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口笛ハーモニー
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「髪、自分で切りました?」
「ええ、少しばかり鬱陶しかったものだから」
「こんなに上手だと、俺の立つ瀬がないな」
蘆根が出張する数少ないお客さんの元にいる。
「でも前髪だけね」
「それが自然なんだよな」
「これでも最初は下手だったわよ、ザクザクしてたし」
それが自然な切り方を習得。
「まあ、ハサミがそれ用だったってだけなのよ」
初心者でも簡単前髪ばさみ。
「これね、今売れているんですよ」
そりゃあそうである、このご時世、不要不急の外出をしてはいけない地域もまだまだ多いので、こういう商品があったらとんでもなく売れる。
「結構知る人ぞ、知る商品だったんですけどもね」
実は扱っているのは傑の父の会社である。
「予約待ちになっているそうです」
繊細な果物を扱うためのハサミなどを作っていたノウハウがあり、こちらにも活かされたというわけ。
「本当、蘆根さんの話は楽しいわ」
「体の具合はどうですか?」
「いいときは、いいんだけども、無理すると無理ができないのよ、変な話だけども」
「ダメですよ、休まなきゃ」
「そうなんだけども、私は今話す人、本当に蘆根さんぐらいしかいないからな、事情を知っている人でドン引きしないってなるとね、そんなものなのよ」
「こういう職業につくにあたって、今はメンタルケアの訓練も受けるんですよ」
「えっ?そうなの?」
「海外だとこういうときに本音がこぼれるから、なかなか言えないことを話してもらって、それこそお医者さんや警察にっていう試みがあるんで」
「なるほど」
「俺の時は、まだそういう感じではないですね、ただ色んなものをお客さんは抱えていたりするから、店に来たとき楽しい気分になってもらえたらなとかでしたね、ただ今はイツモの関係で、実際にそういうのに対処ができるようになっているから、そこが大きく変わった点かな」
「KCJだっけ?」
「そうです、王立ケットシー協会日本支部、王立がついているところは、歴史古いこと多いですね、それこそ、世界最古のみたいな」
「まずケットシーって何?って話よね」
「う~んでも、ケットシーって言葉が浸透する前に、もう日本にいたらしいですからね」
そう、あなたの知っているあの猫は実はケットシーかもしれない。
「知ってます?ケットシーって、短毛長毛そして色も変えれるんです」
「カメレオンみたいね」
「さすがにそこまでは、でも猫の毛色はシーズンでそれこそ生えかわるんですよ」
他の猫と違って、抜け毛を落とさない、変わるときは一回で変わるのが野生というか、生きていく知恵らしい。
「うちのイツモもオスなんですけども、オスのケットシーって三毛に変わりやすいんですよ」
「えっ?なんで?」
「大事にされるからですって」
オスの三毛猫は一匹いるとしたら、ケットシーは三匹ぐらいは確率で言われている。
「どっかで学ぶらしいんです、ちやほやされるのが段違いだと、そっから三毛猫のままなんですけども」
抱き上げた時に特有の障壁出ちゃったり、毛の根本の部分が色が違ったりするから、ばれる。
「でも可愛いからしょうがないですよ」
こんな雑な化けかたをしても許されるのである。
「イツモも三毛時代ありましたし」
KCJが来てから、イツモの毛色毛足が変わった際には報告のための写真を提出しているが、イツモは毎シーズンがらりと変わっている。
「おしゃれですね」
どうも浜薔薇にはオシャレ番頭の他にもオシャレがいるらしいぞ。
ケットシーは家にいるというよりは、縄張りにいることも多いのだが、蘆根が帰宅するとイツモがやってくる。
「ん?どうした」
そういって抱き上げて家の中に入っていく。
体を拭かれると、イツモは廊下に向かってジャンプした。
「そんなに勢いがいいと滑っちゃうぞ」
その間に蘆根は着替えをしていく。
居間のソファーをイツモが陣取る、伸びをした。
最近は、イツモは害鳥の駆除に頑張っているようである。
他の地域ではもう人が襲われているが、対処がまだ追い付いておらず、ごみ捨てにいくのも危ないところがあるが、イツモたちが地上に降り立つカラスを狙い、この地域には怖い猫がいると思われているようだ。
(そういや、出張先に行くまで、胡桃とか落ちてたから、やっぱり多いんだな)
そう、害鳥が胡桃を道路に落として、走行中の車に胡桃をひいてもらい、割ってもらうのである。
(特に街灯の下なんか多いし)
寒い日はそこに夜も害鳥が止まっているときもある。
(イツモたちがいると、高所作業車も頼まなくていいから、予算と人手がかからないっていってたもんな)
害鳥が反撃しようにも、障壁が邪魔をして追い出せない。
この防御力こそが、最大の武器みたいなのを地で行くのがケットシーである。
行政的には…
「他の地域では火薬とか、そういうので追い払おうとしているひとたち多くて、それでまた苦情になってて」
収穫期が近づくと鳥たちは畑や田んぼを囲んで待っていることもあり。
「KCJが取引している農家さんが収穫の時期には、ケットシーつれていってますよ」
この他にも肥料なども独自のルートで仕入れられたりするので、高値になっているご時世、もしもKCJがいなかった場合のお金の流れを考えると、離農という言葉が浮かんでくるという。
「田植えの時期にも来てもらってるしさ」
農業機械も整備が、なんでか持っているので貸し出してくれます。
「それ、いつ購入したんですか?」
管理がそれを知って詰め寄られても。
