはくしゃみをしたという。
11週目の試験は爆発などは起きはしなかったが、合格者が一桁とかなり厳しいものとなったのだが。
12週目に至っては合格者は0になる。
「絶対にここは捕まえてやるって思ったんで、難易度をあげるためにどうしようかなって、だからサメ達に受験者一人確保につき、芋10キロボーナスにしたんですよ」
そのためにもはや河川ザメには受験者が芋にしか見えず。
「やりすぎてしまった」
試験の責任者(異世界転移経験者)は報告書を書くことになったという。
そんな掛声が似合いそうなことが起きている。
手足を拘束された人間たちが、河川ザメにかつがれていた。
その中には見知った顔もある、東司だ。
『確保した者はこちらへ』
日本語とヒエロサメグリフで書かれた看板が立っている。
中には他のサメよりも屈強な体つきのサメがいて。
「サッ」
何かをいうと、確保した人間をおろして、人間の持ち物を漁りだす。
がさっ
目当てのものが見つかったようだ。
『第4半期第10週目更新試験参加者』
という文字と顔写真と名前がついている、いわむるIDカード。
それを屈強なサメに渡すと、ピッと読み取られた。
するとそれを見た捕まっている参加者の一人が。
「この更新試験落ちるわけにはいかんのだ!!!」
暴れ始めた。
しかし、武装などは取り外され、先に一ヶ所に集められているし、拘束用のテープで手足が縛られているので。
ペタ
拘束用お口テープを貼られる。
これで静かになったのだが。
『ドーン』
その数分後、捕まえた人間を確保している部屋が爆発した。
「何があった」
「今、調べます」
「わかりました、取り上げた武器を遠隔破裂させられました」
「そこまでする?」
「破裂させたのはうちの東司です」
「えっ?東司?」
意外に思う者もいれば。
「これだから異世界転移経験者は」
どんなにおとなしくても、冷静でも、異世界転移経験、帰還者は、生き残るために過激な方法をとる場合があるとされている。
「爆発に巻き込まれた人間もいますが、サメがあちこちに吹っ飛びました」
「河川ザメ、体軽いからな」
そして頑丈なために無傷なのだが、爆発よりもサメが叩きつけられたことで、建物に損害を出した模様。
「何人かが爆発に乗じて退避したようです」
「今回の更新試験、サメの選抜も兼ねているが荒れすぎだろう」
KC認定の戦闘許可証というのは、民間の資格ではあるが、職員だけではなく、一般の人たちも受けることができる。
さすがに未経験者は書類ではじかれるが、どこそこで修行しましたや異世界に転移しましたなどの経歴があると、すんなりと試験のお知らせはやってくるのであった。
そして一度取得しても期限内に試験を受け直し、延長しなければ失効となる。
失効のペナルティもなかなか重く、半年の試験の再受験の禁止と、ハンデマッチ研修などがあり、あまり失効するものがいないほど。
そして試験は一月ごとに変更になり、情報の収集は認められているので、その月の一週目を受験したものたちが一斉に、公開、ざっとは無料で、より細かくは有料でといった形になるから、これを小遣い稼ぎにしているものもいれば。
「知らないから楽しいんじゃないか」
というタイプもいる(結構多い)
東司燭は今回無事に更新はできはしたが。
「大分暴れたようで」
同僚が笑っている。
なぜならKCJの支部内で報告書を書く羽目になったからだ。
「コートとスーツがダメになりました」
「えっ?」
そう言われる原因は。
「東司くんのスーツさ、確かドワーフの」
「そうです」
このダメにしたっていう東司のスーツとコートはですね、ドワーフ達が羊の世話から初めて、織ったもので、『ヴェーガ』って名前がついているオーダーでなければ、気に入った客にしか出さない生地のシリーズなんですよ。意味はドイツ語で織姫、星の方の名前がつけられたもので、いきなりアクションしなきゃならない時でも、動けるし、丈夫なものなんですよ…
「あれ?どうしました?波里さん」
「いえ、ちょっとね」
ただいま10週目の引き継ぎ中であった。
「それでは11週目の変更点は以上でよろしいですね」
「はい、お願いします」
毎月変わる試験というのは、情報収集されることを前提にしているので、毎週難易度が上がるのである。
「あ~あ~受験者のみなさまこんにちは、今回試験の進行を勤めさせていただきます、本日は1日よろしくお願いいたします」
そして発表されるスケジュール。
「まずみなさんには鬼ごっこをしてもらいます」
もちろん11週目、この月の三週目なので、鬼ごっこをするは受験者には伝わっているはずだ。
「誰が鬼を勤めるかおわかりかと思いますので、それでは鬼のみなさんに登場していただきましょう」
そこでゾロゾロと現れる河川ザメたち。
「うわ…」
受験者の誰かが声を出してしまった。
「えっ?」
でも半分はその意味がわかっていように思われる。
「あれだよ、あれ、トナカイと言えば?」
「立派な角?」
顔見知りがヒントをくれるが、立派な角のポーズで返すと。
「赤い鼻だよ、あの見た目から違う屈強なサメ、レッドノーズっていう選ばれしサメだ」
「はい、そちらの方、その通りです、今回の試験は河川ザメのみなさんの協力を得ておりますが、今週はレッドノーズを含む、各河川で選抜試験を、先週の試験で兼ねさせていただきました」
そのためにサメたちの顔ぶれも似かよったものではなく、本当にあちらこちらの川出身のサメらしいのが見てとれるではないか、
「それではサメのみなさんには配置についていただきます、配置についてから準備が出来しだいスタートとなりますので、みなさんご準備願います」
受験者達は緊張しているが、一方鬼を勤めるサメたちはというと。
「なんかわからないんですが、パートナーを見つける場になっているようです」
「はっ?」
KCJの職員は理解に苦しんだ。
「クラックさんいますよね」
クラックさん、レッドノーズでも有名なサメ、病院を狙ったバカ野郎達から医療従事者かばったことで、サメ肌がひび割れて、そこからクラックという呼び名がついたサメ。
「彼女が出来まして、話聞かせてもらったら」
あなたの狩る姿、隙がなくて素敵。
君は獲物の仕留め方がとってもキュートだ。
「なんて感じで、強さを見せることによって恋が生まれていると」
「そうだもんな、河川ザメ強いとモテるとかいうものな」
そして個性が顔形や性格にも現れると、狙われやすくなるからモテないとされる。
…ということは、おっちゃんは?
フッエックション!
「何?おっちゃん風邪?それとも」
「まさか!」
不思議なことにちょうど同時刻に西にお住まいの笑いを愛するサメはくしゃみをしたという。
11週目の試験は爆発などは起きはしなかったが、合格者が一桁とかなり厳しいものとなったのだが。
12週目に至っては合格者は0になる。
「絶対にここは捕まえてやるって思ったんで、難易度をあげるためにどうしようかなって、だからサメ達に受験者一人確保につき、芋10キロボーナスにしたんですよ」
そのためにもはや河川ザメには受験者が芋にしか見えず。
「やりすぎてしまった」
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