浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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その人の実体験

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「これからどうする?」
「悪いな、今日はこいつがあるんでな」
そういって黄色のチケットを出した。
「それは」
別名天国への片道切符、ベストフレンドの湯から浜薔薇に行くまでのタクシー付きのセットである。
「豪勢じゃん」
「今日はどうしても癒されたい、そんな感じなので奮発した」
しかし、彼はわかっていなかった。
それがどういうものかと。
ベストフレンドの湯の前に、一台の黒塗り、きっちりと制服を来た運転手が降りてきて、お客様を待つ。
「本日のご案内をさせていただきます」
慣れてないので挙動不審になる。
「おぉ、お願いします」
車内は少しばかり広くウェルカムドリンクが用意されている。
(想像以上だ)
浜薔薇のサービスに普通は存在しないのはわかりきっているでしょう!

タクシー会社の支援のために始まったプラン、今では天国への片道切符一枚でも通じますので、みなさまよろしくお願いします(土下座)

じ~
「イツモどうした?」
悟った顔して両手万歳。
「なんだ、遊んでほしいのか?」
モシャモシャとお腹を撫でるが真顔である。
(たまにこういうときがあるよな)
夜になる前に帰ってくる。
珍しい…
そこでふと気づく。
(あ、そうか)
猫の恋のシーズンが終わり、狙っている子に振られ、一人歩きが辛いからというやつである。
(今回は怪我もないしな)
ちょっと前まではそれでも追いかけていたが、相手から反撃くらってからは一切いかなくなった。
(お見合いも考えてみるか)
ケットシーはモテないので、KCJではお見合いを開催していますが、ケットシーの参加率の低さが問題になっている。
「そこを越えると、相手見つけれたりするんですがね」
お相手は他のケットシーの縄張りに住んでいるや、親族にケットシーがいる、いわゆるケットシーに慣れている猫になる。
「見慣れていない猫からすると、ケットシー?何それ、こっち来ないでって感じなので 」
この間のぬいぐるみじゃないけども、ぬいぐるみの方がモテるというか。
「長年ぬいぐるみを嫁だと思っているケットシーいたんですよ」
触ると怒る。
「そのケットシーの場合は、嫁候補を送り込みました」
一年ぐらいでぬいぐるみを卒業しました。
「本当ね、このタイプが一番キツい、いや、見ててとかじゃなくて、人を怪我させるので」
KCJの職員たちが確保できないと討伐になります。
「あれ?こんなところにぬいぐるみがで片付けようとしたら、襲われるとかいう状態だったので」
骨を折られる狂暴さ。
「ケットシーは縄張りがある、ボスである、家族がいるとそのまま守りに入りますからね」
住んでいる人の健康寿命も延びるのは、ケットシーが快適を求めるからだろう。


最近、課金してくれる人が増えました。
「?」
蘆根は不思議がる。
「受け取っておいてくれ、蘆根さん」
「どういうことです?」
「俺はもう浜薔薇の耳掃除やマッサージが無くては生きてはいけない体なんだ」
そのために何かあったら困るからということで、前もってお金を渡しに来たのである。
「夢を見たんだ」
朝起きて、浜薔薇に来てみたら、閉店しました。
「それは悪夢だから、もう本当に、これでお金払ってないとかならば、いきなりそうなってもしょうがないと最終的には割りきれるのかもしれないけども…俺は嫌なんだよ!」
「う~ん」
そのまま受け取ったのだが。
「傑はどう思う?」
「僕ですか?」
「先生からは年寄りの意見は聞くなって言われたもんだからよ」
「このままやれるのならばこのままでいいとは思いますが、ただそのままやるのではなく、工夫は必要だと思いますよ」
「そうか…俺はちっともそういうの浮かばないからな」
「確かに現金はいるでしょう、ただ…」
「ただ?」
「お客さんたちも得をしてくれませんと、回らなくなるでしょう、そういう意味では炊き出しっていうのはお客さんたちの得にはなってますからね
「しかしキッチンカーを貸し出して、その料金で炊き出しする、んでもってキッチンカーの売り上げも相乗効果が得られるから、悪くないってすごいよな」
「名前が福猫1号って」
「縁起がいい名前だからじゃないか?」
浜薔薇の人たちは、キッチンカーがどういう経緯で貸し出されたのか知りません。
「KCJのことですから、上手くやったんでしょ」
福猫を寄贈したものです。現金があるせいで、現金が足りなくなっているところから、これを買ってくれとガンガン話が来てて、KCJの管理の人が中に入ってくれています。
「○○さん(匿名のため名前は伏せ字)だいたいこのぐらいの割合だったら、特に気にしないで買っても
いいとは思いますが」
「そういう大きい買い物、正直裏とかわからないから怖いんで、おすすめとしては」
「おすすめですか、そうだな…」
「難しいですか」
「好みを出すか、それとも堅実に利益を出すかってことで」
「このぐらい利益出ちゃうと、趣味に走らずきちんとやって方がいいと思うんですよ」
「ほう」
「上がしっかりしないと、下がしわ寄せで困るっていうのは、仕事で散々苦労させてもらいましたからね」
この人、お金を得るようになっても本当に使わないタイプであった。
「泡銭とは言わないけども、意味のある使い方をするべきじゃないかなと」
こういうタイプ、管理部好みである。
「後ですね、世界で一番の金持ちでも、お金だけ使うだけでは問題というのは解決しないっていうのがわかりましたから、それなら問題を解決する人をまず探したほうがいいかなって」
福猫1号の報告も細かくもらっていた。
「というか、キッチンカー、災害対策になればいいかなって思っていたんですが、なんでレンタル料金で、炊き出しが常に可能になっているんですか」
「ああ、それは可能なんで、どうします?って出張所に聞いたら、それだやりますってことになって」
「それでよく回せますね」
「いや、逆ですよ、元々やっている人がいて、この状況だともっと炊き出ししたいなっていうところに、これだったら、炊き出しいつもできるけど、どうする?みたいなもんですから」
「そのどうします?やります!っていう関係はお金では買えないですよね」
「買えませんね」
「本当、お金は稼ぐのも難しいが、使うのはもっと難しいと、その言葉の意味を知るようになるとは思いませんでしたよ」
「お金を稼げる能力がある人というのは、少数派だと思います」
「だよね」
「だいたいお金に負けてくるんですよ」
「負ける?」
「そうです、例えばお酒とかも大金の分そのまま飲んだら体壊しますよ」
「確かに」
「金がないときに憧れるものって、実際に遊んでみると体に悪かったりしますよ、たまにならいいんですけどもね」
管理部門はお金をどこかトラップアイテムのように捉えているような気がする。
(だからこそ信用できるんだけどもね)
彼が金持ちになったことを知るものは少ない、理由としては危険だからである。
(KCJの管理と警備がついてくれてなかったら、誰かの財布になる人生しか見えなかったし)
福猫1号も、あそこの炊き出しには給料日前などには世話になったという理由から。
「人生ってわけわからないですね」
「部屋に入った瞬間、奈落で異世界に落ちてサバイバルとかはありますからね」
管理部の人は真面目だけども、そういう小説とか見かけるから、気を使ったのかなと○○は思っているだろうが、それ、その人の実体験。
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