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10話 暴君の耳掃除
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王立ケットシー協会の国内支部から、イツモが戻ってきました。
「王立ケットシー協会!」
「あれ?傑は知らないんだっけ?」
「そもそもケットシーとはなんですか?っていう話ですし」
猫アレルギーが起きない猫でok。
「ケットシーはケットシーを知るじゃないけども、片親がケットシーだと、何年かに一匹生まれる計算らしい」
ケットシーの親がこいつがケットシーですと、他の兄弟とは別に育てる。そしてケットシー協会から、くんくん、こちらですか?これは立派なケットシーですねと、どこからともなく協会の人間がやってくるのだ。
「俺からすると、猫だな」
イツモさんは顔を舐め、腹を出したので傑がもふりはじめた。
「でも僕は初めてです」
「何がだ?」
「モフらないと、どんどん絡んでくる猫は」
私をモフれないとはどういうことだ!
「これからも定期的に遊んでやってくれ」
挨拶もなしに帰ろうとすると、傑が自転車に乗ろうとする、その瞬間を狙って飛び出してきます。
「蘆根さん、いますか?」
お客さんが来たようだ。
「はーい」
奥にいたので店に出ていくと。
「すいません、髪を洗って、揃えてもらえます?」
「わかりました、いきなり偉い人に会うの?」
「そうなっちゃいましたね」
意外と浜薔薇の朝は早い。
朝のお客さんを引き受けますといってから、口コミで広まった。
駅と市場の間ぐらいにある絶妙なアクセスのおかげもあるだろう。
市場は明け方、朝3時ぐらいから開いているし。
電車も始発は朝の五時台。
モーニングやっているお店はあるが、朝から営業している理容室はそうあるまい。
特に地域の特産物が最盛期を迎えることが、年に何回かあるので、店の明かりをつけておくと。
「すいません、お願いできますか?」
ちゃちゃっとやってもらいたい人たちがやってくる。
この人はあまり会えない、えらい人のアポがいきなりとれたが、もう夜も更けてて店がなく、夜の段階で浜薔薇に連絡が来ていた。
「前に、その髪じゃダメだって言われたことがあるんですよ」
そこから会う前に一度こうしていくのだが。
「ただその時のその髪じゃダメは、難癖だったんですがね」
「そういう難癖っていうのは、変な話だけども、対処に他の人が入ってくれないなら、自分の身を一番に考えた方がいいよ」
「それはわかります」
髪のこだわりはあっても、仕事のために自由ではないことなど、たくさんある。
「よし、このまま簡単にはシェービングもするから」
「お願いします」
タオルで蒸らして、毛穴を開らかせてからの深剃り。
「じゃあ、行ってらっしゃい」
「行ってきます」
それと入れ違いで、保育園に送った帰りのお母さんが、カットしに来たりと。
朝のお客さんは短時間で終わらせてほしいお客さんが多いので、回転率がとんでもなくいい。
そのラッシュが終わると、時間がゆっくりする。
「手話も覚えないとな」
傑が手話でお客さんとやりとりしているのを見たためであった。
「でもまあ、先に何が必要かとか、そういうのを考えないとな」
今は二人、タモツもいるから、2.5人体制である。
それぞれ出来ること、出来ないことがあったりするので、考えると、う~んと唸ってしまった。
「そういうときは一番に客の事を考えてやるんだ」
タモツにはそんな悩みが見えていたのが、巧妙を投げて、店の奥に引っ込んだ。
「写真か」
カットし終わった後、お客さんの写真を撮影してお客さんに渡したり、顧客管理に使って、前のご来店の際はこうしましたが、今回はどうしますか?の提案。
「でもそういうのやっているお店はあるからな、うちで導入してもどうなのかな?」
朝、お店にやって来たお客さんが、夕方にもう一度やってきた。
「あっ、これ、お土産です」
商談は成立したらしく。
「耳かきとか、全部やってください」
晴れやかな顔でそう言われた。
ある程度はやったものだから、念入りにともなるとやはり耳かきになってしまう。
「失礼します」
そういって耳掃除を始める。
パリ…
匙の部分が垢に当たり、いい音をたてる。
蘆根は性格的に凝り性のため、短時間で仕上げるのも出来るが、やはり自分でやってて楽しいのはお任せ(時間無制限)である。
他のお客さんがいないとこうなるので、わかっているお客さん達は、他の客がいない時間帯にやって来る、そしてこだわりを楽しむのであった。
ガサガサ
奥の方で音がしだした。
枯れ葉を踏むような音である。
実際に垢は乾き、枯れ葉のようで、それがくしゃくしゃになった状態で耳の中につまっていた。
こういうものが一つあると、その耳は楽しい、後二つ、三つはあるものだ。
スッ
見つけた。
バリン!
