Festival in Crime -犯罪の祭典-

柿の種

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第一章 ハジメマシテ、【犯罪者】

Episode 25

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■鷲谷 香蓮

「はは、あの香蓮がねぇ。良い傾向じゃあないか」
「貴女がここにFiCを置いて行かなかったら無かった未来でしょうね。その点では感謝してるわ」

イベント終了後の翌日。
私の家にFiCのパッケージを置いていった友人がお茶をしに訪れていた。
適当な紅茶と、お茶請けを前に適当にただただ雑談をしているのだが……今は最近の私についての話題になっている。

「しっかし、【偽善者】。ぴったりじゃん」
「ふふ、怒るわよ」
「おいおいやめてくれやめてくれ。君を怒らせたら友人間じゃ一番怖いってのは周知の事実なんだよ。私は昼下がりから怒られたくない」

ははは、と笑いながら彼女は紅茶に口をつけた。

「私もやってみようかなぁ。どうだい?オススメとかあるのかい?」
「貴女、基本的にゲームやると召喚士サモナーとか自分が戦わない職ばっかり選ぶでしょう?」
「まぁ、私はか弱いからね。どうだい?そういうのはあったりする?」
「一応、今の所はそういうのは見てないわね。……ランクアップ先ならあるかもしれないけど。まぁやってみたらいいんじゃない?」

お茶請けを適当に頬張りつつ、彼女にFiCの公式サイトを見せながら改めて色々な話をする。
私があの世界ゲームに降り立ってからの事。最初の冒険の事。ダンジョン攻略の事。イベントの事。
そして、あの世界の仲間たちのことを。
私の話の後、話題は実際にやるならなんの【犯罪者】を選ぶかという話へと移った。

「うーん、いいね。【ラミレス】か【シップマン】あたりが合いそうだ。ほら、【ラミレス】なんて、何かに悪魔を憑依させて戦ってもらうとかできそうじゃない?」
「あー……できそうね。というかそういうランクアップ先ありそう」
「よし、決めた。今度買って参加するよ。……って、今新規ユーザー参加できるのかい?」
「一応、数は少ないけど毎日開放しているはずよ。多分次のアップデートに合わせてどばっと開放するとは思うけど……」

そうかそうか、と再び公式サイトに目を落とした彼女は首を横に傾げた。

「どうしたの?」
「あぁ、いや。今サイトが更新されたらしくてねぇ。ほら」

渡された端末を見てみると。
そこには『第一回大型アップデート!』という文字が大きく表示されていた。

「よかったじゃない。丁度いいわ」
「いやぁ、タイミングが良いというかなんというか……まぁいいか。じゃあ今日の所は帰ることにするよ。ログインするときはまた連絡する」
「了解、じゃあね」

そういって帰って行った彼女の背中を見送りつつ。
私はこれからの事について考え始めた。
まずは、【劇場作家の洋館】のハードモード攻略から始めるべきだろう。

私は今日も、あの世界に降り立つ。
仲間たちの待つ、空中に浮かぶあの都市へ。
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