みんな目をそらして、口笛を吹き始めた。そしてそれがハーモニーになっていくと、管理はイラッときたという。
「ええ、少しばかり鬱陶しかったものだから」
「こんなに上手だと、俺の立つ瀬がないな」
蘆根が出張する数少ないお客さんの元にいる。
「でも前髪だけね」
「それが自然なんだよな」
「これでも最初は下手だったわよ、ザクザクしてたし」
それが自然な切り方を習得。
「まあ、ハサミがそれ用だったってだけなのよ」
初心者でも簡単前髪ばさみ。
「これね、今売れているんですよ」
そりゃあそうである、このご時世、不要不急の外出をしてはいけない地域もまだまだ多いので、こういう商品があったらとんでもなく売れる。
「結構知る人ぞ、知る商品だったんですけどもね」
実は扱っているのは傑の父の会社である。
「予約待ちになっているそうです」
繊細な果物を扱うためのハサミなどを作っていたノウハウがあり、こちらにも活かされたというわけ。
「本当、蘆根さんの話は楽しいわ」
「体の具合はどうですか?」
「いいときは、いいんだけども、無理すると無理ができないのよ、変な話だけども」
「ダメですよ、休まなきゃ」
「そうなんだけども、私は今話す人、本当に蘆根さんぐらいしかいないからな、事情を知っている人でドン引きしないってなるとね、そんなものなのよ」
「こういう職業につくにあたって、今はメンタルケアの訓練も受けるんですよ」
「えっ?そうなの?」
「海外だとこういうときに本音がこぼれるから、なかなか言えないことを話してもらって、それこそお医者さんや警察にっていう試みがあるんで」
「なるほど」
「俺の時は、まだそういう感じではないですね、ただ色んなものをお客さんは抱えていたりするから、店に来たとき楽しい気分になってもらえたらなとかでしたね、ただ今はイツモの関係で、実際にそういうのに対処ができるようになっているから、そこが大きく変わった点かな」
「KCJだっけ?」
「そうです、王立ケットシー協会日本支部、王立がついているところは、歴史古いこと多いですね、それこそ、世界最古のみたいな」
「まずケットシーって何?って話よね」
「う~んでも、ケットシーって言葉が浸透する前に、もう日本にいたらしいですからね」
そう、あなたの知っているあの猫は実はケットシーかもしれない。
「知ってます?ケットシーって、短毛長毛そして色も変えれるんです」
「カメレオンみたいね」
「さすがにそこまでは、でも猫の毛色はシーズンでそれこそ生えかわるんですよ」
他の猫と違って、抜け毛を落とさない、変わるときは一回で変わるのが野生というか、生きていく知恵らしい。
「うちのイツモもオスなんですけども、オスのケットシーって三毛に変わりやすいんですよ」
「えっ?なんで?」
「大事にされるからですって」
オスの三毛猫は一匹いるとしたら、ケットシーは三匹ぐらいは確率で言われている。
「どっかで学ぶらしいんです、ちやほやされるのが段違いだと、そっから三毛猫のままなんですけども」
抱き上げた時に特有の障壁出ちゃったり、毛の根本の部分が色が違ったりするから、ばれる。
「でも可愛いからしょうがないですよ」
こんな雑な化けかたをしても許されるのである。
「イツモも三毛時代ありましたし」
KCJが来てから、イツモの毛色毛足が変わった際には報告のための写真を提出しているが、イツモは毎シーズンがらりと変わっている。
「おしゃれですね」
どうも浜薔薇にはオシャレ番頭の他にもオシャレがいるらしいぞ。
ケットシーは家にいるというよりは、縄張りにいることも多いのだが、蘆根が帰宅するとイツモがやってくる。
「ん?どうした」
そういって抱き上げて家の中に入っていく。
体を拭かれると、イツモは廊下に向かってジャンプした。
「そんなに勢いがいいと滑っちゃうぞ」
その間に蘆根は着替えをしていく。
居間のソファーをイツモが陣取る、伸びをした。
最近は、イツモは害鳥の駆除に頑張っているようである。
他の地域ではもう人が襲われているが、対処がまだ追い付いておらず、ごみ捨てにいくのも危ないところがあるが、イツモたちが地上に降り立つカラスを狙い、この地域には怖い猫がいると思われているようだ。
(そういや、出張先に行くまで、胡桃とか落ちてたから、やっぱり多いんだな)
そう、害鳥が胡桃を道路に落として、走行中の車に胡桃をひいてもらい、割ってもらうのである。
(特に街灯の下なんか多いし)
寒い日はそこに夜も害鳥が止まっているときもある。
(イツモたちがいると、高所作業車も頼まなくていいから、予算と人手がかからないっていってたもんな)
害鳥が反撃しようにも、障壁が邪魔をして追い出せない。
この防御力こそが、最大の武器みたいなのを地で行くのがケットシーである。
行政的には…
「他の地域では火薬とか、そういうので追い払おうとしているひとたち多くて、それでまた苦情になってて」
収穫期が近づくと鳥たちは畑や田んぼを囲んで待っていることもあり。
「KCJが取引している農家さんが収穫の時期には、ケットシーつれていってますよ」
この他にも肥料なども独自のルートで仕入れられたりするので、高値になっているご時世、もしもKCJがいなかった場合のお金の流れを考えると、離農という言葉が浮かんでくるという。
「田植えの時期にも来てもらってるしさ」
農業機械も整備が、なんでか持っているので貸し出してくれます。
「それ、いつ購入したんですか?」
管理がそれを知って詰め寄られても。
みんな目をそらして、口笛を吹き始めた。そしてそれがハーモニーになっていくと、管理はイラッときたという。
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