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ファンタジーに片足突っ込んでいるのに安定を求める
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「予算があると、今までにできないことができますね」
キリっとした顔で決めるのは波里である。
「できたのか?」
「はーい、もちろん」
そこでビシッと見せるのは、虫歯防止シートである。
「KCJ浜薔薇出張所で配布するので、出張所の名前とイツモ様のシルエットデザインですよ!」
「なかなか可愛いもんだな」
「可愛いだけではありませんよ」
生活に改善が必要な状態だと、口腔、虫歯に悩むことが多くなるが、このシートはそれを防止する。
「洗う場所、水がいらないんですよ、ただ歯を拭いてくれればいい、まあ、ちょっと最初は拭き方が大変なんですけども」
「ああ、これ、KCJでも新人に配られるよな」
「はい、我々のサバイバルキットの一つですね」
「今だと、効果的な節約方法を探求しているチームのキットとして導入されています」
実際に使っている人といない人では、虫歯になる確率が年単位で違うので。
「むしろ、なんで虫歯になってないんだよっていわれるレベルですからね」
「ああ、でもあまり
知られてないからな」
あれ?虫歯ない?なんでこのグループだけ虫歯のトラブルが本当に低いんだろう、首を捻られるぐらい。
それぐらい段違いなようです。
「KCJも最初から大きい団体でもないので」
KCからKCJになるってことで、任されることになった人たちは、どうする?予算とか色々限りあるよと。
「設立するということになって、本当にお金使わないでなんとかしなくちゃってことで、今でもその創立組、創立組が管理部門とか資金部門とかに流れ組むんだけども、ほぼ創立組の流れを大きく残した人が継いでいますね」
でもそのうちまた次を背負う子が現れて、ガラッと変わるから、それまでは踏まえていけばいいと思っているらしい。
「それを納得しているのがすごいよな」
「あそこは変えない、変わらない、原則とか好きですからね」
そういうタイプの人間が志願することが多いようです。
「安定って大事じゃないですか」
ファンタジーに片足突っ込んでいる団体に安定を求めるのは、やはり変人の域かのかもしれない。
「かもしれませんけども、普通に生きていたつもりなんですよ、こっちは、でもね、日本というのは、途中から未経験というのは本当に生きづらい、あなたはいらないとか、言われてしまう、そういうのをまったーく気にしないのはね、KCJぐらい」
そういう受け皿になったつもりはないが、結果的にそういうタイプがやってきた。
「浜薔薇などがやっているああいう支援とかも、管理部門がそういう経験したことがある人たちがいるから、ちゃんと書類出してくれれば予算だすといってくれる、譲歩してくれているわけです」
聞いているか?整備部門。
「資金の担当者は管理ともあまり付き合わないようにしているんですよね」
理由は危ないから。
「戦闘職がいても、知られないことが一番の危機管理になるっていってますから、誰がその担当なのか名前がでないことがありますね」
管理が調査などをして、それで資金担当がサインを出す。
「管理が細かい記載を、報告を求めるのは、管理が求めているわけではなくて、その時の資金担当が求めている場合がほとんどですね」
浜薔薇の場合は、カットやシェービングが出来る技術者が中心で動いているので。
「これは逆に他の支部ではできない、近隣の支部辺りならばお呼びしたいぐらいなんだが、そうなると本業が…と思うとね」
このバランスが難しいらしい。
「ケットシーの皆様は平穏を求めております」
元々野生、魔獣にあたるのだが、人と共に、集団生活と共にあるために、戦う力は残しながらもだらだらするのが大好きな性質である。
「もっともKCJで西日が似合うケットシーのミューちゃんを労らねば」
こういう、えっ?何いっているの?この人は?みたいな人たちと共にいるのが、ケットシーは好きである。
世の中がギスギスしていると、こういう人たちは減る。
「にゃーん」
