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蘆根さんは何を使ってるの?
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「浜薔薇に来てから、デリケートな臭いが気にならなくなった」
というお客さんがいる。
「耳ね、耳よ、ここなのよ!」
他のお客さんがいないので、そういう話になった。
「寝てるときに臭うようになるっていうじゃん、まさか…と思ったらなったわけ、それでさ、こっそりボディシャンプーとか柿渋とか体臭対策とかにしてたわけさ」
でもまあ、こんなもんだろうなって思ったときに、浜薔薇っていいよという話を聞いて。
「繁盛店って聞くと行くほうなのね、仕事のヒント得られたりするから、でもだいたいは外食だったりするので、耳掃除というか髪を切るところは初めてかな、でもびっくりした、ご飯食べれるって」
炊き出しとキッチンカーがあります。
「俺、結構カレー好きなのよ、で、前を通った瞬間わかった、ここのは旨いと」
山宮さんのカレーです。
「でもまあ、その時はまず予約しているだしってことでシャンプー、カットブローのセットを頼んだわけよ」
「良かったですか?」
「そりゃあね、その後もこうして通ってきているぐらいだし、でもうちの家族には言われただよ、安いところあるじゃんって、まあ、家族にはいってなかったんだけどもさ、その…臭いのそれね」
「耳洗いしましたからね」
「そうなんだよ!それ、本当にそれ!耳掃除ももちろん気持ちいいんだけども、その時抱えていた一番の悩みって臭いなわけよ、耳掃除が終わったあと、シェービングみたいに泡塗ってくれたじゃない」
浜薔薇は耳にも剃刀を使うので、泡で洗ったりするよ。
「あの時、帰り雨降り出して、傘持ってなかったから、フード被ったんだけどもさ、いつもならばしてたあの臭いがしてなかったわけ、でも今日ってまだ柿渋で洗ってないなって思ったんだけども、思い当たるの耳洗いしかなくて」
それで次に浜薔薇に行くまでにいろいろと試した結果。
「浜薔薇の耳洗いのケアグッズがあれば、デオドラント用のボディシャンプーは特別必要ないってわかりました、まあ、そういっちゃうとざっくりだけども、市販のものよりここで標準メニューで使用しているものを買った方が安くつくって感じ」
値段も考えて導入しているので、それを後方で聞いていた傑は嬉しく思った。
「ところで蘆根さんは何使ってる?」
「臭いですか?客商売なんで、この耳洗いメーカーさんで出しているデオドラントスプレーだけ全身にかけて、後はドラックストアで買ってるボディシャンプーで洗って終わりにしてますね」
「その話を詳しく」
「そのデオドラントスプレー、皮脂をおとしたり、酸化させなくなるとかのものなんですよ」
「一本買える?」
「はい、わかりました。無香料というか、無香になるし、これ夏用がありまして、夏用だと塗ると熱こもらなくなるから、それがいいんですよ」
「夏用も売ってる?」
「ありますけども、お徳用ボトルじゃないから、ちょっと割高に」
「それも買うから」
「はい」
人にはいえない、相談できない悩みを、解決できるのならばともなると、人は凄まじい行動力を出すものである。
シュ!シュ!
家、部屋で一人上半身にスプレーを吹き掛けた。
クンクン
嗅いだところいつもならばするあの独特の臭いがしなかった。
俺は勝った、これで体臭で苦しむ日々からさようならになったのだ!
ということはだ。
まさかこれから洗濯事情も変わるのか!
