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第5章

検察という組織

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 護送車に乗り検察庁に向かう。

 鉄格子付きの待合室とも今日でお別れだ。

 もちろん検察官の取り調べも。

 検察官室での最後の取り調べを受けるとき、面妖な検察官僚の忠臣である若い検察官の頬の硬直、眉に揺れ、頬の紅潮、わずかな変化も見逃さぬよう私は彼を観察していた。

「貴方が包丁を持って対峙した時、歩道橋にいた老人は警察とは無関係な民間人だったのですよ」

 そう言った時、忠臣の目は宙を泳いでいた。

 少なくとも確信に満ちた表情ではなかった。

 真実を隠蔽するための苦し紛れの虚言。


 検察という組織の卑劣さには心底、辟易(へきえき)する。
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