浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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こいつは効くぜ

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「浜薔薇って知らなかったですよ、でも最近仕事で疲れてて、検索するじゃないですか、そしたらおすすめの音楽で表示されたんです」
浜薔薇ヒーリングミュージック集。
「仮眠しないといけないなって時に、コメントでも『こいつは効くぜ』ってあったから、期待しないで流して寝たら、起きたら何このさっぱり感は!!!!ってなりました」
そこから彼は浜薔薇のファンクラブ、会員に連絡を取る。

以下チャット
「すいません、こちらは浜薔薇の会員さんでよろしいでしょうか?」
「はい、春のバリラと申します」
おおっとバリラって格好よく聞こえるけども、海草ネームですよ、これは王国民でもありますね。
冬と春の間にいる人ってところでしょうか。
バリラって英語でオカヒジニな!
(春のバリラ?)
「本日の問い合わせ担当になっております」
一般の方からの問い合わせは、春、シャンパーが答える、次に冬の王国の住民が多いか。夏と秋がいないって?初めてやり取りをする人に、あなたも角栓にはまりませんか?っていって、最初から自分の趣味出しちゃう人間は、問い合わせの返答に向かないと思うよ。
「それでなんでしょうか?」
「はい、不眠に悩まされていて、いや、不眠というか、寝付けない日々が続いていて、仮眠をいれる回数が日毎に増えていったんですけども、それがあの曲、浜薔薇ヒーリングミュージック集の一時間をかけて、寝たらすごい疲れが取れてですね」
「一時間が仮眠用、睡眠の際には八時間のものを想定してますが、合う音楽でしたら一時間をループさせてお使いしてもいいとカルボンさんからは言われてます」
「えっ、そうなんですか?」
「はい、合うのが一番ですから」
「それじゃあ、それを流します、ただ本当にビックリしたんですよ、起きたら、疲れている箇所がわかる」
「もしかして背筋ですか?」
「そうそう、そこですね、なんか目とかじゃなかったと」
「音楽によってはどこに対応するかをイメージして作っているそうなんですが、一時間は神経の昂りを鎮める力が強くしているとのお話です」
「ええ、そんなことまでできるの?」
「カルボンさんがいうには」
浜薔薇の曲って、わりと初期の、それこそ他の仕事しているときに作ったんだよね。
社会人からの転向組でした。
「でもそうすると時間どうやって作ろうかと」
そんなとき浜薔薇のおかみさんが亡くなり、押し掛けてきた蘆根が来たので、リフォームすることになりました。
「そのときかな、挨拶にきたの」
リフォームいたしますので、音がうるさいかもしれないですがよろしくお願いします。
「その時は工事の最中は会社だったから全然ににならず、新装開店してからご近所にまた挨拶が来て、それでマッサージとかガッツリしてもらったんだよね」
それまでは浜薔薇には?