「はっ、畏まりました」
今も名将と呼ばれるケットシー、シャマリー。そして時のKCのえらい人ににゃーんと鳴いたことがきっかけで、KCという組織は困窮状態ある人を助けるように、そしてもっとケットシーと遊ぶように方針を定めた。
「さすが名将ですね」
「遊ぶことが後に経済の活性化に繋がるとはな」
ケットシーが鳴けば人が動くという、格言の通り、様々なところからそれを解決する人たちは集められることになる。今では当たり前だが、ケットシーや猫をもふる仕事はここから始まったとされ、それこそ歴史が新しい幕をあけた。
人がきっちりと仕事をするには、快適な環境もまた大事であると、最初は予算など少なかったが、予算が増えるたびに福利厚生は充実していった。
例えばだが、ベストフレンドの湯にKCJの職員がいくと、職員が負担する額は150円。
「うちの村の温泉でもそんなに安くない」
地元の温泉は最近値上がりして180円になったと、とある職員はいってたりした。
「あっ、これ風呂上がりにワンドリンクついているからな、この値段ですよ」
「ミルクなんだろ?日本の風呂上がりには?」
「コーヒー牛乳でもいいといいます」
四代ほど前の、KCJの支部のえらい人がこちらに赴任したときに、ベストフレンドの湯、天の川の湯をいたく気に入り、休みの日となれば、朝から閉店まで休憩所を利用し、堪能していたという。
「前にいたところは激務でね、休む暇なかったから」
さすがにこれ以上はこの職員が潰れると判断し、比較的平穏なこちらに異動となりました。
「でも離れてみると、恋しくなったりしない?」
「あ~そうなったら、また異動させてくださいっていうんじゃないかな」
休憩所で知り合いになった人とそんな話をするのだが、おそらくそれはないだろう。
何しろ、向こうの知り合いは彼を便利には使ったが、異動した後は一切連絡を寄越さず。
(友達だとこっちは思っていたんだけどもな、向こうは便利に思っていただけか)
それならば後ろは振り替える必要もないし、忘れるのも早いだろう。
実際に彼は数ヵ月で彼らのことを思い出さなくなり、その分今の仕事で結果を出した。
福利厚生にこの近隣の温泉施設をお得に使える、それを勝ち取るには十分の成果だった。
キリっとした顔で決めるのは波里である。
「できたのか?」
「はーい、もちろん」
そこでビシッと見せるのは、虫歯防止シートである。
「KCJ浜薔薇出張所で配布するので、出張所の名前とイツモ様のシルエットデザインですよ!」
「なかなか可愛いもんだな」
「可愛いだけではありませんよ」
生活に改善が必要な状態だと、口腔、虫歯に悩むことが多くなるが、このシートはそれを防止する。
「洗う場所、水がいらないんですよ、ただ歯を拭いてくれればいい、まあ、ちょっと最初は拭き方が大変なんですけども」
「ああ、これ、KCJでも新人に配られるよな」
「はい、我々のサバイバルキットの一つですね」
「今だと、効果的な節約方法を探求しているチームのキットとして導入されています」
実際に使っている人といない人では、虫歯になる確率が年単位で違うので。
「むしろ、なんで虫歯になってないんだよっていわれるレベルですからね」
「ああ、でもあまり
知られてないからな」
あれ?虫歯ない?なんでこのグループだけ虫歯のトラブルが本当に低いんだろう、首を捻られるぐらい。
それぐらい段違いなようです。
「KCJも最初から大きい団体でもないので」
KCからKCJになるってことで、任されることになった人たちは、どうする?予算とか色々限りあるよと。
「設立するということになって、本当にお金使わないでなんとかしなくちゃってことで、今でもその創立組、創立組が管理部門とか資金部門とかに流れ組むんだけども、ほぼ創立組の流れを大きく残した人が継いでいますね」
でもそのうちまた次を背負う子が現れて、ガラッと変わるから、それまでは踏まえていけばいいと思っているらしい。
「それを納得しているのがすごいよな」
「あそこは変えない、変わらない、原則とか好きですからね」
そういうタイプの人間が志願することが多いようです。
「安定って大事じゃないですか」
ファンタジーに片足突っ込んでいる団体に安定を求めるのは、やはり変人の域かのかもしれない。
