浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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肉体はネコのもの、魂はダンジョンのもの。

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『体調が悪いかたはご相談ください、また気分が優れないかたは連絡をくださればすぐに参ります』
のポスターが炊き出しの列から見えるところに張り出された。
「ちょっと暑くなってきましたしたから」
現在23℃。
「予防策をとるべきだと、衛生班の方から提案がありまして」
KCJの浜薔薇出張所、その隣のカルボンアパートを通り抜けして、道路を渡ったところに衛生班がある。
こちらは一軒家であり、また郊外なので駐車場も広い。
ネズミ交換所といえば話は早いのかもしれないが、今はここからまた移転して、ネズミは地域の歴史を所蔵している館長が、形だけではあるがダンマスしている茶九良ダンジョン第一に移った。
「害獣の駆除と、医療機関は同じところにするわかにはいかなかったけども、害獣駆除の方が、ほらここら辺はイツモ様の縄張りだから」
本能的にネコはネズミを狙う。
「後、ダンジョン的にも美味しいし」
ネズミとは言え命なので、肉体はネコのもの、魂はダンジョンのもの。
そういう割り振りになった。
「それでありがたいのは、ネズミってね、すんごい増える、波里くんがあれは毛のないゴブリンだ!っていうのもわかる」
縄張りからネズミが消えても、他のところから入り込むのが止まらない。
「それでもね、一ヶ所はおかしな生息地になっていたもんだからね、潰したんだよ」
葵岡を班長とし、ネズミの温床になっていた飲食店跡地。
「これは保健所の仕事じゃないかなって思った」
とりあえず地味に掃除である。
特殊清掃というやつで。
「特殊清掃はKCJではノウハウなくて、それこそ本拠地のKCないし、異界で研修するんだけどもね」
これであなたも特殊清掃が簡単にできる。
「KCJでは衛生の業務は人格問われるので、それパスしないと資格はとれないし、携われないよ」
そう、葵岡というのはつまりは人格的には問題なし、一般試験から入って、生まれが魔法使いと肩を比べるようなすごい人でもある。
(うちのジジイじゃKCJにすら入れないからな)
波里は身内の魔法使いしか知らないので、葵岡の普通ぶりというか、まともさに驚くのである。
話を続けよう。
「とりあえずネズミ交換所ならぬ、ネコ達の狩り場をダンジョンに引っ越しすると、新しく借りなくてもここに医療相談などはできる場所が作れるんだよね」
メインの相談としてはお金がなくて、治療を受けれませんとかですが。
「特に症状が出てなくても、先に来てくれたら、予防を教えたりするんで」
特に歯である。
「これすごく大きいんだけどもさ、簡単に虫歯予防できるもの、まあ、寝る前に、このマウスシート、もちろんネズミの方のマウスじゃないからね、虫歯防止のシートで、口の中拭けばいいよっていうやつね」
水がなくても使えます。
「KCJのロゴが入っているけども、これがね、便利、こういうのは個人ではなかなか無理だし、これで慣れてくれると、最近だと避難物資としてすごい助かったと聞いているよ」
体育館などで避難しますと、歯磨きもするだけで大変なので。
「歯磨きは分散した時間にしてもらって、後はこれで口拭いてもらえれば、浜薔薇のこの辺の人たちがその威力がわかるのは、たぶん、そうだな、何年かしてから実感すると思うんだけどもさ」
他の地域では、歯医者に行ったの前にいつだっけ?ぐらい虫歯にはならなかったそう。
「もちろん、検診とかはしてね、あくまで今よりも、まあ、かなりなりにくいんだけどもさ」

こちらは利用者の声です。
音声はプライバシーのために変えております。
「正直、KCJさんには助けられてます、ご飯もそうですけども、マウスシートは本当に効くのかなって思ってて、でもあれと歯垢を分解する歯ブラシですか、あれとセットにすると、歯医者から本当に遠のくんですよ、マウスシートは配布されてますし、歯ブラシも市販のものでも、何百円かですから、ああ、もちろんシートだけでもいいんですよ、ただ口の中が爽快になるのを一度知ってしまうと、私はこれで決まりですね」

「歯医者嫌いなんですよ、今の歯医者さんはそうでもないんですが、昔行ったところは横柄で、あんなところに通うぐらいならってことで、歯がぼろぼろで、KCJのマウスシートのおかげで、今ある歯をギリギリ守れてます、歯医者にもいきました、最近の歯医者さんは丁寧で、サービスがよくてびっくりしましたよ」

「サメサメサメサメサメサメサメサメ」
(朝晩生え代わるから、人間には羨ましいとは思われているけども、歯茎のさっぱり感は大事だと思うんだよね、これでも映画スターなんで、歯とか大事にしてます)


??????
あれ?今、なんかサメがいたような。


「まだそんな時期ではないんだけどもさ」
KCJの職員だったら、医者がこちらの人ではなく見た目海外の人でも、相談者は気にしない。
「兄ちゃん、こっちの言葉わかる?」
「大丈夫です、こっちでの生活長いので、それで熱中症っぽいのがさっきまで出てたと」
「そう!なんか体だるくて」
この方は室内で掃除してました。
「でも熱中症になるには気温がそう高くねえなって思ったわけさ」
それでも水分補給するかとなって、予防用に配ってる出張所のフルーツ氷パックも出した、本日いただくのはパイン味である。
「食べた瞬間、体の熱が抜けていったのがわかったな、内臓が熱くなってたんたのが、氷食べてから、麦茶飲んだらすげぇわかった」
「フルーツ氷は配ってますから、朝起きてすぐ食べるとかでもいいと思いますよ、喉乾いて起きてません?」
「あっ、そうえばそうだな、朝起きて、喉乾いたなと」
「その時にはもう水分足りてないので、寝る前に水分とって、起きてから今だと天気予報で予想の気温見れますから、そうですね」
浜薔薇のある九良の天気と気温を見る。
「今日ちょっと危なかったら、出来るだけ続けてみてもいいかもしれませんね」
「しかし、あのフルーツ氷旨いな、俺の知り合いの大工なんか、仕事前と昼にもらいに来るっていってたぞ」
「そういう人多いんですよ、でも熱中症ってそれぐはいのことをしないと防げませんからね、また何かあったら来てくださいお大事に」
上品な菫色の髪をした医療従事者はそういって休憩前の最後の相談者を見送った。
よく白髪から紫色に髪を染める方はいると思うが、この男の場合は地毛である。
地方なのに、あまりそういうことも気にしない、そううところがこの辺の魅力らしく。
(バイトするならここなんだよな)
時計を見る。
(よし、今日は何食べよう)
切り上げてキッチンカーに向かった。

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