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ハードな誰かの人生
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「体は作らなきゃいけないけどもやる気がない」
トントントン
蘆根に体、整えられ中。
「調整はちょっとじかんはかかるが待ってな」
「こういうのもなんだけども、本気なのか?」
「本気さ、ちゃんと動ける体にしたる」
「バカだな、みんなあいつはもう終わったんだって思っているようなやつに優しくするなよ」
「そういう思い込みがいけない」
「そんなもんなのか?」
「そんなもんだぞ、特にこういう感じで、体調が優れてないなら、気分も落ちるから」
「そりゃあね、なんで…こんなのができないんだろうなっては思ってる」
「焦りは悪循環を生むから」
「わかってる!わかっているんだって!自分でもさ、きちんとやれるように、前のようにっていうのが一番たぶん…」
「いや、それが一番じゃねえな」
「じゃあ、何が一番ですか?」
「天下とろうぜ、前の道に未練があるとしても、そっちの道じゃ決してとれない、天下とろうぜ」
「蘆根さんって、たまに変だよね」
「そうか?」
ここで太ももに圧をかける。
「スクワットはどうだ?」
「やったら疲れた」
「そうか」
「負荷が低いやつからになると思う」
「おっ、割りきったか」
「少しはというか、う~んこれな、蘆根さんに負けたと思うと、癪ではある」
「いやいや、そこは勝ち負けじゃないよ、むしろ、俺がマッサージして、藤城さんがもう一回現場に戻って、すげぇことをやりきったら、二人とも勝ちじゃないですか」
「そういう気分にはまだ慣れないって、ああああそこそこ」
トントントントントン
「この力入れないで、小刻みに叩かれるのがすごく気持ちいいです」
「そりゃあ、これは精神的な疲れを取るためのやり方なんでな」
「えっ?そういうのがあるんですか?」
「このトントントントントンって刺激与えるタイプっていうのは、精神。逆に掌の付け根、ここで皮膚を流すようにやると疲れが取れるんだ」
「へぇ」
クッ!
骨盤に親指が入る。
「うわぃ!」
「ちょっと痛かったですね、これはストレッチで痛くなるんで、ストレッチを、でもこれは強制ではなく」
「はぁ」
「なんですか?」
「蘆根さんの世話焼きはたぶん良くなるまで続くだろうし」
「続けますね」
「諦めないだろうし」
「たぶんそうですね」
「たぶん?絶対の間違いないじゃない」
背中にクリーム。
「右腕、利き腕」
「そう伸ばしたことない部分延びている気が」
「本当は毎日、腋の下とか、リンパ流してもらいたいんですよね」
「時間がなくてごめんね」
「技術は時間がないにも打ち勝つんです」
中腰
「気づきません?」
「あっ、足はつけてないけども、スクワットだ」
「そう、このキープができているなら、今のところは問題ありません」
「今のところは」
「まだ戻れるんですよ」
「戻れる…でもな、良き理解者がいるところに行きたいわ、そしたら頑張り甲斐があるじゃん、今までさ、全力は出してきたけども、そう大した評価をもらったことがなくてね、とても悲しい、いや、私だけじゃないや、勝算は手伝ってくれた人たちにも報いたいんだよね、そういうところに行きたい、できるのならば」
「探せばありますよ」
「本当かな、それはどっかの妄想なのか、異世界にしかないんじゃないかなと」
「なきゃ作るとか?」
「そこまで技術も人脈もお金もないさ…蘆根さんはさ、どうなの?」
「どうですか?まあ、やりすぎて叱られたりしますね、ここではこういうことしないでくださいとか、意欲があると叱られるようなところにいましたし」
「それどうやってモチベーション維持したの」
「じゃあ、その人には聞かない」
「うわ…」
「その方が幸せじゃないかと」
「思った以上に蘆根さんって残酷だな」
「そうですかね、でもマッサージして、耳掃除してには全力で答えているうちにこうなったんで」
うぉぉぉぉぉぉぉ蘆根さん、明日も出張で朝六時には駅なんだ、だから今日の疲れ出来るだけ落としてくれないか。
「それでどうしたの?」
「二時間ぐらいマッサージして、その間に寝てもらっているので、このお客さんもストレス持ちですね、それで上手いこと仕事と両立させようと、浜薔薇の常連です」
ハードワーク、いや、ハードな誰かの人生を浜薔薇は支えている。
「そういう人が嫌じゃないんだね、蘆根さんは」
「えっ?なんで嫌なんですか?」
「気持ち悪いという人もいるんだよ」
「それはとても悲しいですね、自分の快不快で、人の人生を決めるものではないでしょう」
「かもね、でもそういう人たちは多いから、本当さ、友人だと思っても、こちらの休みに配慮なしで飲みの予定入れられるとかね、あるからね」
「藤城さんはどうなりたいんですか?」
「今にショックは受けたけども、未練はとっくの昔にないのかも、愛想はつきて、義理だけで動いて、向こうはそんな義理でさえもどうでもよかったみたいだから、これから何も残らないんだろうな…そういうつもりはなかったよ、そのエンディングは最悪だ、だからこそ自分は何かもっといい方法はなかったのだろうかなんて思って、落ち込んでいるというか」
「それはいい格好したいだけなのでは?」
「もっと優しくしなよ、わかっているというか、今、自分でなんで落ち込んでいるのか理由がわかったばっかなの」
「前を向きましょうよ」
「はいはい」
もう諦めよう、だって蘆根だよ。
(本当、マッサージもマッサージする人もとんでもないところだよ、ここはさ!)
