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奪熱生地ケットシークール
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カシャカシャ
先に浜薔薇ではお顔を洗ってから、シェービングをします。
「昔はそうじゃなかったんだが、今は時代が変わりましたよ」
洗うことで、肌の潤い良くなり、髭も柔らかく商品が出たからです。
「これと蒸しタオルがあれば、いいから、こんなジジイでも今も現役やらせてもらってますよ」
そう。
タモツがあまり店に立たないのは、高齢のためずっと立ちっぱなしというわけにはいかないからである。
「やっぱり迷いましたよ、店を畳むか考えてましたね」
オカミさんがいきなり亡くなり、自分だけだと店は上手く回せない、そんな時に。
「たのも!」
まるで道場破りのように押し掛けてきた男がいた。
昔からのやり方だと、体力も気力も難しいなか。
「これならどうですかね、今はこんな便利なものがあるんですよ」
とずっと話しかけてきた。
「うるせえやつだなとも思いましたよ、こっちはカミさん亡くして、落ち込んでいるっていう時によ」
「あっ、左隣に住むんでこれからよろしくお願いします」
話も聞かない、いつの間にか右隣の村上さんのところから子猫までもらってきてた。
「お前さん、猫は飼ったことはあるんかい?」
「ないので、村上さんと、子猫の両親と一緒に慣れるまで育てます」
「…その猫、山の猫じゃないのか」
「山猫?ですか?」
「いや、ほら」
そこで子猫に息を吹き掛けると、なんだとびっくりしてトレミー状の障壁が浮かんだ。
「な!」
「なんですか、これ」
「だから山の猫だって、山で温泉守っていたりするような猫で、この猫って、保護対象とかじゃなかったかな」
そういってKCJに連絡したら。
「この子はケットシーですってことですぐに登録になったな」
その頃の写真、ちっさいイツモをご想像してください、可愛いですよ。
「しかし、山の方の猫っていうのは初めて聞きましたね、それはこの辺に伝わる話なんですか?」
「郷土の出版社かな、あれで見たと思うわ」
その後、KCJの職員が出版社を探そうとしても。
「二年前に解散してますね」
ここで話は途絶えた。
「それからKCJで、その郷土の歴史、山の方の猫、温泉の猫についての記載がある本があったら、確保するようにとリストには入ってたんですよ」
「その本は見たことはあるよ、私もあったら欲しいな」
こちらはKCJの管理になった郷土のコレクション、そのコレクターである館長、今いるのは新しい館長室。
「そういう本は部数が少ないものだし、それをまとめれる人っていうのもほとんど鬼籍だからな」
「これからは我々が支援しますので、館長は専念していただければと」
「最近お腹いっぱいまで食べれているので、なんか逆に調子でなくて」
「はっ?」
「なんかご飯がね、美味しくてね、びっくりしちゃうんだよ」
スッ
そこに一匹の狐が現れた。
この狐は、この辺りが原野だったころの時代をベースにしたダンジョン『七草』からやってきた。ダンジョンの分身、意思疏通が可能である。
『館長については理解不能なところがたくさんあります』
「またそういうことをいう」
館長も自分の人生が少しばかり不思議に傾いたのにも慣れているようだ。
『館長の収入で、我々が所蔵物の維持がなぜできたのか、いくら計算しても、成人男性のカロリーベースともあってませんし、血液検査の結果で健康と判断されたことにも疑問を持ちます』
「それはKCJでも、浜薔薇みたいに炊き出しとか食べているなら、お金が残っているのがわかるんだけども、そうでもないし」
「頑張ったんだよ」
「それで節約できていたとしで、ですね、体に無理している場合も大いに考えられるんだすよ」
「そうだね」
『高血糖やコレステロールで引っ掛かるのではないか?いえ、もっというと内臓に障害が出るのではないかとおもってました』
「そういうのもなかったね」
「本当に謎ですよね」
「後さ、この生地はめっちゃ涼しいんだけどもさ、こういうこももっと早くに欲しかった」
「ああ、それはKCJで特許を取っている熱奪生地のケットシークールですね」
「へぇ、ケットシーの毛でも使っているのかい?」
「いえポリエステルですよ、材料は、研究者の方がありふれた材料で、厳しい季節を乗り越えられないか研究しておりまして、最近いろんなのが売っているでしょ」
「売ってる、でもああいうなは高いし、これさ、確かに熱が奪われているんだよね」
「なので30度以上、もっというなら、日射病の注意がニュースに流れていないときは着ないでほしいですね、体冷やしちゃうんで」
この欠点があるので、衣料品のチェーンなどではまだ契約はできてない。
「でもわかる、腹巻きとかいる人はいるんじゃないかな」
「ただこれでも気温の管理は気を付けてください」
『わかりました、もしも危険がある場合は蹴りだします』
七草のキツネ「シロツメ」はそう職員に対して答えた。
バシャッ
「えっ?館長何をしているんですか?シャツびしょびしょにして」
「濡らしたら、もっと涼しくなるんじゃないか」
貧乏それは人の創造力を育てるもの。
「このやりかたなら、他のシャツだって濡らした方がいいに決まっているじゃないですか、寝るときどうするんですか」
