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さっきまで絶望の中にいたよ
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「さすがに今日は暑いから、猫も外にはでないですね」
「そうだな、縦穴式住居の中だろうな」
「?!」
「あれ?知らなかったか、あいつの家にあるんだけども」
蘆根があいつというのは、裏の作曲の仕事をしているカルボンのことである。
「縦穴式?」
「そう、いや、ここ数年、暑いだろう?だから、フェカリスのために作ったんだけどもさ」
きっかけは二人で飲んでいたときに見た番組である。
「これであなたも縦穴式住居が簡単に作れますね!」
なんてナビゲーターがいうものだから。
「なあ、フェカリスにこれ作ってやったら?」
「室内は年中この気温になるんですね」
「夏でも涼しいなら、いいかもしれないね」
この二人は決めると早かった。
まずはミニチュアを作り、話し合いが行われた。
「それで測量したり、二人で柱になる木を探したら、暑さが本番になる前に用意できたからよかったがな」
軍手で柱を掘った穴にたてたりした。
「そしたら、ある日だな」
フェカリスが縦穴式住居に入ろうとしたが、入り口で止まっている。
「フェカリス~」
飼い主が声をかけるが、何が起きてあるのかわからない。
「あっ」
中に野良猫たちが入っていた。
ダッ
すると何かが近づいて、塀を越えてきた。
トスっ
イツモである。
「イツモの様子がいつもと違う」
それは喧嘩をうられた状態でリングに上がった時の顔。
ザッ
縦穴式住居に入る。
「えっ?それでどうなったんですか?」
「喧嘩だな」
相手がよそから来た猫だったために、最初から喧嘩となったが、相手の猫パンチをイツモはブロック、相手も驚きまたパンチするが、イツモはブロック、そして次にパンチが来ると、かわしてべち!反撃をした。
「ああ見えて、やるぞ」
ケットシーや猫同士だと障壁を使わずに、格闘戦になるようだ。
「まあ、その縦穴式住居、親子連れだったから和解したがな、そっから夜間は子猫とか、弱っている猫があの中で過ごしているようだぞ、んでこの暑さだろ、フェカリスは室内なんで、そのまま猫達に使っているよ」
ニャー!
『ここは浜薔薇の耳掃除です』
「すいません」
お客さんがやってくる、このお客さんは浜薔薇を紹介されてやってきたタイプで、疲れというか、無気力さが顔に現れている。
(こいつは重症だな)
そしてこのお客さんのためにもち肌伝説期間限定20%増量を準備する。
「カイムさんから、ちょっと休めって言われました」
厄介ごとを片付けようとしても、片付け終わる前に人の方が参ってしまうということは、よくあることで。
「じゃあ、こちらなんですが」
そこでもち肌伝説を出して。
「家でも出来るマッサージをまず教えますから、それからマッサージしましょ」
「えっ?」
「ですから、家でも出来る」
すぐにマッサージが出来ると思ったらしいが、違うんだな。
「まずは軽くストレッチして」
そして蘆根から清潔な状態で、マッサージミルクを手にとって、撫でるように。
特に意見もなく、お客さんはそのまま真似る。
顔は無気力なままなのだが、左の足のつけ根まで自分でミルクをつけたところ、ちょっと痛いらしく苦悶の表情を浮かべた。
そうこのために軽くストレッチさせた、この状態だと間違いなく蘆根が触ると痛いだろうとわかったので、血行を良くさせたのだ。
手を後ろに回して、腰、そこから下のお尻に移ると。
「すいません、トイレを貸してください」
来たか。
「はい、トイレは、この部屋を出て右奥になります」
しばらくお待ちください。
「なんですか!このマッサージは!」
トイレから帰ってきたお客さんは、さっきまでの表情とは変わっていた。
「教えてもらったところマッサージしたら、いきなり元気になったんですけど、なんですか、これ」
本人もビックリしている。
「そういうもんですよ」
「ゴットハンド」
「いやいや、俺はまだその域には、ゴットハンドの皆さま方に悪いですよ」
蘆根が認める神域に住まう先生たちは都内に二人とかいうレベルらしいぞ!
