浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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2th アルバム fair lady 予約受付中

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「リーダー…」
「相談とはなんでしょうか…」
「すごい…聞きにくいことなんですが、体臭予防のボディソープって何を使えばいいんですか」
……間があってから。
「こだわりがなく安く済ませるならこういうのがありますよ」
そういってカタログを見せてくれる。
「安ぃ!300円しないんですけども」
「あ~だいたいこういうのって高いですからね」
「そうなんですよね、千円ぐらいするのもあって、なんかちょっと高いのかなって思ったら、いつものちょっと高いところじゃなかった」
「そういう人は多いですかね、毎日使うものだし、良いものを安く使った方がいいですよ、それで浮いたお金は自分の好きなものに使えばいいと思います」
例えばベリカンドールとかね!
シャンパーのリーダーは、アイドルグループ『ペリカンドール』を応援しています。
「まぁ、これ元々蘆根さんから教えてもらった奴なんですよね」
それなら間違いない効果を期待できるだろう。
「お風呂は入っておいた方がいいですよ、でもな…」
「どうしました」
「お風呂を入っているという理由で、まとめ役になることもあるから…」
「風呂に入っているだけで?」
「そう、風呂に入っているだけで…とりあえずサンプルもファンクラブで預かってますので、これを使ってみてください」

『ペリカンドール 2th fair lady予約受付中』

「シャンパーは、リーダーがペリカンドールことペッツィのファンであることもあって、みんな騎士なんですよ」
アルバムのタイトルで、シングル曲でもある、fair ladyというのは、騎士などの愛を受ける女性を意味する。
「リーダー!」
「どうしましたか?」
「サンプルいただいたんですけども、使ってみたら全然違いました、洗濯物の臭いまで違いました、前まではお湯で洗わないとダメだったのに」
「そういうのは洗剤だけに任せない方がいいですよ、それこ体を洗うものもそうですし、寝具とかもね、気を付けるというか、今は本当に便利なものが出てますから」
「寝具か…うち朝すごい寒いんでよね」
「KCJが先日寝具を配布したんですが、知ってますか?」
「知ってますけど…それが?」 
「こちらを」
気温計を渡した。
「それで室温が赤以下になってるようならば、寝具を申請してください、書類はこちらにありますから」
「?」
「その寝具があれば、朝寒くて出れないとかじゃないですから、熱い!っていって布団から出れますから」
「そんなにですか」
「そんなにですよ」
「そんなになるよ!」
「そんななんだよ」
いつの間にかシャンパーは増えていた。
「浜薔薇出張所の辺りは夏暑く冬寒いので、ブログとかに、配布寝具の効率的な使い方とか載ってるから、これを見ていただければいいですね」
「というか、KCJさんは太っ腹というか」
「あそこはですね、お金を使うところを探していますからね」
「ええなんです、その金持ち発想、じゃあくださいよ」
「公益の団体に、私腹を肥やすための考えを持っちゃダメですよ」
「す、すいません」
「KCJはね、ゆるいようだけども、そこだけは決して譲らないですし、私も前までは出張してましたからね、話を聞いたことはありますけども、ああいうところですから、旨そうだと色んな人間がよってくるそうではありますが、あそこは…出張所のお二人見ればわかるでしょ、二人ともただ者ではないないと」
「山の訓練あるって聞いたんですけども」
「あるようですよ、遭難者の救援に協力とかもしてますし、山の整備、木材の盗難や火事の防止なんかのために、そういう人たちもいるんですよ」
「あそこ、なんでもできるイメージがありますよね」
「でも自分から何かするっていう方ではなく、王子を見てもそうは感じないでしょうが、ビタンさんとニヤリさんを見る限り、穏やかな生活が一番だと思っている集まりですかね」
ふぁぁぁぁぁ
ビタンがあくびをした。
最近は寒くなったので、カラスを取るのも楽だという。
寒くなるとここに集まって凌ぐという場所が何ヵ所かあり、そこの下というのは、壮絶な生臭さにもなる。
「家の外壁とか車が糞でとんでもないことになるんですよ」
そのためにアパートが多い地域ではあったが、そこを選ぶ住人が少なくなった。
「前までは家賃とか、近くにスーパーがあったりしたから悪くないだったんですがね」
秋冬に鳥害が起きるようになってから、本当に減ってしまったのだが…
電線にはカラスがずらり。
スッ
ケットシー三匹がそれぞれの場所から同時に姿を現すと、カラス達は飛び立とうとする…がその時にはもう…
バシ!
鳥の鳴き声が重なる中で確実に落としていく。
「ここら辺は田んぼはありませんけども、田んぼが近くに多い支部だと、稲刈りの寸前になると、カラスが並び出すので」
狙い時。
「100近いカラスなので一回で全部は無理なんですけども、そういう機会ごとにどんどん減らして行くので」
猟師に頼める時もあるが、ケットシーだと民家が近いところでも動けるのである。
「カラスも大変だよな」
上に逃げればいいと思うだろ?
バッ
他のケットシーを踏み台にして、カラスの上を取るし。
「猫と違って障壁がありますからね」
その障壁は生物が作り出す鉱物、バイオミネラルの一種であり。
「蟻のように菌やウィルスから身を守り、ウニ並の硬さですかね」
構造としてはよくわかってないが、高いところから落ちてもこの障壁があるので、ケロッとしていたりする。
「でも高いところから落ちた時に、旨い子は来るっと回って障壁を使ってるのか、使ってないのかわからない、下手な子は出してますねってすぐわかりますね」
家族である猫や人と一緒に暮らしているケットシーは、障壁をあまり使いこなせないところがある。
「使うと相手を怪我させちゃうのわかってますからね」
野に住み熊を吹き飛ばすような生活しているケットシーは、使い方がとても上手いというか。
「確保がまず大変なんですよね」
敵ならば人でも構うものか…という精神だと、いつ事故が起きるがわからないからである。
「 そういえばリーダー、ビタンは全然その障壁って使ってないと思いますが」
「彼はボディプレスが好きなので、障壁は使わない方向なんですよ」
最近はファンクラブの人間ならば遊んでくれるということで、支部ではなく浜薔薇出張所にいることも多くなった。
ボス!
蘆根の背中に落ちてくる。
「ビタンって落ちても大丈夫な人を選んでますよね」
「たぶんそうだよな」
蘆根は落ちても大丈夫、ただイツモがいないときに限る。
トテトテ…
おや、イツモが帰ってきたが。
「この顔はわかってますね」
イツモはビタンをじっと睨んで、目を離さない。
ピリリとした空気が生まれ始めた。
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