「そっか」
ただし常識からかけ離れてくる。
先に浜薔薇ではお顔を洗ってから、シェービングをします。
「昔はそうじゃなかったんだが、今は時代が変わりましたよ」
洗うことで、肌の潤い良くなり、髭も柔らかく商品が出たからです。
「これと蒸しタオルがあれば、いいから、こんなジジイでも今も現役やらせてもらってますよ」
そう。
タモツがあまり店に立たないのは、高齢のためずっと立ちっぱなしというわけにはいかないからである。
「やっぱり迷いましたよ、店を畳むか考えてましたね」
オカミさんがいきなり亡くなり、自分だけだと店は上手く回せない、そんな時に。
「たのも!」
まるで道場破りのように押し掛けてきた男がいた。
昔からのやり方だと、体力も気力も難しいなか。
「これならどうですかね、今はこんな便利なものがあるんですよ」
とずっと話しかけてきた。
「うるせえやつだなとも思いましたよ、こっちはカミさん亡くして、落ち込んでいるっていう時によ」
「あっ、左隣に住むんでこれからよろしくお願いします」
話も聞かない、いつの間にか右隣の村上さんのところから子猫までもらってきてた。
「お前さん、猫は飼ったことはあるんかい?」
「ないので、村上さんと、子猫の両親と一緒に慣れるまで育てます」
「…その猫、山の猫じゃないのか」
「山猫?ですか?」
「いや、ほら」
そこで子猫に息を吹き掛けると、なんだとびっくりしてトレミー状の障壁が浮かんだ。
「な!」
「なんですか、これ」
「だから山の猫だって、山で温泉守っていたりするような猫で、この猫って、保護対象とかじゃなかったかな」
そういってKCJに連絡したら。
「この子はケットシーですってことですぐに登録になったな」
その頃の写真、ちっさいイツモをご想像してください、可愛いですよ。
「しかし、山の方の猫っていうのは初めて聞きましたね、それはこの辺に伝わる話なんですか?」
「郷土の出版社かな、あれで見たと思うわ」
その後、KCJの職員が出版社を探そうとしても。
「二年前に解散してますね」
ここで話は途絶えた。
「それからKCJで、その郷土の歴史、山の方の猫、温泉の猫についての記載がある本があったら、確保するようにとリストには入ってたんですよ」
「その本は見たことはあるよ、私もあったら欲しいな」
こちらはKCJの管理になった郷土のコレクション、そのコレクターである館長、今いるのは新しい館長室。
「そういう本は部数が少ないものだし、それをまとめれる人っていうのもほとんど鬼籍だからな」
「これからは我々が支援しますので、館長は専念していただければと」
「最近お腹いっぱいまで食べれているので、なんか逆に調子でなくて」
「はっ?」
「なんかご飯がね、美味しくてね、びっくりしちゃうんだよ」
スッ
そこに一匹の狐が現れた。
この狐は、この辺りが原野だったころの時代をベースにしたダンジョン『七草』からやってきた。ダンジョンの分身、意思疏通が可能である。
『館長については理解不能なところがたくさんあります』
「またそういうことをいう」
館長も自分の人生が少しばかり不思議に傾いたのにも慣れているようだ。
『館長の収入で、我々が所蔵物の維持がなぜできたのか、いくら計算しても、成人男性のカロリーベースともあってませんし、血液検査の結果で健康と判断されたことにも疑問を持ちます』
「それはKCJでも、浜薔薇みたいに炊き出しとか食べているなら、お金が残っているのがわかるんだけども、そうでもないし」
「頑張ったんだよ」
「それで節約できていたとしで、ですね、体に無理している場合も大いに考えられるんだすよ」
「そうだね」
『高血糖やコレステロールで引っ掛かるのではないか?いえ、もっというと内臓に障害が出るのではないかとおもってました』
「そういうのもなかったね」
「本当に謎ですよね」
「後さ、この生地はめっちゃ涼しいんだけどもさ、こういうこももっと早くに欲しかった」
「ああ、それはKCJで特許を取っている熱奪生地のケットシークールですね」
「へぇ、ケットシーの毛でも使っているのかい?」
「いえポリエステルですよ、材料は、研究者の方がありふれた材料で、厳しい季節を乗り越えられないか研究しておりまして、最近いろんなのが売っているでしょ」
「売ってる、でもああいうなは高いし、これさ、確かに熱が奪われているんだよね」
「なので30度以上、もっというなら、日射病の注意がニュースに流れていないときは着ないでほしいですね、体冷やしちゃうんで」
この欠点があるので、衣料品のチェーンなどではまだ契約はできてない。
「でもわかる、腹巻きとかいる人はいるんじゃないかな」
「ただこれでも気温の管理は気を付けてください」
『わかりました、もしも危険がある場合は蹴りだします』
七草のキツネ「シロツメ」はそう職員に対して答えた。
バシャッ
「えっ?館長何をしているんですか?シャツびしょびしょにして」
「濡らしたら、もっと涼しくなるんじゃないか」
貧乏それは人の創造力を育てるもの。
「このやりかたなら、他のシャツだって濡らした方がいいに決まっているじゃないですか、寝るときどうするんですか」
「そっか」
ただし常識からかけ離れてくる。
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