4 / 999
寝起きが全然違いますから
しおりを挟む
(あ~疲れた)
もう、本当に疲れた、全部投げ出して寝たい!そんな気持ちになったら赤信号である。
ピタ
(浜薔薇に行こう)
浜薔薇にいって、マッサージして、耳かきをしてもらうんだい!
ピョン
店に行く前に猫が横切り、俺も驚いたが、車もびっくりしていた。
その猫はこのお客さんは知らないが、浜薔薇の蘆根の飼い猫のイツモ、猫の種類としてはケットシーになる、珍しい猫である。
ケットシー、幻想的な名前がついているが、そういった世界の存在ではなく、猫アレルギーの元になるたんぱく質が皆無である故にその名前がついた。
「すいません」
「いらっしゃいませ」
最近はトイレ用の洗剤にはまっている蘆根が挨拶をした。
(店と家のトイレで試しているが、最近の洗剤は楽しいな)
洗剤はアルカリ性と酸性があるので、気になっても混ぜると危ないので、こうして分けて試している。
「ではこちらにお願いします」
マッサージ台の上に寝そべる。
「胃腸、悪いですか?」
「わかりますか?」
「ええ、まあ」
「お任せしますから、お好きなように料理してください」
そういわれると弱い。
秘蔵のエッセンスミルクとか出しちゃうぐらい弱かった。
シャツの上から、背中を揉んでいく。
疲れているだけとても硬い。
(う~ん)
悩んでしまう、どこから切り口を見つければいいのか困るぐらいの疲れである。
(タモツ先生ならどこから…)
と考えていると、後ろに視線を感じる。
店内でのタモツの定位置である椅子に座り、こちらを見ているではないか。
「そういうときは、手首と足首からだ、体が冷えているだろうしな」
そういわれたので手首を取ると、確かに冷たい。
蒸しタオルを用意して、手首と足首に巻いてやる。
「それでいい、温泉でもあるなら、入ってきてもらって、血行がよくなったところを揉んでやるんだ」
「はい」
血行がよくなってくると、それだけでも違う。
「すいません、水飲みたいので」
「はいはい」
体も水を欲しがるほど動き始めた。
「最近、ちょっと不安な日々が続きまして、メンタル面でもすごい弱っていたんですよ」
「それは大変ですね」
「そうなんです、だから浜薔薇に来ようって、あっ、そこ気持ちいい」
「右利きですか?」
「そうです、腱鞘炎やるぐらい赤ペンで修正していると、右というか、すごい辛くなるんで」
「そういうときはやはりお風呂ですね、まあ、出来たら軽くお風呂トレーニングでもいいですし」
「それってどんなことやるの?」
「お風呂に入って足を上げ下げ、後ろ向いて上げ下げ、これ五回ぐらいでも利きますね、浮力があるから、筋肉ないとできない動きも楽にできますし、それとプランク、ええっと水中で腕の力で自分の体支えたり、出来るんだったら腕立てみたいに屈伸運動かな」
「へぇ」
「筋トレはやったことない人にはハードル高いんですよね、スクワットとかも転んじゃうし」
「それだとやんないよね」
「水中でやると、負荷は軽いんですけど、すぐにやれるし、そこで出来るようになると、普通にできるようになるんです」
「一度やってみようかな」
「やれるならやってみてください」
体が温かくなり、マッサージもされたことで寝落ち。
その間にハンドマッサージを行う。
そこで登場するのがエッセンスミルク。
ゴールドパッケージだけあって値段もお高め、しかし、びっくりするほど潤うのである。
手首を掴み、左右に動かす。
ここで老廃物を流す準備をしてもらう。
親指、爪の生え際のツボを押してから、くるくるマッサージ開始、これは前の職場がブライダルも力をいれていたために学んだことである。
結婚式で指輪が似合う指になりたいという、乙女心もあれば、男心の理にかなったマッサージである。
また手にも足同様に対応するツボがあるので、そこで体調のチェックしてみると、やはり胃腸が弱っているようだ。
(しかも考えすぎから来ているやつだな、これ)
親指の下に胃腸のツボがあり、ゴリゴリしたものを感じた。
こういうときは、まずリラックスさせることが重要だ、頭がもう考えられない、ヘブンに導くのである。
つまり?
