浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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日長魚

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「というわけで、KCJさんがうちの所の水を買ってくれることになったから」
「KCJさん、太っ腹やな」
「ヨッ!」
「ほんでな、役所でその様子、取材入るんで、うちからは私とイサリ、お前も参加な」
何着ていこう。
「おでんは禁止な」
「先に言われたな」
「どうする?他におっちゃんと言えば」
宇宙を感じさせるキンキラ(サメタイツ)
今日は野生を思い出して豹(サメウェア)
「ぐらいしかないよ」
「さすがに災害救助の時の奴は無理だし」
「ちゃんと用意してある」
おっちゃん用フォーマルと作業ジャケット。
「今度からなんかあったら、これ着てくれ」おおおおおお!
「感激しとる」
「このままやと、おでんで突撃しそうだったからな」
もちろん、作成はおでんを作ってくれたあの人です。

『ここは格好いいサメがいる浄水センターや!』

本日は冬至である。
「どーもKCJです」
炊き出しは本日もきっちり届けられるのだが、キッチンカーでやってきたということは。
「今日は冬至ということもありまして、地域の伝統に則りました(浜薔薇がある地域ではない)」
その地域ではない冬至の日に、対する日、この場合は夏至に仕込みをしたものを食べて、元気にすごそうとする風習があるらしい。
「日長魚(ひながのさかな)というものをそれでお持ちしたんですが、名前だけは聞いたことがある、そちらの地域でのお酒、純米酒の酒粕を使ったものと、天日にさらして旨味ぁぎゅっとつまった干物の二種類をお持ちしたんです」
「ということはまさか…」
「はい、どちらかを選んでもらうと、一方が先に品切になりましたは、残った方で対応させてもらうということで」
「これは争いの予感やで」
「それと確認なのですが、明日はケーキをお持ちすると」
「はいはーい僕です、お願いします」
そうなんです、KCJは誕生日になるとケーキを用意してくれます、しかもホールですよ。
「さすがにこれは全員分はな…」
ただそんな意見はありましたが、部署ごとで食べるということになりました。
血の雨が香る討論、すごかったです。
「でも本当にうれしいわ、クリスマス近いとな、だいたい一緒なんやて!」
そこで同僚の、そういうのとは無縁の毒親持ちと目が合いまして。
「ごめん」
「気を使われると、余計に困るわ!」
「でも、前まではこいつひねくれおったからな」
それがKCJさんから。
「もしもこちらをおやめになりましても、世界の果てまで誕生日ケーキはお届けにあがります」
異世界じゃないでしょ?この世界でしょ?お届けするのは楽だわ(スカイフィッシュを倒しながら)
「そこまで言われてから、ようやくこいつも素直におめでとう言われてから、ありがと返せるようになったんやで」
「あそこまで言われたら、腹くくるしかないでしょ」
ケーキはカタログや今まで作ったものの写真もございますので、こちらを参考にしてご注文ください。

『えっ?こんないい話の後にホラー展開やるんですか?』

キャハハハ
その時確かに波里の耳に笑い声が聞こえた。
波里の耳は普通である、その耳に聞こえたということは。
(確認しないわけにはいかないでしょうよ)
何かが起きてる、たいしたことがなければいいのだが。
チョン!
まず目に入ったのはサメである。
そしてサメはモヤに包まれている、そのモヤは人の顔が浮かんでいるように見えた。
ナンナンダヨテメーワ
サメに向かってそれは言われているようだが、波里の耳には聞こえず、唇を読む。
バシン!
言い終えたあとサメは人霊にビンタした。
ああん?
なんでビンタされたのかわからない、そもそも一方的にこちらが有利なはずと思っているから、状況も飲み込めない。
バシン!
そこでもう一発ビンタが入る。
この野郎絶対に!
ドス
サメの頭突きが入った、モヤは散っていく。
波里を見つけた、目があった。
「サメェェェ」
この種類のサメは発声が苦手であるが、波里はこの鳴き声は友好的なものだとわかった。
「ううううう…」
そこにうめき声。
倒れている人に波里はかけよると。
「ああ、なんかいきなり引き釣りこまれて、サメが助けてくれた」
そのまま警察と救急に通報し、こちらの素性を伝えてから、浜薔薇出張所へ向かった。
「災難というかなんというか」
「まあ、こればっかりはしょうがないですよ」
「しかしサメは頼もしいな」
「はい、本当にそれは思います」
先日のツアーの話で、ツアーに参加しているサメはみな強く好奇心があるという。
「でなければ陸上に来ないだろう」
「ただ彼らの言う、人霊への扱いが、可愛そうになるぐらい圧倒してますもん」
存在すれば鑑賞され、襲ってきたらぼこぼこにする。
「強さで言うなら値は千で、それが30匹か」
「いえ、33匹ですね」
その場にいなかった三匹はオプションのエステで後で合流だそうだ。
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