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その前から飛び乗ってました
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にゅ
イツモが窓の外からこちらを覗いている。
スースー
蘆根はまだ寝ているようであった。
姉が通った私立に自分も通うことは特に疑問は抱かなかったが、この私立の生徒は何種類かいた。
今でも付き合いがある鑑達というのは、同じ年でも結果を出すために、この学校に来ている。
その緊張感は、自分の人生にはないものであった。
緊張感が伝染したのか、それとも欲したのかはわからないが、自分の腕で生きていくというものに強く惹かれた。
「アホか」
「アホね」
ただ友人たちにはそう言われた。
まあ、二人からすれば、そうしなければ奨学金やら審査が通らない生き方なんて、自分からするものではないしといったところか。
ただ蘆根はそういう世界にハマった。
当時の友人たちは他にもいるが、この二人の話から出るのは、前にも言った通り、マッサージの練習相手などがこの二人が主だったからだ。
本を読んで、詰め込みすぎてふらふらになっているところをマッサージしていった。
「マッサージは取得に時間がかかるから、ちょっとでもいいから毎日のように続けること」
この道を志す蘆根は早いうちから指導者に恵まれた、その時教わった方法を友人たちに施していった。
男性と女性ではマッサージの仕方が違うこともあり、この二人にマッサージし放題ということは、される二人は疲労の回復が早いので、終わったその足でまた勉強に戻れるし。蘆根の方はと言われると、人体の神秘というのに触れることができた。
ある日マッサージの見学に行くと、急にお客さんが来たので、今日は帰りますか?と聞くと。
「いいや、見てなさい」
メシダの先生がそういった。
「先生のお弟子さんですか?」
お客さんが聞いてくる。
「未来の大先生だよ」
「そうですか」
「肋骨なぞりを見せたいんだけども」
「あっ、いいですよ」
「肋骨なぞり?」
「これだと胃腸がよく動くんだ」
「そうなんですよ、私、ちょっとストレスで体壊しちゃってるけども、メシダの先生のおかげで、この程度で済んでいるんですよ」
「壊さないのがいちばんいいんだけどもね」
「いや、それはこれからの医学に期待しますよ」
お客さんは腹を出した。
「蘆根くん、ここに肋骨があるね」
「ありますね」
「このお客さんはね、本当は休養しなければならない時でも動かなければならなかったんだ」
「先生のセリフにトゲがあるな」
「あるよ、そりゃあ、でもまあ、人生にはそうやって動かなければならないときがあって、不思議なことにそういうときに動けるようにするとか、その後のケアまで伝わっていたりするんだよ、その一つがこれ、まあ、流派によっていろいろとあるんだけどもね、私が教えてもらっているのはこれだ」
肋骨をなぞるのだが。
「当たり前だが優しくね、指で皮膚の上から、足の裏をひたすらマッサージしている蘆根くんならわかるとは思うが、ここにも老廃物のようなものがある、それを流してやるように」
「そこ気持ちいいです」
「ちゃんとカルシウムはとっているようだね」
「取ってないとできないと思います」
「そりゃあそうだ、蘆根くんは他のところでも学んでいたりするだろうけども、きちんと体の土台が出来てない人にマッサージをするものではないから」
逆効果になったりするよ。
医師に診察してもらっている人は相談しよう。
「でもきちんとしたところ見つけるのって大変じゃないですか」
「蘆根くんは何でうちにきたの?」
「えっ?なんか、たまたまですかね、どこか腕のいいところ探さないとと思っていたら、その時どっかでご飯食べたい昼だから、でもこの近所の知っている店がいっぱいで…」
それでここでいいかな、値段も手頃そうだし、美味しい匂いがしている。
ペンタメローネ、この店の名前らしい。
「今日のランチを頼んだら、お客さんが他にもいて、おばちゃん達だったんですが、いきなりあそこ知ってる?とても腕がいいのよって、そんな話になったんです」
もちろんだが、蘆根は気になった。
何しろ、話題が話題である。そのおばちゃんたちの一人はマッサージが大好きで、この辺のマッサージどころか、遠く離れた名店にも行ったことがあるという、そんな名店にも負けない店が近所にあるの知ってる?
