Festival in Crime -犯罪の祭典-

柿の種

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第三章 オンリー・ユー 君だけを

Episode 9

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--第二区画 第二階層ダンジョン 【決闘者の墓場】 2F
■【偽善者A】ハロウ

正直な話をすれば、メアリー達が来るまでに戦闘の大部分は終了していた。
私は相手を動けないように、CNVLはここまでにドロップしたスケルトンの骨を使って【祖の身を我に】を多重に発動させ、圧倒的な武器の量で相手をしていたスケルトンたちを物量で制圧し。
結果だけを見れば、メアリー達が来た時にまともにHPバーが残っているスケルトンはいなかった。

後から追いついた2人と共に、残っていたスケルトンたちを倒した後。
HPを回復した後に先へと進む。

『アタッカー2人がいけばこうなるよねぇ('ω')』
「まぁ私も双剣で戦ってれば、そもそもスケルトン1体も残ってなかったとは思うのだけど……やっぱりハサミでの戦闘スタイルも確立させておきたいのよね」

第一回の区画順位戦以降、度々使っているハサミではあるものの。
普通の大型の武器とは違い、挟む事が出来るという点で少しだけ戦闘中に迷ってしまうのだ。

元々がハサミだから挟む事自体は出来ておかしくはないだろう。
しかしながら、それを戦闘中にしてしまえば両手が塞がってしまい。
挟む方向もハサミの向きを見れば容易に予測できてしまう。

だからと言って、打撃武器のように振り回すというのはハサミという道具を使っている意味が薄れてしまう。
どうせ振り回すだけならばハンマーなどのもっといい打撃武器が存在するのだ。

「いやぁ、難しいものね。最大の特徴を生かそうとすると、どうしても隙だらけになっちゃう」
「まぁハロウはまだマシだよ。【偽善者】のスキルあるから、単体相手だったらスキル使われない限りは奇襲できるだろう?」
「その奇襲を破った側に言われるのは少しだけ癪だけれど……まぁ、そうね。【HL・スニッパー改】を持った私の前で隙を晒そうものなら、HPが高いか防御が高い奴以外は頭を挟みこんで終わりよ」

確かに【偽善者】のスキルである【真実の歪曲】を使う事で、初撃は確実に当てる事は出来るだろう。

「はぁ……やっぱりまだまだ要練習ね。現実で使った事ないモノだとやっぱり慣れるまで難しいのは仕方ない……」

そこまで言って、私はあることに気が付いた。

「ねぇ、メアリー?」
『ん?なぁに?('ω')ノ』
「貴女って割と最初からクロスボウ使ってたわよね。それも結構普通に。元々リアルで使った事があったの?……あぁ、リアルの事を聴いてるから無理に答えなくてもいいわよ?」
『あー……うん、割と普通の理由だよ?クロスボウってリアルだとスポーツとしてあるんだけどね?それやってる('ω')だから割と使えるっちゃ使えるんだ(;^ω^)』

成程、と彼女の頭を撫でつつ納得した。
確かにそういう理由があるならばVRでも同じような要領で扱う事が出来るだろう。
……私も段ボールか何かで大きめなハサミの模型でも作って扱う練習でもしようかしら。運動にもなるし……。
そんな事を考えながら進んでいけば、1Fで見たような扉を発見し。
私達は溜息を吐きながら、誰がそれに触るかという相談を始めた。


数十分後。
3Fへと続く階段を見つけた私達は精神的に疲れ切っていた。

「あー!終わり終わり!やっとだよ!3F!」
「流石にキツイ……」
「休憩しましょう。一回休憩しないとダメですこれ」
『;;』

というのも、言ってしまえば簡単な話で。
ここまで来るのに約3回ほど水晶のついた扉が存在し、そのどれもにモンスターハウス……所謂敵が詰め込まれたトラップ部屋のような量のスケルトンが中に存在していればこうなるだろう。

2人で組んで交互に戦ったとはいえ、それでも疲れはやはり溜まる。
精神的なものだから余計に性質が悪いだろう。
恐らくは運が悪かっただけなのだろうが……でも次の階層の事を考えると気が滅入る。

「3Fって確かアレよね……」
「そうですね、アレです」
『アレかぁ……(;´Д`)』
「スケルトンドッグだね!」

次の階層、3Fからはスケルトン以外に新たなモブが出現するようになる。
それがスケルトンドッグ。
字面の通り、骨の犬だ。
標本のような骨の犬がそこらで徘徊している姿を一番最初に見たときは、相手をしにくそうだなぁと漠然とした印象しか抱かなかったが……今は違う。

スケルトン系のモブに共通する特徴なのか、全部が全部群れで行動するのだ。
スケルトンがパーティで、ドッグが群れで。
しかも、ドッグの方は生前?の嗅覚までご丁寧に備わっているのか、かなり遠くから私達を発見し追跡、接敵してくるため油断も隙もあったものではない。

「まぁ仕方ないわ。スケルトンならある程度は効くでしょうし、CNVLの腕切って血を撒き散らしましょう。遠距離持ちのスケルトンには効かないけれど、逆に言えばそれ以外には効くってことだし」
「了解。実は大腿動脈でも何とか撒けなくもないけどどうする?」
「腕で。大腿動脈って確か太腿の方の血管でしょう?誰かが貴女を背負う事になるじゃない。それは厳しいわよ」
「あは、言ってみただけさ。よしよし、じゃあそろそろ行こうか」

そんな会話をしながら、手早く自身の腕を切る準備をし始めた彼女を見ながら、私達も消費アイテムの在庫などを確認し手早く準備して。
もはや見慣れた階段を降りて、3Fへと移動した。


--第二区画 第二階層ダンジョン 【決闘者の墓場】 3F

暗く、そして2Fよりも全体的に廃墟感が増している。
所々に吊るされたランタンによって、カタコンベというよりはどこかの坑道のようにも思える。
そして、今回は出迎えが居るらしく。

「戦闘開始!犬3体!」

階段を降りてすぐの場所、広場となっているそこには先程までの階層には存在しなかった骨の犬が3体、こちらを見て唸るようなモーションをしながら待ち構えていた。

私の声に反応し、スケルトンドッグたちの視線がこちらに向くと同時。
自分の腕を切るために持っていたマグロ包丁を手に、CNVLが飛び出した。
それを援護するため、私は【虚言癖】を発動しさらにスケルトンドッグたちのヘイトをこちらへと向けさせた。

「援護します!」
『ボルト行くから気を付けて!(゜д゜)!』

後方支援組の2人の援護も始まり、3F入って最初の戦闘が始まった。
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