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桜馬車橋
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本日はガパオライスがキッチンカーで提供されたために、お昼はそれなのだが。
「タモツ先生は?」
「物は試しだな」
「美味しいですよ!」
特に箸が、いや、スプーンが止まることなく、ご飯を食べ終えた。
「なんか思ったよりも馴染みのある味だよな」
「ああ、こりゃあキノコだな」
「キノコ…」
とまあ、そこで話は終わったのだが、おいしがったですと店の人に伝え、味の秘密はキノコですか?と聞くと。
「よくわかりましたね」
そこでニヤリと笑った。
「それって珍しいというか、あまり味付けとしては使われないんじゃないですか?」
「それがですね、精進料理だとキノコ出汁を使うらしいんですよ、とりあえず食べ慣れない味よりは、先に食べ慣れた味で作ってみて、別添えの辛みでいいかなと」
「工夫がすごいですね」
「やっぱり一回試しに買ってくれて、次も買うって気にしないとダメかなと」
挽き肉も鮮度のいいものを用意してもらっている。
「ご飯に負けないようにしたかったんですよ」
辛み抜きだと挽き肉ご飯みたいなテイストなのかもしれないが、そこはバジルと鷹の爪で基本は押さえている。
「他にも美味しい料理ってありますから、そこでいかにして選んでもらうか、なかなか挑戦しがいがあることですね」
浜薔薇のお客さんには食にこだわる人たちもいる。
「蘆根さん、歩き疲れちゃった」
「どれだけ歩いたんですか?」
スッ
そこでスマホの万歩計を見せるが。
「歩きすぎじゃないですか」
「そうだね、いつもの二倍に+4000歩だね」
「なんでまた」
「浜薔薇仲間でさ、美味しい店教えてもらったわけ、コロッケなんだけどもさ」
「へぇ、どこにあるんですか?」
「桜馬車橋」
「はっ?」
「桜馬車橋」
桜馬車橋というのは、浜薔薇の近所ではなく、ここから車で一時間ほどの、蘆根と傑の通ったサロンの学校がある街の、街中と郊外を繋ぐ橋である。
「バスが来なくてさ、そこまで歩いて行ったんだよね、どうせコロッケ食べるしって」
「駅から桜馬車橋って20~30分ぐらい歩くのでは」
「そのぐらいかな、でもおいしかった、拳ぐらいのさ、コロッケ、肉っていったけども、隠し味は味噌なんだけども、あれはいいよ、近所になんでないんだよ!っていいたくなる店だね」
「…あれ?ってことは、あそこの惣菜店ですか?」
「行ったことあるのかい?」
「そこ、麻婆豆腐美味しいんですよ」
「えっ?それ知らない」
「ああ、食べてみてください、麻婆豆腐美味しいですよ、ご飯が売ってないから、その場合は近所のスーパーありません?」
「あっ、なんかあったな」
「そこのご飯を買うとお味噌汁がつくんですよ、ご飯150円なのに、たまに味噌汁じゃなくて、中華スープとか、潮汁だったりするんですけども、それを買って、あそこのそばの公園で食べるんですよ」
「次、それ食べるんだい!」
「あそこら辺って、地元の人しか来ないから、安くて美味しい店が多いので、行くなら平日かな」
「えっ?なんで?」
「働いている人がお昼にいく時間帯に営業しているお店が多いから、新しいお店を見つけるんだったら、その時間混んでいるところに行けば間違いないですよ」
「良いこと聞いたわ、次はそうする」
「そうしてみてください、でもあそこら辺食べ歩きしている人達いたような気がする」
「いるでしょ、美味しいなら」
検索しましたがいませんでした。
「あまりにも当たり前すぎて、あれが宝の山だということに気がつかないのか!」
「それはあるかもしれませんね、離れてみると、あ~あそこのあれはおいしかったな、また食べたいなって思うんですがね」
「それはあるね」
「でも最近はキッチンカーが来てくれるから、ご飯のバリエーションが増えましたよ」
「夜にさ、ラーメンの屋台はずるいと思う」
「ずるいですか?」
「ずるいよ、だって夜なんてこっちに来る用事はないのに」
いつも同じ店ではなく、色んな店が来るため。
「おい聞いたか」
「ああ、聞いた」
「また黄金だし入りの味噌が始まるというのか」
「今回は絶対行くから」
「来い来い、早くしないと売り切れちゃうぞ」
この夜は夜で、浜薔薇に向かう客層がいるようです。
「昼はキッチンカーで、夜はラーメンって、毎回楽しみにしてくれるお客さんいるんじゃない?」
「いますよ、だからルールがあって、その代わり出店がしやすくなっているんですよ」
「えっ?どんな?」
「毎日食べてもいいような栄養バランス、特に塩分を守ることと値段ですよ、それを守ってくれたら、キッチンカーがない人でも借りやすい金額で貸しているんですよ」
「キッチンカーさ、新しくなかった?ピカピカのあれでしょ?」
「そうなんですよ、だから借りたい人が後を立たなくて」
えっ、これ使っていいんですか?
本当?
