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申し訳ないとかで決めないでください
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傑はオシャレ番頭と呼ばれている。
(う~ん)
これからお客さんを驚かすために、何かいいものがないか、いろんな店を回って考えているようだ。
この時の傑はいつもとは違う、そう例えるならば戦場を歩き回る歴戦の兵士といえる。
(無視できないしな)
何気なくお客さんに言われたことを気にした。
女性客の方の一言なんだが。
「やっぱりこういうのっていいけども、高いよね」
浜薔薇のコーディネートなどは、お買い得という路線で出しているので、固定客もかなりついているが、こういわれると、「そんなことないんじゃない?」とフォローが入ったとしても迷うというものである。
ショッピングモールのお店を行ったり来たりしながら、どういう方向性で仕掛けていくか迷っているようだ。
店頭の目立つところにあるのが現在の流行またはお店が売り出したいものである。
オシャレ番頭と呼ばれるだけあって、それじゃあそこで買おうというわけでもない。
そんなことをしたら、お金がいくらあっても足りない。
こういうのは両親の教育の賜物というやつであろう。
今日はこういった時間があるのは、本日はタモツの通院で蘆根が病院に付き添いにいっていたためだ。
隙間時間を活かしていく、これが仕事しながらも新しいことを取り入れるコツというやつであった。
(本当は誰かに相談とかしたいんですけどもね)
相談できる人はいない、参考にできる書籍などもない、やってきたことが道になるような状態だ。
(まさかこうなるとは)
それが傑の本音。
無難にこなしているだけでは、歩けない道でもある。
コーディネートのファン、お客さんがいるので、これをいかに満足させながらも、お客さんを増やしていくか。
葛藤と悩みはまだ続くだろう。
(あ~ダメだな、甘いものとか食べようか)
珍しいことである、積極的に甘いものを食べるタイプではない傑が、甘いものが食べたいという、それほど思考はぐるぐると回転しているのだろう。
気になったことをメモをしている。
もう自分の記憶力が頼りにできないぐらいの品物を見ているので、これで管理の足しにはしていた。
一番最初は、蘆根に見せて。
「おお、これはいいんじゃないか?」
という反応で決めていったのだが、それがお客さんからの感想を入れていって、今の形に持っていったという感じ。
(やっぱり値段ははずせないんだよね)
お安い方がいいと思い最初からそういう設定で組んでいったら、それはそれで難癖があった。
「そう大したものじゃないんでしょ?」
「はぁ?」
キレたのは傑ではなく、その場にたまたま居合わせたお客さんだった。
「あなた、これがどういうものかわからないの?」
「安物でしょ?」
「バカね、あなた、あなた、そのカットソーってどちらでお求めで?」
「ああ、これ?素敵でしょ?そちらの品物と比べたら」
「どちらで?広場の本店?」
「ええ、そうではないけども」
「日本で買ったの?はっ、あなたは確かにお金持ちね、それ本店の四倍の価格だものね」
「えっ?」
「あなたは大変ね、お店に金蔓と思われているわよ、可愛いわね、嘗められているのよ」
ニコニコしながら、傑のフォローにはいったお客さんはそこまでいいきり、難癖つけた人は急いで帰っていった。
「ありがとうございます」
お礼をいうと。
「いいのよ、傑くんが仕事しやすくしてくれたら、私はそれでいいのよね」
こんな感じで、傑の仕事をタモツや蘆根だけではなく、お客さんが守ってくれている。
「もしもいろんな人を相手にしたくないなら、こっそりやってちょうだい、会員制みたいに!私は買うわよ」
そこでウィンクしてくれた。
前の店はこういうことはなかった、なんというか、余計なことはするなっていわれることがあって、しょうがないなと思って引き下がっていたのだが、それがストレスになった。
「来月でやめさせてください」
その言葉も勇気を出した。
すんなりとそこはokされた。
ほっとしたことを覚えている。
浜薔薇に来たとき、浜薔薇は自分がいるほどの店なのかな?と心配になったことはある。
確かにみんないい人たちだし、でも経営はそれで上手く行くほど甘くはないといやつだ。
だからだろうか。
「こういうことをしてもいいですか?」
積極的に提案をしていった。
こうしたら、利益が出る、そういうのはわかっていたから、作業の用にそれを守りながら、その上でお客さんの満足をあげるためにはどうすればいいのか考えていこうと。
コーディネート、これは本当にたまたまだ。
「こういうのはいいとは思うんだけどもね、手が出ないよね」
カット中に雑誌を見ていたお客さんがそんなことをいったのだが、そんなことはないのにな…本当に最初はそんなもの。
「そうですね、もしもうちでやるなら、こんなものですかね」
+このぐらいでやれるといった。
「えっ?そうなの?だったら嬉しいな」
なんて話で。
それで試しにやってみることがあった。
1ダースの仕入れ、ただ一個はそのお客さんのために寄せておいた。
貼り紙だけのお知らせで、すぐに売り切った。
「ああ、こういうことやったんだって?惜しかったな、もっと早くに来れば良かった」
「いえ、そう思われたのでお一つ残して置きましたが、いかがいたしますか?」
「見せて、いや、買うわ、申し訳ないから」
「いえ、申し訳ないとかで決めないでください、いいと思ったら決めてください」
こんなにも自分で意見が言えるとは思わなかった。
「いつも思っていたけども、そのイヤホンケースいいよね」