えっ、だってここは浜薔薇ですよ。
浜薔薇初心者が通る道であり、これは壁。そのうちこんなんじゃ満足しなくなるので懐かしく思うやつです。
トントントン
蘆根に体、整えられ中。
「調整はちょっとじかんはかかるが待ってな」
「こういうのもなんだけども、本気なのか?」
「本気さ、ちゃんと動ける体にしたる」
「バカだな、みんなあいつはもう終わったんだって思っているようなやつに優しくするなよ」
「そういう思い込みがいけない」
「そんなもんなのか?」
「そんなもんだぞ、特にこういう感じで、体調が優れてないなら、気分も落ちるから」
「そりゃあね、なんで…こんなのができないんだろうなっては思ってる」
「焦りは悪循環を生むから」
「わかってる!わかっているんだって!自分でもさ、きちんとやれるように、前のようにっていうのが一番たぶん…」
「いや、それが一番じゃねえな」
「じゃあ、何が一番ですか?」
「天下とろうぜ、前の道に未練があるとしても、そっちの道じゃ決してとれない、天下とろうぜ」
「蘆根さんって、たまに変だよね」
「そうか?」
ここで太ももに圧をかける。
「スクワットはどうだ?」
「やったら疲れた」
「そうか」
「負荷が低いやつからになると思う」
「おっ、割りきったか」
「少しはというか、う~んこれな、蘆根さんに負けたと思うと、癪ではある」
「いやいや、そこは勝ち負けじゃないよ、むしろ、俺がマッサージして、藤城さんがもう一回現場に戻って、すげぇことをやりきったら、二人とも勝ちじゃないですか」
「そういう気分にはまだ慣れないって、ああああそこそこ」
トントントントントン
「この力入れないで、小刻みに叩かれるのがすごく気持ちいいです」
「そりゃあ、これは精神的な疲れを取るためのやり方なんでな」
「えっ?そういうのがあるんですか?」
「このトントントントントンって刺激与えるタイプっていうのは、精神。逆に掌の付け根、ここで皮膚を流すようにやると疲れが取れるんだ」
「へぇ」
クッ!
骨盤に親指が入る。
「うわぃ!」
「ちょっと痛かったですね、これはストレッチで痛くなるんで、ストレッチを、でもこれは強制ではなく」
「はぁ」
「なんですか?」
「蘆根さんの世話焼きはたぶん良くなるまで続くだろうし」
「続けますね」
「諦めないだろうし」
「たぶんそうですね」
「たぶん?絶対の間違いないじゃない」
背中にクリーム。
「右腕、利き腕」
「そう伸ばしたことない部分延びている気が」
「本当は毎日、腋の下とか、リンパ流してもらいたいんですよね」
「時間がなくてごめんね」
「技術は時間がないにも打ち勝つんです」
中腰
「気づきません?」
「あっ、足はつけてないけども、スクワットだ」
「そう、このキープができているなら、今のところは問題ありません」
「今のところは」
「まだ戻れるんですよ」
「戻れる…でもな、良き理解者がいるところに行きたいわ、そしたら頑張り甲斐があるじゃん、今までさ、全力は出してきたけども、そう大した評価をもらったことがなくてね、とても悲しい、いや、私だけじゃないや、勝算は手伝ってくれた人たちにも報いたいんだよね、そういうところに行きたい、できるのならば」
「探せばありますよ」
「本当かな、それはどっかの妄想なのか、異世界にしかないんじゃないかなと」
「なきゃ作るとか?」
「そこまで技術も人脈もお金もないさ…蘆根さんはさ、どうなの?」
「どうですか?まあ、やりすぎて叱られたりしますね、ここではこういうことしないでくださいとか、意欲があると叱られるようなところにいましたし」
「それどうやってモチベーション維持したの」
「じゃあ、その人には聞かない」
「うわ…」
「その方が幸せじゃないかと」
「思った以上に蘆根さんって残酷だな」
「そうですかね、でもマッサージして、耳掃除してには全力で答えているうちにこうなったんで」
うぉぉぉぉぉぉぉ蘆根さん、明日も出張で朝六時には駅なんだ、だから今日の疲れ出来るだけ落としてくれないか。
「それでどうしたの?」
「二時間ぐらいマッサージして、その間に寝てもらっているので、このお客さんもストレス持ちですね、それで上手いこと仕事と両立させようと、浜薔薇の常連です」
ハードワーク、いや、ハードな誰かの人生を浜薔薇は支えている。
「そういう人が嫌じゃないんだね、蘆根さんは」
「えっ?なんで嫌なんですか?」
「気持ち悪いという人もいるんだよ」
「それはとても悲しいですね、自分の快不快で、人の人生を決めるものではないでしょう」
「かもね、でもそういう人たちは多いから、本当さ、友人だと思っても、こちらの休みに配慮なしで飲みの予定入れられるとかね、あるからね」
「藤城さんはどうなりたいんですか?」
「今にショックは受けたけども、未練はとっくの昔にないのかも、愛想はつきて、義理だけで動いて、向こうはそんな義理でさえもどうでもよかったみたいだから、これから何も残らないんだろうな…そういうつもりはなかったよ、そのエンディングは最悪だ、だからこそ自分は何かもっといい方法はなかったのだろうかなんて思って、落ち込んでいるというか」
「それはいい格好したいだけなのでは?」
「もっと優しくしなよ、わかっているというか、今、自分でなんで落ち込んでいるのか理由がわかったばっかなの」
「前を向きましょうよ」
「はいはい」
もう諦めよう、だって蘆根だよ。
(本当、マッサージもマッサージする人もとんでもないところだよ、ここはさ!)
えっ、だってここは浜薔薇ですよ。
浜薔薇初心者が通る道であり、これは壁。そのうちこんなんじゃ満足しなくなるので懐かしく思うやつです。
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