耳かきの出番だということだよ、ワトソンくん。
マッサージ台の上に寝てもらい、明るさが気にならないように部屋は間接照明に、そして耳かきをする手元だけは眩しく照らす。
耳の中は垢でゴツゴツとしている。
これを取ったのならばとても楽しいと思われる、そんな世界が広がっていた。
竹の耳かきはサジが広いものを選ぶ、細いものでもいいのではないか?と言われそうだが、これにはこれの利点がある。
ごそ!
このように範囲を広く狙えるのであった。
山のような起伏を持った垢は、その幅の広い耳かきで削りとられる。
そこでようやく奥まで見えるようになると、細い耳かきの出番だ。
バリバリパリ…
薄氷が割れるような音を立てて、膜のような垢が絡めとられていく、さじからこぼれるぐらい繋がったこれは、大物と言えよう。
毛は少ない耳なので、手前側を軽く穴刀をかけて、綿棒で剃った毛を片付けて反対の耳へ。
反対の耳は耳垢がたっぷりであった。
カサカサ
一見きれいに見える場所だって、かきだしていくと、粉のようなものが集まっていく。
こういう耳は燃えた。
スッ
耳かきを耳の奥にいれていく。
カリカリ
音がしたポイントには耳垢がある。音の主を狙うべくカリカリとした音のポイントに、再び接近し、そこでくるりとさじを返して、そのまま耳の中から取り出すと、大きなものがトン!と乗っていた。
思わず笑みがこぼれる。
こうこなっちゃと言わんばかりの大物に、胸が弾むのであった。
ティッシュでトントンと落とす、そして左耳の収穫物、まだ半分もいってないのにこの量、おそらくだが、ボスはこの先にいることだろう。
スッ
耳かきを耳の中にいれると、あっ?ここに窪みがあるようだということに築く、外から覗いても影になってよく見えない部分である。
まさか、ここにいるのか…
ガサッ
サジが何かに当たった感触が指先に伝わる。
グッ!
力を入れて崩しにかかると。
ポロっ
崩れた、それが奥に転がっては困ると、サジで急いでかき出す。
色の変わった茶色、これこそボスにふさわしい貫禄である。
こちらの耳は毛が少しばかり多いということがあり、穴刀でしっかりと剃らせてもらう。
ショリショシヨリ
そして耳の中の毛を綿棒で片付けた。
お任せとのことなんで、そのまま耳を洗って、マッサージも行う。
眼鏡をかける方なので、洗う前に耳を押さえて、右に左に回してあげると。
「そこめちゃくちゃ気持ちいいです」
声をあげられた。
たっぷりの泡を耳の外や後ろに塗る。
そして五分ほど放置した後に、移動式のシャンプー台を耳元に寄せて洗い流す。
洗い流した後は耳のツボを耳のツボ押しで押していき、最後に耳ツボ用のマグネットシールを貼っていく。
「これで一晩寝てみてください、寝起きが全然違いますから」
「そうなの?」
「はい、それではお疲れ様でした」
「なんかもっとしてもらいたい気分」
「物足りないかもしれませんけど、体が疲れているときは一気に落とさない方がいいんですよ、特にお客さんは水分も栄養も足りないので、この後出来れば栄養バランスが取れた食事を召し上がってください」
「うん、わかった」
そういわれたら、そうなのかな?ってことで、この近所で栄養バランスが取れるであろう、お総菜も扱っている鮮魚店による。
「バランスが取れたものって何を食べればいいの?」
聞くと、そうですね~といって、お手軽な価格で揃えてもらったので、明日の休日はこれ食べてゴロゴロして、午後から温泉いって爆睡するつもりである。
もう、本当に疲れた、全部投げ出して寝たい!そんな気持ちになったら赤信号である。
ピタ
(浜薔薇に行こう)
浜薔薇にいって、マッサージして、耳かきをしてもらうんだい!