「でしょ、本当は小銭入れてもいいんだけども、大事にしたくてね」
(う~ん)
これからお客さんを驚かすために、何かいいものがないか、いろんな店を回って考えているようだ。
この時の傑はいつもとは違う、そう例えるならば戦場を歩き回る歴戦の兵士といえる。
(無視できないしな)
何気なくお客さんに言われたことを気にした。
女性客の方の一言なんだが。
「やっぱりこういうのっていいけども、高いよね」
浜薔薇のコーディネートなどは、お買い得という路線で出しているので、固定客もかなりついているが、こういわれると、「そんなことないんじゃない?」とフォローが入ったとしても迷うというものである。
ショッピングモールのお店を行ったり来たりしながら、どういう方向性で仕掛けていくか迷っているようだ。
店頭の目立つところにあるのが現在の流行またはお店が売り出したいものである。
オシャレ番頭と呼ばれるだけあって、それじゃあそこで買おうというわけでもない。
そんなことをしたら、お金がいくらあっても足りない。
こういうのは両親の教育の賜物というやつであろう。
今日はこういった時間があるのは、本日はタモツの通院で蘆根が病院に付き添いにいっていたためだ。
隙間時間を活かしていく、これが仕事しながらも新しいことを取り入れるコツというやつであった。
(本当は誰かに相談とかしたいんですけどもね)
相談できる人はいない、参考にできる書籍などもない、やってきたことが道になるような状態だ。
(まさかこうなるとは)
それが傑の本音。
無難にこなしているだけでは、歩けない道でもある。
コーディネートのファン、お客さんがいるので、これをいかに満足させながらも、お客さんを増やしていくか。
葛藤と悩みはまだ続くだろう。
(あ~ダメだな、甘いものとか食べようか)
珍しいことである、積極的に甘いものを食べるタイプではない傑が、甘いものが食べたいという、それほど思考はぐるぐると回転しているのだろう。
気になったことをメモをしている。
もう自分の記憶力が頼りにできないぐらいの品物を見ているので、これで管理の足しにはしていた。
一番最初は、蘆根に見せて。
「おお、これはいいんじゃないか?」
という反応で決めていったのだが、それがお客さんからの感想を入れていって、今の形に持っていったという感じ。
(やっぱり値段ははずせないんだよね)
お安い方がいいと思い最初からそういう設定で組んでいったら、それはそれで難癖があった。
「そう大したものじゃないんでしょ?」
「はぁ?」
キレたのは傑ではなく、その場にたまたま居合わせたお客さんだった。
「あなた、これがどういうものかわからないの?」
「安物でしょ?」
「バカね、あなた、あなた、そのカットソーってどちらでお求めで?」
「ああ、これ?素敵でしょ?そちらの品物と比べたら」
「どちらで?広場の本店?」
「ええ、そうではないけども」
「日本で買ったの?はっ、あなたは確かにお金持ちね、それ本店の四倍の価格だものね」
「えっ?」
「あなたは大変ね、お店に金蔓と思われているわよ、可愛いわね、嘗められているのよ」
ニコニコしながら、傑のフォローにはいったお客さんはそこまでいいきり、難癖つけた人は急いで帰っていった。
「ありがとうございます」
お礼をいうと。
「いいのよ、傑くんが仕事しやすくしてくれたら、私はそれでいいのよね」
こんな感じで、傑の仕事をタモツや蘆根だけではなく、お客さんが守ってくれている。
「もしもいろんな人を相手にしたくないなら、こっそりやってちょうだい、会員制みたいに!私は買うわよ」
そこでウィンクしてくれた。
前の店はこういうことはなかった、なんというか、余計なことはするなっていわれることがあって、しょうがないなと思って引き下がっていたのだが、それがストレスになった。
「来月でやめさせてください」
その言葉も勇気を出した。
すんなりとそこはokされた。
ほっとしたことを覚えている。
浜薔薇に来たとき、浜薔薇は自分がいるほどの店なのかな?と心配になったことはある。
確かにみんないい人たちだし、でも経営はそれで上手く行くほど甘くはないといやつだ。
だからだろうか。
「こういうことをしてもいいですか?」
積極的に提案をしていった。
こうしたら、利益が出る、そういうのはわかっていたから、作業の用にそれを守りながら、その上でお客さんの満足をあげるためにはどうすればいいのか考えていこうと。
コーディネート、これは本当にたまたまだ。
「こういうのはいいとは思うんだけどもね、手が出ないよね」
カット中に雑誌を見ていたお客さんがそんなことをいったのだが、そんなことはないのにな…本当に最初はそんなもの。
「そうですね、もしもうちでやるなら、こんなものですかね」
+このぐらいでやれるといった。
「えっ?そうなの?だったら嬉しいな」
なんて話で。
それで試しにやってみることがあった。
1ダースの仕入れ、ただ一個はそのお客さんのために寄せておいた。
貼り紙だけのお知らせで、すぐに売り切った。
「ああ、こういうことやったんだって?惜しかったな、もっと早くに来れば良かった」
「いえ、そう思われたのでお一つ残して置きましたが、いかがいたしますか?」
「見せて、いや、買うわ、申し訳ないから」
「いえ、申し訳ないとかで決めないでください、いいと思ったら決めてください」
こんなにも自分で意見が言えるとは思わなかった。
「いつも思っていたけども、そのイヤホンケースいいよね」
「でしょ、本当は小銭入れてもいいんだけども、大事にしたくてね」
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