はっと気がついた、どうしても試さなくてはいけないので、コインランドリーに行くことにした、そして洗いあがり、乾燥させたものを嗅ぐ。
(消えている…臭いが消えている)
嬉しかった、それこそ涙が出るぐらい。
「お前の洗濯物は臭い」
あれはいつのことだろうか、母親にそう学生時代言われて、ショックを受けた、そしてお前の洗濯物は洗いたくないと言い渡されて、そこから自分で洗濯をしていくのだが…
「それはたぶん洗い方のせいですかね」
そこの相談も後で蘆根がのってくれた。
「ええっとですね」
そういってKCJの衛生班の洗濯機を使わせてもらえることになった。
もう二度と体臭が気になる自分には戻りたくはなかったが、実験のため洗濯物を用意して、病院でも使われている洗濯機というやつを使わせてもらうと。
「えっ?」
汗の臭いがしない。
「えっ?」
説明をしてもらうと、これが病院に選ばれている洗濯機で、家庭用のものとは違うらしい。
「これコインランドリー専用であるなら、家に洗濯機を置くということは考えないかもしれません」
少なくともこの仕上がりで洗濯物がきれいになるなら、コインランドリーでいいやになりそう。
「洗濯機にもいろいろありますし、それこそうちの整備が実験してみた、各洗濯機の洗い上がりと、洗濯槽を洗わなかった場合のデータを見てみたらいいんじゃないんですかね」
「えっ?そういうのあるんですか?」
「ええ」
整備部に問い合わせすると、 実家で使っていた洗濯機があったのだが、あまり洗う力はよろしくないようだった。
そして…
「お話を聞くと、ご家族の方、洗濯槽掃除した方がいいんじゃないかなで洗濯してますね、それで洗うと本来の力が発揮できないから、水流も弱くなったりしているかもしれません」
普段ならふ~んなのだが、きちんと整備された洗濯機でここまで綺麗になったのならば、ずっと刺さっていた母親の言葉は今日で忘れることができそうであった。
だから帰り、今日は旨いもの食べようと自分の思い当たる旨いものを思い浮かべていたが。
「はらこめし、割引中だよ」
魚屋さんのお惣菜、その言葉に負けてはらこめしを買ってしまったが、旬の魚と卵は想像を越えた旨味で、俺を考えしてくれるのだった。
「もう一折買ってくれば良かった」
あの魚屋さんは通ってはいたが、買ったことはなかったので、お試し買いだったためだ。
しかしこの魚屋さんはKCJの炊き出しだしが始まる前、浜薔薇でもよく頼んでいたお店であり、今も浜薔薇とKCJとは良好な関係を築いているのである。
というお客さんがいる。
「耳ね、耳よ、ここなのよ!」
他のお客さんがいないので、そういう話になった。
「寝てるときに臭うようになるっていうじゃん、まさか…と思ったらなったわけ、それでさ、こっそりボディシャンプーとか柿渋とか体臭対策とかにしてたわけさ」
でもまあ、こんなもんだろうなって思ったときに、浜薔薇っていいよという話を聞いて。
「繁盛店って聞くと行くほうなのね、仕事のヒント得られたりするから、でもだいたいは外食だったりするので、耳掃除というか髪を切るところは初めてかな、でもびっくりした、ご飯食べれるって」
炊き出しとキッチンカーがあります。
「俺、結構カレー好きなのよ、で、前を通った瞬間わかった、ここのは旨いと」
山宮さんのカレーです。
「でもまあ、その時はまず予約しているだしってことでシャンプー、カットブローのセットを頼んだわけよ」
「良かったですか?」
「そりゃあね、その後もこうして通ってきているぐらいだし、でもうちの家族には言われただよ、安いところあるじゃんって、まあ、家族にはいってなかったんだけどもさ、その…臭いのそれね」
「耳洗いしましたからね」
「そうなんだよ!それ、本当にそれ!耳掃除ももちろん気持ちいいんだけども、その時抱えていた一番の悩みって臭いなわけよ、耳掃除が終わったあと、シェービングみたいに泡塗ってくれたじゃない」
浜薔薇は耳にも剃刀を使うので、泡で洗ったりするよ。
「あの時、帰り雨降り出して、傘持ってなかったから、フード被ったんだけどもさ、いつもならばしてたあの臭いがしてなかったわけ、でも今日ってまだ柿渋で洗ってないなって思ったんだけども、思い当たるの耳洗いしかなくて」
それで次に浜薔薇に行くまでにいろいろと試した結果。
「浜薔薇の耳洗いのケアグッズがあれば、デオドラント用のボディシャンプーは特別必要ないってわかりました、まあ、そういっちゃうとざっくりだけども、市販のものよりここで標準メニューで使用しているものを買った方が安くつくって感じ」
値段も考えて導入しているので、それを後方で聞いていた傑は嬉しく思った。
「ところで蘆根さんは何使ってる?」
「臭いですか?客商売なんで、この耳洗いメーカーさんで出しているデオドラントスプレーだけ全身にかけて、後はドラックストアで買ってるボディシャンプーで洗って終わりにしてますね」
「その話を詳しく」
「そのデオドラントスプレー、皮脂をおとしたり、酸化させなくなるとかのものなんですよ」
「一本買える?」
「はい、わかりました。無香料というか、無香になるし、これ夏用がありまして、夏用だと塗ると熱こもらなくなるから、それがいいんですよ」
「夏用も売ってる?」
「ありますけども、お徳用ボトルじゃないから、ちょっと割高に」
「それも買うから」
「はい」
人にはいえない、相談できない悩みを、解決できるのならばともなると、人は凄まじい行動力を出すものである。
シュ!シュ!
