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センスを仕事をするものの宿命
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世の中にはセンスで仕事をしているものもいる。
ヶ崎 傑なんかは、そのくくりに入ることだろう。
「後でお客さんが彼女をつれてきます」
「ああ、誕生日プレゼントのやつな」
「そうです」
こういう彼女のプレゼントをするという時に、どういうのがいいですかね、相談やコーディネートが今は売上の比率がとても高くなっていた。
「こんにちは、お願いします」
二人はマッサージで使う個室に入っていく。
「はじめまして、彼女さん、今日は誕生日ということで、この中から選んでくださいます?」
そういって色んなデザインやカラーの折りたたみの傘を並べた。
「えっ?本当にいいの?選んじゃって」
「いいよ、誕生日だし」
「二つ選んでね」
そう言われて彼女はじっくりと悩み出した。
「お茶いれますね」
ガタッ
「東司、座って」
なんでこんなことになったか、あっ、東司のことではない。
傘の話である。
「彼女、日傘使うんですよ」
「ああ、それでプレゼントは傘を」
「この間強風で壊れちゃって、その時にいい傘は高いのよって」
「うん、高いよ」
「そうなんですか」
「そう、うちのコーディネート用にいいものが入ったら、それで値段が合えば確保していたりするよ」
値段を見せてもらったら確かに安いというか。
(あれ、このメーカーって安くないよな)
浜薔薇に来る前に、どんなものかサイトで見たものが、傑のお手製のカタログでかなり安く、浜薔薇ではコーディネートされているのがわかった。
(これがオシャレ番頭)
値段とオシャレを両立する。
(他のところでも見るけども、値段が数万からとかだむたもんな)
オシャレ番頭は、蘆根が「うちのオシャレ番頭」とお客さんにいい始めたら、浜薔薇にはオシャレ番頭というすげぇ人がいると広まったらしい。
「それ俺も聞かれた」
「こっちもどうなの?って」
尾花と永島は浜薔薇方面でバイトしているため、学校で聞かれたが、今まで話したこともない人たちに話しかけれ驚いたことはある。
「そこで、えっ、あいつら付き合ってるのを知ったりもしたから」
「わかる、そういう事情に詳しくなったかも」
でも言いふらさない、バイト先に関わることだしね。
元々傑は少ない給料でやりくりしながらも、身なりを気を付けなければならなかったことから、オシャレ番頭の道は始まったのだ。
これがなければ、理美容のダブルライセンスまではあのときはとれなかっただろう。
(現在は理容学校は学費が安くなったりしているので、当時とは違ったりしてますよ)
お茶とお菓子を持っていく。
「でも傑さんのいう通りでした」
「でしょ」
今回、傘をプレゼントしたい、予算としては普通に買うと一本の値段、しかし浜薔薇経由だと二本買えるので、即決してお願いしたのだが。
「こういうのは自分で選ぶよりも、彼女さんが選んだほうがいいよ」
「そういうものですか?」
「そうだよ、じゃあ、試しに、どれを選ぶ?」
そういって華やかな柄を選んだ。
「これ、覚えておいて、そして実際に何を選ぶか答え合わせしようか」
「わかりました」
すると、彼女が選んだのは彼氏が想定していたものとは違うものであった。
「…」
「あれ?どうしたの?」
「ほら、選んでもらって良かったでしょ」
「なるほど、いやさ、俺はこれとこれかなって思ったの」
「それは…確かに可愛いんだけどもね、でも実際に使うとなると、もうちょっと地味な方がいいかなって思ってる」
「そうなの?」
「そうだよ、でも可愛のもいいね」
そこで笑顔。
(ありがとう、傑さん、俺は今までこんなに喜んでもらったことはありません)
「でも本当にいい傘を用意してもらってありがとうございます」
「やっぱりいい傘っていいよね」
「はい」
「傘の見分けってどこでするの」
「ああ、傘を止めるのがボタンなのよ」
「あっ、本当だ」
パチン
「今のお手頃価格の傘って、ここがボタンじゃないから、日傘みたいに毎日使うとね、ここから悪くなるんですよ」
「そうそう、わかってる!」
「これでUV加工してて、デザインがいいと高くなるんで、うちでは傘って結構出るから、用意してるんですよ」
「えっ?そうなんですか?」
「ほら、髪とかしっかりとした後に、雨とか降ってきたら髪型台無しにならから、その時にもありますし」
こちらの傘はお返しにならなくても結構です。
「やはりこれからの時期はUVケアを考えてくるかたもおりますから」
紫外線で傷んだ髪をケアします。
「でもまあ、やはり一番は常連客の方でしょうね」
むしろ浜薔薇に来るのは傘目的のお客がいたりもします。
「傘目的」
「傘って買うの大変じゃないですか」
「そうなのよ、日傘になると、季節にならないと入ってこないし、結構お高いし」
「うちはオールシーズン置いてますから」
常連客が問い合わせをする。
「傘を壊しちゃってね、見せてくれる?」
理由としては強風もそうだし、後は紛失もあったりする。
「やっぱり傑くんの選んだものはいいね」
日傘ではない傘の場合は、店頭のように一面に見せる収納にしてお客さんに見ていただいております。
「じゃあ、これかな、それじゃ全部のお会計お願い」
「わかりました」
傘は回転率がすごい、良いものを置いておくとそこから消えていくといった感じ。
おそらくこの地域で一番傘を売っているのは浜薔薇ではないだろうか。
(最近じゃある程度の数を揃えておかないと落ち着かないんだよな)
良いものであるかでお客さんが決まるから、そこがセンスを仕事をするものの宿命である。
カチャカチャ
タモツと蘆根は傘を直している。
「蘆根も上手くなったな」