「汚い話かもしれないけども、トイレでゲップが出たし」
「胃腸が弱ってますね」
「お腹が減ってきた」
後で屋台でラーメン食べる!
「ええっと、皆無担当のクライアントは精神的に参ってることが多くてですね、短期間で終わらせたいがそれが長引いて、それで精神的にしんどくなるっていう人が出てきます、お客さんは軽い方です」
「これで軽いの?さっきまで絶望の中にいたよ」
「悩んだあと、発作的にとかはあるので…専門のダイヤルに電話したら繋がらなくて、よく見たら受付まで一時間ぐらいあるじゃん、あ~それならマッサージしてからでもいいかとかのお客さんもいますね」
「さすがに自分はそこまでじゃないかも…しかしすごいね、これ、マッサージ途中でしょ?」
足とお腹、腰、お尻の最中にトイレであった。
「セルフでこれなら…」
「このボトル一本分、家でもマッサージしてください」
マッサージする前なら何をこの人は言っているのだろうと思うが、途中でこれなので信用に値する。
(皆無さんは、修羅場でも平然と仕事をする人だけども、浜薔薇さんは修羅場を笑顔で歩ける人なんだろうな)
長期間騙されて、皆無を頼ったクライアントは、その損失も前より回復しそうな予定を立ててもらったが、それでも気落ちをして、浜薔薇に先ほど訪れていた時のようにだんだんと気力を失せていった。
それがセルフマッサージを教えてもらって、来店して15分で回復。
「じゃあ、残りは俺がやりますんで、今日はぐっすり寝てください、帰りにマッサージミルクとマッサージの冊子渡しますので、それを全身にやってもらえたら、辛さは軽くなると思いますよ」
なんて言われたが、あれ以降調子を落とすことなく。
「予定より伸びてしまいましたが、お疲れ様でした」
「本当にお世話に、これからはいい報告が出来るようにしたいと思います」
皆無との契約は満了した。
「そうだな、縦穴式住居の中だろうな」
「?!」
「あれ?知らなかったか、あいつの家にあるんだけども」
蘆根があいつというのは、裏の作曲の仕事をしているカルボンのことである。
「縦穴式?」
「そう、いや、ここ数年、暑いだろう?だから、フェカリスのために作ったんだけどもさ」
きっかけは二人で飲んでいたときに見た番組である。
「これであなたも縦穴式住居が簡単に作れますね!」
なんてナビゲーターがいうものだから。
「なあ、フェカリスにこれ作ってやったら?」
「室内は年中この気温になるんですね」
「夏でも涼しいなら、いいかもしれないね」
この二人は決めると早かった。
まずはミニチュアを作り、話し合いが行われた。
「それで測量したり、二人で柱になる木を探したら、暑さが本番になる前に用意できたからよかったがな」
軍手で柱を掘った穴にたてたりした。
「そしたら、ある日だな」
フェカリスが縦穴式住居に入ろうとしたが、入り口で止まっている。
「フェカリス~」
飼い主が声をかけるが、何が起きてあるのかわからない。
「あっ」
中に野良猫たちが入っていた。
ダッ
すると何かが近づいて、塀を越えてきた。
トスっ
イツモである。
「イツモの様子がいつもと違う」
それは喧嘩をうられた状態でリングに上がった時の顔。
ザッ
縦穴式住居に入る。
「えっ?それでどうなったんですか?」
「喧嘩だな」
相手がよそから来た猫だったために、最初から喧嘩となったが、相手の猫パンチをイツモはブロック、相手も驚きまたパンチするが、イツモはブロック、そして次にパンチが来ると、かわしてべち!反撃をした。
「ああ見えて、やるぞ」
ケットシーや猫同士だと障壁を使わずに、格闘戦になるようだ。
「まあ、その縦穴式住居、親子連れだったから和解したがな、そっから夜間は子猫とか、弱っている猫があの中で過ごしているようだぞ、んでこの暑さだろ、フェカリスは室内なんで、そのまま猫達に使っているよ」
ニャー!
