Festival in Crime -犯罪の祭典-

柿の種

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第三章 オンリー・ユー 君だけを

Episode 27

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--浮遊監獄都市 カテナ 第二区画 デンス 第一階層
■【偽善者A】ハロウ

雑談を適当にした後。
私達はとりあえず解散することにした。
メアリー以外にもCNVLやマギもやりたいことがあるということで、暫く1人の時間が出来ることになった。

「……何しようかしら」

私以外の面々は、基本的に戦闘以外の……それこそ生産系に手を出しているため、恐らくそちらの方で何かやることがあるのだろう。
……私も何かしらに手を付けようかしら……。

今まで私は他のゲーム含め、特に生産系のコンテンツというものに関しては触れてこなかった。
別に生産系のコンテンツが嫌いというわけでも、苦手というわけでもない。
ただ単に今まではやる気がなかったというか……単純にじっとしているのが性に合わなかっただけなのだ。

「そういえばこのゲームFiCの生産系コンテンツって何があるのかしら……ヘルプ見ればわかるかな」

やるやらないにしろ、とりあえず何があるかだけでも確認しようと色々載ってそうなゲーム内ヘルプを出現させる。
後から知らぬ間に追加されている項目が主にNEWというマークで強調されているため、そちらに目が行きがちだが……今回はその中でも生産系コンテンツに関係ありそうなものを探していく。

「加工……鍛冶……調薬……うん、ここらへんはうちの子達がやってることね。それ以外は……印章?」

はんこの事だっただろうか。
それをゲーム内で作成出来るということで、少しだけ興味が湧いた。

「えっと……?あぁ成程、木材とか使うのは変わらないわけね。骨とかも使えると。掲示板の方も覗きましょうか」

そうと決まれば、少しばかり過疎……人が少なく流れもゆるやかな印章作成の初心者用スレを見ながら必要なものを揃えていく。
意外にも、このゲームを始めた当日に見かけた【劇場作家の洋館】前の出店の中にそれに関係する店があったことだろうか。

ラーメンでも売ってそうな屋台の中、椅子に座り新聞のようなものを読んでいる厳つい顔をしているおじさんに話しかける。

「んぁ?どうしたんだい嬢ちゃん。道にでも迷ったんか」
「すいません、ここに『印章作成初心者キット』が――「何?嬢ちゃん印章作りてぇのか!!」――おぉう。すごいリアクション」

おじさんの凄いリアクションに思わず素の反応を返してしまった。
とりあえず何か興奮しながら話している様子のおじさんを落ち着かせ、とりあえず話を聞くことにした。

「あぁすまん。印章を作りてぇって奴が本当に少なくてな。で?嬢ちゃんは初心者キットでいいんだな?印章の作り方は分かるか?」
「えぇ、初心者キットで。印章に関しては特に……これから本屋とかに行って作成関係の本を探そうかなって思ってたんですけど……」
「本屋にそんなもんねぇよ。ほら、初心者キットにセットで付けてやる。値段は……いや、どっちかっていうと素材のが欲しいな。何か使えそうな素材持ってっか?」
「あー、ならこれどうです?沢山あるんですが」

そう言って、私はスケルトンからドロップした骨を大量に取り出した。
どこかの誰かは戦闘中にしゃぶったり噛み砕いたりしていたが、かなりの硬度があるものだ。
印章にもきっと使えるだろうということで、適当に出してみたのだがお気に召すだろうか。

「あぁ?なんだそりゃ骨か?ちょっと見せてみろ……第二階層のダンジョン産の骨か。成程成程、申し分ねぇな。これ5本で交換してやる。ただ、初心者が扱うには向いてねぇから木材とか買って練習するといいぞ。……あぁあと、初心者キットは本当に初心者向けだ。物足りねぇと思ったらまた来い」
「ありがとうございます。何か出来たら持ってきますね」
「おう!周りにも勧めておいてくれ!」

そういって、おじさんから初心者キットと印章の作成方法が載っている『印章作成解説・1』という本を大量に残っていた骨と交換し、言われた通りに木材を買ってからセーフティエリアへと移動した。
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