「子供の時には行ってた、子供用の椅子に座って、髪を切ってもらってたのを覚えている…浜薔薇さ、おかみさんが入院しましたってのは知ってたの、んでもって退院してから店開けますって通りすがりに貼られてたのも見ていたからさ…」
蘆根が来てなければ、おそらく店は閉めたままだっただろう。
「そういう意味ではわりと当たり前に、浜薔薇いってて、ちょっとあの出来事はトゲみたいに刺さっていた、そのトゲ抜きを音にしてみたこともある」
何でかその曲は失恋の曲としてとらえられている。
「作った理由は違うんだけどもね、受け止める人にとってはそう聞こえるんだから、そこはいいんじゃないのかな、響いたってことだし、こちらは響かせ方を知らないってことだから」
ヒーリングミュージックについては、それこそこんなの作ったよと蘆根に聞かせたら。
「いいんじゃないか?」
その時は悪くないの反応。
「でもそれってなんか違うなって思ったのさ」
そしてここからがカルボンの伝説というか、製作意欲がそこからもりもりと火がついた、そして作ってはマッサージ、作ってはマッサージ、もしくはマッサージの衝撃や感動を音にして行った。
「ここら辺から収入が、副業が発生していったよ」
この時の曲はヒーリング曲にはならなかった。
「フリー素材として公開していたんだけども、今も親交があるクリエイターの人がたまたま聞いて、あの人もすごい変な人で、自分が言うのはなんだけども、一曲、一曲に合わせて見せ場を作った映像作品とか出していったんだよ、そう、あの人のことだよ」
それが感動を呼び、カルボンは仕事をこれ一本にしようかなって思うぐらい。
「忙しくなった、本当にあのときは、んで浜薔薇にも行く機会なくなっちゃっててさ、そしたら当たり前のように疲れるんだよ」
そしてその疲れたときに、聞こえた音があった。
「いや、何て言うのかな、疲れているからこそ聞こえた」
幻聴じゃないのかな、それ。
「そういうときでも聞き取りやすい揺らぎっていうの、あるの!」
必死に否定されました。
「それ作ったら、なんかわからないけども、そのまま寝落ちして、ループでずっと流れていたらしくてさ」
ヘッドホンから流れる音で目を覚ます。
「その時スッキリした目覚めになったから、これだ!ってことでマッサージの曲ができたの」
そのまま蘆根に聞いてもらったら。
「んじゃうちで流すから」
とすぐに決まった。
「やっぱりさ、いい曲とかってさ、一回でこんな感じで決まったりするんだよね、話が転がるってやつ」
そういうのを経験したらどんどん、響く音を作るようになってきた。
「かなり音は変わる方、でもしょうがないかなって、最初の頃は勢いがあった、途中から技術を学んで、そこから量産できるのは自分の強味なのかなって」
愛犬のフェカリスとケットシーのイツモが遊んでいるのを見て、そういうのを曲にできちゃうタイプ。
この観察がカルボンの音楽の得意な部分で、何気なく聞いて、これなんだろうとわからなくても、ある時。
(ん?)
「あの曲って、犬の散歩の時の曲なのか」
犬の散歩を見ていたら、カルボンの曲を思い出すような人も多いという。
「本当に音楽の世界は難しい、ただとても楽しいんだよね」
感情を思い起こさせる曲が上手いので、あちこちで使われて。
「サラリーマンやめて、この道来て、たまにフェカリスの散歩が出来ないぐらい忙しいけども、後悔はないかな」
音楽なテーマとしては愛犬フェカリスのものが一番多いので、どれだけインスピレーションを与えているのかわかるだろう。
「…えっ、あの曲ってモデルイツモなんですか?」
蘆根にもふられているイツモを見ながら傑がいった。
「フェカリスの所に前はよく遊びに行ってたから、今はお仕事もあるから頻度は減っているけどもな」
パトロールしたり、カラスの巣を撤去しにいったり。
「カラスの巣に関しては、高所作業車いらないから重宝がられてますもんね」
高い木上にスタスタスタスタあがっていて、巣を落とします。
「何回も、何回もカラスが巣を作るもんだから、イツモじゃないとお金がいくらかかるかわからないそうだから」
定額制でいただいてます。
「でもここの近所は被害らしい被害はらそう見られないですけども、イツモの縄張りでたなってそこでわかりますから」
カラスの糞によって、屋根や外壁、車が汚れている。
「イツモを貸してくれって言われるけども、もうこっちはこっちで手一杯だから」
撮影のお仕事がある時は、戦友のビタンやニヤリを呼びますが。
「一匹だと、気まぐれになるんだよ」
他に気がとられるものがあるとそっちに行ってしまったり、食事に弱かったりするから、イツモに比べると、抑止力としては弱かった。
「それでも三匹揃うと、競争しますからね」
「そうそう、誰が一番取れるか競争なって感じで、そこで一気にやってしまいたいが、そうなると天気次第だな」
曇りが一番いいらしいが、そうそう曇りの日中と言うのはないものである。
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