「かもしれませんけども、普通に生きていたつもりなんですよ、こっちは、でもね、日本というのは、途中から未経験というのは本当に生きづらい、あなたはいらないとか、言われてしまう、そういうのをまったーく気にしないのはね、KCJぐらい」
そういう受け皿になったつもりはないが、結果的にそういうタイプがやってきた。
「浜薔薇などがやっているああいう支援とかも、管理部門がそういう経験したことがある人たちがいるから、ちゃんと書類出してくれれば予算だすといってくれる、譲歩してくれているわけです」
聞いているか?整備部門。
「資金の担当者は管理ともあまり付き合わないようにしているんですよね」
理由は危ないから。
「戦闘職がいても、知られないことが一番の危機管理になるっていってますから、誰がその担当なのか名前がでないことがありますね」
管理が調査などをして、それで資金担当がサインを出す。
「管理が細かい記載を、報告を求めるのは、管理が求めているわけではなくて、その時の資金担当が求めている場合がほとんどですね」
浜薔薇の場合は、カットやシェービングが出来る技術者が中心で動いているので。
「これは逆に他の支部ではできない、近隣の支部辺りならばお呼びしたいぐらいなんだが、そうなると本業が…と思うとね」
このバランスが難しいらしい。
「ケットシーの皆様は平穏を求めております」
元々野生、魔獣にあたるのだが、人と共に、集団生活と共にあるために、戦う力は残しながらもだらだらするのが大好きな性質である。
「もっともKCJで西日が似合うケットシーのミューちゃんを労らねば」
こういう、えっ?何いっているの?この人は?みたいな人たちと共にいるのが、ケットシーは好きである。
世の中がギスギスしていると、こういう人たちは減る。
「にゃーん」
「はっ、畏まりました」
今も名将と呼ばれるケットシー、シャマリー。そして時のKCのえらい人ににゃーんと鳴いたことがきっかけで、KCという組織は困窮状態ある人を助けるように、そしてもっとケットシーと遊ぶように方針を定めた。
「さすが名将ですね」
「遊ぶことが後に経済の活性化に繋がるとはな」
ケットシーが鳴けば人が動くという、格言の通り、様々なところからそれを解決する人たちは集められることになる。今では当たり前だが、ケットシーや猫をもふる仕事はここから始まったとされ、それこそ歴史が新しい幕をあけた。
人がきっちりと仕事をするには、快適な環境もまた大事であると、最初は予算など少なかったが、予算が増えるたびに福利厚生は充実していった。
例えばだが、ベストフレンドの湯にKCJの職員がいくと、職員が負担する額は150円。
「うちの村の温泉でもそんなに安くない」
地元の温泉は最近値上がりして180円になったと、とある職員はいってたりした。
「あっ、これ風呂上がりにワンドリンクついているからな、この値段ですよ」
「ミルクなんだろ?日本の風呂上がりには?」
「コーヒー牛乳でもいいといいます」
四代ほど前の、KCJの支部のえらい人がこちらに赴任したときに、ベストフレンドの湯、天の川の湯をいたく気に入り、休みの日となれば、朝から閉店まで休憩所を利用し、堪能していたという。
「前にいたところは激務でね、休む暇なかったから」
さすがにこれ以上はこの職員が潰れると判断し、比較的平穏なこちらに異動となりました。
「でも離れてみると、恋しくなったりしない?」
「あ~そうなったら、また異動させてくださいっていうんじゃないかな」
休憩所で知り合いになった人とそんな話をするのだが、おそらくそれはないだろう。
何しろ、向こうの知り合いは彼を便利には使ったが、異動した後は一切連絡を寄越さず。
(友達だとこっちは思っていたんだけどもな、向こうは便利に思っていただけか)
それならば後ろは振り替える必要もないし、忘れるのも早いだろう。
実際に彼は数ヵ月で彼らのことを思い出さなくなり、その分今の仕事で結果を出した。
福利厚生にこの近隣の温泉施設をお得に使える、それを勝ち取るには十分の成果だった。
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