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神聖な気持ち
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出張所に電話、波里が応対をする。
「はい…私ですが、えっ、はい」
東司は今後についてどういう提案をするべきか悩んでいた。
「わかりました、とりあえず失礼します」
チン!
「どうした?」
「あ~ええっと私、すごく混乱しています」
それこそ、どっかの若旦那みたいにね。
「ゆっくりでいいから」
そこでお茶を用意してくれる。
こういう時はお茶に限るし、そうだあの期間限定を…
「解決しました」
「何が?」
「浜薔薇出張所、炊き出し事案が解決しました」
「なんだ、お金持ちが寄付してくれたのか?」
「いえ、それは、ああ違いますね、すいません、ちょっと喉が」
先に飲み物をごくごくと飲む。
「ああ、ええっとまず最初にいいますが、キッチンカーが寄贈されましたよね」
福猫1号といいます。
「これで浜薔薇の駐車場に新しいお店が増えることになるな」
「そうなんですが、ええっとね、キッチンカーを貸し出しという形で、入ってくる収入っていくらかわかりますか?」
「一万とか?」
「いえ、五万です」
「は?」
「いえいえ、五万です」
「まさかその五万があると」
「元々出張所の炊き出しは、他のキッチンカーの方、こちらは持ち込みなので場所を貸してるぐらいでした、そしてこの場所代の収入と、何百円か一食辺り近所の方は入れていただいたので、ちょっと黒字をキープしてて、でもこれからだとどういう感じになるのかまるでわからないと悩んでましたが」
「そうだな、福猫1号が寄贈されて、これでもっと賑やかになるなぐらいだったな」
「そうです、貸し出しすることになって、ええっと浜薔薇って平日でもお客さんが来るから、キッチンカーとかはじめてみたい人には出店したい場所なんですよ」
そこにレンタルがありますよというやつです。
「仕込みの場所もあるじゃないですか」
「そうだな、厨房ない人は近所の公民館があるからな」
「そうです、そちらを使うと、でも五万って結構いい値段かなと思ったんですが、お試しにやるならこれぐらいでも安いと」
もう何しろお客さんがついてて、新しいお店?次はいつ来るの?という心待にしている感じなので。
「それでならば安いと、まあ、今までの成功例ありましたからね」
店持ちましたが最近ありました。
「KCJの整備と、管理部門からの連絡で、相場見て、この値段なら貸し出し、管理部門で出店の予約など審査も引き受けるからということなので、私たちが今まで、借りたい方は出張所に連絡してもらっての作業がなくなり、管理部門が引き受けで、ある程度以上暇になりますね」
「それでいて、炊き出しの予算は確保だから悪くはないんじゃないか」
「まあ、そうなんですが、このね、一気に変わるのは慣れないんですよね、夢ではないかと」
ニャー
出張所の外にイツモがいるようなので、中に入れる。
「これはこれはイツモ様」
いきなり波里は土下座した。
「この度は私の苦悩を取り除いていただいてありがとうございます」
「いや、イツモ様は」
「私はただいまとても神聖な気持ちを感じております」
つまりなにも言うなと。
「イツモ様が福猫というタリスマンを譲り受け、そのタリスマンを託された方が、高額当選者となり、そのお礼にとKCJにキッチンカーを、そして地元の消防署に救急車を寄贈なされたことはとても嬉しく思っておりましたが、まさかその先にこのような、私の苦悩まで取り除いてくださるとは思いませんでした」
波里が顔を上がると、イツモは微笑みを浮かべているようだったが、もしもここに蘆根がいたのならば、あれは聞いてないで、他の事を考えている顔だといっているだろう。
「イツモ様の私などでは理解できないほど先を見ていられる」
土下座中の波里には見えてないが、イツモはあくびをした。
これでまた波里がイツモのご尊顔を見ようとすると、イツモはキリ!とした顔をするので、東司からするとコントのようなものであった。
「これからは私はイツモ様を中心とする皆様が繁栄幸福のために捧げたいと思います」
ニュ
イツモはなんでか、手を出した。
「おお、私に頑張れというのですね、もちろんです、もちろんですよ、イツモ様」
ここに蘆根がいたらこういうだろ、もうそろそろ爪が長いと思うんだけども、どうだろ?と問い合わせているやつだと。
「予算はこれで確保したし、後はさらなる発展のために!」
ニャー
出張所の外から猫の声がすると、イツモはピクっと耳が動いた。
「イツモ様は次の用事があるようだ」
そういって東司はドアをあけると、イツモはさっさと外に出る。
サバトラの女子がそこにはいて、他の猫達と一緒にいるが、イツモはじっとその子を見ていて、それ以上は近寄らないのだが、そのサバトラの女の子は他の猫とどこかにいってしまうと、イツモはショックを受けていた。
(一緒に行ったのオスだったのか)
東司は理解する、そしてイツモはとぼとぼと歩いていったかと思ったが、フェカリスの元に遊びに行くのか華麗に塀を飛び越えた。
裏に向かう塀のそばでは椎茸を育てている、おそらくあの椎茸もイツモの障壁から栄養を吸い込んで豊作になることだろう。
「はい…私ですが、えっ、はい」
東司は今後についてどういう提案をするべきか悩んでいた。
「わかりました、とりあえず失礼します」
チン!
「どうした?」
「あ~ええっと私、すごく混乱しています」
それこそ、どっかの若旦那みたいにね。
「ゆっくりでいいから」
そこでお茶を用意してくれる。
こういう時はお茶に限るし、そうだあの期間限定を…
「解決しました」
「何が?」
「浜薔薇出張所、炊き出し事案が解決しました」
「なんだ、お金持ちが寄付してくれたのか?」
「いえ、それは、ああ違いますね、すいません、ちょっと喉が」
先に飲み物をごくごくと飲む。
「ああ、ええっとまず最初にいいますが、キッチンカーが寄贈されましたよね」
福猫1号といいます。
「これで浜薔薇の駐車場に新しいお店が増えることになるな」
「そうなんですが、ええっとね、キッチンカーを貸し出しという形で、入ってくる収入っていくらかわかりますか?」
「一万とか?」
「いえ、五万です」
「は?」
「いえいえ、五万です」
「まさかその五万があると」
「元々出張所の炊き出しは、他のキッチンカーの方、こちらは持ち込みなので場所を貸してるぐらいでした、そしてこの場所代の収入と、何百円か一食辺り近所の方は入れていただいたので、ちょっと黒字をキープしてて、でもこれからだとどういう感じになるのかまるでわからないと悩んでましたが」
「そうだな、福猫1号が寄贈されて、これでもっと賑やかになるなぐらいだったな」
「そうです、貸し出しすることになって、ええっと浜薔薇って平日でもお客さんが来るから、キッチンカーとかはじめてみたい人には出店したい場所なんですよ」
そこにレンタルがありますよというやつです。
「仕込みの場所もあるじゃないですか」
「そうだな、厨房ない人は近所の公民館があるからな」
「そうです、そちらを使うと、でも五万って結構いい値段かなと思ったんですが、お試しにやるならこれぐらいでも安いと」
もう何しろお客さんがついてて、新しいお店?次はいつ来るの?という心待にしている感じなので。
「それでならば安いと、まあ、今までの成功例ありましたからね」
店持ちましたが最近ありました。
「KCJの整備と、管理部門からの連絡で、相場見て、この値段なら貸し出し、管理部門で出店の予約など審査も引き受けるからということなので、私たちが今まで、借りたい方は出張所に連絡してもらっての作業がなくなり、管理部門が引き受けで、ある程度以上暇になりますね」
「それでいて、炊き出しの予算は確保だから悪くはないんじゃないか」
「まあ、そうなんですが、このね、一気に変わるのは慣れないんですよね、夢ではないかと」
ニャー
出張所の外にイツモがいるようなので、中に入れる。
「これはこれはイツモ様」
いきなり波里は土下座した。
「この度は私の苦悩を取り除いていただいてありがとうございます」
「いや、イツモ様は」
「私はただいまとても神聖な気持ちを感じております」
つまりなにも言うなと。
「イツモ様が福猫というタリスマンを譲り受け、そのタリスマンを託された方が、高額当選者となり、そのお礼にとKCJにキッチンカーを、そして地元の消防署に救急車を寄贈なされたことはとても嬉しく思っておりましたが、まさかその先にこのような、私の苦悩まで取り除いてくださるとは思いませんでした」
波里が顔を上がると、イツモは微笑みを浮かべているようだったが、もしもここに蘆根がいたのならば、あれは聞いてないで、他の事を考えている顔だといっているだろう。
「イツモ様の私などでは理解できないほど先を見ていられる」
土下座中の波里には見えてないが、イツモはあくびをした。
これでまた波里がイツモのご尊顔を見ようとすると、イツモはキリ!とした顔をするので、東司からするとコントのようなものであった。
「これからは私はイツモ様を中心とする皆様が繁栄幸福のために捧げたいと思います」
ニュ
イツモはなんでか、手を出した。
「おお、私に頑張れというのですね、もちろんです、もちろんですよ、イツモ様」
ここに蘆根がいたらこういうだろ、もうそろそろ爪が長いと思うんだけども、どうだろ?と問い合わせているやつだと。
「予算はこれで確保したし、後はさらなる発展のために!」
ニャー
出張所の外から猫の声がすると、イツモはピクっと耳が動いた。
「イツモ様は次の用事があるようだ」
そういって東司はドアをあけると、イツモはさっさと外に出る。
サバトラの女子がそこにはいて、他の猫達と一緒にいるが、イツモはじっとその子を見ていて、それ以上は近寄らないのだが、そのサバトラの女の子は他の猫とどこかにいってしまうと、イツモはショックを受けていた。
(一緒に行ったのオスだったのか)
東司は理解する、そしてイツモはとぼとぼと歩いていったかと思ったが、フェカリスの元に遊びに行くのか華麗に塀を飛び越えた。
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