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それ神木だから
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検査のために夜九時以降は前日から食事をとらず、そのケアのためにタモツのそばにはイツモが付き添った。
「わかるんだろうな」
別にイツモには何も説明はない、ただそういうときになると。
「ん?任せた」
夜にタモツの住居の方を訪ねてくるのだ。
「俺は別についてこなくてもいいと言っているのだがな」
「こういうときは付き添わせてくださいよ」
食事をとらない状態で一人で病院までは心配だった。
「確かに早く飯食いてえなとは思うがよ、ほら、浜薔薇の駐車場、最近はウメーもん揃っているわけだしな」
「帰ったらすぐに食べましょう、先生が帰ってきたら、作ってくれるとも言ってますし」
「俺もエラくなったもんだよ、そうやって用意してもらえるなんてよ」
診察して、検査して、終了。
スムーズに終わるように、予約が少ないときにお願いしていた。
「116番のお客様」
服用している薬も受け取り、忘れ物がないか確認。
「おっ?」
「どうした?」
「いや、美味しそうだなって」
パンが売っておりました、焼きたてのものだそうで。
「買えばいいじゃねえか、俺が買ってやろうか」
「先生は何にします?」
「アンコがいいな」
パンを買って、車の中で食べてもらい。
浜薔薇に帰ってくると、またイツモが玄関で待ってたらしく。
「イツモ、あとは頼んだぞ、俺はショッピングモールに行ってくる」
「傑が考えすぎる前にフォローしてやんなよ」
タモツが座ると、イツモは膝の上に乗ってきた。
『ここは浜薔薇の耳掃除です』
連絡するとショッピングモールだけではなく、隣接するホームセンターや100円ショップもいったり来たりしているらしい。
「大分迷ってるな」
それは蘆根が改めて口に出すまでもなく。
「おっ、いたいた」
「先輩」
「どうした?何を見ていたんだ」
「家具を」
「家具か」
「スチールパイプではなくて、アルミのパイプのものがあったんですよ、この値段ならばいいかなって」
「鉄は錆びちゃうからな」
「そうなんですよ」
浜薔薇では洗い物が多いが、スチールのものを使って干しているので、どうしても錆びる。
「色々と見てから決めればいいじゃないか」
予算というのは本当に大事である。
(この辺はあまりこだわりはないけども、こだわるとな)
蘆根の上の学年の生徒が店を開きましたとお祝いにいったら、デザインにこだわりすぎて、半年で閉店になった、ローンが返せなかったらしい。
(あれでさすがに俺もシンプルが一番で、そういうのを買うときはよく見て回ろうと思ったものだよ)
専門家並みの知識が必要となることを、素人が判断すると痛い目見るよと言うやつである。
「そういえば家具のアウトレットって、この近くにあるんだけども、見るか?」
「えっ?その店知りませんよ」
「あっ、そうなんだ、確かにな、わかりにくいしな、それとあれか、店長が気に入ったときでなければ、店を開かない」
「それなんですか」
「変な店だろ、前にたまたま、あっ、そうそう、その時もタモツ先生の病院の送り迎えして、用事をたしにいったんだよな、そしたら珈琲のいい香りがして、ちょっと飲んでいこうと駐車場を探して、停めて、そこから歩いて珈琲屋さんの途中にあるんでさ、本当にわかりにくいな、営業してなくてもコーヒー飲んで帰ろうぜ」
「どうかやってますように」
やってました。
「えっ?ここってシャッターいつも閉まっているんじゃないんですか?」
「だろ?なんか俺もそういうイメージがあったんだが」
まず店内が広かった、そうでなければ家具は置けないだろうが、収納やテーブルが並んでいるが、安い。
(オシャレ番頭チェックとしてはどうよ)
(これ、一枚板のテーブルですよね)
傑の顔がどうしてこんなところに、こんな値段で売っているんだという顔になっている。
(僕の家にほしいぐらいです)
(買っちゃえば)
(またそういうことをいって)
その話を変えるためか、傑は店の奥にずんずん一人で進んでいく。
(傑、そういうところあるからな)
ほしいものがあっても、どうしても値段を見てしまうと、止まるのである。
(そういうのは重要だが、必要でもあるが、自分の楽しみを犠牲にしてほしくはないんだよな)
そう蘆根は思っている。
(しかし、前に来たときはそこまでゆっくり見なかったが、テーブル一つにしても、いいものを使ってるもんな、こういうのって大工さんのオーダーとかで作るもなんじゃないか?)
店主のセンスを感じる。
(これは俺と同じくホテルで働いていたのかな)
と少し推測をした。
ホテルで働くと、古今東西の素晴らしいものと触れることになるし、そのホテルにいたということで独立するとその時のお客さんがついてくるということもある。
蘆根の目からすると、一つ一つに品の良さと、わかる人にはわかるこだわりのようなものがある、そこに扱いの難しい材、木材だったりするので、これはそういう専門店が本職なんだろうな、この辺でこういう店を出すのは、都市部で修行して、こっちに店を出した、顧客層はそちら都市部に気軽にも通うぐらいのお金持ちのお客さんといったところか。
(名探偵になれるな)
聞けばすぐに答えてくれる程度の情報ですやん。
「ケットシーが引っ掻いても、大丈夫なテーブルとかあるならな」
小さく声に出ていたが。
蘆根さん後ろ後ろ!
