浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

文字の大きさ
上 下
211 / 934

俺たちの青春の飢えを見せてやるぜ

しおりを挟む
「蘆根さん、夕暮れサイダーデートで、私には味わえなかった青春を、教えてくださいますか」
「よしきた」
夕暮れサイダーデート(シャンプーとコンディショナー)は、この地域では、浜薔薇のみの取り扱いとなっております。
「おお、これが青春!!!!!!!手が触れるか触れないかにドキドキかーん」
シャンプーされると、理想的な青春時代を見せられるとされてますが、そんな効果はないと思うのですが…
「それはその蘆根の洗い方のせいだな」
「俺のですか?」
「リラックスさせられて、幸せな気分になってきた、そりゃあ、まあ、一夜のではないけども、シャンプーで夢を見せているんだ」
「あ~」
このお客さんは泣いていた。
(これが、これが青春なのですね、お父様、お母様、私はようやく人並みの青春というのを知ることができました、ゆかりさん!)
そんな夢を見た人が、夢の続きをみるために、夕暮れサイダーデートを買って買えるのだが。
「洗っても洗っても、その夢を見れないのですよ」
「これはそういう商品じゃないから」
蘆根が笑って、痛んだ髪のケアをして、洗うと。
(ゆかりさん、あなたはいつも美しい…)
今度は何も言わず定期的にシャンプーに来る人が増えた。
(きれいな思い出は誰にもいってはいけないのですね)
消えてしまうのを恐れて、しゃべらなくなった。
ただ、夕暮れサイダーデートでシャンプーした人たちは。
「えっ?これ期間限定商品?」
「そうですよ、次のロッドでたぶん最後かな」
それは困ると思った青春を夢見たお客さん達は、目で合図した。
「そのシャンプーを買えるだけキープしてもらえますか?」
「はっ?」
「共同購入するので、我々のシャンプーは夕暮れサイダーデートで行ってもらえないでしょうか」
「まあ、いいですけど、セールの時に注文しましょうか、来週チラシがくるとは思いますが」
「いいえ、今、注文お願いします」
「えっ?ちょっと定価だと高く着きますよ」
「かまいません」
「では一ケースとかですか?」
「先程もいった通り買えるだけ」
「それだと何万にもなりますよ」
「予算には糸目はつけない」
「前に推しのライブツアー追いかけたときは、二百万ぐらいかかりましたから、去年ライブもいってませんから、すぐにそれぐらいは出せますよ」
共同購入するうちの一人がそこまでいった。
「えっ?二百万ですか」
「お金に余裕のない購入者は後で使った分だけ後から支払ってもらえばいいです」
「ちょっと待って、ちょっと、え?整理するから、待って!」
傑は慌てた。
「傑、ほしいっていうなら、売ってみるといいよ」
「先輩、そうなると、メーカーの倉庫預かりとかになっちゃうから」
「あっ、そうか場所の問題あるか」
もちろんそれだけじゃない。
「あの、キャンセルはききませんが」
「わかっております、確かに高額の支払いにためらう気持ちはわかりますし、前払いに躊躇がないのは、私どもは浜薔薇の仕事ぶりにはいつも感嘆しております」
「ありがとうございます」
さすがにその額、傑は足踏みである。
「ただ夕暮れサイダーデートがほしいのでなく、蘆根さんのシャンプーも込みなので」
「あれじゃない、浜薔薇への技術代とかも別にいれた方が」
「ああ、そうでしたね、旨味がないから、引き受けてもらえない、なるほど、私の不注意ですね、ではどうしますか?」
どうしますか?と言われても困る。
「俺がシャンプーすればいいんだな」
「はい、そうです」
「なるほど、じゃあさ、いいんじゃない?毎回シャンプー注文してくれるだけで十分利益になるし、メーカーさんとここまで買ってくれたら、期間限定じゃなくなるかもしれない、品切れ起こすとさ、やっぱり強いんだよ、人気があるってことが一発でわかるわけじゃない」
「…なるほどそういう見方もあるんですね」
「そうそう、売れてます、買いましたより、品切れ起こす、追加発注ほど」
「じゃあ、定期おろしますか」
「!?いや、そこまでしなくても」
「株で利益でたぶん、何に使おうかって思っていたから、夕暮れサイダーデートに使うわ」
「ストップ!」
傑は止めた。
「まず最後確認したいので」
「はい」
電話すると、在庫ありますよと普通に返事をされた。
「どのぐらい在庫あります?」
「えっ?いっぱいありますよ」
「具体的な数を教えてもらえますか?」
「あれ?これってまたあの社長さんとか絡んでます?」
それならとその営業所にあるものと、他の倉庫にもあるらしい。
また後で連絡しますといったあとで、傑は推測し、計算をする。
「…だいたい今の営業所にあるので50ケース分、これだと浜薔薇に置く場所がないら、倉庫代分かかるかもしれません、あのぐらいだと三ヶ月ぐらいはなくなるまでにかかるかなっても思うけども」
「そのぐらいだと、一ヶ月ぐらいじゃねえの、今までのペースだと」
蘆根は夕暮れサイダーデートになってから、ひたすら洗ってるなというイメージがあったぐらいである。
「そうですね、共同購入は受けますが、他の在庫に関しては、2ヶ月、2ヶ月以内に今の分がなくならないならば受けません」
それを聞くと。
(ふっ、余裕だな。)
(俺たちの青春の飢えを見せてやるぜ)
仕事が出来て、人生の趣味に浜薔薇があるやつらは一味違い。
「毎日シャンプーに来ている人が何人もいるんだよな」
そのせいで、目標よりもかなり早くシャンプーが消えそうです。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

兄になった姉

廣瀬純一
大衆娯楽
催眠術で自分の事を男だと思っている姉の話

処理中です...