「みんな驚きますね」
KCJのレンタルキッチンカー福猫一号の予約は、現在二ヶ月ほどいっぱいになっております。
キャンセル待ちの方もお待ちしております。
「やっぱり副業考える人多いのかな」
「多いんじゃないんですかね、こんな時代ですから、何かしらやろうと思ってる」
「自分はそういうこと考えないけども、美味しいもの食べれるなら、大歓迎」
KCJの浜薔薇出張所のサイトでは、一度だけの出店のお店でも、もう一回出てください!のリクエストを受付しております。
あなたのリクエストが次の出店を決めるかもしれない、写真の投稿待ってるよ!
「タモツ先生は?」
「物は試しだな」
「美味しいですよ!」
特に箸が、いや、スプーンが止まることなく、ご飯を食べ終えた。
「なんか思ったよりも馴染みのある味だよな」
「ああ、こりゃあキノコだな」
「キノコ…」
とまあ、そこで話は終わったのだが、おいしがったですと店の人に伝え、味の秘密はキノコですか?と聞くと。
「よくわかりましたね」
そこでニヤリと笑った。
「それって珍しいというか、あまり味付けとしては使われないんじゃないですか?」
「それがですね、精進料理だとキノコ出汁を使うらしいんですよ、とりあえず食べ慣れない味よりは、先に食べ慣れた味で作ってみて、別添えの辛みでいいかなと」
「工夫がすごいですね」
「やっぱり一回試しに買ってくれて、次も買うって気にしないとダメかなと」
挽き肉も鮮度のいいものを用意してもらっている。
「ご飯に負けないようにしたかったんですよ」
辛み抜きだと挽き肉ご飯みたいなテイストなのかもしれないが、そこはバジルと鷹の爪で基本は押さえている。
「他にも美味しい料理ってありますから、そこでいかにして選んでもらうか、なかなか挑戦しがいがあることですね」
浜薔薇のお客さんには食にこだわる人たちもいる。
「蘆根さん、歩き疲れちゃった」
「どれだけ歩いたんですか?」
スッ
そこでスマホの万歩計を見せるが。
「歩きすぎじゃないですか」
「そうだね、いつもの二倍に+4000歩だね」
「なんでまた」
「浜薔薇仲間でさ、美味しい店教えてもらったわけ、コロッケなんだけどもさ」
「へぇ、どこにあるんですか?」
「桜馬車橋」
「はっ?」
「桜馬車橋」
桜馬車橋というのは、浜薔薇の近所ではなく、ここから車で一時間ほどの、蘆根と傑の通ったサロンの学校がある街の、街中と郊外を繋ぐ橋である。
「バスが来なくてさ、そこまで歩いて行ったんだよね、どうせコロッケ食べるしって」
「駅から桜馬車橋って20~30分ぐらい歩くのでは」
「そのぐらいかな、でもおいしかった、拳ぐらいのさ、コロッケ、肉っていったけども、隠し味は味噌なんだけども、あれはいいよ、近所になんでないんだよ!っていいたくなる店だね」
「…あれ?ってことは、あそこの惣菜店ですか?」
「行ったことあるのかい?」
「そこ、麻婆豆腐美味しいんですよ」
「えっ?それ知らない」
「ああ、食べてみてください、麻婆豆腐美味しいですよ、ご飯が売ってないから、その場合は近所のスーパーありません?」
「あっ、なんかあったな」
「そこのご飯を買うとお味噌汁がつくんですよ、ご飯150円なのに、たまに味噌汁じゃなくて、中華スープとか、潮汁だったりするんですけども、それを買って、あそこのそばの公園で食べるんですよ」
「次、それ食べるんだい!」
「あそこら辺って、地元の人しか来ないから、安くて美味しい店が多いので、行くなら平日かな」
「えっ?なんで?」
「働いている人がお昼にいく時間帯に営業しているお店が多いから、新しいお店を見つけるんだったら、その時間混んでいるところに行けば間違いないですよ」
「良いこと聞いたわ、次はそうする」
「そうしてみてください、でもあそこら辺食べ歩きしている人達いたような気がする」
「いるでしょ、美味しいなら」
検索しましたがいませんでした。
「あまりにも当たり前すぎて、あれが宝の山だということに気がつかないのか!」
「それはあるかもしれませんね、離れてみると、あ~あそこのあれはおいしかったな、また食べたいなって思うんですがね」
「それはあるね」
「でも最近はキッチンカーが来てくれるから、ご飯のバリエーションが増えましたよ」
「夜にさ、ラーメンの屋台はずるいと思う」
「ずるいですか?」
「ずるいよ、だって夜なんてこっちに来る用事はないのに」
いつも同じ店ではなく、色んな店が来るため。
「おい聞いたか」
「ああ、聞いた」
「また黄金だし入りの味噌が始まるというのか」
「今回は絶対行くから」
「来い来い、早くしないと売り切れちゃうぞ」
この夜は夜で、浜薔薇に向かう客層がいるようです。
「昼はキッチンカーで、夜はラーメンって、毎回楽しみにしてくれるお客さんいるんじゃない?」
「いますよ、だからルールがあって、その代わり出店がしやすくなっているんですよ」
「えっ?どんな?」
「毎日食べてもいいような栄養バランス、特に塩分を守ることと値段ですよ、それを守ってくれたら、キッチンカーがない人でも借りやすい金額で貸しているんですよ」
「キッチンカーさ、新しくなかった?ピカピカのあれでしょ?」
「そうなんですよ、だから借りたい人が後を立たなくて」
えっ、これ使っていいんですか?
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