『デットストック イルミンスール材テーブル』
イルミンスール、それ神木だから、ケットシー引っ掻いても、日の当たる所においておけば引っ掻き傷消えるというか、治るよ。
「わかるんだろうな」
別にイツモには何も説明はない、ただそういうときになると。
「ん?任せた」
夜にタモツの住居の方を訪ねてくるのだ。
「俺は別についてこなくてもいいと言っているのだがな」
「こういうときは付き添わせてくださいよ」
食事をとらない状態で一人で病院までは心配だった。
「確かに早く飯食いてえなとは思うがよ、ほら、浜薔薇の駐車場、最近はウメーもん揃っているわけだしな」
「帰ったらすぐに食べましょう、先生が帰ってきたら、作ってくれるとも言ってますし」
「俺もエラくなったもんだよ、そうやって用意してもらえるなんてよ」
診察して、検査して、終了。
スムーズに終わるように、予約が少ないときにお願いしていた。
「116番のお客様」
服用している薬も受け取り、忘れ物がないか確認。
「おっ?」
「どうした?」
「いや、美味しそうだなって」
パンが売っておりました、焼きたてのものだそうで。
「買えばいいじゃねえか、俺が買ってやろうか」
「先生は何にします?」
「アンコがいいな」
パンを買って、車の中で食べてもらい。
浜薔薇に帰ってくると、またイツモが玄関で待ってたらしく。
「イツモ、あとは頼んだぞ、俺はショッピングモールに行ってくる」
「傑が考えすぎる前にフォローしてやんなよ」
タモツが座ると、イツモは膝の上に乗ってきた。
『ここは浜薔薇の耳掃除です』
連絡するとショッピングモールだけではなく、隣接するホームセンターや100円ショップもいったり来たりしているらしい。
「大分迷ってるな」
それは蘆根が改めて口に出すまでもなく。
「おっ、いたいた」
「先輩」
「どうした?何を見ていたんだ」
「家具を」
「家具か」
「スチールパイプではなくて、アルミのパイプのものがあったんですよ、この値段ならばいいかなって」
「鉄は錆びちゃうからな」
「そうなんですよ」
浜薔薇では洗い物が多いが、スチールのものを使って干しているので、どうしても錆びる。
「色々と見てから決めればいいじゃないか」
予算というのは本当に大事である。
(この辺はあまりこだわりはないけども、こだわるとな)
蘆根の上の学年の生徒が店を開きましたとお祝いにいったら、デザインにこだわりすぎて、半年で閉店になった、ローンが返せなかったらしい。
(あれでさすがに俺もシンプルが一番で、そういうのを買うときはよく見て回ろうと思ったものだよ)
専門家並みの知識が必要となることを、素人が判断すると痛い目見るよと言うやつである。
「そういえば家具のアウトレットって、この近くにあるんだけども、見るか?」
「えっ?その店知りませんよ」
「あっ、そうなんだ、確かにな、わかりにくいしな、それとあれか、店長が気に入ったときでなければ、店を開かない」
「それなんですか」
「変な店だろ、前にたまたま、あっ、そうそう、その時もタモツ先生の病院の送り迎えして、用事をたしにいったんだよな、そしたら珈琲のいい香りがして、ちょっと飲んでいこうと駐車場を探して、停めて、そこから歩いて珈琲屋さんの途中にあるんでさ、本当にわかりにくいな、営業してなくてもコーヒー飲んで帰ろうぜ」
「どうかやってますように」
やってました。
「えっ?ここってシャッターいつも閉まっているんじゃないんですか?」
「だろ?なんか俺もそういうイメージがあったんだが」
まず店内が広かった、そうでなければ家具は置けないだろうが、収納やテーブルが並んでいるが、安い。
(オシャレ番頭チェックとしてはどうよ)
(これ、一枚板のテーブルですよね)
傑の顔がどうしてこんなところに、こんな値段で売っているんだという顔になっている。
(僕の家にほしいぐらいです)
(買っちゃえば)
(またそういうことをいって)
その話を変えるためか、傑は店の奥にずんずん一人で進んでいく。
(傑、そういうところあるからな)
ほしいものがあっても、どうしても値段を見てしまうと、止まるのである。
(そういうのは重要だが、必要でもあるが、自分の楽しみを犠牲にしてほしくはないんだよな)
そう蘆根は思っている。
(しかし、前に来たときはそこまでゆっくり見なかったが、テーブル一つにしても、いいものを使ってるもんな、こういうのって大工さんのオーダーとかで作るもなんじゃないか?)
店主のセンスを感じる。
(これは俺と同じくホテルで働いていたのかな)
と少し推測をした。
ホテルで働くと、古今東西の素晴らしいものと触れることになるし、そのホテルにいたということで独立するとその時のお客さんがついてくるということもある。
蘆根の目からすると、一つ一つに品の良さと、わかる人にはわかるこだわりのようなものがある、そこに扱いの難しい材、木材だったりするので、これはそういう専門店が本職なんだろうな、この辺でこういう店を出すのは、都市部で修行して、こっちに店を出した、顧客層はそちら都市部に気軽にも通うぐらいのお金持ちのお客さんといったところか。
(名探偵になれるな)
聞けばすぐに答えてくれる程度の情報ですやん。
「ケットシーが引っ掻いても、大丈夫なテーブルとかあるならな」
小さく声に出ていたが。
蘆根さん後ろ後ろ!
『デットストック イルミンスール材テーブル』
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