浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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ネタに走らなければいいメーカー

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午後から出張の整備部門の職員が、その準備をしていると…
「今日は焼き芋かな」
いい匂いがしたとき。
「いえ、さつまいもケーキ(バター)です」
通りすがりの山宮が答え。
「誰か今日の出張変わってくれ」
そういったとき、同僚たちがみな目を合わせてくれなかったという。
さつまいもケーキを確保するという約束のもと、その職員は出張にいきました。
「絶対に守ってくれよ!」

『ここは浜薔薇の耳掃除です』

「浜薔薇に頼んで正解かなって思うんだよ」
シャンパーの一人がそういった。
「毎日お風呂に入って洗ってるのに、洗えてなかったんだなってわかったとき、俺はずっとシャンパーだなって思ったもん」
確かに浜薔薇の取り扱ってるシャンプーは、松茸や(それのどこがいけないんですか?)おでん(今は職場でハンペンって呼ばれとるで)の香りなどはあるが、洗浄成分などお悩みに合わせたものがしっかりしてるので。
「ネタに走らなければいいメーカーかなって思います」
傑さんにはそういわれておりますが。
「それは私のアイデンティティーが許さないからな」
メーカーの研究者さんがそんなことを口にしておりました。
「人体という制限の中で、どのぐらい余計なものを落として、ベストな状態にするかが楽しくてしょうがないんだ」
この人も浜薔薇の耳掃除の登場人物らしい性格をしています。
期間限定で変な…
「よそでは出せないオリジナルな」
の物を出してるのも理由があるそうで。
「あの香りから、色んなもの、人間関係や会話が始まったりするんだよ」
それが一番でてるのが浄水センター、まあ、あちらの地方は喋りが達者な人たちがたくさんいるからこそ、顕著に見られるのだろうが。
「夕暮れサイダーデートの時にもわかったと思うが、あれも使った人の足りないものを補い、また多い人にはそこまで効力がないんだ」
香りで甘酸っぱい青春の思い出を補ってるそうだ。
「私のシャンプーをしてるとき、香りや刺激、刺激に関しては浜薔薇のみなさんの技術をデータにしたいところがあるんだがな、これには音楽の効果ものってるのではないかと思ってる」
つまりシャンプー×洗浄技術×BGMで彼らは夢を…
「あれは…もはや私にとっては夢ではないのです…ゆかりさん…」
一時的に自分を忘れてもい、幸せに浸ることができるようです。
「自宅でそれやると眠さに負けそうになるから、危ないんだよね」
だから浜薔薇で短時間で夢見心地ですっきり覚醒ぐらいが、抱えてるストレスを手離すことが出来るそうだ。
本日は休みだから、午後からゆっくりと浜薔薇に来たお客さん、テレビの再放送、あの捜査員 猫シリーズが始まっていた。
捜査員 猫は何回かドラマ化しているのだが、今の猫役のテルーというケットシーの名前と、オリジナル脚本なので、そこから文字ってミス・テルー物と言われている。
今、放送されている回は昨年放送された二時間スペシャルの回のようで、飲食系の探偵ものメルシ マドモアゼルから主人公も登場している。
ざっとメルシ マドモアゼルを説明すると、犯人はみなエピキュリアンと呼ばれ、意外と自分達がやらかしたことをごまかすのが下手だが、プライドは高いということか。
そのプライドが高いエピキュリアンの自信を崩していくのが主人公というわけである。
作者は爽快推理ものと読んでいるそうだ。
この二時間ドラマに関しては、原作は『コーヒー豆は何を語る』である。
「だからこれってさ、元々のレシピがあるわけ」
「どういうことです?」
「元々はアメリカのでも、その食材は日本のスーパーでは気軽に変えないからアレンジしているわけ」
「ああ、そういうことですか」
「だからね、本来ならば生のものを使って、オーブンで40分焼き上げるところを、これ、乾燥したもの使ってるでしょ?これね、同じ時間じゃ肉汁が出すぎて、塩辛くなるの」
「えっ?じゃあ、犯人はそのオリジナルは知ってるけども、アレンジしたこのメニューの調理行程を知らなかったということですか」
「そう、だから焼き上がるまでここでっていうアリバイは成立しないの、ほら、後はあんたの仕事よ、…ああ、こんなに素晴らしいメニューを考えることができる料理人を亡くしてしまうだなんて…悲しいわ」
お客さんはその台詞までは覚えているが、そこから。
「耳掃除しますね」
そう言われてすぐに寝落ちしてしまった。
このお客さんは昨日ベストフレンドの湯に行ってきたらしい、ベストフレンドの湯はびっくりするほど体から垢が出てくるお湯でもある、なので次の日ともなれば耳が気になる人も多い。
「なんか耳が痒いなって思ったんで」
正確には触ったら、汚れがわかったから、これは浜薔薇さんにお任せになっただろう。
そのぐらい人によって出る。
サリサリ
耳の外側なんかはわかりやすいだろう、同じ場所に耳かきを四回ぐらいかけて、やっと綺麗になるぐらい。
そして垢はクリーム色から黄みががっている。
円の動きで入り口から、丁寧にとっていく。
ベストフレンドの湯に入ってきた人の場合は手前から取る。
理由としては、奥に入れようとしても柄にも垢がついてしまって、大変だからである。
柄に白くつくと、サジの部分だけではなく、そちらも拭わなければならないので、耳掃除を一回一回止めてしまう。
それだとリズムがよろしくはない。
皮脂で乾燥しているように見えてもちょいベタな耳の中を掃除していく。
パリ
所々に剥がせる塊があり、それを剥がしては耳の外に出していく。
毛も多い。
季節の変わり目というのは耳の毛が抜ける人が多い気もする、まあ、イヤーマフラーなどをしてなかったら、寒風は耳の中にも入るだろうから、そこは生物としての正しい反応、毛も生えかわるのだろう。
パリ…パリ!
右耳が特に垢が多い。
あっという間にペーパーがその量の多さを語った。
S席のお客さんが見たのならば、何度も見たくなるような多さである。

『ここは浜薔薇の耳掃除です』

「というわけで、15番さんが作りたかった手帳ができましたので、ファンクラブのみなさんに配布したいと思いますが」
「手帳を普段使わない人も多いんで、同時にお薬手帳版も作りました」
お薬手帳にも立派なカバーをつけた。
「初回のロットは何をデザインするかと思ったんだけども、やっぱりこれでしょと」
ケットシーの三匹、イツモとビタンとニヤリが金に輝いている。
「そしてこれにはKCJさんが間に入ってくれまして、ネットのサービスと合わせて、現在地から最寄りの調剤薬局を探せるようにもなってますし、大手の薬局チェーンさんからは各店の二次元コードを提供されているから、こちらから処方箋情報を登録していただくと、なんと待ち時間なし、来店するだけにもなってます」
「うわ、便利」
「というかお薬手帳、このタイプはありがたい」
「どういうことですか?」
「私の通っている薬局って整理券でるから、整理券しばらく持ってなきゃいけないんだよね、でもこれカバーにポケットついているから、整理券をそこに入れておけば、トイレとか行くのも楽々、財布はああいうところは会計以外は出しておきたくないから」
「そういえばさ、予防接種割引って今、どんなところでやってるの?全然わからん」
「ああ、あそこのショッピングモールのパン屋さんとかはやってるけども、なんかイマイチというか、割引きしてますとか見ても、ああやってんだなっていうぐらいの感想しかでないんだよね」
サラサラサラサラ
おっ、姿は見えないけども、会員のそんな意見をメモしている音が聞こえる。
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