小高い丘を破壊し、谷を崩す。
遠慮なく、自分の思うがまま耳かきをする。
蘆根の耳掃除は暴君のようなところがあるが…
(これがたまらないんだよね)
お客さんには好評です。
「王立ケットシー協会!」
「あれ?傑は知らないんだっけ?」
「そもそもケットシーとはなんですか?っていう話ですし」
猫アレルギーが起きない猫でok。
「ケットシーはケットシーを知るじゃないけども、片親がケットシーだと、何年かに一匹生まれる計算らしい」
ケットシーの親がこいつがケットシーですと、他の兄弟とは別に育てる。そしてケットシー協会から、くんくん、こちらですか?これは立派なケットシーですねと、どこからともなく協会の人間がやってくるのだ。
「俺からすると、猫だな」
イツモさんは顔を舐め、腹を出したので傑がもふりはじめた。
「でも僕は初めてです」
「何がだ?」
「モフらないと、どんどん絡んでくる猫は」
私をモフれないとはどういうことだ!
「これからも定期的に遊んでやってくれ」
挨拶もなしに帰ろうとすると、傑が自転車に乗ろうとする、その瞬間を狙って飛び出してきます。
「蘆根さん、いますか?」
お客さんが来たようだ。
「はーい」
奥にいたので店に出ていくと。
「すいません、髪を洗って、揃えてもらえます?」
「わかりました、いきなり偉い人に会うの?」
「そうなっちゃいましたね」
意外と浜薔薇の朝は早い。
朝のお客さんを引き受けますといってから、口コミで広まった。
駅と市場の間ぐらいにある絶妙なアクセスのおかげもあるだろう。
市場は明け方、朝3時ぐらいから開いているし。
電車も始発は朝の五時台。
モーニングやっているお店はあるが、朝から営業している理容室はそうあるまい。
特に地域の特産物が最盛期を迎えることが、年に何回かあるので、店の明かりをつけておくと。
「すいません、お願いできますか?」
ちゃちゃっとやってもらいたい人たちがやってくる。
この人はあまり会えない、えらい人のアポがいきなりとれたが、もう夜も更けてて店がなく、夜の段階で浜薔薇に連絡が来ていた。
「前に、その髪じゃダメだって言われたことがあるんですよ」
そこから会う前に一度こうしていくのだが。
「ただその時のその髪じゃダメは、難癖だったんですがね」
「そういう難癖っていうのは、変な話だけども、対処に他の人が入ってくれないなら、自分の身を一番に考えた方がいいよ」
「それはわかります」
髪のこだわりはあっても、仕事のために自由ではないことなど、たくさんある。
「よし、このまま簡単にはシェービングもするから」
「お願いします」
タオルで蒸らして、毛穴を開らかせてからの深剃り。
「じゃあ、行ってらっしゃい」
「行ってきます」
それと入れ違いで、保育園に送った帰りのお母さんが、カットしに来たりと。
朝のお客さんは短時間で終わらせてほしいお客さんが多いので、回転率がとんでもなくいい。
そのラッシュが終わると、時間がゆっくりする。
「手話も覚えないとな」
傑が手話でお客さんとやりとりしているのを見たためであった。
「でもまあ、先に何が必要かとか、そういうのを考えないとな」
今は二人、タモツもいるから、2.5人体制である。
それぞれ出来ること、出来ないことがあったりするので、考えると、う~んと唸ってしまった。
「そういうときは一番に客の事を考えてやるんだ」
タモツにはそんな悩みが見えていたのが、巧妙を投げて、店の奥に引っ込んだ。
「写真か」
カットし終わった後、お客さんの写真を撮影してお客さんに渡したり、顧客管理に使って、前のご来店の際はこうしましたが、今回はどうしますか?の提案。
「でもそういうのやっているお店はあるからな、うちで導入してもどうなのかな?」
朝、お店にやって来たお客さんが、夕方にもう一度やってきた。
「あっ、これ、お土産です」
商談は成立したらしく。
「耳かきとか、全部やってください」
晴れやかな顔でそう言われた。
ある程度はやったものだから、念入りにともなるとやはり耳かきになってしまう。
「失礼します」
そういって耳掃除を始める。
パリ…
匙の部分が垢に当たり、いい音をたてる。
蘆根は性格的に凝り性のため、短時間で仕上げるのも出来るが、やはり自分でやってて楽しいのはお任せ(時間無制限)である。
他のお客さんがいないとこうなるので、わかっているお客さん達は、他の客がいない時間帯にやって来る、そしてこだわりを楽しむのであった。
ガサガサ
奥の方で音がしだした。
枯れ葉を踏むような音である。
実際に垢は乾き、枯れ葉のようで、それがくしゃくしゃになった状態で耳の中につまっていた。
こういうものが一つあると、その耳は楽しい、後二つ、三つはあるものだ。
スッ
見つけた。
バリン!
小高い丘を破壊し、谷を崩す。
遠慮なく、自分の思うがまま耳かきをする。
蘆根の耳掃除は暴君のようなところがあるが…
(これがたまらないんだよね)
お客さんには好評です。
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