浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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つさそひこ

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「それでは挑戦者、山宮殿!」
「メニューはなんでしょうか?」
「お茶漬けです」
ザワザワザワ
「バカな格式の高いこの場でお茶漬けを出すだなんて」
「ここをどういう場だと思っているんだ」
「なんじゃなんじゃ騒がしいの」
幼女がふらっと神聖なる勝負の場に姿を現した。
「あなたは」
「おキツネ様!」
「ヌシ」
「はい」
「ただのお茶漬けではあるまい、いやこれは言葉通り、お茶を漬けたものか」
「はい」
「お茶をつけるだと」
「生の葉のままか」
「はい、塩味のバランスに苦労しました」
「そうか、そうか、はっはっはっは」
幼女は笑い出す、すると周囲にいた大人たちは動揺する。
「いや~何々面白いわ、最近の勝負はどうもな、頭が固いやつらが決めておる、こんなに面白いものがまだまだあるのに認めやせんからな、ワシはこっちに票をいれるぞ、食べてみたいからな」
「おキツネ様、それでは示しが」
「食べてみたいんじゃからしょうがあるまい、じゃが他には口出しせぬは、ではの、山宮」
今おキツネ様が口にしたように、この勝負自体が名誉枠、縁故関係で勝者が決まっていたものであり、山宮が挑むのはそもそも筋違いとされていたが。
「この勝負分けとし、挑戦者山宮にも奉納のメニューを作ってもらうこととする」
これは伝統というものに針の穴を開けたという始まりであり。
(ここからあちこちから挑むものが増えればいいのだが)
山宮は古き場所に風を吹かすことは出来るのだろうか。


本日の浄水センターは仕事初めである。
「カニー!」
「カニ~さん」
「カニカニ」
「チョキチョキ」
「おい、馬鹿やめろ」
手でハサミを作って裾挟んできた同僚に切れた。
みんなカニカニいっているが、今日のお昼はカニ汁が来るのでこんなにテンションが高い。
カニ?川におるで?
「おっちゃん、そのカニさんじゃないよ、うまいやつ、冬の女王って言われるようなやつよ」
こちらでは二月に旬とされているが。
「北の方ではとれてますし、お正月過ぎると値段が下がりますし、でもあれですかね、みなさんカニに飽きてますかね?」
「カニは飽きん、それがカニや!あっ、堪忍な」
KCJの職員はこっちの人ではないから、ちょっと変な顔をしていた。
(あかん、あかん、所長から調子にのったらあかん言われてたんや)
それが原因で切られても、ワシは知らんぞ、はいそうですか、今までありがとうございましたで終わらせるからな。
「しかし、すんませんな、わざわざ」
「みなさんが炊き出しを実際に調理している支部のメニューを見ていて、美味しそうといっておりましたから」
そう、浜薔薇出張所と浄水センターでは炊き出しでもかなりメニューに違いがあり、そのメニューの確認は浜薔薇出張所のブログか、炊き出しやキッチンカーのファンのブログを見るとわかる。
「年末に本マグロのネギトロとか出してて、それがうらやましゅうて」
ええな、ええなといったら、カニが来ました。
そしてカニタイム。
ボリボリ
おっちゃんだけはサメなので、殻まま食べます。
「ええ音やな、そして旨い、プリプリや」
殻も柔らかくしとるよ。
「さすがにそれは食えん」
味の秘密は蟹殻酢、これを使うと殻から出汁が出やすくなるし、殻も柔らかくなりますが、人間が食べるものじゃないです。

『三が日過ぎたら捜査員 猫!』

「不法侵入者がいるみたいなんですよ」
そういって写真に窓の内側からこっちを見る三毛猫である。
「どうして中に入ったのか、入るにはパスワードがいるんですけども、一斉変更するにも使われたパスワードの人だけ変更してほしくて、ネコさんならどうにかなりませんかね?」
「さすがにそれはネコさんでも、ネコの指紋があれば」
「それがガチャガチャ触っているので」
「なるほど」
などと話していると。
ピッ!
ネコはあけてしまう。
「ええ、どうやって、もう一回、もう一回お願いします」
一回閉めてからもう一度。
「つさそひこ?なんですか?それ」
「あっ」
セキュリティ担当の人は気づいたようだ。
「かな入力、上から四列目、左からいれるとそう…なります、かな入力のスタッフ、はい、ありがとうございました、解決です」
すぐに誰のパスワードが使われたのか割り出され、パスワードの変更が行われたという。

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