「ありがとうございます」
そう浜薔薇で返却不要の傘は、修理した傘を有効活用したものなのであった。
ヶ崎 傑なんかは、そのくくりに入ることだろう。
「後でお客さんが彼女をつれてきます」
「ああ、誕生日プレゼントのやつな」
「そうです」
こういう彼女のプレゼントをするという時に、どういうのがいいですかね、相談やコーディネートが今は売上の比率がとても高くなっていた。
「こんにちは、お願いします」
二人はマッサージで使う個室に入っていく。
「はじめまして、彼女さん、今日は誕生日ということで、この中から選んでくださいます?」
そういって色んなデザインやカラーの折りたたみの傘を並べた。
「えっ?本当にいいの?選んじゃって」
「いいよ、誕生日だし」
「二つ選んでね」
そう言われて彼女はじっくりと悩み出した。
「お茶いれますね」
ガタッ
「東司、座って」
なんでこんなことになったか、あっ、東司のことではない。
傘の話である。
「彼女、日傘使うんですよ」
「ああ、それでプレゼントは傘を」
「この間強風で壊れちゃって、その時にいい傘は高いのよって」
「うん、高いよ」
「そうなんですか」
「そう、うちのコーディネート用にいいものが入ったら、それで値段が合えば確保していたりするよ」
値段を見せてもらったら確かに安いというか。
(あれ、このメーカーって安くないよな)
浜薔薇に来る前に、どんなものかサイトで見たものが、傑のお手製のカタログでかなり安く、浜薔薇ではコーディネートされているのがわかった。
(これがオシャレ番頭)
値段とオシャレを両立する。
(他のところでも見るけども、値段が数万からとかだむたもんな)
オシャレ番頭は、蘆根が「うちのオシャレ番頭」とお客さんにいい始めたら、浜薔薇にはオシャレ番頭というすげぇ人がいると広まったらしい。
「それ俺も聞かれた」
「こっちもどうなの?って」
尾花と永島は浜薔薇方面でバイトしているため、学校で聞かれたが、今まで話したこともない人たちに話しかけれ驚いたことはある。
「そこで、えっ、あいつら付き合ってるのを知ったりもしたから」
「わかる、そういう事情に詳しくなったかも」
でも言いふらさない、バイト先に関わることだしね。
元々傑は少ない給料でやりくりしながらも、身なりを気を付けなければならなかったことから、オシャレ番頭の道は始まったのだ。
これがなければ、理美容のダブルライセンスまではあのときはとれなかっただろう。
(現在は理容学校は学費が安くなったりしているので、当時とは違ったりしてますよ)
お茶とお菓子を持っていく。
「でも傑さんのいう通りでした」
「でしょ」
今回、傘をプレゼントしたい、予算としては普通に買うと一本の値段、しかし浜薔薇経由だと二本買えるので、即決してお願いしたのだが。
「こういうのは自分で選ぶよりも、彼女さんが選んだほうがいいよ」
「そういうものですか?」
「そうだよ、じゃあ、試しに、どれを選ぶ?」
そういって華やかな柄を選んだ。
「これ、覚えておいて、そして実際に何を選ぶか答え合わせしようか」
「わかりました」
すると、彼女が選んだのは彼氏が想定していたものとは違うものであった。
「…」
「あれ?どうしたの?」
「ほら、選んでもらって良かったでしょ」
「なるほど、いやさ、俺はこれとこれかなって思ったの」
「それは…確かに可愛いんだけどもね、でも実際に使うとなると、もうちょっと地味な方がいいかなって思ってる」
「そうなの?」
「そうだよ、でも可愛のもいいね」
そこで笑顔。
(ありがとう、傑さん、俺は今までこんなに喜んでもらったことはありません)
「でも本当にいい傘を用意してもらってありがとうございます」
「やっぱりいい傘っていいよね」
「はい」
「傘の見分けってどこでするの」
「ああ、傘を止めるのがボタンなのよ」
「あっ、本当だ」
パチン
「今のお手頃価格の傘って、ここがボタンじゃないから、日傘みたいに毎日使うとね、ここから悪くなるんですよ」
「そうそう、わかってる!」
「これでUV加工してて、デザインがいいと高くなるんで、うちでは傘って結構出るから、用意してるんですよ」
「えっ?そうなんですか?」
「ほら、髪とかしっかりとした後に、雨とか降ってきたら髪型台無しにならから、その時にもありますし」
こちらの傘はお返しにならなくても結構です。
「やはりこれからの時期はUVケアを考えてくるかたもおりますから」
紫外線で傷んだ髪をケアします。
「でもまあ、やはり一番は常連客の方でしょうね」
むしろ浜薔薇に来るのは傘目的のお客がいたりもします。
「傘目的」
「傘って買うの大変じゃないですか」
「そうなのよ、日傘になると、季節にならないと入ってこないし、結構お高いし」
「うちはオールシーズン置いてますから」
常連客が問い合わせをする。
「傘を壊しちゃってね、見せてくれる?」
理由としては強風もそうだし、後は紛失もあったりする。
「やっぱり傑くんの選んだものはいいね」
日傘ではない傘の場合は、店頭のように一面に見せる収納にしてお客さんに見ていただいております。
「じゃあ、これかな、それじゃ全部のお会計お願い」
「わかりました」
傘は回転率がすごい、良いものを置いておくとそこから消えていくといった感じ。
おそらくこの地域で一番傘を売っているのは浜薔薇ではないだろうか。
(最近じゃある程度の数を揃えておかないと落ち着かないんだよな)
良いものであるかでお客さんが決まるから、そこがセンスを仕事をするものの宿命である。
カチャカチャ
タモツと蘆根は傘を直している。
「蘆根も上手くなったな」
「ありがとうございます」
そう浜薔薇で返却不要の傘は、修理した傘を有効活用したものなのであった。
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