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むしろここで肥えた
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「臭いとか気になるお年頃になると、パックは有効ですから」
パック民の一人にそんな話を蘆根がすると、ざわつく層があった。
「洗っても気になるときは、パックするとね、臭いとか落ちちゃうんですよね」
その話は直ちにパック民に行き渡った。
【ガチだった】
【試したんか?】
【ああ、ちょっとな、気のせいだと思いたかったんでな…でもその話を聞いたら、試さずに入られなかったんだ】
買って、塗って、乾くのを待てばいいだけなのだが。
【本当に効いた、あの臭いが消えている、これは全人類朗報だと思う、俺は定期的にパックすることにする】
【お前、そんなに気にしていたのか】
【ああ、ごまかしてはいたんだが、あんなに丹念に洗っても、気になるときは気になっていたんだ、それが蘆根さんがいった通り、臭いが気になるなら、その部分にパックして、乾燥させたの剥がしたら、臭いがなくて、無臭であることに感動を覚えている】
【ぶわ…】
【ぶわ…】
【洗っても気になる人は、洗うものを変えてみるとかはあったんだけども、そこまで根本的に変わるとはな】
【試しに、片方だけ剃ってみた、毛があると、ついちゃうから】
【どうだった?】
【毛があっても、なくても臭いがないから、毛のあるなしは問題はない、ただついてしまうから、塗布するときに注意するとかだな、まあ、これは慣れていけば問題ないんじゃないかなっては思っている】
【そうだな、まずは】
【ああお祝いだ】
パック民は本日お祝いになったようだ。
『ここは浜薔薇の耳掃除です』
もうダッシュしてくる人がいる。
ピタ
浜薔薇が見えてくると、ゆっくりとスピードを落として、息を整え、身なりを気にして。
「すいません、よろしくお願いします」
挨拶しながら、店内に入ってきた。
「足はどうだ?」
「ばっちり」
「ほらな、行っただろう」
マッサージにはお金を使っていたが、靴が原因なのでまずはそれを直せと前回言われたお客だあった。
「それで前回用意してもらった靴があるじゃないですか?」
今、彼が履いているこれである。
「いただいてからすぐ、なんでか帰り、走りたくなって、走って帰りました」
「なるなる」
「なりますよね」
「俺はそれを靴の他にも、タイヤでもやったからな」
このタイヤ、全然違うんですけども、どこまでも行けちゃうんですけどもになった。
「そういうのって大事っすよね」
「大事、大事、はい、奥の部屋にいって」
「はーい」
お客さんは着替えしてからやってきた。
「この間、指摘されたじゃないですか」
これはマッサージよりも靴を何とかした方がいい。
「前に入ってた靴も結構いい靴だったんですけどもね」
「いい靴でも、あそこまで掃いてたら、衝撃をきちんと受け止められてないだろうに」
「でした、でした、だから帰りに走りたくなったんです」
「ここら辺は傑がうまいことやってくれているし、お前さんは顔見知りになるぐらい来てからな」
靴のサイズがわかっていたことと、たまたまそのサイズの良いものがあったからこそ、そこまで世話を焼けた。
「前の靴は、指もか、あの靴、無理に履いただろう」
「結構無理しても買える額なんで、我慢しちゃった」
「なんでも素直に言えばいいというわけではないんだぞ」
「すいません」
「ただ気持ちはわかるぞ、やりたいことをやろうとすると金がかかるしな」
「っていうか、この靴も高くないですか?」
「うちのオシャレ番頭は、欲しいからって予算を守らないということはあると思うか?」
「ないですね」
「だろ?俺も不思議なんだよ、任せっぱなしになっている部分が多いんだがな、チェックはもちろんしている、毎回見せてもらうたびに驚かされるだよな」
傑はずっとこんな調子だったのだが、前の店でここが発揮されなかった理由は、あまりそこを認められてなかったためである。
そして傑もこの能力はやりくりから始まったといっていた。
「お金のやりくりを覚えないと、生活がね」
遠い目をする。
そして、その遠い目はだいたい駆け出しの頃から始まる。
しなくなるとしたら、食えるようになったときなのでわかりやすいといえばわかりやすい。
もちろん蘆根にもある、蘆根の場合はそっちのスタイリング、コーディネートとかではなく、技術に向かった。
あちこちの先生たちに「見学に来ました、今日は一日お願いします」とかやっていった。
「えっ?あそこから」
わざわざ来たの?と驚かれることもよくあった。
「どこで寝るの?」
「交通費だけでギリギリなんで、の…」
「もううちに泊まるとか、今度来る場合は前もって言いなさい」
ご飯とか用意してもらえるようになった。
「ふっふっ、あなたいいじゃありませんか?はい、若いんだから、たくさん食べてね」
という形で、みなが食費を削るなか、蘆根はむしろここで肥えた。
ホテル時代も何かあったら対応できる要員として、待機として控えていたりしたので。
「蘆根、賄い、お前の分も作っておいたから」
「ありがとうございます」
みんなが生活費どうしようという中で、蘆根はこの時期、人生一番太ったし、いい肉を食ったという。
「パーティーとかだと、グラスとか落としちゃったりして、着替えなきゃいけないだろ?」