『ここは浜薔薇の耳掃除です』
「すいません」
お客さんがやってくる、このお客さんは浜薔薇を紹介されてやってきたタイプで、疲れというか、無気力さが顔に現れている。
(こいつは重症だな)
そしてこのお客さんのためにもち肌伝説期間限定20%増量を準備する。
「カイムさんから、ちょっと休めって言われました」
厄介ごとを片付けようとしても、片付け終わる前に人の方が参ってしまうということは、よくあることで。
「じゃあ、こちらなんですが」
そこでもち肌伝説を出して。
「家でも出来るマッサージをまず教えますから、それからマッサージしましょ」
「えっ?」
「ですから、家でも出来る」
すぐにマッサージが出来ると思ったらしいが、違うんだな。
「まずは軽くストレッチして」
そして蘆根から清潔な状態で、マッサージミルクを手にとって、撫でるように。
特に意見もなく、お客さんはそのまま真似る。
顔は無気力なままなのだが、左の足のつけ根まで自分でミルクをつけたところ、ちょっと痛いらしく苦悶の表情を浮かべた。
そうこのために軽くストレッチさせた、この状態だと間違いなく蘆根が触ると痛いだろうとわかったので、血行を良くさせたのだ。
手を後ろに回して、腰、そこから下のお尻に移ると。
「すいません、トイレを貸してください」
来たか。
「はい、トイレは、この部屋を出て右奥になります」
しばらくお待ちください。
「なんですか!このマッサージは!」
トイレから帰ってきたお客さんは、さっきまでの表情とは変わっていた。
「教えてもらったところマッサージしたら、いきなり元気になったんですけど、なんですか、これ」
本人もビックリしている。
「そういうもんですよ」
「ゴットハンド」
「いやいや、俺はまだその域には、ゴットハンドの皆さま方に悪いですよ」
蘆根が認める神域に住まう先生たちは都内に二人とかいうレベルらしいぞ!
「汚い話かもしれないけども、トイレでゲップが出たし」
「胃腸が弱ってますね」
「お腹が減ってきた」
後で屋台でラーメン食べる!
「ええっと、皆無担当のクライアントは精神的に参ってることが多くてですね、短期間で終わらせたいがそれが長引いて、それで精神的にしんどくなるっていう人が出てきます、お客さんは軽い方です」
「これで軽いの?さっきまで絶望の中にいたよ」
「悩んだあと、発作的にとかはあるので…専門のダイヤルに電話したら繋がらなくて、よく見たら受付まで一時間ぐらいあるじゃん、あ~それならマッサージしてからでもいいかとかのお客さんもいますね」
「さすがに自分はそこまでじゃないかも…しかしすごいね、これ、マッサージ途中でしょ?」
足とお腹、腰、お尻の最中にトイレであった。
「セルフでこれなら…」
「このボトル一本分、家でもマッサージしてください」
マッサージする前なら何をこの人は言っているのだろうと思うが、途中でこれなので信用に値する。
(皆無さんは、修羅場でも平然と仕事をする人だけども、浜薔薇さんは修羅場を笑顔で歩ける人なんだろうな)
長期間騙されて、皆無を頼ったクライアントは、その損失も前より回復しそうな予定を立ててもらったが、それでも気落ちをして、浜薔薇に先ほど訪れていた時のようにだんだんと気力を失せていった。
それがセルフマッサージを教えてもらって、来店して15分で回復。
「じゃあ、残りは俺がやりますんで、今日はぐっすり寝てください、帰りにマッサージミルクとマッサージの冊子渡しますので、それを全身にやってもらえたら、辛さは軽くなると思いますよ」
なんて言われたが、あれ以降調子を落とすことなく。
「予定より伸びてしまいましたが、お疲れ様でした」
「本当にお世話に、これからはいい報告が出来るようにしたいと思います」
皆無との契約は満了した。
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