ピョン
店に行く前に猫が横切り、俺も驚いたが、車もびっくりしていた。
その猫はこのお客さんは知らないが、浜薔薇の蘆根の飼い猫のイツモ、猫の種類としてはケットシーになる、珍しい猫である。
ケットシー、幻想的な名前がついているが、そういった世界の存在ではなく、猫アレルギーの元になるたんぱく質が皆無である故にその名前がついた。
「すいません」
「いらっしゃいませ」
最近はトイレ用の洗剤にはまっている蘆根が挨拶をした。
(店と家のトイレで試しているが、最近の洗剤は楽しいな)
洗剤はアルカリ性と酸性があるので、気になっても混ぜると危ないので、こうして分けて試している。
「ではこちらにお願いします」
マッサージ台の上に寝そべる。
「胃腸、悪いですか?」
「わかりますか?」
「ええ、まあ」
「お任せしますから、お好きなように料理してください」
そういわれると弱い。
秘蔵のエッセンスミルクとか出しちゃうぐらい弱かった。
シャツの上から、背中を揉んでいく。
疲れているだけとても硬い。
(う~ん)
悩んでしまう、どこから切り口を見つければいいのか困るぐらいの疲れである。
(タモツ先生ならどこから…)
と考えていると、後ろに視線を感じる。
店内でのタモツの定位置である椅子に座り、こちらを見ているではないか。
「そういうときは、手首と足首からだ、体が冷えているだろうしな」
そういわれたので手首を取ると、確かに冷たい。
蒸しタオルを用意して、手首と足首に巻いてやる。
「それでいい、温泉でもあるなら、入ってきてもらって、血行がよくなったところを揉んでやるんだ」
「はい」
血行がよくなってくると、それだけでも違う。
「すいません、水飲みたいので」
「はいはい」
体も水を欲しがるほど動き始めた。
「最近、ちょっと不安な日々が続きまして、メンタル面でもすごい弱っていたんですよ」
「それは大変ですね」
「そうなんです、だから浜薔薇に来ようって、あっ、そこ気持ちいい」
「右利きですか?」
「そうです、腱鞘炎やるぐらい赤ペンで修正していると、右というか、すごい辛くなるんで」
「そういうときはやはりお風呂ですね、まあ、出来たら軽くお風呂トレーニングでもいいですし」
「それってどんなことやるの?」
「お風呂に入って足を上げ下げ、後ろ向いて上げ下げ、これ五回ぐらいでも利きますね、浮力があるから、筋肉ないとできない動きも楽にできますし、それとプランク、ええっと水中で腕の力で自分の体支えたり、出来るんだったら腕立てみたいに屈伸運動かな」
「へぇ」
「筋トレはやったことない人にはハードル高いんですよね、スクワットとかも転んじゃうし」
「それだとやんないよね」
「水中でやると、負荷は軽いんですけど、すぐにやれるし、そこで出来るようになると、普通にできるようになるんです」
「一度やってみようかな」
「やれるならやってみてください」
体が温かくなり、マッサージもされたことで寝落ち。
その間にハンドマッサージを行う。
そこで登場するのがエッセンスミルク。
ゴールドパッケージだけあって値段もお高め、しかし、びっくりするほど潤うのである。
手首を掴み、左右に動かす。
ここで老廃物を流す準備をしてもらう。
親指、爪の生え際のツボを押してから、くるくるマッサージ開始、これは前の職場がブライダルも力をいれていたために学んだことである。
結婚式で指輪が似合う指になりたいという、乙女心もあれば、男心の理にかなったマッサージである。
また手にも足同様に対応するツボがあるので、そこで体調のチェックしてみると、やはり胃腸が弱っているようだ。
(しかも考えすぎから来ているやつだな、これ)
親指の下に胃腸のツボがあり、ゴリゴリしたものを感じた。
こういうときは、まずリラックスさせることが重要だ、頭がもう考えられない、ヘブンに導くのである。
つまり?