「知らないわよ、そんなに腕がいいの?」
「そうなのよ、そして待たなくてもいいのよ、人気のお店って予約取れなかったりするじゃない、そこは腕もいいのに、予約もすぐにとれるから、私はそこにしたのよ」
っていう話。
「あのおばちゃん、いや、お姉さま方の話は全部聞きたかったですね、あのお姉さまが満足できるお店という名前を全部知っているだけで、リストが作れそうで」
その近所がここ、メシダである。
「うちはどちらかといえば、地元の人よりも、市街の人たちの方が来るから、地元の人の方が知らないんだよね」
このお客さんのようにストレス抱えた人たちがメイン。
「一回である程度取ってあげないとさ、辛い思いしているんだから」
そういって、ベリベリ剥がすように、お客さんたちからストレスを取り除くのである。
「蘆根くん、私は君がお客さん、いや、周囲の人たちから信頼されていて、とても嬉しいよ」
ノシ
重さというか、圧力を感じた。
このボリューム。
「イツモ…」
今飛び乗ったのではありません、その前から飛び乗ってましたから無罪顔。
それでも夢から覚めるには十分である。
(最後の言葉は夢にしてはリアルすぎるな)
ケットシーがそばにいると、睡眠の質を上げる研究の結果が出ています。またケットシーを粗末にすると悪夢を見る、おねしょが直らないとか地方によって格言があるぐらいなので、人間の睡眠にケットシーは影響及ぼせるようです。
イツモが窓の外からこちらを覗いている。
スースー
蘆根はまだ寝ているようであった。
姉が通った私立に自分も通うことは特に疑問は抱かなかったが、この私立の生徒は何種類かいた。
今でも付き合いがある鑑達というのは、同じ年でも結果を出すために、この学校に来ている。
その緊張感は、自分の人生にはないものであった。
緊張感が伝染したのか、それとも欲したのかはわからないが、自分の腕で生きていくというものに強く惹かれた。
「アホか」
「アホね」
ただ友人たちにはそう言われた。
まあ、二人からすれば、そうしなければ奨学金やら審査が通らない生き方なんて、自分からするものではないしといったところか。
ただ蘆根はそういう世界にハマった。
当時の友人たちは他にもいるが、この二人の話から出るのは、前にも言った通り、マッサージの練習相手などがこの二人が主だったからだ。
本を読んで、詰め込みすぎてふらふらになっているところをマッサージしていった。
「マッサージは取得に時間がかかるから、ちょっとでもいいから毎日のように続けること」
この道を志す蘆根は早いうちから指導者に恵まれた、その時教わった方法を友人たちに施していった。
男性と女性ではマッサージの仕方が違うこともあり、この二人にマッサージし放題ということは、される二人は疲労の回復が早いので、終わったその足でまた勉強に戻れるし。蘆根の方はと言われると、人体の神秘というのに触れることができた。
ある日マッサージの見学に行くと、急にお客さんが来たので、今日は帰りますか?と聞くと。
「いいや、見てなさい」
メシダの先生がそういった。
「先生のお弟子さんですか?」
お客さんが聞いてくる。
「未来の大先生だよ」
「そうですか」
「肋骨なぞりを見せたいんだけども」
「あっ、いいですよ」
「肋骨なぞり?」
「これだと胃腸がよく動くんだ」
「そうなんですよ、私、ちょっとストレスで体壊しちゃってるけども、メシダの先生のおかげで、この程度で済んでいるんですよ」
「壊さないのがいちばんいいんだけどもね」
「いや、それはこれからの医学に期待しますよ」
お客さんは腹を出した。
「蘆根くん、ここに肋骨があるね」
「ありますね」
「このお客さんはね、本当は休養しなければならない時でも動かなければならなかったんだ」
「先生のセリフにトゲがあるな」
「あるよ、そりゃあ、でもまあ、人生にはそうやって動かなければならないときがあって、不思議なことにそういうときに動けるようにするとか、その後のケアまで伝わっていたりするんだよ、その一つがこれ、まあ、流派によっていろいろとあるんだけどもね、私が教えてもらっているのはこれだ」
肋骨をなぞるのだが。
「当たり前だが優しくね、指で皮膚の上から、足の裏をひたすらマッサージしている蘆根くんならわかるとは思うが、ここにも老廃物のようなものがある、それを流してやるように」
「そこ気持ちいいです」
「ちゃんとカルシウムはとっているようだね」
「取ってないとできないと思います」
「そりゃあそうだ、蘆根くんは他のところでも学んでいたりするだろうけども、きちんと体の土台が出来てない人にマッサージをするものではないから」
逆効果になったりするよ。
医師に診察してもらっている人は相談しよう。
「でもきちんとしたところ見つけるのって大変じゃないですか」
「蘆根くんは何でうちにきたの?」
「えっ?なんか、たまたまですかね、どこか腕のいいところ探さないとと思っていたら、その時どっかでご飯食べたい昼だから、でもこの近所の知っている店がいっぱいで…」
それでここでいいかな、値段も手頃そうだし、美味しい匂いがしている。
ペンタメローネ、この店の名前らしい。
「今日のランチを頼んだら、お客さんが他にもいて、おばちゃん達だったんですが、いきなりあそこ知ってる?とても腕がいいのよって、そんな話になったんです」
もちろんだが、蘆根は気になった。
何しろ、話題が話題である。そのおばちゃんたちの一人はマッサージが大好きで、この辺のマッサージどころか、遠く離れた名店にも行ったことがあるという、そんな名店にも負けない店が近所にあるの知ってる?
「知らないわよ、そんなに腕がいいの?」
「そうなのよ、そして待たなくてもいいのよ、人気のお店って予約取れなかったりするじゃない、そこは腕もいいのに、予約もすぐにとれるから、私はそこにしたのよ」
っていう話。
「あのおばちゃん、いや、お姉さま方の話は全部聞きたかったですね、あのお姉さまが満足できるお店という名前を全部知っているだけで、リストが作れそうで」
その近所がここ、メシダである。
「うちはどちらかといえば、地元の人よりも、市街の人たちの方が来るから、地元の人の方が知らないんだよね」
このお客さんのようにストレス抱えた人たちがメイン。
「一回である程度取ってあげないとさ、辛い思いしているんだから」
そういって、ベリベリ剥がすように、お客さんたちからストレスを取り除くのである。
「蘆根くん、私は君がお客さん、いや、周囲の人たちから信頼されていて、とても嬉しいよ」
ノシ
重さというか、圧力を感じた。
このボリューム。
「イツモ…」
今飛び乗ったのではありません、その前から飛び乗ってましたから無罪顔。
それでも夢から覚めるには十分である。
(最後の言葉は夢にしてはリアルすぎるな)
ケットシーがそばにいると、睡眠の質を上げる研究の結果が出ています。またケットシーを粗末にすると悪夢を見る、おねしょが直らないとか地方によって格言があるぐらいなので、人間の睡眠にケットシーは影響及ぼせるようです。
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