家、部屋で一人上半身にスプレーを吹き掛けた。
クンクン
嗅いだところいつもならばするあの独特の臭いがしなかった。
俺は勝った、これで体臭で苦しむ日々からさようならになったのだ!
ということはだ。
まさかこれから洗濯事情も変わるのか!
はっと気がついた、どうしても試さなくてはいけないので、コインランドリーに行くことにした、そして洗いあがり、乾燥させたものを嗅ぐ。
(消えている…臭いが消えている)
嬉しかった、それこそ涙が出るぐらい。
「お前の洗濯物は臭い」
あれはいつのことだろうか、母親にそう学生時代言われて、ショックを受けた、そしてお前の洗濯物は洗いたくないと言い渡されて、そこから自分で洗濯をしていくのだが…
「それはたぶん洗い方のせいですかね」
そこの相談も後で蘆根がのってくれた。
「ええっとですね」
そういってKCJの衛生班の洗濯機を使わせてもらえることになった。
もう二度と体臭が気になる自分には戻りたくはなかったが、実験のため洗濯物を用意して、病院でも使われている洗濯機というやつを使わせてもらうと。
「えっ?」
汗の臭いがしない。
「えっ?」
説明をしてもらうと、これが病院に選ばれている洗濯機で、家庭用のものとは違うらしい。
「これコインランドリー専用であるなら、家に洗濯機を置くということは考えないかもしれません」
少なくともこの仕上がりで洗濯物がきれいになるなら、コインランドリーでいいやになりそう。
「洗濯機にもいろいろありますし、それこそうちの整備が実験してみた、各洗濯機の洗い上がりと、洗濯槽を洗わなかった場合のデータを見てみたらいいんじゃないんですかね」
「えっ?そういうのあるんですか?」
「ええ」
整備部に問い合わせすると、 実家で使っていた洗濯機があったのだが、あまり洗う力はよろしくないようだった。
そして…
「お話を聞くと、ご家族の方、洗濯槽掃除した方がいいんじゃないかなで洗濯してますね、それで洗うと本来の力が発揮できないから、水流も弱くなったりしているかもしれません」
普段ならふ~んなのだが、きちんと整備された洗濯機でここまで綺麗になったのならば、ずっと刺さっていた母親の言葉は今日で忘れることができそうであった。
だから帰り、今日は旨いもの食べようと自分の思い当たる旨いものを思い浮かべていたが。
「はらこめし、割引中だよ」
魚屋さんのお惣菜、その言葉に負けてはらこめしを買ってしまったが、旬の魚と卵は想像を越えた旨味で、俺を考えしてくれるのだった。
「もう一折買ってくれば良かった」
あの魚屋さんは通ってはいたが、買ったことはなかったので、お試し買いだったためだ。
しかしこの魚屋さんはKCJの炊き出しだしが始まる前、浜薔薇でもよく頼んでいたお店であり、今も浜薔薇とKCJとは良好な関係を築いているのである。
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