でも普段着ではないから、替えのレンタルの用意やそれに合わせてまたヘアスタイル調整したりするので、蘆根のような働き方をする人間は珍重された。
パック民の一人にそんな話を蘆根がすると、ざわつく層があった。
「洗っても気になるときは、パックするとね、臭いとか落ちちゃうんですよね」
その話は直ちにパック民に行き渡った。
【ガチだった】
【試したんか?】
【ああ、ちょっとな、気のせいだと思いたかったんでな…でもその話を聞いたら、試さずに入られなかったんだ】
買って、塗って、乾くのを待てばいいだけなのだが。
【本当に効いた、あの臭いが消えている、これは全人類朗報だと思う、俺は定期的にパックすることにする】
【お前、そんなに気にしていたのか】
【ああ、ごまかしてはいたんだが、あんなに丹念に洗っても、気になるときは気になっていたんだ、それが蘆根さんがいった通り、臭いが気になるなら、その部分にパックして、乾燥させたの剥がしたら、臭いがなくて、無臭であることに感動を覚えている】
【ぶわ…】
【ぶわ…】
【洗っても気になる人は、洗うものを変えてみるとかはあったんだけども、そこまで根本的に変わるとはな】
【試しに、片方だけ剃ってみた、毛があると、ついちゃうから】
【どうだった?】
【毛があっても、なくても臭いがないから、毛のあるなしは問題はない、ただついてしまうから、塗布するときに注意するとかだな、まあ、これは慣れていけば問題ないんじゃないかなっては思っている】
【そうだな、まずは】
【ああお祝いだ】
パック民は本日お祝いになったようだ。
『ここは浜薔薇の耳掃除です』
もうダッシュしてくる人がいる。
ピタ
浜薔薇が見えてくると、ゆっくりとスピードを落として、息を整え、身なりを気にして。
「すいません、よろしくお願いします」
挨拶しながら、店内に入ってきた。
「足はどうだ?」
「ばっちり」
「ほらな、行っただろう」
マッサージにはお金を使っていたが、靴が原因なのでまずはそれを直せと前回言われたお客だあった。
「それで前回用意してもらった靴があるじゃないですか?」
今、彼が履いているこれである。
「いただいてからすぐ、なんでか帰り、走りたくなって、走って帰りました」
「なるなる」
「なりますよね」
「俺はそれを靴の他にも、タイヤでもやったからな」
このタイヤ、全然違うんですけども、どこまでも行けちゃうんですけどもになった。
「そういうのって大事っすよね」
「大事、大事、はい、奥の部屋にいって」
「はーい」
お客さんは着替えしてからやってきた。
「この間、指摘されたじゃないですか」
これはマッサージよりも靴を何とかした方がいい。
「前に入ってた靴も結構いい靴だったんですけどもね」
「いい靴でも、あそこまで掃いてたら、衝撃をきちんと受け止められてないだろうに」
「でした、でした、だから帰りに走りたくなったんです」
「ここら辺は傑がうまいことやってくれているし、お前さんは顔見知りになるぐらい来てからな」
靴のサイズがわかっていたことと、たまたまそのサイズの良いものがあったからこそ、そこまで世話を焼けた。
「前の靴は、指もか、あの靴、無理に履いただろう」
「結構無理しても買える額なんで、我慢しちゃった」
「なんでも素直に言えばいいというわけではないんだぞ」
「すいません」
「ただ気持ちはわかるぞ、やりたいことをやろうとすると金がかかるしな」
「っていうか、この靴も高くないですか?」
「うちのオシャレ番頭は、欲しいからって予算を守らないということはあると思うか?」
「ないですね」
「だろ?俺も不思議なんだよ、任せっぱなしになっている部分が多いんだがな、チェックはもちろんしている、毎回見せてもらうたびに驚かされるだよな」
傑はずっとこんな調子だったのだが、前の店でここが発揮されなかった理由は、あまりそこを認められてなかったためである。
そして傑もこの能力はやりくりから始まったといっていた。
「お金のやりくりを覚えないと、生活がね」
遠い目をする。
そして、その遠い目はだいたい駆け出しの頃から始まる。
しなくなるとしたら、食えるようになったときなのでわかりやすいといえばわかりやすい。
もちろん蘆根にもある、蘆根の場合はそっちのスタイリング、コーディネートとかではなく、技術に向かった。
あちこちの先生たちに「見学に来ました、今日は一日お願いします」とかやっていった。
「えっ?あそこから」
わざわざ来たの?と驚かれることもよくあった。
「どこで寝るの?」
「交通費だけでギリギリなんで、の…」
「もううちに泊まるとか、今度来る場合は前もって言いなさい」
ご飯とか用意してもらえるようになった。
「ふっふっ、あなたいいじゃありませんか?はい、若いんだから、たくさん食べてね」
という形で、みなが食費を削るなか、蘆根はむしろここで肥えた。
ホテル時代も何かあったら対応できる要員として、待機として控えていたりしたので。
「蘆根、賄い、お前の分も作っておいたから」
「ありがとうございます」
みんなが生活費どうしようという中で、蘆根はこの時期、人生一番太ったし、いい肉を食ったという。
「パーティーとかだと、グラスとか落としちゃったりして、着替えなきゃいけないだろ?」
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