耳かきの出番だということだよ、ワトソンくん。
マッサージ台の上に寝てもらい、明るさが気にならないように部屋は間接照明に、そして耳かきをする手元だけは眩しく照らす。
耳の中は垢でゴツゴツとしている。
これを取ったのならばとても楽しいと思われる、そんな世界が広がっていた。
竹の耳かきはサジが広いものを選ぶ、細いものでもいいのではないか?と言われそうだが、これにはこれの利点がある。
ごそ!
このように範囲を広く狙えるのであった。
山のような起伏を持った垢は、その幅の広い耳かきで削りとられる。
そこでようやく奥まで見えるようになると、細い耳かきの出番だ。
バリバリパリ…
薄氷が割れるような音を立てて、膜のような垢が絡めとられていく、さじからこぼれるぐらい繋がったこれは、大物と言えよう。
毛は少ない耳なので、手前側を軽く穴刀をかけて、綿棒で剃った毛を片付けて反対の耳へ。
反対の耳は耳垢がたっぷりであった。
カサカサ
一見きれいに見える場所だって、かきだしていくと、粉のようなものが集まっていく。
こういう耳は燃えた。
スッ
耳かきを耳の奥にいれていく。
カリカリ
音がしたポイントには耳垢がある。音の主を狙うべくカリカリとした音のポイントに、再び接近し、そこでくるりとさじを返して、そのまま耳の中から取り出すと、大きなものがトン!と乗っていた。
思わず笑みがこぼれる。
こうこなっちゃと言わんばかりの大物に、胸が弾むのであった。
ティッシュでトントンと落とす、そして左耳の収穫物、まだ半分もいってないのにこの量、おそらくだが、ボスはこの先にいることだろう。
スッ
耳かきを耳の中にいれると、あっ?ここに窪みがあるようだということに築く、外から覗いても影になってよく見えない部分である。
まさか、ここにいるのか…
ガサッ
サジが何かに当たった感触が指先に伝わる。
グッ!
力を入れて崩しにかかると。
ポロっ
崩れた、それが奥に転がっては困ると、サジで急いでかき出す。
色の変わった茶色、これこそボスにふさわしい貫禄である。
こちらの耳は毛が少しばかり多いということがあり、穴刀でしっかりと剃らせてもらう。
ショリショシヨリ
そして耳の中の毛を綿棒で片付けた。
お任せとのことなんで、そのまま耳を洗って、マッサージも行う。
眼鏡をかける方なので、洗う前に耳を押さえて、右に左に回してあげると。
「そこめちゃくちゃ気持ちいいです」
声をあげられた。
たっぷりの泡を耳の外や後ろに塗る。
そして五分ほど放置した後に、移動式のシャンプー台を耳元に寄せて洗い流す。
洗い流した後は耳のツボを耳のツボ押しで押していき、最後に耳ツボ用のマグネットシールを貼っていく。
「これで一晩寝てみてください、寝起きが全然違いますから」
「そうなの?」
「はい、それではお疲れ様でした」
「なんかもっとしてもらいたい気分」
「物足りないかもしれませんけど、体が疲れているときは一気に落とさない方がいいんですよ、特にお客さんは水分も栄養も足りないので、この後出来れば栄養バランスが取れた食事を召し上がってください」
「うん、わかった」
そういわれたら、そうなのかな?ってことで、この近所で栄養バランスが取れるであろう、お総菜も扱っている鮮魚店による。
「バランスが取れたものって何を食べればいいの?」
聞くと、そうですね~といって、お手軽な価格で揃えてもらったので、明日の休日はこれ食べてゴロゴロして、午後から温泉いって爆睡するつもりである。
10
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる