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余計な力と硬い耳垢
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「そろそろ耳掃除しましょうか?」
そういって彼女は疲れた俺の頭を撫でながらいうのである。
(やはり耳かきに飢えているときにこういう文章を書くと乗るな)
自分で考えた一文を読み直しながらそんなことを思った。
男は仕事でこういったシチュエーションのコピーなるものを考えたりする、考える理由は簡単だ、それがあると人に興味をわかせ、こちらを見てくれるきっかけになるからで、これがあるのとないのでは数字がはっきりと違うのである。
「もっと効果が出るやつ考えなきゃダメだよな」
頭で考えてもでないので、こういう時は浜薔薇に行こう。
浜薔薇はあそこにそういえば店があったなというぐらいだったが、ブログで浜薔薇に行きましたなどの記事を見てから自分も行ってみたくなった。
でもそのときはお試しに、まあ、一回ぐらいならばいいかなって感じだったが。
「いらっしゃいませ」
この蘆根という店員の仕事ぶり、こだわりを見たら、ああ、これはこれからも通いたい店だと思ったのである。
常連ではあるが、そう頻繁に訪れるわけではなかった、しかし、確実に毎回行くたびにおおっと驚かさらることがあった。
今は三人でお店をやっているそうだが、ここは回転率がとんでもなくいい。
仕事が早い人たちがいるからそうなるのかな?とも思ったのだが、よく見ていると、振り分けなきちんとできている。
今まではほぼ蘆根さんにやってもらったのだが、カットは傑くんにやってもらうと、切り終わった後にすこし楽しみで、鏡を見て、おお、これはいいなと思う喜びがあった。
あまりこだわりはないのだが、ちょっとだけ今の流行が入っているぐらいのスタイルにしてくれる、このぐらいでいいのよ、おっさんには!
そしてシェービングと耳掃除、前まで半隠居状態のタモツさんがやってくれるという。
静かな店内に蒸らしタオルは広げられて、顔を包み、髭や産毛を柔らかくするまでしばらく置いておく。
じんわりと毛穴が開き、またおそらくストレスも抜けているのではないだろうか、だんだんと夢見心地になっていくのがわかる。
髭はそう生えている方ではない、だからシェービングは早く終わってしまうのだが、もう少し長く楽しみたいなと思ってしまうところはある、ただそうすると皮膚が赤くなりそうだが。
耳掃除はそのまま椅子を倒した状態で始まる。
おそらく職人が作ったのだろう、竹の耳かきが耳の中に入ってくる、これはお持ち帰りができるので、後で必ずもって帰る。
うちの耳かき全部これで、使っていくうちに減るので、家の中が耳掻きだらけっていうことにもそうならない。
浜薔薇の耳かきは柔らかい気がする、俺の耳垢が硬いかもしれないが、余計な力と硬い耳垢は耳を傷つけそうなものだ、
しかし浜薔薇の耳かきは余計な力は耳の中に伝わらず、硬い耳垢は匙が身を呈してかき集めてかれる。
他の耳かきだとこうはいかない、浜薔薇の耳かきが手元にないときに耳掃除したくて、同じ感覚でやったら手が疲れるし、痛くなったし、俺って耳かき下手じゃんなんて思うのである。
店では期間限定で蘆根さんの耳かきがセットメニューにつくらしいが…ちらっと蘆根さんを見たら、そわそわしている、ああそうか、いつもやってくれるのは蘆根さんだから、もしかして気になってる?のかな。
タモツさんは確かに耳掃除は上手い、痒いところに耳かきが届いて、バリンとか今まで聞いたことがない音がする。
えっ?その音、大丈夫なやつだよね?
取れたものを見せてもらうと、前に配管交換してもらったことがあるんだよ、その時カルシウムが原因で配管の中がとんでもないことになっていたけども、本当にそれ。
(自分の耳からこんなの出てきたら凹むな)
逆にこれを喜ぶようになると、耳かき好きな浜薔薇常連客が座るS席行きとなるであろう。
キラーン
あっ、本日も後ろに座っているようです。
タモツさんから耳かきをしてもらって、その汚さに凹んでいるお客さんを見ながら、目を光らせている眼鏡の人、あの方は確実にS席の人ですわ。
「カットとかに無料で耳かきサービスつけているのに、ほとんどでないな」
浜薔薇のお客さんは耳かきが大好きな人間が大半をしめるのと、有料だと確実にタモツさんがやってくれるので、今までタモツさんにやってもらったことがないお客さんは、間違いなく有料の耳掃除を頼んでいるため、思ったよりも蘆根の出番はない。
だがここで諦めるような男でも蘆根はない。
「イツモ」
家に戻ってくると、飼い猫の名前を呼ぶ、するとどこからともなくケットシーのイツモは現れる。
「ほら、ブラッシングしような」
声をかけながらブラッシングをし、そのまま耳や爪などの健康のチェックを始める。
イツモにとってはそれは気持ちのいい行為なので、嫌がることなく協力的にされるがままであるが。
「僕がやると、明らかにイマイチって反応さられるんですよね」
悪くはないんだけどもね、そんな顔を明らかにするので。
「いつか見返してやりたいですね」
この店にはこういうタイプしかいないのかもしれないが、そんなところがお客さんにも伝わり、ファンをがっしりと掴んでいるのだろう。
そういって彼女は疲れた俺の頭を撫でながらいうのである。
(やはり耳かきに飢えているときにこういう文章を書くと乗るな)
自分で考えた一文を読み直しながらそんなことを思った。
男は仕事でこういったシチュエーションのコピーなるものを考えたりする、考える理由は簡単だ、それがあると人に興味をわかせ、こちらを見てくれるきっかけになるからで、これがあるのとないのでは数字がはっきりと違うのである。
「もっと効果が出るやつ考えなきゃダメだよな」
頭で考えてもでないので、こういう時は浜薔薇に行こう。
浜薔薇はあそこにそういえば店があったなというぐらいだったが、ブログで浜薔薇に行きましたなどの記事を見てから自分も行ってみたくなった。
でもそのときはお試しに、まあ、一回ぐらいならばいいかなって感じだったが。
「いらっしゃいませ」
この蘆根という店員の仕事ぶり、こだわりを見たら、ああ、これはこれからも通いたい店だと思ったのである。
常連ではあるが、そう頻繁に訪れるわけではなかった、しかし、確実に毎回行くたびにおおっと驚かさらることがあった。
今は三人でお店をやっているそうだが、ここは回転率がとんでもなくいい。
仕事が早い人たちがいるからそうなるのかな?とも思ったのだが、よく見ていると、振り分けなきちんとできている。
今まではほぼ蘆根さんにやってもらったのだが、カットは傑くんにやってもらうと、切り終わった後にすこし楽しみで、鏡を見て、おお、これはいいなと思う喜びがあった。
あまりこだわりはないのだが、ちょっとだけ今の流行が入っているぐらいのスタイルにしてくれる、このぐらいでいいのよ、おっさんには!
そしてシェービングと耳掃除、前まで半隠居状態のタモツさんがやってくれるという。
静かな店内に蒸らしタオルは広げられて、顔を包み、髭や産毛を柔らかくするまでしばらく置いておく。
じんわりと毛穴が開き、またおそらくストレスも抜けているのではないだろうか、だんだんと夢見心地になっていくのがわかる。
髭はそう生えている方ではない、だからシェービングは早く終わってしまうのだが、もう少し長く楽しみたいなと思ってしまうところはある、ただそうすると皮膚が赤くなりそうだが。
耳掃除はそのまま椅子を倒した状態で始まる。
おそらく職人が作ったのだろう、竹の耳かきが耳の中に入ってくる、これはお持ち帰りができるので、後で必ずもって帰る。
うちの耳かき全部これで、使っていくうちに減るので、家の中が耳掻きだらけっていうことにもそうならない。
浜薔薇の耳かきは柔らかい気がする、俺の耳垢が硬いかもしれないが、余計な力と硬い耳垢は耳を傷つけそうなものだ、
しかし浜薔薇の耳かきは余計な力は耳の中に伝わらず、硬い耳垢は匙が身を呈してかき集めてかれる。
他の耳かきだとこうはいかない、浜薔薇の耳かきが手元にないときに耳掃除したくて、同じ感覚でやったら手が疲れるし、痛くなったし、俺って耳かき下手じゃんなんて思うのである。
店では期間限定で蘆根さんの耳かきがセットメニューにつくらしいが…ちらっと蘆根さんを見たら、そわそわしている、ああそうか、いつもやってくれるのは蘆根さんだから、もしかして気になってる?のかな。
タモツさんは確かに耳掃除は上手い、痒いところに耳かきが届いて、バリンとか今まで聞いたことがない音がする。
えっ?その音、大丈夫なやつだよね?
取れたものを見せてもらうと、前に配管交換してもらったことがあるんだよ、その時カルシウムが原因で配管の中がとんでもないことになっていたけども、本当にそれ。
(自分の耳からこんなの出てきたら凹むな)
逆にこれを喜ぶようになると、耳かき好きな浜薔薇常連客が座るS席行きとなるであろう。
キラーン
あっ、本日も後ろに座っているようです。
タモツさんから耳かきをしてもらって、その汚さに凹んでいるお客さんを見ながら、目を光らせている眼鏡の人、あの方は確実にS席の人ですわ。
「カットとかに無料で耳かきサービスつけているのに、ほとんどでないな」
浜薔薇のお客さんは耳かきが大好きな人間が大半をしめるのと、有料だと確実にタモツさんがやってくれるので、今までタモツさんにやってもらったことがないお客さんは、間違いなく有料の耳掃除を頼んでいるため、思ったよりも蘆根の出番はない。
だがここで諦めるような男でも蘆根はない。
「イツモ」
家に戻ってくると、飼い猫の名前を呼ぶ、するとどこからともなくケットシーのイツモは現れる。
「ほら、ブラッシングしような」
声をかけながらブラッシングをし、そのまま耳や爪などの健康のチェックを始める。
イツモにとってはそれは気持ちのいい行為なので、嫌がることなく協力的にされるがままであるが。
「僕がやると、明らかにイマイチって反応さられるんですよね」
悪くはないんだけどもね、そんな顔を明らかにするので。
「いつか見返してやりたいですね」
この店にはこういうタイプしかいないのかもしれないが、そんなところがお客さんにも伝わり、ファンをがっしりと掴んでいるのだろう。
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