浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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まぁ、なんて素敵なおでん…

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世間ではクリスマスの飾り付けが始まり、早いところではお正月の話も出ている、そんな時期である。
「おっちゃん、さすがにそれは無理やわ」
サメ体型が憎い!
クリスマスのサンタやトナカイなどの衣装を身につけた職員たちがいるなか、おっちゃんも混ざりたいと思ってはいるのですが、サメの体には合うものがなく。
「毎年雑にクリスマス風にはしとるがな」
去年のおっちゃん、クリスマスカラーのLEDを巻いてみました。
「目が痛かった」
「ほんまやな」
「その前はサメタイツだったか」
アルミの表面でいつもとは違った印象を与えます。
「あれ着たまま逆バンジーやるというインパクトがでかくて」
飛んでいく姿が、宇宙人扱いやったな、ススムから次はないよって言われたわ。
しょうがないので、アルミ表面のサメタイツを着こんで。
カシャッ
撮影。
「背景だけ宇宙に変えたわ」
年賀状にもなりました。
「おはようございます」
ここでやって来たのは浜薔薇で見たことがある顔である。
シャンプーメーカーの方じゃないか。
「おはようさん」
「よく寝れた?」
「寝れました、寝れました、あと紹介してくれたホテルのご飯美味しかったです」
そやろ、あそこは旅行雑誌なんかでは載っていない、出張客がメインのところなんだけども、ご飯が美味しいのよ。
「おっちゃんもたまに食べに行っているよな」
そや、自分にご褒美あげたくなるそんな時に行きたくなるな。
普段使うには少々高いので、たまにだったが。
「おっちゃんさんが最近見かけないわねって言ってました」
「食に関しては浮気者」
「よっ!」
茶化すなや、しかし、それに関してはすまん。
「まあ、山宮さんのご飯は美味しいですからね」
浜薔薇に出向く際には食べたりしていました。
「しかも炊き出しやから、無料や」
「無料は強いな」
「そろそろ、あれ出していいんじゃないですか?」
「そうですね」
そういってカートにつけた大きなプレゼントの箱を出した。
何それ?今回配るシャンプーのサンプル?
「いいえ、これはですね、おっちゃんさんのですよ、開けてみてください」
ええの?こういうのおっちゃん大好きよ、何が入ってるんやろ…
がさがさ
中に入っていたのはおでん串の…
「おっちゃんさん用の衣装ですね」
まぁ、なんて素敵なおでんなんやろ!これ着ていいか?
「大丈夫ですよ、これおっちゃんさんサイズなので」
自分でも着用できるすっぽりかぶって、フィットするインナー効果で。
今日からおっちゃんはおでんや!!!!!!!!
「相当嬉しいようやで」
「跳び跳ねとるわ、しかしすいませんね、わざわざ」
「いえいえ、うちはプレゼント運んでラッピングしただけですので」
ピタ
誰から?なの?
「おっちゃん、この間浜薔薇いったときも、サイズがなくてクリスマスどうしようって話しとったやん」
しとった、しとった。
「その時に品のいいお姉さまおったやろ」
妙齢のお姉さまがそういえばおったな、本人はイヤね、もうおばあちゃんよといっとったけども。
「その人がな、あのサメさんはクリスマス何かサンタの格好をしたいみたいだけどもって問い合わせが着たんやけども、その時はな、サンタとかトナカイとか、そういうのを作るつもりでいたんだけども」
色々と話を聞いていくうちに。
「それならおでんなんかはどうかしら」
「おでんですか?それなら喜ぶとは思いますが、採寸とかどうしますか?」
「それは大丈夫ですよ、実際に見ましたし、写真もこちらにありますから、それで作らせてもらいますね」
そしていち早く他の職員は聞かされて。
「出来上がりの写真来ました」
で、おおっと職員たちは盛り上がった。
つまりはおっちゃん以外はみんな今日のこと知っていた…
「ショックはわかるが、サプライズは大事やん」
くっ、さすが家族を大事にする男は違うな。
許す!
「それでシャンプーのサンプルをおっちゃんのショーの際に先週と今週配るというて、営業さん来るから、営業さんがわざわざ持ってきてくださったんや」
ありがとうございます。
おっちゃんはいつもなら、ここで地に伏し感謝を現すのだが、衣装が汚れるために戸惑った。
「ほんまに嬉しいやな」
さすがにショーの時はおでんは脱ぎましたが、ブログにさっそくおでんのおっちゃんの写真だけはアップしました。
ショーの終わり、来場者のおみやげとして。
「だいたいは初雪…初恋…初のハグを選ぶんやけども」
なんか声小さいで、おっちゃんに聞こえんからもう一回頼むわ。
「恥ずかしいわ!これ」
お土産に初雪初恋初のハグか、パーフェクトおでんのサンプルサイズを差し上げてますが。
「すいません」
そこにお子さんを連れたお母さんがやってきた。
「すいません、このおでんの方ってどこで売ってますやろか?」
なんでも聞く分にはこのお子さんのお兄ちゃんというのがおりまして、そのお兄ちゃんのクラスで。
「今日学校に行ったらな、俺以外がみんなおでんやったん、男子でおでんやないの俺だけやった…」
といってました。
「それで売っていたら買いたいなと」
「ああ、それでしたら、こちら差し上げますよ」
パーフェクトおでん、トラベルサイズの200ミリ。
「よろしいんですか?」
「はい、どうぞ、お母さんにはこちらのサンプルですけども、このシャンプー一つで、スカルプやトリートメントまでできるんでよろしかったらこれ使ってみてください」
時短タイプの光背(こうはい)シリーズを渡した。
このお母さんが家に帰ってから。
「いいもの、いただいたよ」
そういってパーフェクトおでんのボトルを渡すと。
「今日から俺もおでんやな」
少年はいたく感激したという。
スッスッ
そして夜の独身寮。
「さっきからおでんが視界に入ってくる」
「おでんをルームウェアにしてるのなかなかおらんよな」
おっちゃんはそのままおでんで過ごしていた。
その後。
あのおでんさんを作ってくれたのは、サメシン(フィギュアスケートサメシングル)の衣装も担当してくださったお姉さまやと。
サメシンの最初の家族が作ってくれた衣装を製作してくれたのが、浜薔薇で会ったお姉さま、そしてこの方は現在ケットシーイツモの衣装も製作している。
「今度浜薔薇行ったら菓子折りや」
一番エエの選ぶわ。
そしておっちゃん、浜薔薇に向かう際にお菓子を用意しましたわ。
「新夜(あらたよ)さんに行くいうから、この間一回店頭に行ってな、打ち合わせしてきたの」
新夜というのはおっちゃん達の地域で、500年ぐらいあるお菓子屋さんのことです。
「あれ、いっちゃん高い、天地(あまつち)とかいうやつやないか?」
「いや、それより高いやつ、カタログに載ってないのを別に包んでもらった」
浜薔薇につくまでバスの中で、落ち着かんわ、横になると緊張しまくり。
そのお姉さんの姿を浜薔薇で見つけると、おっちゃんはその前までスライディングしたという。
「今のは」
「セーフやな、一番任せるならやっぱり最適や」
おっちゃんは感謝の気持ちをしゃべりまくっていたが、後で聞くとその時の事は全く覚えてないという。
そのぐらい緊張したのだろう、おっちゃんには珍しいことである。



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